集団的自衛権:米国防長官、容認を支持 防衛相会談で明言

毎日新聞 2014年04月06日 21時08分(最終更新 04月06日 21時35分)

日米防衛相会談に臨むヘーゲル米国防長官(左から2人目)と小野寺防衛相(右から2人目)=防衛省で2014年4月6日午前9時30分(代表撮影)
日米防衛相会談に臨むヘーゲル米国防長官(左から2人目)と小野寺防衛相(右から2人目)=防衛省で2014年4月6日午前9時30分(代表撮影)

 小野寺五典防衛相は6日、来日中のヘーゲル米国防長官と防衛省で約50分間会談した。ヘーゲル氏は、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更や新たな防衛装備移転三原則の決定など安倍政権が進める安全保障政策について「米国は支持している」と明言。北朝鮮のミサイル発射をにらみ、2017年までに弾道ミサイル防衛(BMD)機能を備えたイージス艦2隻を日本に追加配備し、計7隻態勢にする計画を表明した。沖縄県・尖閣諸島周辺で中国が領海侵入を繰り返していることを踏まえ、両氏は「力を背景とした現状変更の試みには反対する」との見解で一致した。

 小野寺氏は、安倍晋三首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」で集団的自衛権行使に向けた検討が行われていることを説明。年末の日米防衛協力の指針(ガイドライン)見直しに政府の結論が反映されるとの認識を示した。小野寺氏は会談後の共同記者会見で「幅広い日米防衛協力を着実に進め、日米同盟の抑止力や対処力を強化していくことで一致した」と述べた。ただ、防衛省は「会談ではヘーゲル氏から集団的自衛権だけを取り出してのコメントはなかった」としている。

 ヘーゲル氏は会談で、尖閣は日本の施政権下にあり、日米安全保障条約が適用されるとの立場を改めて表明。小野寺氏は、次に中国を訪問するヘーゲル氏に「日本が不測の事態の回避を重視していることを中国に伝えてほしい」と要請した。ヘーゲル氏は「中国と建設的な関係を築くことは日本にとっても重要だ」と述べた。

 これに関連し、ヘーゲル氏は会見で「国境線を自分勝手に書き換えたり、力や威嚇で主権を脅かしたりすることは、太平洋の小さな島(尖閣)でも欧州の大きな国(ウクライナ)でも許されない」と中国をけん制。「勇気を振り絞ってリーダー同士が話し合うことが重要だ」と述べ、訪中の際に日中首脳会談の実現を促す意向も示した。

 小野寺氏は会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古沖への移設について、同飛行場の5年以内の運用停止など沖縄県の要望を伝達。ヘーゲル氏は「具体的な負担軽減策を協力して進めたい」と述べ、基地負担軽減の取り組み強化に前向きな姿勢を示した。

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