(テーマ曲)小さい頃誰もが一度は憧れた職業といえばそう。
パイロット。
コックピットに座って大空を飛ぶ姿かっこいいですよね。
しかしこの憧れの職業がなくなる時代が来るかもしれません。
というのもパイロットなしで飛ぶ事のできる無人飛行機が続々と登場しているのです。
あらかじめプログラムしておくと自動で飛行できる優れものです。
この無人化技術飛行機の世界ではジェット飛行機が誕生して以来の大変革といわれています。
321スタート。
中には滑走路なしでトラックの上から離陸するこんな飛行機も。
人が容易に近づけない災害現場にも無人機なら近づいていって精密な写真を撮る事ができます。
更に私たちの暮らしの中で無人機を活用する研究も始まっています。
こちらは不審者を追い回し撮影を行う監視ヘリコプター。
とにかくしつこい!注文した商品を自宅まで届けてくれる無人ヘリコプターも。
SFのような世界が次々と実用化されようとしています。
大空をかける無人飛行機その開発の最前線に迫ります。
無人飛行機って聞いた事あります?何かそういうのがあるような話は聞いた事あるんですが…。
今飛行機の世界ではこの無人飛行機大注目なんですよ。
そうなんですか。
ジェット機の発明以来の大革命とすらいわれているんですね。
(中村)こちらをご覧下さい。
イラク戦争で実際に使用されたアメリカの無人偵察機です。
あっすごい変わった形ですね!ですよね。
前方の丸い形をした部分に衛星通信用のアンテナが搭載されているんです。
地球の裏側にある基地からも無線操縦する事ができる。
そんなに離れてても…。
はい。
これは軍事目的だったので非常にコストがかかり大勢でないと運用ができません。
でも最近では軍事用以外の分野でコストを抑えて小型で高性能な無人飛行機も開発されています。
お〜すごいですね。
特に日本はこの分野に力を注いでいるんですよ。
へえ〜!一体どんな飛行機なんでしょうね。
まずはですね日本の無人飛行機がどんな仕事をしているのか見てみましょう。
3年前東北地方を中心に大きな被害をもたらした…東京電力福島第一原子力発電所では大量の放射性物質が放出され周囲に容易に近づく事ができなくなりました。
この時70km離れた場所から飛び立った無人飛行機が原子力発電所の様子を撮影。
消防や自衛隊が放水計画を立てる貴重な判断材料となりました。
これをきっかけに日本では災害監視用の無人飛行機の研究が急ピッチで進められるようになりました。
福島第一原発から10km圏内にある浪江町です。
この地区は避難指示解除準備区域に指定されており住民の帰還に向けて放射線量の測定が続けられています。
今年1月測定に初めて無人飛行機が用いられる事になりました。
JAXAと日本原子力研究開発機構の共同研究で作られたこの飛行機。
全長2m70cm。
放射線の検知器が取り付けられています。
今回測定を行うのはこの区域です。
さあミッション開始。
飛行機の無線操縦は機体が遠くに行くと極めて難しくなります。
そこで今回はコンピューターに飛行経路を入力し自動で飛行できるシステムを取り入れました。
青い線が飛行経路を表しています。
800mの直線を何度も往復。
調査区域をくまなく網羅します。
更に飛行高度もコンピューターで自動制御されます。
これまで測定を行ってきた有人ヘリコプターの飛行高度は300m。
航空法によってそれ以上低くは飛べませんでした。
一方無人飛行機には航空法の制限がないため半分の高度150mに設定しました。
地上から近い分より精密な計測ができると期待されます。
飛行を始めて30分。
無人飛行機が帰ってきました。
早速分析を行います。
150m上空での放射線量が画面に表示されていきます。
青は線量が低い所赤がやや高い所です。
川沿いが赤いのはこの川の上流から移動してきた放射性物質が河川敷に蓄積したためだと考えられています。
更にこの数値を基に地上1mの放射線量を計算します。
結果これまでの有人ヘリによる測定と明らかな違いが見られました。
丸で囲った部分有人ヘリでは一色で表されているのに対し無人飛行機ではまだら模様になっています。
低い高度で飛んだ分放射線量の違いを細かく場所ごとに見分ける事ができたのです。
その精度はこれまでの4倍です。
更にもう一つうれしい話がありました。
自律飛行の経路を解析したところ風にあおられてもほとんどブレなかった事が分かったのです。
今回の飛行で平地での調査にめどはつきました。
次の目標は福島県の多くを占める山間部でも測定を行う事です。
山間部では上空を一定の高さで飛ぶだけでは地上との距離にばらつきが出て正確な測定が行えません。
そこで地形に沿って地上からの距離を一定に保つ技術を開発しようとしています。
へえ〜。
自動でしかもかなり正確でしたよね!これすごい技術ですね。
人間が行くと危険な場所をね…この無人飛行機もってこいですよね。
あと人が乗らなくていいので軽くできてコストも削減できるんじゃないですかね?確かに!さあここで無人飛行機について詳しい専門家お招きしています。
東京大学大学院教授で航空工学がご専門の鈴木真二さんです。
最近のこの無人飛行機の技術相当進んでますね。
飛行機を無人化するという事は航空の分野にとって非常に大きなテーマの一つだった訳ですね。
放射能計測をある決まった区間何度も何度も同じ所を正確に飛ばなきゃいけないというのはパイロットにとってはかなりつらい仕事なんですね。
パイロットの方々にとってつらいっていうのはですね3Dというふうにいわれているんですけども1つは「Dull」まあ退屈な飛行をしなきゃいけない。
それから「Danger」ですね危ない。
そして「Dirty」汚い。
こういった事を解決する一つの手段として無人飛行機というものが期待されている訳です。
日本の無人飛行機というのは災害現場での活躍が期待されているんですけれどもそのためにこんなユニークな利用法も開発されているんです。
これトラックの上に飛行機が載っているの分かりますか?載ってる。
そう。
…あれ?発射しました。
一瞬で飛び立ちましたね。
そう。
なんと荷台から発射してしまうと。
これですね滑走路がない所でも飛ばす事ができる無人飛行機。
災害現場の近く滑走路がないという事も十分考えられますよね。
そうですよね。
そんな場合を想定して作られたんですがこれきちんと自律飛行する事もできるんですよ。
そして帰ってくる時もユニークなんです。
おおっおおっ。
大丈夫ですか?結構大胆に。
(鈴木)急降下してますよね。
急降下してますね!何かちょっと墜落してるようにも見えなくもないんですけれどもこれがこの無人飛行機の着陸のしかたなんですよね。
私たちが乗る旅客機着陸する時の進入角度は3度なんですけれどもこの飛行機はなんと25度の急角度で着陸すると。
だからまあ滑走路がなくても広場があれば着陸できるようになっているんです。
一旦飛び出せばですねあとは自動で決められた所を飛んでくれますのでそういう意味でも非常に手軽に飛行機を飛ばす事ができると。
そういった特徴があります。
それから降りる時もですねパラシュートを搭載してホントに必要になったらパッとこう着陸させると。
そういう事もできるようになっている訳ですね。
昔は僕模型飛行機が好きで飛ばしてましたけど素朴な疑問として無人飛行機っていうのは模型飛行機とはどう違うんですか?まあある意味模型飛行機の延長なんですけどもこれに最新のコンピューターや計測装置ですねこういうのを搭載して自動でできるようになるといろんな人が簡単に飛ばす事ができますししかも決められた所を正確に飛ぶっていう事ができます。
更に災害の現場外だけではなくて建物の中で事故が起こった時にも測定とか調査が必要になる場合があります。
福島第一原発の事故でも原子炉建屋内での調査というのはホントに大きな課題です。
だけど建物の中では飛行機って飛ばせないですよね。
そうですね。
いかに小さくなったからといってやっぱり飛行機では難しいのでこういう時にはヘリコプターを使うという事になる訳ですね。
無人のヘリコプターですね。
え〜?千葉大学で無人ヘリコプターの研究を進める…野波さんが目指しているのは福島第一原発の建屋内部で調査を行う事です。
建屋ではこれまでも地上型ロボットなどを使って情報収集が行われてきました。
しかしがれきに遮られるなどしてまだ十分調査できていない場所はたくさん残されています。
野波さんたちは無人ヘリコプターを使って空中から調査すれば不足する情報を補えると考えました。
そしてヘリコプターが建屋内部で障害物とぶつからないようある技術を開発しました。
その実験の様子です。
建屋内部に見立てた部屋を無人ヘリコプターが飛行します。
すると目の前にある台車や脚立などの障害物が画面上に小さな点の集まりとして描かれ始めました。
ヘリコプターに取り付けられたこの装置がレーザーを飛ばして障害物と自分との距離を正確に測定。
その形を立体的に捉えるのです。
これが完成図。
3次元立体地図と呼んでいます。
青が高さ1m以下の場所。
緑黄色と色が変わるにつれ高さも高くなります。
実際の配置と比較するとご覧のとおり。
正確に反映している事が分かります。
これがあれば障害物にぶつかる事なく内部の状態を調べる事ができるのです。
更に野波さんたちはバッテリーを自動交換するシステムも開発。
飛躍的に稼働時間を延ばす事に成功しました。
最新の技術を詰め込んだ無人ヘリコプター。
災害現場での活躍が期待されます。
わ〜すごいですね!やっぱり室内だと狭いし障害物も多いから…あの3次元地図ですか作れるのすごいですね!3次元地図があれば真っ暗闇でも飛べるって事ですか?レーザーを使って距離を測ってますので明るくなくても暗くても分かるという事なんですね。
室内の中を自動で飛ぼうとした時にですね室内の中がどうなっているかというのが分からないと飛びようがないので地図を作りながら自動で飛ぶルートを決めていこう。
そういった技術を使おうと。
これは地上を走るビークルローバーこういうもので既に使われている技術なんですけどもこれを飛行機にも適応しようという事でさまざまな研究が今行われています。
このVTRに出てきた機体ですけどちょっと変わってましたよね。
何か上にプロペラみたいなのがすごいいっぱいついていたような気が…。
実物をご用意しています。
こちら!
(竹内南沢)わ〜!皆さんゴーグルをかけて下さい。
さあいきますよ!離陸です!お〜!お〜!すごい!これはかっこいい。
かっこいい!何かふんわり浮かぶって感じですね。
ね〜!きれいに。
風が来るんですけど!
(竹内)結構安定してますよね。
全然ブレないですよね。
すご〜い。
細かい操作ができますからね。
(拍手)こんな近くで見れるなんて。
(竹内)鮮やか!見事な飛行ですね。
ね〜!こちらがVTRに登場したマルチコプター。
プロペラのようなものをローターというんですけれどもマルチという名前のとおりローターが複数あります。
この場合は6つですね。
ローターがたくさんあると何かいい事があるんですか?はい。
こちらはですね非常にシンプルですね。
一つ一つのモーターにプロペラが直結されているという事ですね。
この回転数を微妙にこうコントロールできるんですね。
例えばこちらのローターの回転数を上げてそしてこちらを下げるとこちらの力が強くなりますので機体がこう傾く訳ですね。
…でこう動く事ができる。
前後に動こうとするとこちらを強くしてこちらを弱くすればこうなりますからこう動いていくという事で回転数をコントロールする事によって自由に動く事ができると。
まあヘリコプターはこのメインローターが1つなんですけども非常に複雑なメカニズムを使っているんですけどもこういうロッドがですねたくさんついてますけどもここがこう微妙に動く訳ですね。
ホントだ。
するとこの羽根の角度が変わりますからこれによって羽根が上がったり下がったりしてメインローターの所の力が変わってきて運動するという非常に複雑なメカニズムを使っています。
1か所ちょっとおかしくなったらまずい感じしますよね。
そうですね。
非常にデリケートなそういう機械な訳ですね。
こっちのマルチコプターの方はですねローターを6つ持っていますのでたとえ1つ止まったとしても安定して飛び続ける事ができる。
そういう高い信頼性を持ってる訳ですね。
だから狭いスペースで飛ぶためにはこのマルチコプターですねこれが非常に優れているという事ですね。
なるほど。
こうした無人化技術を災害現場だけではなくて私たちの身近な暮らしに役立てようという試みも始まっているんです。
こちらご覧下さい。
このようにしてインターネットで商品を注文するとそれを専用の箱に入れて向かう先は…なんとマルチコプターなんですよ!ホントだ!このマルチコプターに乗せて空中を運ぶんです。
あ〜出発した。
ね〜飛び立って行きましたがこれ自宅の前まで届けてくれるんですね。
わ〜ホントだ。
家の前に来て…。
確かにね。
そうですよね。
でもね無事に到着しました。
これ来年以降に実際にサービスを開始したいとしているんです。
でもマンションとかだったらインターホンとか鳴らさずに上まで…。
ホントだ〜。
屋上まで来るとかね。
これ例えばちょっと工夫してどんなサービスに使えると思いますか?大学の時にリポートを提出するためだけに大学行ってた時とかあったんですけど回収しに来てくれないかなと思って。
あ〜。
学生の家回って回収して大学に届けてくれる。
…で教授のとこに行くと。
はい。
いいですね〜。
それはいいかもしれない。
竹内さん何かあります?あ〜!宅配。
そうですね。
でもすぐ届けてくれるなら温かいままね…。
ただちょっと風が当たるから冷えちゃうかな。
ローターが回ってますからね。
確かに。
冷やされちゃうかもしれないですけど。
日本でもこんなユニークな利用法も考えられています。
これは警備会社が来年3月までに実施しようとしているサービス。
男がドアをこじあけて不法侵入。
すると異常を感知した室内のセンサーが信号を発します。
男が外に出た時待ち構えていたのはなんと無人ヘリコプター!びっくりしますねこれ。
思わず身構える男。
この時ヘリコプターは既に男の姿を撮影し始めています。
世界初防犯を目的としたその名も飛行監視ロボットです。
不審者の周りを360度飛び回りあらゆる角度から情報を収集する事ができます。
撮影した映像は警備員が待機するコントロールセンターに送られます。
更に男がヘリに襲いかかっても…。
ご覧のとおり男との距離をセンサーで検出。
常に一定の距離を保ちながら監視を続けるのです。
今度は男が逃走を開始。
するとヘリは追跡を始めます。
車に乗って逃げると車の形からナンバープレートの位置を特定します。
へえ〜!このヘリがあれば警備員が到着する前に不審者の情報を押さえられるのです。
いやあのヘリコプターに見つかったら逃げられない感じですよね!ちょっと駄目って感じですよね。
これもですねセンシング技術それから画像処理の技術自動飛行の技術こういった技術を組み合わせればですね可能になってきてる訳ですね。
技術さえ完成すれば実用化間近と考えていいんですかね?技術的にはできるという事と実際使えるっていう事はまだかなり距離がある訳ですね。
例えばものを届けてくれるという話がありましたけども何も障害物がなければいいんですけどもまあ東京の中で届けてもらおうと思ったらどっかに引っ掛かっちゃったりとかぶつかっちゃったりとかという事があるとそれはまたいろんなトラブル引き起こしますのでどうやって使っていくかという事をこれからもっといろいろ…技術それからルールを確立して安全性を高める。
そういったところをですね検討していかなきゃいけないんじゃないかと思います。
鈴木先生はこの無人飛行機の未来についてはどうお考えですか?私自身は人の乗る飛行機の研究をしてる訳ですので無人飛行機っていうのは非常に魅力的なものがあります。
それはこれから例えば15年間で飛行機を利用する人は2倍に増えるというような予測がされている訳なんですけどもそうしますと…今旅客機には2人のパイロットが必ず乗ってる訳なんですけどもこれを…1人になってしまった場合に…そのためにも無人で飛べる飛行機の技術というのが確立されてほしいと。
だから可能性としてはいろんなところで使えるんじゃないかというそういう期待がありますのでこれから伸びていく分野じゃないかと思いますね。
私飛行機とかヘリコプターって遠い存在だったんですけどすごく身近になって…。
ホントに近い将来町なかを飛んでるかもしれないと思うと簡単じゃないかもしれないけどすごく楽しみになりましたね!鈴木さん今夜はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
それでは「サイエンスZERO」。
次回もお楽しみに。
2014/04/05(土) 12:30〜13:00
NHKEテレ1大阪
サイエンスZERO「大空を切り開け!無人飛行機 開発最前線」[字][再]
いま小型で高性能の無人機が続々登場、災害調査から宅配サービスまでさまざまな利用法が考えられている。私たちの生活を変えるかもしれない無人化技術の最前線に迫る。
詳細情報
番組内容
パイロットなしで飛ぶことができる小型で高性能の無人飛行機が続々と開発されている。あらかじめプログラムしておくと自動で飛行。人が容易に近づけない災害現場などで威力を発揮しようとしている。さらに屋内など狭い場所でも飛行できる無人ヘリコプターも登場! 災害調査に加え、宅配サービスや防犯監視までさまざまな利用法が検討されている。私たちの生活を大きく変えるかもしれない無人化技術の最前線に迫る。
出演者
【ゲスト】東京大学大学院教授…鈴木真二,【出演】南沢奈央,竹内薫,【キャスター】中村慶子,【語り】江藤泰彦
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:7105(0x1BC1)