Financial Times

東シナ海での戦争を避ける方法

2014.04.07(月)  Financial Times

(2014年4月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

経済的な強さと軍事力を別にすると、大国同士の関係における重要な要素の1つが信頼性だ。同盟国と敵国は、あなたの発言が本気であることを知っていなければならない。東アジアほど、このことが当てはまるところはない。バラク・オバマ米大統領は、今月下旬に米国国旗を掲げてアジアを歴訪する時、この点を心に留めておくといいかもしれない。

 表面的には、オバマ大統領のアプローチは十分に明白だ。中国の台頭に対する米国政府の対応は従来、関与し、ヘッジすることだった。つまり、中国政府を国際システムに引き込もうとする一方、地域における自国の同盟関係を再構築する、ということだ。

 最近では、東シナ海と南シナ海における中国の強硬な自己主張が、米国の政策をより断固とした「関与と対抗」の方向に傾かせた。オバマ氏の日本、韓国、マレーシア、フィリピンの訪問はすべて、地域に常駐する太平洋国家としての米国の地位を強調することが目的だ。

オバマ大統領のアジア歴訪、最も難しい訪問先は日本

 最も扱いが難しい立寄先は東京だ。米国にとって、日本はこの地域で最も重要な同盟国だ。安倍晋三首相の政権下では、最も難しい同盟国にもなりつつある。米国が中国を抑制したいと望んでいるのなら、何とか安倍氏を抑えたいとも思っている。その結果が、信頼性と曖昧さを混ぜ合わせようとする米国の姿勢だ。この2つは簡単には混ざらない。

 ロシアのクリミア併合により、日中間の緊張は新聞の1面から姿を消した。だからと言って、東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る争いやそれに伴う歴史論争の危険性が減るわけではない。日中関係は破綻している。中国の政府高官らは、安倍氏が首相の座にとどまっているうちは関係は修復されないだろうと話している。互いの敵意は、世論の奥深くまで浸透している。

 筆者はある中国の高官がストックホルム・チャイナ・フォーラム*1の上海での会合で、日本の首相は挑発、歴史修正主義、軍国主義の罪を犯したと発言するのを聞いた。日本は、地域にとってだけでなく、より幅広い国際的秩序にとっても脅威だという。

 日本側から即座に返ってくる返答は、中国の習近平国家主席はとどまるところを知らぬ拡張主義の針路を取ったというものだ。中国は、日本からだけでなく、ベトナムやフィリピンからも領土を奪い取りたがっているという。中国が最近設定した防空識別圏の侵入的な広さが中国政府の意図を示す証拠として引き合いに出される。

 こうした発言はしばしば型にはまったものだ。対立関係を燃えやすいものにし、また米国を非常に不安な気持ちにさせるのは、歴史の深い恨みを掘り返す行為だ。中国は、過去の屈辱を晴らすことを固く決意している。安倍氏は謝罪しようとしない。尖閣諸島の争いは、領有権問題であるだけでなく、感情的な問題でもあるのだ。

*1=米ジャーマン・マーシャル・ファンドがスウェーデン外務省の協賛を得て主催している会議。欧米、中国の政府高官や識者、ジャーナリスト、財界人が年に2度集まり、中国の政策について議論する

 習氏は1年という短い期間で、鄧小平以来どの国家主席…
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