きょうの健康 気になる子どもの発達障害「症状に合った治療」 2014.04.02

(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
今週お伝えしているのは…そして今日のテーマはこちらです。
お話を聞く人ご紹介します。
小児精神神経科医で発達障害の診断治療がご専門です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今日もまずある例からご覧下さい。
小学1年生のB君は落ち着いてじっとしている事が苦手。
衝動性も見られ学校生活に支障が出てしまうため発達障害の一つADHDと診断されていました。
授業中は席に座っている事ができません。
急に教室を飛び出してしまう事もあります。
学校ではB君の席を一番前にしてこまめに声を掛けるなどの工夫をしていましたが対応しきれない事もしばしばです。
そこで専門医の診断の下薬での治療も取り入れる事にしました。
すると次第に症状は軽くなり落ち着けるようになりました。
その後薬も必要なくなったのです。
発達障害が薬でよくなる事はあるんですか?発達障害の症状全てに薬が効く訳ではありませんが薬を使うとよい効果が得られる場合があります。
B君の場合はADHD注意欠陥多動性障害と呼ばれる発達障害で学校の先生も精いっぱいの工夫をして下さっていましたがADHDの症状に対しては効果的な薬がありますので使用しました。
発達障害にはいくつかタイプがありましたが久田さんから紹介してもらいます。
発達障害は大きく3つのタイプに分けられます。
まずはこちら…対人関係が苦手で特定なものへのこだわりが強い特徴があります。
続いて…B君はこのタイプでしたが落ち着きがないそれから衝動性が目立つなどが特徴です。
そして…読み書きや計算などの学習習得が難しいのが特徴です。
どれも社会生活に支障が出て本人や周囲が困っている場合発達障害と診断されます。
そしてこうした症状は一人の子どもに重なって出る場合もあります。
発達障害かもしれないと思ったらどうしたらいいんですか?発達障害は個性だから治療の必要はないとおっしゃる人もいらっしゃいますが本当は理解や配慮や支援の必要な個性です。
まずは本当にその子が発達障害なのか。
それからどんなタイプの発達障害なのかを正確に診断してもらう事が大切です。
その上で対応していきますがいろいろな症状があるので個別のケースで対応や治療は異なってきます。
治療という事は治す事もできるんですか?発達障害は原因に遺伝子が関わっていて生まれつきの脳の働きが不十分で起こるものなので治るという事ではちょっと違うんですね。
ただやはり治療によってできなかった事が少しずつできるようになったりします。
この場合の治療というのはいわゆるどこかが痛いなどという病気などとは少し違ってまず環境づくりが治療の大事な事になります。
環境づくりというのは例えばB君の学校の先生が一番前の席で見守るという対応をしていましたがそのようにその子が過ごしやすい環境をつくると。
そういう事になります。
そして環境づくりの一環として療育を行う場合もありますし薬があった方がいいという場合は薬の治療を取り入れる事もあります。
療育はどういう事をいうんですか?人間は社会生活をしていく上で話す力理解する力人とつきあう力などさまざまな能力を使って生活をしています。
ただ発達障害と判断された子どもたちはこれらの力のいくつかがうまく伸びていかないため自分もつらくそれから周囲にも迷惑をかけてしまってそのままでは社会生活がうまくいかない事も多いのです。
そういう問題を減らして社会生活が楽になるように子どもと家族のサポートをするのが療育になります。
具体的にはどんな事を行うんですか?療育の目的はまず困っている子どもの症状を正確に読み取る事になります。
そのため医師や心理士そのほか専門のスタッフが集まって子どもの状態をみんなで正確に判断します。
そして必要であればその子に合った治療やカウンセリング訓練を考えていきます。
更に保育園や幼稚園学校での子どもの様子を見に行ったり先生たちとも連絡を取ったりしながら子どもたちが過ごしやすい環境づくりを進めていきます。
いわば一人の子どもを学校地域家庭でみんなでサポートするつながりを作る。
簡単に言うとこれをつなぐセロハンテープのような役割をするのが療育の役割になります。
療育を受けたい場合はどうすればいいでしょうか?療育は全国の地方自治体で行われています。
各地域に児童発達支援センター等の専門機関があります。
分からない場合はお住まいの市区町村にお問い合わせ頂ければと思います。
その環境づくりの中で場合によってはB君のように薬を使う事もあるという事なんですね。
ただ薬は発達障害そのものを治すというものではなくて症状を軽くしてくれるものになります。
どんな症状の時に薬を使う事になるんですか?その症状によって子どもの生活の質が低下しているとそれによって薬を使った方がいいと判断された場合に薬を使います。
こちらに薬を考える場合の症状を3つに分けて示しました。
まず一つは…昔あった嫌な記憶を思い出して今も嫌な記憶がよみがえってしまうフラッシュバックと呼ばれる行動。
こういった症状がある時にお薬の治療を検討する事になります。
薬はこういった症状に合わせて考えていくという事で先ほどありました発達障害いろいろタイプがありましたがそれによって使っていくという事ではないんですね。
そうではなく症状によって薬を考えていきます。
自閉症スペクトラムの子でも衝動性がある事もありますしパニックを起こしやすい事もありますので症状を見て処方を考えていく事になります。
ですから一つ一つの状態一人一人のお子さんで薬は違ってきますので自分の子どもにどんな薬が合うのかは是非専門医と相談して頂く事をお勧めしたいと思います。
こうやって見るとB君の場合は落ち着きがなくて薬を使った事になる訳なんですがどうして薬があった方がいいという判断になったんですか?B君の場合は授業中の教室内の立ち歩きだけであれば担任の先生だけでもなんとか対応はできるんですがただやはり突然教室を飛び出してしまう事があると担任の先生一人ではどうしても対応しきれず危険を伴う可能性があります。
実際ADHDのあるお子さんは注意力が続かなかったり衝動的な行動をとりやすかったり事故に遭いやすかったりといった事もあります。
それを防ぐ意味でもお薬を使います。
単純に興奮状態を静めるためだけに薬を使ったという訳じゃないという事なんですね。
強く出ている症状を抑えて落ち着いてうまく行動できるようにとそれも薬の目的です。
そしてお子さんにその状態を身をもって体験してもらう事が大事です。
例えばB君の場合ですが先生に「落ち着いて」と言われてもじっと落ち着いて授業を聞く体験をした事がないんですね。
ですので「落ち着くってどういう事?」というイメージができないんです。
そういう時にただただ「落ち着いて落ち着いて」ずっと言われて怒られたりしていると更に興奮してしまったり自分をたたいたり泣きわめいたりして症状が悪化してしまったりします。
逆にお薬を使う事によって「落ち着くってどんな事?」自分で分かる体験できる。
それを毎日積み重ねていくうちに自分でもお薬の力を借りずに落ち着くという事ができるようになっていくと。
そんな事になります。
B君の場合ですがどんな薬を使ったんでしょうか?B君のように多動や衝動性が強い場合にはその症状を抑えるお薬を使用します。
日本で使われるのは…これらの薬は脳の中の情報を伝える神経伝達物質をより適切に作用するように調整するお薬になります。
薬を使うのをためらう人もいらっしゃるんじゃないですか?お母さんお父さんの立場からしたらできれば薬は使いたくないとおっしゃるのは当然の事かなとも思います。
中には脳に効く薬なんて恐ろしくて自分の子には使いたくないとおっしゃった人もいらっしゃいます。
ただ私の場合は予想される薬の効き目ですねここに書いてありますが効き目をきちんとご説明をしてそれから副作用を説明して納得して頂いた上でお薬を処方しもし可能であればお子さん自身にもお薬の説明をしてから処方したいと思っています。
お子さんにもちゃんと説明される訳なんですね。
実際に使ってよかったという実感の声というのは何かあるんですか?あります。
ここに一つ具体的な例をお持ちしました。
これはADHDのお子さん小学生の子の連絡帳です。
お薬を使う前は集中力がなくて文字を書くのもうまくできずいたずら書きなども多いのですがお薬を使ったあとこちらは文字を書く事に集中できて整理されたノートがとれるようになって本人もとても喜んでいました。
一文字一文字ちゃんと読みやすい字になっていますね。
本人もちゃんと書けたなというふうに…。
手応えを感じる事ができますので。
ただやはり薬といいますと安全性副作用については気にする人も多いでしょうね。
薬の安全性が特に子どもでは確立していない声もあります。
ただ全ての薬には副作用がありますし効果が副作用を上回ると判断しない限りは薬の処方はしません。
そして子どもの場合も例外ではありません。
ADHDのお薬について言えば日本よりも長く取り入れているアメリカでもその効果と安全性は報告されています。
一方で副作用は食欲不振不眠などが報告されていますが重たい副作用の報告は今のところありません。
一番大切な事は命に関わる病気ではないから薬を使う必要はないという事ではないんです。
子どもが特定の症状で周りから冷たい目で見られたり叱られ続けたりして自信をなくしてしまうつらい思いをずっとしてしまうそれを防げる事が大事なんです。
自信をなくしたような状態が続いていくとこれ悪い事につながったりするんですか?学校に行けないいわゆる不登校状態になったり気持ちが落ち込む抑うつ状態になったり二次障害と呼ばれる状態になる事が分かっていますのでそういった二次障害を作らないためにもお薬を上手に使う事は大切だと思います。
二次障害というもっと悪い面が広がっていくという事なんですね。
薬なんですがずっとのみ続ける事になるんですか?よくそういう質問をお受けするんですがまず薬をのみ始めてそのあと子どもがどう変化をするか親御さんや学校の情報を基に判断をします。
そして本人にも「薬のんでどうだった?」と聞いてみます。
聞いて効果が認められればしばらく使ってみます。
そして自分の力で発達していきますので薬が必要なくなるという事も多くあります。
薬については不安な点も多くあると思いますので少しでも疑問を感じたら専門医に相談して頂ければと思います。
では今日のまとめをお願いします。
家庭や地域学校医療機関が子どもの発達障害について理解し合って連携していく事が大切です。
今日は薬についても取り上げましたが薬を考える前にまずは教室や家庭でできる工夫がないかを考えてみる事が大切です。
広瀬さんどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
「きょうの健康」明日はご覧のテーマでお送りしていきます。
明日も是非ご覧下さい。
2014/04/02(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 気になる子どもの発達障害「症状に合った治療」[解][字]

発達障害では困っている行動や症状に合わせた環境作り・治療が大切。社会生活上の困難を減らし、子ども・家庭をサポートする療育、行動・症状によっては薬の治療を考える。

詳細情報
番組内容
発達障害では、困っている行動や症状に合わせた環境作りや治療が大切になる。子どもが過ごしやすく、できることを少しずつ増やし、上手に社会生活を送るための環境づくりの一環で、地域の自治体が「療育」というサポートをしている。さらに、困っている行動や症状によっては、医療機関での薬物療法が効果的な場合も。療育を受けるためには、どうしたらよいのか、どんな場合に薬物療法が行われるのか、などを詳しく紹介する。
出演者
【講師】横須賀市療育相談センター所長…広瀬宏之,【キャスター】久田直子,古賀一

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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