総合診療医 ドクターG「意識を失った…」 2014.04.04

(サイレンの音)救急車来ましたよ!はい救急隊到着です。
夫が中にいるんです!お願いです。
助けて下さい。
分かりますか?隊員後部から頭部保持。
分かりますか?分かりますか?救急隊です。
仕出し弁当を一人で配達している時に事故は起きた。
分かりますか?発語なし。
痛み刺激。
痛み刺激に反応なし。
はい呼吸みます。
呼吸浅くてはやいです。
隊員酸素投与。
脈みます。
弱くて早いです。
冷汗湿潤があります。
患者ショック状態。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちは彼を「ドクターG」と呼ぶ。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)先生救命救急医で「今」って「今」っていう名前なんですね。
まさに「ナウ」っていう事ですね。
ぴったりですね名前は。
やりますよ。
先生の背中が注目なんですよね。
先生背中を見せて下さい。
背中にしょっちゃってるんですよ。
なんとしても患者の命を救う!それが今先生が率いる八戸市立市民病院救命救急センターのスピリッツだ。
胸痛い?胸OKですね。
次ろっ骨押しますよ。
実は今先生…交通事故などで瀕死の重傷を負った患者を数多く救ってきたすご腕の外科医なのだ。
限られた時間に情報を集め総合的に診断。
そして自らメスを持つ。
初めての外科の先生という事で…。
内科とか外科とか整形に限らず総合診療的な考えで患者さんを治す。
必要なら手術する。
入り口から出口まで全部やります。
頼もしいですね。
さあ病気の正体を探り当てるために今回全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(玉ちゃん)はいご紹介しましょう。
(拍手)お願いします。
よろしくお願いします。
松尾先生は聞くところによると遠回りした先生らしいんですよ。
薬学部出身で研究してたんですが臨床を勉強したくなって…。
命を救いたい。
そうです。
奈々瀬先生いかがですか?今の見て。
ちょっと気になったのが見た目だと出血あんまりしてないというのが気になりました。
(玉ちゃん)見た目で出血はないと。
足立先生いかがでしょうか?ちょっと緊急を要する状況だったのでしっかりヒントを見て判断していきたいと思います。
3人の中で救急の経験ある方いらっしゃいます?
(玉ちゃん)こういった現場…。
やはり皆さんやるんですか。
事故とかもたくさんあります。
でもパニクりません?最初は。
パニックになりますね。
僕も前一回道を歩いていたら自転車に乗ってるおじさんがパタンと倒れて…。
「救急車呼ばなきゃ」と思っても何番だか思い出せないんですよ。
自分の暗証番号とか分かんなくなっちゃって…。
皆さんは救急を研修医の時3か月は勉強しますんでね。
それで多分みっちり勉強したはずなので…。
でもこういう外傷の患者さんは一筋縄ではいきませんからね。
さあそれでは病名を探るため再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えてみて下さい。
ドクタージェネラル!123!あんた病院行くんだよ。
患者49歳の男性。
軽乗用車の単独事故。
現在昏睡状態です。
初期評価ショック状態です。
頭部打撲疑いがあります。
現在O投与全脊柱固定。
病院収容まで約10分。
収容よろしいか?はいどうぞ。
了解しました。
機関員救命センターまで直行。
今病院向かいますからね頑張って下さい。
しっかり!頑張ってね。
藤重さん分かりますか?分かりますか?救急隊何か変化はありますか?ショック状態です。
意識回復しません。
(一同)123!頭部保持します。
藤重さん。
分かりますか?
(藤重勝行)あ〜っ…。
う〜っ…。
血圧計つけますよ。
締まりますよ。
心電図そして胸の聴診と打診を行って下さい。
右の脇腹に打撲痕。
そして腹部にシートベルトの跡がありますね。
生理食塩水の点滴とレントゲン超音波を準備して下さい。
足の傷を見せて下さい。
ズボン切りますよ〜。
ダッシュボードにぶつかったんでしょうね。
他に大きな出血がないか超音波でみましょう。
心臓はしっかり動いています。
出血はなさそうですね。
次肝臓の周辺。
大きな出血はなし。
次膀胱の周辺。
ここにも目立ったものはありませんね。
聞こえますか?あ〜っ…。
ここがどこだか分かりますか?あ〜っ…。
今日は何月何日か分かりますか?う〜っ…。
この人何の仕事をしている人か分かります?あ〜っ…ううっ…。
手を握り返して下さい。
動かせますね。
足は?大丈夫ですね。
では瞳孔をみさせて下さい。
ちょっとまぶしいですよ。
う〜っ…。
救急隊現場での患者の様子を教えて下さい。
到着時意識はありません。
目があいたのは病院へ来てからです。
乗っていた車種は分かりますか?軽のミニバンです。
(救急隊員)右前方が破損していました。
していました。
エアバッグは作動していませんでした。
特にありません。
クモの巣状に破損。
内側から衝撃があったと思われます。
車内を捜索しましたが薬物はありませんでしたしアルコールのにおいも感じませんでした。
不明です。
ブレーキ痕はありませんでした。
藤重さん頭痛くないですか?う〜っ…痛い…。
頭部に出血と打撲痕がありますね。
ご主人はけいれんの持病や過去に頭のけがや脳の病気をした事はありませんか?えっと…。
いいえありません。
そうですか。
今の血圧と脈拍はどう?少し戻ってきました。
(藤重葉子)だから「一人で大丈夫?」って今日は聞いたのよ。
今日はちょっと様子がおかしなところがありました。
(葉子)
本人にとってはあの事がショックでそのあとも引きずったと思うんです
だから何なんだよその態度は!どうかしました?冗談じゃないよお宅の亭主っていうのは…。
よくお店に来てくれる近所のおじさんにお弁当の苦情を言われてそのうえ随分と失礼な態度をとってしまったみたいで…
(葉子)申し訳ありません。
(客)分かったかよ。
何だその態度は!態度が良くないんだよ!お弁当すぐに作り直させますんで。
ほら。
そのあとはもう全然仕事になりませんでした
弁当50個って本当?
仕出し弁当の注文をとり間違えてしまったみたいで…
あと15分で配達行かないと…。
私も焦っていたんでついイライラしてあたってしまったんです
もうあんた!いってらっしゃい!
あの時にもう少し主人を気遣っていればこんな事にはならなかったと思うと…
さあ見て頂きましたけれども。
こちらがバイタルでございます。
先生今回初めて15分後というバイタルが出たんですけどこの意味は何なんでしょう?救急室で観察して治療してるんですよね。
その結果血圧が120まで安定してますね。
脈拍も90まで安定してますね。
呼吸数は40でまだ危険域ですね。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
病名の推理とかありました?私は汗…。
あっ!汗!運転し始めた時からものすごく汗をかいてて…。
着眼点がいいですね!あと体重が多すぎて…。
体重が多すぎるのに小さい車乗っている?そんな細かい所も。
で糖質オフという本があったので糖質制限中だったのかなと…。
すごいですね!推理小説が専門ですか?違うんですけど。
恋愛小説なんですが。
けがの方どうですか?外傷というか血は出てなかったですもんね。
フロントガラスいっちゃってるから脳の中とか…。
フロントガラスね。
クモの巣状ですね。
いいポイントですね。
さあそろそろ研修医の皆さんは病名を書き終えたようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!さあ松尾先生から発表をお願いします。
(玉ちゃん)本田先生。
(玉ちゃん)足立先生。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!松尾先生本田先生が「大動脈解離」という内科の病気ですね。
足立先生が「骨盤骨折」ですね。
これだけの外傷で血圧が低くて昏睡状態ですよね。
医師として一番最初に考えなきゃいけないのはやはり外傷じゃないでしょうかね。
という事で骨盤骨折を指名してくれた足立先生…。
ありがとうございます。
ではビデオのシーンのどこで骨盤骨折を考えたんでしょうか?シートベルトの跡が下腹部に残っていたという事で下腹部の方に強い衝撃が走ったんではないかと…。
骨盤骨折は外からの大きな力によって起きる骨折です。
それでは骨盤骨折に合わないなと思う所はどういう所ですか?ここまでショックが起きてる状況でおなかのエコーで出血が確認されていなかった事はその点が一つ合いにくいかなというところですね。
それでは松尾先生大動脈解離に…。
どこかに出血があるんだろうとまず考えた。
意識障害とショックを来すという意味では大動脈をさけていればそのような症状が出るだろうと。
大動脈解離は大動脈の内側の膜が裂け血液が入り込んでしまう病気。
強い胸の痛みが起きる事が多く全身への血流が悪くなる事で意識障害などを起こし死に至る事もあります。
前から意識がぼうっとしたりとかあと冷や汗をかいてましたよね。
あの時点でやはり何か起こってたんだろうと考えます。
仕出しの数間違えちゃうとかあれはやっぱり精神の症状が出てるので頭の方に血管が閉塞をしてしまってそれによる症状が出たんじゃないかと考えました。
それでは本田先生。
ショックの中の鑑別としていろいろ考えて今のところ見つかりにくいのは大動脈解離か今先生がおっしゃってたみたいな骨盤骨折かなと考えて私はもともと調子が悪かったという病歴が気になったので大動脈解離を疑いました。
それで運転ミスをしたという事ですか?それで脳に血流がいかなくなった時に私は事故を起したんじゃないかなとちょっと思いましたけど。
どっちが先なんだろうね?交通事故が先なのか…。
一次的なあれと二次的なあれがありますよね。
どっちが先かですよね。
ブレーキ痕がなかったからあっちじゃないですか?ブレーキ痕がないって…。
さすが!またいい着眼点ですね。
ブレーキ痕がなかった。
本田先生そうですか?そうですね…。
今気付きました。
患者さんの状態だけじゃなく事故の現場の状況までも今回は調べているというところがみそかなという感じがするんですけど。
救急隊が我々病院にいる医師の目となり耳となり手となって現場でしっかり観察してきます。
僅かな時間でものすごい多くの情報をあれで引き出しているんですね。
事故はなぜ起きたのか?事故現場にブレーキ痕がなかったという救急隊の情報から藤重さんは…しかし本人に詳しい話を聞ける状況ではない。
こうした時救急の現場では患者の「目の開き方」「言葉の発し方」「体の動かし方」で意識レベルを測っている。
それでは意識障害の事を考えてみましょうか。
患者さん現場でどういう状況でした?この患者さんの場合は最初の場合刺激を与えても目をあけなかったのでEという目に関する値に関しては一番下のランク。
しゃべる言葉に関しても一番最初のVTRでは「う〜っ」もしゃべっていなかったのでそれも一番下のランク。
運動に関しても痛み刺激に対して何も反応がなかったので運動も一番下のランクという事で…。
松尾先生の評価は「GCS」という国際的な意識の判定方法にのっとったものだ。
意識障害のレベルを判定する方法です。
「開眼」「言葉」「運動」の3項目で患者がそれぞれどのレベルにあるかチェックしその合計点数で評価。
満点は15点で点数が小さいほど意識障害は重症です。
現場では111と3点だったんですね。
それでは思い出してみましょうか。
本田先生この患者さんが救急室に運ばれてきた時はどういう状況でしたか?開眼はなかったと思います声をかけても。
言葉に関しては不明瞭な「う〜っ」という言葉は言っていました。
言葉は「う〜っ」は何点ですか?「う〜っ」は2点です。
救急室に運ばれてきた時確かに藤重さんの目はあいておらずドクターの呼びかけには不明瞭な言葉で反応しただけだ。
藤重さん分かりますか?あ〜っ…。
う〜っ…。
(看護師)血圧計つけますよ。
その後看護師が血圧計を巻こうとしても自発的に腕を動かす事はなかった。
この時点でのGCSは合計4点。
救急室に運ばれて15分後。
(看護師)藤重さん。
あ〜っ…。
藤重さんは呼びかけに対し目を開いた。
頭の診察をしている際には…。
痛い…。
単語を発している。
運動に関しては手足を動かす事もでき診察の際にドクターの手を払いのけている。
藤重さんの15分後のGCSは合計12点に変化した。
救急隊の現場では3点。
救急室に来た時は4点。
15分後の点滴とか入ったあとでは12点に改善してるという事ですね。
15分かけてゆっくり意識が改善しているわけですね。
ではこの意識レベルを把握する事でどんな手がかりがつかめるのか?ノーブレーキ事故意識がなくなってぶつかったんだろうという事が予想つくんですが…。
どういう病態を考えるんですか?はい本田先生。
私たちノーブレーキ事故をみた時に「6S」というのを考えます。
まず一つは「けいれん」。
それから「失神」。
他にどういう事がありますか?OKです。
他には?アメ?低血糖…。
他にはあとどういうのがありますか?あとは…あともう一つは…今先生があげたノーブレーキ事故の原因を探る「6つのS」。
藤重さんが起こしたノーブレーキ事故の原因はこのいずれかに当てはまるのだろうか?自殺したにしてはおかしな所見ありましたよね?着眼点がいいですね!
(玉ちゃん)さえてますね今日!シートベルトしませんよね。
「酒」どうでした?この患者さんは。
車の中にアルコール臭そういう指摘がないので可能性は低いかな…。
じゃあ消えますね。
(救急隊員)車内を捜索しましたが薬物はありませんでしたし…「スリープ」はどうでした?肥満があるので「睡眠時無呼吸症候群」があって発作的に寝てしまったという可能性はあるかなと思います。
日中突然の眠気に襲われ無呼吸状態が続くと酸素不足に陥り睡眠中に冷や汗をかく事があります。
日中から眠気ありましたか?眠気は訴えていません。
しかも睡眠時無呼吸症候群であれば…となると「6つのS」のうち「スリープ」の可能性は低い。
残るは「失神」か「けいれん」か「低血糖」だ。
「失神」って何でしょうか?「失神」というのは意識障害とは区別していて一過性に意識を失うんですけど大体数分で完全に戻るのでそのあとの応答もいつもどおりになるんですけどけいれんは時間かかるんです反応が戻るまでに。
で動きも鈍かったりとか。
徐々に時間かけて戻ります。
そうすると今の患者さんはERに来た時4点です。
これどう思いますか?あまり失神は考えにくいです。
失神にしてはのろいよね。
病院収容まで約10分。
収容よろしいか?救急車で病院へ搬送された10分後も意識が完全には戻ってない経過を考えると数分で意識が回復する…先生頭打っているからその外傷によってまた気を失う戻ってこない可能性も…。
失神プラス頭部外傷ですね。
それは確かに言えますね。
じゃあ点々にしておきますか。
ではこの中で冷や汗かくのはどれでしょうか?けいれんはどうですか?けいれんは冷や汗はかかないと思います。
そうするとここではけいれんが消えますか。
冷や汗かかないから。
ノーブレーキ事故の原因を探る「6つのS」では「低血糖」と「失神プラス頭部外傷」が残った。
大動脈解離は?大動脈解離であれば血管が閉塞しているはずなので意識は戻らないのかなと思います。
大動脈解離でけい動脈に詰まったようなものであれば意識は戻らないという事ですよね。
ただ大動脈解離で失神する事あります。
「うっ!」と痛くて数分後に戻る人もいます。
そういう人はものすごい胸痛です。
とすると松尾先生今回は大動脈解離は外していいですか?はい。
本田先生どうですか?はい。
カンファレンスによって病名が絞られる。
「骨盤骨折」か?「失神プラス頭部外傷」か?それとも「低血糖」なのか?それでは診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!はい。
先生レントゲンの結果です。
レントゲンの評価をお願いします。
では意識障害と頭部外傷などがあるのでCTを撮って下さい。
CT撮りますよ。
移動しますよ。
もう少しお話を聞きたいのですがご主人はアレルギーはありますか?ありません。
何か持病はありますか?糖尿病はあります。
実は5年前に糖尿病と言われて…。
それ以来健康にいいお弁当を作るようになりました。
お客さんの評判もよかったもんですから主人も病気とつきあっていこうって前向きになっていたんです
おいしい!だろう?これいけるね。
ねっ。
糖尿病の治療はされているんですか?はい。
薬をもらって食事の前にきちんとのんでいます。
今朝ご主人は食事をとっていましたか?
今朝は忙しくて一緒に食事をする時間がなかったんで…
御飯残り物だけどパパッと食べちゃって。
今考えると今日は朝から調子が悪かったのかもしれません
CTの結果が出ました。
藤重さん分かりますか?はい。
ここどこだか分かりますか?病院…。
今日は何月何日か分かりますか?4月の26日…。
この人何の仕事をしているか分かりますか?看護師さん…。
どこか痛いところないですか?頭が痛いです。
頭ぶつけたかどうか覚えてますか?覚えてません。
事故を起こした事を覚えていますか?分かりません。
今朝は調子が悪かったんですね?ええ。
(藤重)
実はここ2〜3日風邪気味で…
いいえのんでいません
(葉子)おはよう。
2〜3日前と比べて…
起きた時から体が重く感じて…。
食欲もなかったんです
御飯残り物だけどパパッと食べちゃって。
頭も痛かったし熱もありました
37度8分でした
食事はとったんですか?
はい少しだけ。
頭も痛いし食欲もなかったので…それで調子が出なかったんです
だから何なんだその態度は!もう〜!どうかしました?見てくれよ!3つしか入ってないじゃないか。
こんな汚い弁当見た事ないよ。
えっ?申し訳ございませんでした。
すみませんでした。
何だその態度は!態度が良くないんだよ!お弁当すぐに作り直させますんで。
ほら。
20年も店やっててこんなにお客さんに怒られたのは初めてでした。
動揺してしまって手の震えが止まらなかったしきちんと謝る事もできませんでした
もういいわよほら!
あの時はもう頭痛もひどいし吐き気もありました
またよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
それからは全く仕事が手につかなくなってしまったんです
(葉子)ちょっとあんた大変だよ!3丁目ホールから電話があって弁当50個って本当?伝票には15個って…。
何で弁当50個の注文を伝票に15個なんて簡単なミスするのよ!あと15分で配達行かないと。
3丁目ホール近いから不幸中の幸いだけど。
もうあんた!もう!はい。
それはちゃんと覚えています…。
よいしょ。
あんた早く!
追加の弁当を持って一人で配達に行きました
大丈夫?一緒に行こうか?大丈夫…。
気をつけて。
いってらっしゃい!配達先までどんな道を通ったか覚えていますか?踏切を越えて…。
最初の角を左に…。
そのあと地下の駐車場に入ったところまでは覚えています
頭はまだ痛いですか?頭痛いです。
痛いのは頭の上の傷の所ですか?いいえ頭の後ろの部分が痛いです。
さあ新たなヒントが出そろいました。
それでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
さあさあさあ…。
風邪をひいて熱が出てる時ってああいう感じですよね。
もうろうとして…。
ああいう時がないわけでもない。
もうろうとしてるっていう…。
糖尿病というのは必ず引っ掛かりますよね。
糖尿病だと意識もうろうとする時って聞きます。
(玉ちゃん)でもあんな状態で運転するってかなり危険ですよね。
おぼろげですもんね。
頭の外傷はなさそうでしたね。
脳的なもんじゃないのかなみたいに思ったんですがさあ研修医の皆さん書き終わったようです。
それでは最終鑑別です。
フリップオープン。
(玉ちゃん)松尾先生からいきましょう。
再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
それでは最終カンファレンススタート!先ほどまでのとガラリと変わりました。
3人とも「低血糖発作」という言葉が入ってますね。
まず松尾先生からお話を伺いましょうか。
この患者さんは数日前から風邪のような症状があって今朝はほとんど食事をとらずに薬をのんでしまったと。
糖尿病のお薬はお薬をのむ事によって血糖を下げるようにインスリンを分泌するお薬を使うんですけども本来なら食事後は血糖が上がるのに上がらないでのんで下がってしまった事によって起きた。
低血糖発作は血液中の糖分が下がる事で脳の機能が低下し震えや冷や汗意識障害などを起こしてしまう事。
糖尿病を治療中の患者の場合薬や食事の管理がうまくできず血糖値が下がり低血糖発作を起こす事があります。
低血糖発作としては冷や汗をかいたりとか配膳する前に汗をかいていたのとあともう一つは配膳するのに手が震えていた点からおかずをうまくよそえなかった。
(玉ちゃん)御飯もこぼしてたもんね。
あれが低血糖発作の震えではないかという事ですね。
低血糖発作だけでは説明がつかないんじゃないかなと思うところありますか?だから「外傷性頚椎損傷」を書いてるんでしょうか。
前にフロントガラスが割れたあとがあったのでもちろん当たって…。
でも当たった所にはCTの検査で異常はなかったという話なのでそれによって後ろの軟部組織の損傷を受けた事によっていわゆるむち打ちのような痛みがあったんじゃないかと考えました。
本田先生。
典型的な症状が今言って頂いたものがそろっていたのとあと救急外来でブドウ糖を入れてすぐに意識症状が改善したという事が低血糖を疑わせる…。
看護師さんブドウ糖を注射しましたね?はい。
本田先生は藤重さんがブドウ糖の注射を打ったあと意識が回復した事から低血糖だと考えた。
ここどこだか分かりますか?病院…。
どれくらいに意識戻ったんですか?GCSで言うと目についても4に戻っていて言葉もしっかり受け答えできていたので5点あります。
運動についても6点あるのでフルの15点まで戻ってきました。
満点になったんですね。
すっかり戻ったわけね。
それじゃあ合わない所は?低血糖だけだとしたら頭の痛みだとかそういう症状も戻るはずなんですけどこの方頭の痛みが残っていた事を考えると風邪という話だったんですが熱もあって頭も痛い症状が実はあるというのが分かるので髄膜炎を考えました。
早い処置が必要です。
足立先生髄膜炎低血糖と書いておりますが…。
(足立)手の震えも低血糖によるものかもしれないですがもしかしたら熱によって少し震えていたのかもしれないですね。
あとは来院して意識が戻ってきてから後頭部が痛いという事で髄膜炎だと首の後ろの痛みを訴えられる方がおられます。
僕2年前髄膜炎で入院して運ばれてるんですけど「あ〜分かる」という感じです。
ずっと風邪だと思ってました。
風邪と髄膜炎非常に似てるんですよ。
髄膜炎という病気は細菌性髄膜炎という病気とウイルス性とありますよね。
症状の違いあるんでしょうか?症状が軽いのがウイルス性という印象があります。
博士そうですよね。
僕ウイルス性髄膜炎。
ですからこのように元気になっているんですよね。
1週間入院しました。
そうですね。
足立先生髄膜炎はどっちの髄膜炎で書いたんですか?これは細菌性…。
さっき患者さんは「頭の後ろが痛い」。
後ろが痛くなるものなんですか?後ろって言ったましたもんね。
髄膜が炎症などで刺激されるとそういった症状が起こります。
この事を本田先生何て言いますかね?「項部硬直」というのは頭をこうやった時に顎がつかないんですよね。
ピーンと首筋が張っちゃってこう…。
これが項部硬直ですよね。
その症状はビデオのどのシーンにありました?ビデオの最後の…呼びかけた時に「頭痛い。
首の後ろ痛い」と言っていました。
松尾先生思い浮かぶ事あります?気付きませんでしたね。
分かんないです。
この患者さんすごくおじさんに怒られてましたよね弁当の事で。
怒られたシーンちょっと思い出しましょうか。
(谷村)ああ〜っ分かった!ああ!ねっ?だから何なんだその態度は!こんな汚い弁当見た事ないよ。
えっ?申し訳ございませんでした。
すみませんでした。
(客)何だその態度は!
(玉ちゃん)ああっ!どうでした?首が曲がらない。
このような項部硬直を示す病気他にあります?ただCTで見つかっていないのでちょっと考えにくいかな。
ほとんどはCTで見つかりますよね。
まあ見つからないのもありますけどね。
CTに問題がないという結果からこれまでにあがった病名で否定できるものは何か?失神プラス頭部外傷はCTで脳のけがはないと言っていましたよね。
これバツにしてよろしいですね。
平さんよろしいですね?骨盤骨折というのは?足立先生。
一応レントゲンでは異常なくてCTでも異常なしという事なのでないと判断しました。
骨盤骨折の出血性ショックはもうないだろう。
残った病名はノーブレーキ事故の「6S」から探り出した低血糖。
そして第二鑑別であがった髄膜炎。
髄膜炎の意識障害出ますよね。
この「グラスゴー・コーマ・スケール」経過をみて髄膜炎の意識障害ですか?完全にブドウ糖を入れて改善しているので…。
髄膜炎の意識障害であればブドウ糖で意識が回復する事はない。
しかも僅か十数分で意識が回復する事も考えにくい。
最初に本田先生があげたように低血糖の意識障害の方が強いという…。
はい。
それは血糖値を下げる薬をのんでいた藤重さんが食事をあまりとらなかった事によると研修医たちは推論している。
この患者さんなぜ御飯食べられなかったんでしょうか?そうですね…髄膜炎で吐き気とかそういった事も起こるのでそういうのも影響していたと思います。
髄膜炎で御飯食べられなくてそのあとどうなったんですか?それでも血糖下げてしまった事で低血糖症状になったと思います。
つまり今朝あまり食事ができなかったのは頭痛や発熱吐き気など既に髄膜炎の症状があったのだと考えられる。
髄膜炎があってすきっ腹になって血糖を下げる薬が入っちゃってここで低血糖になった。
そういう事ですね。
つながっちゃったわけですね。
そうだと思います。
…からのノーブレーキという事でしょう。
髄膜炎を診断するために次何をやりたいですか?首を振ってあげて頭痛が強くなるか。
そういった事を確認してから髄液検査になると思います。
松尾先生ジョルトアクセンチュエーションの振るスピードとか…?これぐらいだと思います。
(玉ちゃん)あっそれぐらい。
結構早いですよねそれ。
どうなると異常なんですか?止めて「イタッ」と振れなくなる。
痛くて振れない。
もしくはうんと痛い。
そういう時に異常なんですね。
ビデオ見てみましょうか。
藤重さん首を1秒に2回振るつもりで横に振ってみて下さい。
ううっ…。
頭をもう少し早く振れますか?痛くて無理です…。
今のジョルトアクセンチュエーションは異常ですか?正常ですか?異常と判断します。
異常ですか。
本田先生は?異常…。
松尾先生も異常でいいですか?異常です。
そうするとジョルトアクセンチュエーションが異常である事が分かりました。
それでは皆さん一斉に最終診断をお願いします。
せ〜の…!
(拍手)髄膜炎ですか。
藤重さんは事故当日の朝既に髄膜炎の症状が現れていた。
糖尿病の薬はきちんとのんだものの頭痛や発熱など髄膜炎の症状のため食事がとれず低血糖状態に陥りついに意識障害を起こしてしまったのだ。
今回の症例は事故の原因を突き詰めていく事で病気を発見。
藤重さんの命を救う事ができた。
治療法はどうやってやるんですか?抗菌薬を注射します。
注射をして順調に回復していったんですか?はい。
徐々に徐々に症状がなくなって退院しました。
後遺症とかは…?後遺症は…この患者さんは残っていませんが命を落とす人もいますしまひが残ったりお話がうまくいかなかったりいろんな後遺症が残ります。
それが問題なんですね。
髄膜炎を見抜く力があってスピーディーに治療しなきゃ駄目です。
そうでないと後遺症が残っちゃうんですね。
この患者さんはもちろん早くやってますから。
(玉ちゃん)よかった〜。
皆さんの前にこのような重症な患者さんが運ばれてきた時どうするでしょうか?迷うと思います。
経験をいくら積んでもやっぱり迷う事があるんですよ。
私はそういう時にいつも考えている事があります。
目の前に運ばれた患者さんを自分の家族だと思って判断すると決断が早いです。
迷いはすぐなくなります。
「家族だ!」と思うと判断は早く処置が早く手遅れにならずに済みます。
内科も外科も全部やるジェネラルドクターになるんです。
数年後にきっとなってるはずです。
一緒にやりましょう。
一緒に日本を救いましょう。
(拍手)ジェネラリストって内科だけじゃなくて外科までというか…全身を診られる医師を目指したいと思います。
最後に「一緒に日本を救いましょう」という言葉にすごく胸打たれました。
私も力になりたいと思います。
今後患者さんを総合的に診られる医者になりたいと思います。
(玉ちゃん)ゲストの皆さんいかがでしたでしょうか?時間をかけて皆さんの知恵を出し合ってこの結果に答えにたどりついたけど皆さんはこれを瞬時でやらなきゃいけないと思うと…。
勉強しがいのある事って本当にあるんだなって。
たくさん勉強される先にこういうドクターの世界があるんだと思うと本当に勉強しがいがあるだろうなと思って…。
結果がありますもんね。
さて次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか?さようなら!皆さんごくろうさまでした。
先生どうもありがとうございました。
生字幕放送でお伝えします2014/04/04(金) 16:05〜16:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「意識を失った…」[字][再]

新感覚!病名推理エンターテインメント「総合診療医ドクターG」。駐車場で自損事故を起こした49歳の男性。なぜ事故?体に何が?はたして命を救えるか!

詳細情報
番組内容
夫婦で弁当店を営む49歳の男性。風邪を引いたが、仕事は休めない。車で弁当を配達していたところ、駐車場で自損事故を起こした。現場にかけつけた救急隊長が病院で報告した一言に、ドクターGはピンときた。なぜ、事故は起きたのか? 患者の体に何が起きていたのか? 緊迫した救急室で交わされる救急隊長や、男性の家族の話から、浮かび上がった事実は?
出演者
【出演】八戸市立市民病院救命救急センター医師…今明秀,【ゲスト】谷村志穂,平岳大,【司会】浅草キッド

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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