(救急車のサイレン)
(立花隆平)ここだここだ!早く!
(立花)こっちですこっち!一体どうされたんですか?私が仕事中に足を滑らせたか何かで階段から落ちたようなんです。
私が気がついた時にはもうこの状態でした。
(救急隊員)通報はあなたが?ええ…。
画家の立花です。
(角田六郎)平凡なんだよ平凡。
面白みが全くないもの。
(亀山薫)平凡を絵に描いたような人に言われたくないな〜。
何を!?
(杉下右京)おはようございます。
あ〜右京さん待ってたんですよ。
今朝は早いんですね。
右京さんに見てもらいたいものがあって。
どうです?何がですか?ですからこの絵です。
見たところアムステルダムのモンテルバーンス塔ですね。
ですからそういう事じゃなくてですね。
どうもねこの絵が原因でゆうべ派手にやっちゃったらしいんだよ夫婦ゲンカ。
おやおや夫婦ゲンカを。
カミさんの了解もなしにいくらで買ったんだっけ?その絵。
4万と2000円…あでもね「寝室が殺風景だから絵とかあったらいいんじゃな〜い」って言ったのは美和子なんですよ。
それにね本当は10万円は下らない絵だって画廊のオヤジが。
10万円…。
何かその言い方すっごい気になるんですけど。
だから騙されたんだって。
10万もする絵には到底見えないよ〜。
な…何だよ。
(携帯電話)
(携帯電話)杉下です。
うぃっす。
米沢さん!
(米沢守)あどうも。
どうも。
(米沢)被害者はこのアトリエの持ち主である立花隆平のモデルをしていた女子大生でした。
ここに倒れているところを立花が発見して東都大経由で我々に。
え…?大学病院から運ばれたってどういう意味ですか?当初は事故と思われた。
しかし一課の目に留まった。
そのとおりです。
第一発見者の立花はこの上のアトリエで絵を描いている最中に女子大生が誤って階段から転落したと主張しています。
しかし一課の方々は…。
信用しちゃいない?ええ…。
死因は左後頭部挫傷による脳内出血です。
もし仮に殺しだとしても凶器は見つかってません。
何か奥歯に物が挟まった言い方ですね。
事故か殺人か微妙だ…という意味でしょうか?救急車を呼んだ時間も気になるところでして…。
というと?死亡推定時刻は午前0時30分から1時30分の間なんですが立花は午前2時に救急車を…。
すぐに通報せずに被害者が亡くなって30分が過ぎてから…。
なぜでしょうねぇ?この左上腕部の傷というのは?ええその傷は検視の結果転落した時に出来た傷に間違いありませんでした。
しかしこの階段では出来えない傷なんです。
階段では出来えない?ええ…。
これですね?
(米沢)そうです。
どうしたんですか?何かわかった事でも?…ええ。
…出たな?
(伊丹憲一)それはこっちのセリフだよ。
何で特命係がいるんだ!?さあね。
立花隆平さんですね?初めまして。
警視庁特命係の杉下といいます。
あなたの絵は以前からよく拝見させていただいていました。
私の絵を?2年前でしたかニューヨークのMoMA…モマに『碧い女』が収蔵されましたねぇ。
紺碧の海に横たわるように沈んだ裸婦の妖しくも美しい作品でした。
少しはまともな刑事さんのようですね。
ですがもう話す事はありません。
洗いざらい話しました。
僕から1つだけ。
あなたは30分の間何をされていたのでしょう?吉妙子さんの死亡推定時刻は午前0時半から1時半の間です。
記録によればあなたが救急車を呼ばれたのは午前2時。
その間の30分あなたは何をされていたのでしょう?
(芹沢慶二)絵を描いていたそうです。
2時にトイレに行こうとしてで死体を発見して…。
余計な事しゃべってんじゃねえよ。
今から詳しいお話を聞きますんでさあ行きましょう。
今の説明のとおりです。
ではモデルの吉妙子さんが2階のアトリエをお出になったのはいつですか?だからそれも今我々が…!まあいいでしょう。
やましい事は何もないんだ。
お話ししますよ。
恐れ入ります。
吉君には夜の10時にここへ来てもらった。
仕上げに差しかかった絵の中でどうしても確かめたい事があったので呼び出したんだ。
そして1時間ほど彼女にモデルになってもらってそして帰してる。
なるほど。
つまり吉さんは11時には2階のアトリエをお出になった。
しかしなぜ死亡推定時刻の0時半までこの家にとどまっておられたのでしょうか?いつもの事ですよ。
よほど居心地がいいのかだらだらと時間をつぶして帰るのが常でした。
確かに寛いでいたようです。
ソファにはお菓子の食い散らかした痕跡がありました。
(伊丹)余計な事しゃべるなつってんだろがよ!しかし2階から転落するためには再び階段を上がって2階へ行かなければなりません。
どうして吉さんは再び2階へ?そんな事私に訊かれても困りますよ。
ああ…では彼女が階段から落ちた時の音を聞かれていないわけですか?ドアを閉めたまま仕事をしていましたから全く気づかなかった。
玄関の鍵は?…玄関?どうなさるおつもりだったのでしょう?吉さんがお帰りになった後玄関の鍵はどなたがおかけに?いや〜鍵の事は頭には…。
でも夜中に鍵もかけずに2階で仕事するなんて不用心ですよね。
創作に集中していたらそんな事はどうでもいいでしょう。
愚にもつかない質問ばかりでした。
あの…。
吉さんをモデルにした絵はまだ2階のアトリエに?ええ。
失礼ですが拝見させていただくわけには…?我々が拝見させていただきました。
何にも…。
構いませんよ。
どうぞ。
恐れ入ります。
どうぞ。
(立花)どうぞ。
作品には一切手を触れないでほしい。
わかりました。
(大きな物音)お…!?何だ?
(伊丹)おいおいおいこのバーカバカバカバカバカー!!何やってんだよ!?てめえ!現場を荒らしてんじゃねえよ!!僕が頼みました。
は…!?先ほど甲冑に残った指の跡を見つけたので実験を。
指の跡?実験?左腕の傷だよ。
傷…!?死んだ女子大生の左腕の傷。
あの傷はこいつにぶつかって出来たものって事だよ。
詳しく調べてみますがまず間違いないと思われます。
でその倒れた甲冑を誰かが元に戻した。
その時あちこちに指の跡が付いた。
彼女が階段から転落した拍子に甲冑は倒れた。
それにしても大きな音がするものですねぇ。
(大きな物音)お…!?何だ?今の音なら2階で仕事してても…!被害者が階段から落ちた時全く気づかなかったって言いましたよね?どういう事です!?いやそれは…。
音を聞いたとなれば仕事をしていたという嘘が通用しなくなる。
だから元に戻した!違う!!違う。
(芹沢)何が違うんです?彼女は…彼女は自分で滑って階段から落ちたんだ。
ちょっとそれって!
(伊丹)あんたが言ってたのは全部嘘か!?信じてくれ。
これは事故なんだよ!モデル料の事で私は言い争いになった。
あの女は信じられないような法外な金を要求してきた。
私はついカッとなって「帰れ!」と怒鳴ってここで彼女ともみ合いになった。
そうしたら彼女が自分で滑って…本当だ。
嘘じゃない!だったら空白の30分は何なんですか?彼女が動かなくなったから蘇生しようとしたんだよ。
必死になって手を施した。
だが彼女は二度と動かなくなって…。
本当だ…本当だ!信じてくれ!!本当だー!!右京さんあの画家の先生に逮捕状が出ましたよ。
まああの状況じゃ過失致死が妥当ってとこですよね。
ないんですよ。
ない…?ああ殺意ですか?ですから過失致死じゃないのは…。
いえそうではなくて指紋です。
指紋?甲冑を元に戻した時の指の跡はありましたが立花隆平の指紋は検出されません。
しかし吉妙子さんが階段から転落した拍子に甲冑が床に倒れたのは間違いありません。
(甲冑が倒れる音)そして立花隆平が甲冑を元に戻したのも間違いありません。
だとしたらなぜ彼の指紋が…。
手袋をしてたんじゃないんすか?瀕死の状態の吉妙子さんを目の前にしながら手袋をして甲冑を元に…その冷静さ妙ではありませんか?言われてみれば変ですねぇ。
立花隆平について調べてみます!
(ノック)昼飯の間にお願いします。
くれぐれも伊丹先輩には内緒に…。
わかっています。
どうもありがとう。
どうぞ。
1つお伺いしたい事がありまして。
吉さんとモデル料の事で言い争いになったとおっしゃいました。
しかし本当の理由は何だったのですか?本当も何も昨日言った事が真実ですよ。
そうでしょうか?あ…これは吉妙子さんの手帳です。
11月24日つまり彼女が死亡した前の日の欄にはこう書いてあります。
「G100入る」…。
他の日の日記から推測すると「G」というのはギャラの事のようです。
それで調べてみました。
絵のモデル料として100万円は破格です。
ですから実は彼女はモデル料には何の不満も抱いていなかった…。
いかがでしょう?
(ため息)あの子とは1か月前に渋谷のバーで知り合ったんだ。
(立花の声)見た時から彼女の絵を描きたいと思った。
(立花の声)そして彼女にモデルを頼んで説得してるうち酒がすすみ気がつくと共にホテルにいた…。
だが信じてほしい。
私はモデルになってくれる女性に単なるモデルだと思えなくなるんだ。
私は愛さなければ筆を握れない。
だから吉君を純粋に愛してしまったんだ。
だが現実問題私には妻がいる…。
長年連れ添った妻とは別れる事は出来やしない。
だから悩んだ末にあの夜…。
(立花)ちょっと待ってくれよ。
(吉妙子)嫌よ。
(妙子)どうせ私とは遊びだったんでしょう!
(立花)そうじゃないよ!愛してるんだ。
本当だ!だったら何で別れようなんて…!いやそれは…とにかくもう少し話をさせてくれよ!
(妙子)勝手すぎる。
離してよ!ちょっと待ってくれ。
なあ…。
(妙子)やめてよもう離して!痛い…。
(妙子)もう…離して…ああー!!
(甲冑の倒れる音)
(立花の声)これが事の真相だ。
つまらない言い訳をして申し訳ないと思っている。
もうこれ以上隠す事は一切ない。
ただ…妻には…光恵だけにはこの事は知らせてほしくない。
万一知られると…。
わかりました。
感謝するよ。
ところで…倒れた甲冑を元に戻されたのはあなたですね?君たちが話してたとおりだ。
倒れたままだと仕事中に気がつかなかったという言い訳が出来なくなる。
手袋をどうされたんですか?あなたは手袋をして甲冑を元に戻されたようですが絵を描くのに手袋をされるのですか?いやそうじゃない。
手袋は手の脂が絵に付かないためだけのものだ。
なるほど…あではその手袋はまだアトリエに?ああ…あるはずだ。
こんばんは。
(宮部たまき)いらっしゃい。
(亀山美和子)ようお先に。
おっ何かご機嫌じゃん。
肴は君でね。
えっ?いや厳密に言えば君が手に入れたこの絵かな。
買い取ってもらったそうですね。
はい…誰かさんが返してこいってうるさくて。
でそんな話をしてたらね?たまきさん。
(たまき)はい。
絵は嫌いじゃありませんからね。
でもちょっとこの店と雰囲気合わなくないです?そうか〜?結構イケてると思うけどなぁ。
それでどうでしたか?あ…はい。
あの先生カミさんの立花光恵とは今年で結婚20年だそうです。
で近々マロニエ出版から画集が出るんですが画家生活25周年と謳ってるのは表向きで実際は結婚20年を記念した画集だそうですよ。
何だか公私混同した話だなぁ。
かなりの恐妻家なんだよ。
ふ〜ん…。
カミさんの実家が資産家で長年先生のパトロンだったらしいんですよね。
だから余計カミさんには頭が上がんないらしくて。
画集ですか…。
ええ。
1冊何万もするものらしいですよ。
立花隆平さんの話ですか?はい。
あっうまそうですね。
残念だわ私あの方の事気に入ってたのに。
そうすか〜?俺はダメだなあの手の絵は。
ああそうだ。
立花隆平の携帯電話の発信記録調べておきました。
恐妻家らしくあの夜もカミさんに電話してましたよ。
午前1時半というと被害者が階段から落ちた直後とみていいですねぇ。
それも救急車を呼ぶ前…。
そうなんですよ。
立花隆平の奥さんにも話を聞いてみる必要がありそうですねぇ。
はい。
アトリエですがすばらしい邸宅ですねぇ。
(立花光恵)祖父の代からのもので今は使っていないのでアトリエにしています。
うちの主人には本当に失望いたしました。
こんな事になってしまうなんて…世間のいい笑いものです。
心中お察しいたします。
私しばらく日本を離れようと思っています。
え…でもご主人の画集が近々出版されるんじゃ…。
画集だけじゃございません。
記念のパーティーも用意されております。
招待状はもう発送済みで…。
でも私…一体どんな顔をして出席すればいいんです?私まで笑いものにされかねないじゃありませんか。
はぁいやまあ…。
もともと主人の画家としての才能を見出したのは私なんです。
私が父を説得して独り立ちできる資金を出させました。
なのにまた…私の家の名に泥を塗るような真似をして…。
失礼。
「また」とおっしゃいましたが以前にも何かご主人が問題を?泥棒騒ぎですわ。
泥棒…?5年前アトリエに泥棒が入って主人の絵が盗まれた事がありました。
アトリエといいますと今お使いになってるあの…?
(光恵)ええ…。
あの時もパリで個展を開く直前でした。
(光恵)展示用の絵が何点も盗まれて…個展の延期やらパンフレットのやり直しやらでそれはもうえらい迷惑を。
はぁ…思い出しただけでも忌々しい。
鍵のかけ忘れが原因だったんですよ。
鍵のかけ忘れ?絵の事で頭がいっぱいだったって言うんです。
主人はそういう人なんです。
でも奥様の事は愛していらっしゃる。
あの事件の夜も奥様に電話をかけてらっしゃいますね?事件の夜…?ああシステムです。
システム…?電話だけは毎日するようにと言いつけてあるんです。
どんな時間であろうとご主人はそれに応えていらした。
当然ですわ。
なるほど。
では身に付ける物もすべて奥様のご趣味で?どういう事?アトリエに伺った時クローゼットの中のシャツがすべて白でしたしここに写っているご主人もすべて白いシャツを着てらっしゃる。
ひょっとしてそうではないかと。
そうです。
私にとって立花隆平はいつまでもキャンバスと同じ白い存在でいてほしかったんです。
立花隆平は私の作品でしたの。
いやぁ〜着るものまで管理されて何だかもの悲しくなっちゃいますね。
でもいくらシステムったって事件の起こったさなかに電話しますかね?確かに妙ですねぇ。
画集の出版先は立花隆平が長く付き合いのあるところですか?ええ。
確か彼の画集はすべて同じ出版社だったと思います。
5年前の盗難事件についても知っていそうですね。
(小原茂樹)立花先生ともよくここで打ち合わせをするんですよ。
(小原)ここのコーヒー結構うまいんですよ。
面白い雰囲気のお店ですねぇ。
マスターの趣味が骨董集めでしてね僕は鑑定士の役目を負わされています。
ほとんどガラクタなんですけどね。
ハハハ…。
あ…こんな話聞きに来られたんじゃありませんでしたね。
えーっと…これが先生の画集の版下になります。
拝見します。
立花さんの作品はこれですべてですか?ええ。
そういう意味でも画期的な画集になる予定なんです。
ただ何点か不明の絵がありはするんですが。
5年前に盗まれた絵ですね?よくご存じですね。
そのせいですべてを網羅するのは無理でした。
先生も捜索にはあまり積極的ではありませんでしたしいやむしろ盗まれた絵の事は忘れようとなさっていた感じで。
「忘れようとなさっていた」とは?まご謙遜でしょうがどうせ中途半端なものしかなかったんだっておっしゃって。
(ドアの開く音)
(太田)あどうも。
(谷沢)ああどうも。
どうですか?その後何か?いやそれがまだ何も。
(勝枝)まだ〜?怖いわ。
早く捕まってくれないとねぇ。
あの…何かあったんですか?泥棒ですよ。
このお店の骨董品が盗まれて…。
骨董品が?マスターいつよ?泥棒に入られたって。
24日の夜だよ。
店閉めた後に。
ふ〜ん僕が大阪に出張に行ってる間か…。
で何取られたの?置き時計だよほら陶器の。
それからそこの壁に飾ってあった絵とレジの釣り銭用の金2万ばかしさ。
盗まれた絵は1点だけですか?あはい。
不幸中の幸いというかねぇ。
(太田)あの失礼ですがあなた方は?あ…申し遅れました。
(太田)本庁の…!?失礼いたしました!いえいえ。
特命係の杉下といいます。
同じく亀山です。
これだけ絵がある中で1点だけ盗まれた…。
それなりの価値のある絵だったのでしょうか?価値はわかりません。
ノミの市で買ったもので…。
でも久しぶりに身震いするような絵でした。
色使いも筆のタッチもそりゃあ見事なもんで。
私が譲ってくれって頼んでも断られたんですよ。
一生手元に置いとくからって。
あれは売れないよ。
だからショックでねぇ…。
どのような絵だったのですか?
(勝枝)あっこれです。
お気に入りだって言うから記念に撮影してあげたんです。
裸婦…。
この絵転送していただけますか?いいですよ。
何でこんな絵を?亀山君。
はい。
所轄で窃盗事件について詳しく聞いてきてください。
画家の先生の事件と何か関係が?まだわかりません。
裸婦は語る…。
戻りました。
右京さんの分も買ってきました。
結構イケますよ。
あとでいただきます。
それより…。
あっ。
はい…。
喫茶店の裏口の痕跡からドアノブはバールのような物で壊されたみたいですね。
まどう見てもプロの仕事じゃありませんね。
というと?プロだったらドアノブを壊さなくても簡単に鍵を開けられるタイプなんですよ。
店の中も同じ事が言えてレジも笑っちゃうぐらい強引にこじ開けられてました。
しかし指紋は付いてはいなかった。
ええ。
素人でも手袋ぐらいは用意するでしょうからね。
これは?シャツのボタンみたいですよ。
もしかしたら犯人の物かもしれないと。
犯行時間は割り出されていますか?はい。
喫茶店の閉店時間が10時。
マスターが掃除をして店を出たのが1時間後の11時。
それから4時間半後の午前3時半新聞配達の大学生が異変に気づき通報しています。
という事は犯行時間は午後11時から午前3時半の間。
そうです。
(携帯電話)もしもし?突然申し訳ありません。
立花隆平さんと最後にお会いになったのはいつでしょうか?え〜昨日まで出張でしたので出張の前の日です。
ですから5日ほど前だったでしょうか。
5日前…あの喫茶店でお会いになったんですか?いえ…厳密に言うとあの店では会っていません。
どういう事でしょう?私があの店に着くと先生が店から出てこられて…。
(小原)先生どうされました?席空いてませんか?ああいやいや…急に鰻が食べたくなったんでね鰻をつまみながら打ち合わせをしようかと思って。
高円寺に美味しい店があるんですよ。
行きましょう。
ありがとうございました。
盗まれた絵を立花隆平は見ていたんですね。
え…?それが何…。
(電話)はい特命。
あっ米沢さん。
警部のおっしゃったとおり事件当日の夜吉妙子さんは現場から友人に何通かメールを送ってます。
被害者が現場から友人にメールを?あのアトリエで暇を持て余した若い子がやる事といえば携帯でゲームをするかメールをするかしかないと思いましてね。
なるほど。
失礼だとは思いましたが暗証番号を試していたら誕生日の日付でロックが解除されました。
これが被害者が友人に送ったメールです。
「今ヒマしてるんだけど来ない?妙子」え…これが何か?よくあるメールじゃないですか。
送られた時間を見てください。
「午前0時12分」…。
あっ!って事はこれ被害者が…。
そうです。
亡くなる直前に出したメールです。
返信はありましたか?はい。
これが友人から被害者に返信されたメールです。
「今日は無理…でもどうしたの?」「彼氏と会うんじゃなかったの?佳世」…。
彼氏って…?立花の事でしょう。
友達への返事は?はい。
(米沢)「私今一人なの…妙子」ん…!?どうもありがとう。
え…1人って…?どういう事ですか?あの夜吉妙子は1人でアトリエにいたって。
意味はないと思いますよ。
彼女のメールのとおりです。
だってアトリエの2階じゃ立花隆平が仕事してたんですよね?彼はあの夜アトリエにはいなかった。
ですから午前1時半に奥さんに電話をかけても不思議でも何でもなかったんです。
え…でも吉妙子が帰ろうとするのを立花が引きとめたんですよね。
それで誤って階段から転落して。
(甲冑が倒れる音)それは立花隆平がそう言っているだけで何も立証されていません。
ですから吉さんが階段から落ちた理由を猫の目のように変えられるんです。
何でそんな嘘をつく必要が?彼は嘘をついてはいません。
本当の事を言っていたんです。
彼は甲冑が床に倒れる音など聞いてはいなかった。
いや聞く事は出来なかったんです。
なぜならば吉さんが死亡した時彼はあのアトリエにはいなかったからです。
えぇ…?
(星野佳世)私が妙子に送ったメールに間違いありません。
彼というのは立花隆平さんの事ですね?奥さんのいる人だからやめたほうがいいって何回も言ったんです。
けど妙子すごい入れ込んじゃってて…。
好きになるととことんってタイプだったからあの子。
そうですか…。
どうもありがとうございました。
この絵のモデルさんに会ってみたいですねぇ。
(小原)いやぁサインこそないですけどこの絵は立花先生の絵である可能性が高いですよ。
(伊丹)立花が無実!?ああ。
現場のアトリエにあの夜立花はいなかったんだ。
これが被害者のメール。
読めばバカでもわかる。
(伊丹)何だと!?コラ。
下から。
(伊丹)「彼氏と会うんじゃなかったの?佳世0時13分」「私今一人なの…0時13分」しかし立花を立件する事案はまだ残されています。
お2人にぜひご協力をお願いしたいのですが。
…えっ?
(中園照生)実況見分とは今さらどういう事だ?そ…それは…犯人の立花の供述があやふやなところもあるものですから…。
(内村完爾)におうな。
…はい?
(内村)まさか特命係が絡んでるんじゃないだろうな?いえ…私たちの判断です。
(ため息)いいんすか?特命係に協力して。
協力?フン…奴らを利用して手柄をいただくだけだ。
何…文句あるのかよ?いえ。
(立花)どこへ行く気です?実況見分です。
だったらなぜ私のアトリエに向かわないんだ?どういうつもりなんです?君!夜は長いんです。
付き合ってくださいよ。
鍵は借りておきました。
(鍵を開ける音)あなたはマロニエ出版の小原さんとよくここで打ち合わせをされているそうですねぇ。
何のために私をここに?あそこに1枚の絵が飾られていました。
裸婦の絵でした。
胸にアザのある…。
恐らく5年前にあなたのアトリエから盗まれた絵の中の1点だと思います。
その絵はブラックマーケットを流れ様々な人間の手を経てようやくここにたどり着いた。
しかしその絵は再び姿を消してしまいました。
なぜならばあなたが盗んだからです。
何を一体…!?あなたはマロニエ出版の小原さんとここで待ち合わせをしていたにもかかわらず急に鰻が食べたいと言い出した事がありましたねぇ。
その時…。
(勝枝)ねえマスターどうしてもダメ〜?
(谷沢)売れないねぇ。
いくら積まれたって売る気なんかないよ。
(勝枝)もういいなぁ…。
あの絵と遭遇したんです。
しかしあなたは裸婦の絵を小原さんには見られたくなかった。
なぜなら彼が見れば裸婦の絵があなたの絵だとすぐに気がついてしまうからです。
だからあなたはここを出て打ち合わせの場所を変更された。
急に鰻が食べたくなったんでね鰻をつまみながら打ち合わせをしようかと思って。
高円寺に美味しい店があるんですよ。
行きましょう。
そしてあなたは小原さんが大阪へ出張している間に絵を盗む決心をしそれを実行した。
それが吉妙子さんが階段から転落死したあの夜の事でした。
(レジをこじ開ける音)
(立花の声)よくもまあそんなデタラメを。
それはあなたのほうでしょう。
あなたはアトリエの階段から被害者が転落するとこなんか見ちゃいなかったし甲冑が床に倒れる音も聞いちゃいなかったんですからね。
証拠はあるんですか?亡くなった吉妙子さんの携帯です。
友達とのメールのやりとりの中で彼女はあの時アトリエに誰もいなかった事を書いてます。
もちろん友達もそれを認めています。
(立花)今度はどこへ連れていくつもりですか?絵を盗んだあなたに思わぬ事が待ち構えていたアトリエです。
あの日の夜吉妙子さんはアトリエであなたを待っていた。
(車の止まる音)あっ…!?
(甲冑の倒れる音)
(立花)何するんだ!?あなたがいつものように奥様に電話を入れこのアトリエに戻ったのは彼女がここで息を引き取った直後でした。
ああ僕だ。
まだ起きてたのか?ああわかってる。
明日は家に帰るよ。
ああおやすみ。
玄関の鍵が開いていたのは単純にあなたがかけ忘れたからでしょう。
しかし彼女はあなたにとって招かれざる客には違いありませんでした。
(立花)吉君!
(立花)妙子!!どうしようか迷ったあげくあなたはこの事故死を利用しようとひらめいた。
喫茶店から絵を盗んだ時間のアリバイとして…。
甲冑にあなたの指紋が付いていなかったのは喫茶店に押し入った時のまま手袋をしていたからです。
(笑い)それを証明できますか?あの喫茶店に押し入った窃盗犯の遺留品です。
それがなぜ私のものだと言えるんだ?これはランドリーボックスにあったあなたのシャツ。
左袖のボタンが取れてるんですよねぇ…。
ここ…。
一致しますよね?ボタンが取れた事に気がついたのはここに戻ってからだ。
それでアリバイが必要だと焦った…。
君たちの言うとおりだ。
喫茶店の絵は私の絵だ。
盗んだ事には違いないが私としては取り戻したという意識のほうが強い。
あんな不完全な絵を人目に晒しておきたくはなかったんだ。
やはり5年前に盗まれた絵だったのですね?そうだ。
ま一度は買い戻そうとは思ったがあそこの店のマスターがいくら金を積まれても手放したくはないと言っている。
だから仕方がなかったんだよ。
もうこれ以上話す事はありません。
何もかも君たちの言うとおりです。
私がここに戻ってきた時にはもう彼女は死んでいた。
私はそれをアリバイとして利用した。
心に重くのしかかっていたがこれで少しは気持ちが楽になれました。
それだけではないでしょう?窃盗のアリバイ工作のためにさらに重い過失致死の罪を自ら被ろうとしたその本当の理由…。
梅野正美…!5年間行方不明でしたが半年前筑波の山の中で白骨死体で見つかった女性です。
知ってますよね!?そんな女は知らん!!彼女が消息を絶ったのは5年前このアトリエに泥棒が入り裸婦の絵を含む数点の絵が盗まれた日でした。
裸婦の絵…その絵のモデルになったのは白骨死体として発見された梅野正美さんではありませんか?
(立花)私は関係ない!関係ないとは言わせませんよ!!サインこそないものの小原さんはこの絵をひと目見てあなたの絵である可能性が極めて高いとおっしゃいました。
これらの絵は如実に真実を物語ってくれています。
色合いこそ違え彼女たちは全く同じ形のソファに横たわっている。
これらが…2階のアトリエで描かれたものだという事は誰の目にも明白です。
5年前あなたと梅野正美さんの接点が見つからず捜査は難航しました。
冷たい土の中に埋められた正美さんの無念さは計り知れないものがあったでしょう。
しかしあなたは自首する事なく彼女を放置し続けた。
何の罪もない彼女の肉体が朽ち果て白骨化するまで…。
さあ彼女を描いた絵はどこにあるのでしょう?いい加減に本当の事を言ったらどうですか!!あなたはまだ彼女を暗闇の中に閉じ込めておくつもりですか!?あぁ…。
クーッ…!ありました。
(携帯電話)
(芹沢)亀山先輩からです。
チッ…待たせやがって。
行くぞ。
はい。
(電話を切る音)この絵はもう二度と描けない。
私が愛していた絵だ。
彼女は胸にあるアザの事を描かれるのを嫌がった。
だが私はすべてを描きたいと思ったんだよ。
この絵が完成した時に…彼女と口論になった。
(梅野正美)嘘つき…。
アザだけは描かないでって言ったのに!違う。
君は勘違いをしている。
本当の美しさはここにあるんだ。
本当の美しさ…?こんなもののどこがきれいだって言うの!?バカにしてるの?そうじゃない!君のすべてを愛してるんだ。
このアザさえも。
僕は君の事を愛してる。
嘘よ!あなたは私を愛してなんかいない。
愛してるんならこんなもの描くわけない!これがこれこそが君の美しさなんだよ。
あなたはこのアザのおかげで私がどれだけ傷ついてきたか知らないのよ。
何よ…。
ふざけないで!
(立花)やめろ!やめろよせ!
(正美)離して…離して!離して…!
(刺さる音)
(立花の声)その後私はどうしていいかわからなかった。
愛していた彼女を失い…その後結局この大切な絵まで盗難で失ってしまった。
皮肉なもんじゃないか。
こんなに捜していた絵がやっと手元に戻ったと思ったら今度は私の人生さえ失う事になってしまった…。
(笑い)
(ドアの開く音)約束どおり手柄はいただきますよ。
ご協力感謝します。
ああ1つ訊きたい事があるんだ。
私が絵を盗んだ犯人だとわかった決め手は?奥様のご趣味でしょうか。
…女房?あなたは白いシャツしかお持ちではありません。
それもかなり高級なシャツばかりです。
しかしランドリーボックスの中にあった黒いシャツは大量生産されている2000円にも満たないシャツでした。
盗みに入るのに白いシャツじゃ目立つからねぇ…。
奥様のご趣味とはあまりにかけ離れすぎていましたねぇ。
君は…褒めるわけじゃないが大した刑事さんだ。
行きましょうか。
(笑い)
(ため息)2014/04/04(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season6[再][字]
「裸婦は語る」
詳細情報
◇番組内容
相棒 シーズン6!杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑みます!豪華ゲストもお見逃しなく!
◇出演者
水谷豊・寺脇康文 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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