おとり捜査官・北見志穂 2014.04.04

(ナレーター)「過重な仕事一人で問題を抱え込む」「強い責任感。
山口さんはこの3つが重なってうつ病を発症したと考えられます」「うつ病が悪化したのは日常生活に見られる…」
(北見志穂)
最近この大学の周辺で女性が鉄パイプで全身殴打され撲殺されるという事件が2件連続して発生している
2人はいずれも夜間講座を終えて駅に向かう途中に殺害されていた
新たな犠牲者が出る前に犯人を逮捕しなければならない
「職場や家庭でこうしたサインに気づいて治療を受けていればうつ病は避けられたかもしれません」では本日は以上になります。
今日の講義の補足事項は配布したレジュメに記載されています。
目を通しといてください。
では。
これ落ちましたよ。
(神屋武志)あっ!ああ…すみません。

(大野木康男)お疲れさまでした。
あのどちらへ行かれますか?裏門から帰ります。
ああそちらは暗くて危ないです。
遠回りでも大通りのほうを通ってください。
でもこっちのほうが駅は近いでしょ?ご存知でしょ?最近の事件の事。
(神屋)よろしかったら駅まで送りましょうか?車ですから。
どうぞ。
ありがとうございます。
でも寄るところがありますから。
ああそうですか。
じゃあ気をつけて。
北見です。
これから裏道に向かいます。

(物音)
(松井刑事)確保しました。
(井原主任)おう。
ご苦労。

(袴田刑事)守衛だったとはな。
ええ。
大野木。
いつまで黙ってるつもりだよ!?
(小泉刑事)「前の事件もお前の犯行なんだろ?」確かマエがあるんだよな?大野木には。
ええ。
17歳の時傷害致死で家裁の少年審判を受けています。
(大野木)待て!当時の調書によればバイト先のコンビニで逃げようとする万引き犯と格闘になって…。
夢中でバットで殴り続けて結果的に相手を死に至らしめてしまったという事です。
家裁は大野木の行為を過剰防衛と判断して保護処分の決定を下しました。
心理学の専門家らによる診断結果からそう決めたようです。
このままじゃ自供をとるのは難しそうですね。
ったく厄介な野郎だ。

(ドアの開く音)状況はどうだ?相変わらず黙秘です。
紹介しよう。
京南学園大学心理学科の井上先生だ。
8年前大野木の矯正教育の責任者をされていた。
(井上晴香)初めまして井上です。
それで今回も取り調べに協力していただく事にした。
前の事件の時自分の行為が行き過ぎであるという事を彼は理解しませんでした。
それで正しい判断基準を確立させるための矯正プログラムを組んだんですが…。
とにかく接見してみます大野木と。
(晴香)こうやって何度も話したわねあの頃。
万引きをしたほうが悪いのに捕まえようとした自分がどうして裁かれるのか…。
法律は間違っている。
あなたは私にそう言い続けた。
今度の事もそう?自分の信念で正義を貫いた。
あいつらは社会を汚染するウィルスです。
だから抹殺してやったんです。
「あいつらって誰の事?」「決まってるでしょ!?あの女達です」
(大野木)ご苦労さまです。
ご苦労さまです。
ちょっと待ってください!そちらの道は暗いのでこちらの大通りを通って帰ってください。
(桜井洋子)大通り?遠回りになるじゃない。
私急いでるの。
でも危険ですから。
大丈夫よ!そういう服装は特に危ないんです!そんな事まで干渉しないでよ。
セクハラよ!
(大野木)ああいう無防備な女達が性犯罪を助長してる。
あいつらを抹殺する事が自分に与えられた使命です。
世の中をよくするためにやったんです。
警察は何もわかっていない。
悪いのは俺じゃない。
あの女のほうだ。
認めるのね彼女達を手にかけた事を。
警察がやらないからです。
自分には果たさなきゃならない使命があります。
大野木は自分の行為が法律に反するという事は十分に理解しています。
ただ自分自身の価値判断に照らし合わせればその行為は正しい。
こういう資質の犯罪者は例があります。
例えばイギリスのシップマン医師の事件。
1984年から十数年に渡って複数の患者をモルヒネで殺害したんですが彼は高齢者に死の治療を与えてあげた。
自分は無実だと主張しました。
確か犯人は刑務所で首吊り自殺したんですよね。
そのために動機は完全に解明されなかった。
そうです。
ただ専門家は単なる快楽殺人ではないと判定しました。
本人も気づかない心の中の不安やいらだちが歪んだ正義感にすり替わる。
シップマンの場合薬物着服の前科でエリートコースを絶たれた事が要因の1つと考えられています。
大野木の場合8年前の事件ですか?ええ。
正しい事をしたと思ったにも関わらず傷害致死に問われてしまった。
それでむしろ自分の価値観に狂信的に固執して正当化してしまったと思われます。
つまり常に再犯の危険があったという事ですね。
はい。
それを見極められなかったのは私の責任です。
当時は矯正できたものと判断して大野木の社会復帰を優先しました。
まだ未成年でしたし。
北見さん心理学詳しいのね。
実は私科捜研時代にプロファイリングを専門にしてたんです。
科捜研…?もしかして…おとりはあなた?はい。
そう…。
何か?うん…。
あなた大野木の取り調べからは外れたほうがいいかもしれない。
彼を刺激してしまうから。
わかりました。
それじゃ。
どうしてなかなかの切れもんらしいな。
ホンット美人には弱いんだから。
てやんでえ!まっあとは所轄に任して俺達は退散だ。
ああ…。
どうした?ああ…痛っ!おい!おい!どうした!?おい!ああ…!便所…ううっ!便所に行かしてください…。

(水を流す音)・
(物音)大野木!
(井原)今のところ有力な情報はない。
(松井)まったく…とんだ失態ですよ。
うーんしょっ。
もう非常線の外だな。
(松井)警察の裏かく術ぐらい研究してたかもしれませんね奴なら。
これは全警察の威信に関わる問題だ。
大野木が何か事を起こす前に身柄を確保する事が先決だ。
長期戦にならなきゃいいけどな。
(脇坂マリエ)痛〜い!すいません。
どこ見てんのよ!?痛ーい!
(ため息)
(パトカーのサイレン)財布の中に免許証がありました。
被害者の名前は脇坂マリエです。
この人…。
何だ北見知ってんのか?同じマンションの人です。
死因は?後頭部が陥没してます。
それが致命傷でしょう。
被害者は脇坂マリエ24歳。
リース会社に勤務するOLだ。
昨夜自宅マンションから出た後の足取りがつかめていない。
死亡推定時刻は午後11時前後。
死因は脳挫傷。
現場の状況からもどこか別の場所で殺害された後発見現場に遺棄されたものと思われる。
殺害現場は特定されていない。
致命傷以外にも犯人は被害者の全身を鉄パイプのようなもので激しく殴打している。
(井原)大野木と同じ手口だ。
北見。
はい。
被害者と面識があるそうだが。
同じマンションだっていう事だけで親しくはありませんが…。
袴田さんと被害者の周辺を当たってくれ。
他の者は引き続き大野木だ。
以上!じゃあ仕事上のトラブルはなかったんですね。
(峰村課長)あっ…ああはい。
これといってありませんはい。
同僚の方との関係はどうだったんでしょうか?あっあの…特に聞いておりませんがあの…良好だったと思います。
はい。
はあーっ。
(雅美)マリエさんお嬢様育ちでわがままなところがあったから嫌ってた人なんて随分いたわよ。
おまけに彼女の実家有名な大病院でね。
うちの会社の得意先なの。
なるほど。
コネ入社って訳か。
だけどいくら何でも殺人なんて過激な事する人いないわよ。
会社関係以外のトラブルは?
(圭子)そういえば…マリエさん医者に付きまとわれてるって言ってなかった?実家の。
(雅美)そうそう!婚約者だった人よねぇ。
マリエさんが土壇場で振ったからじゃないかな。
彼女気まぐれで好き嫌い露骨に出すし。
そのお医者さん病院辞めちゃったらしいわよ。
っていうかお払い箱されちゃったんじゃないの?マリエさんの親に。
このヤマは何か裏があるな。
大野木じゃないって事ですか?うん。
まあただの勘だけどさ。
これがマリエに付きまとってた外科医の森山だ。
自宅アパートの管理人によると森山は旅行に行くと言って出かけたそうです。
マリエが殺された日にだ。
高飛びですかね?
(井原)足取りを追ってくれ。
はい。
よしじゃあ交友関係から洗うか。
お願いします。
ええ。

(柴田医師)森山先生と特に親しかった者はいませんね。
最近院長先生のお嬢さんとの婚約が解消されたそうですが?ええ。
婚約も急でしたが解消も突然でね。
どんな原因でしょう?お嬢さんの気まぐれだという話です。
気まぐれ?わがままお嬢さんのせいで病院まで辞めた後森山先生は何度か院長やお嬢さんに会いに来ていつも断られていたようですが…詳しい事は私もよく知りません。
動機は十分だな。
どうした?はあ…何だか誰かに見られてるような気がして…。
お前さんも婚約解消したか?笑えない冗談。
すまん。
森山さんですね。
山登りですか…。
(森山医師)気分転換だよ。
嫌な事ばかり続いたんでね。
そりゃあそうだろう。
なあ?クビになっちゃったんだから。
違う!自分から辞めたんだ。
あんなところ。
わがままなお嬢さんに振り回されて人生めちゃくちゃにされたんだ!辞職した後もマリエさんに付きまとっていたなぁ。
もう一度マリエと話がしたかった。
マリエが死んだ事だって知らなかったんだ。
今日初めて聞いたんだ。
私はマリエを殺してない!私じゃない!本人は犯行を否認してるがマリエの周辺をうろつき回ってたのは確かだ。
犯行推定時刻のアリバイもはっきりしません。
まあ森山にしてみれば相当プライドを傷つけられたはずだ。
ああいうエリートほど執念深いからな。
ホンボシの可能性は高いな。
今夜のところは解散だ。
お疲れさん。
ハッ!どけ!・
(猫の鳴き声)・
(物音)・
(物音)・
(大きな物音)大野木は北見を尾行して1人になるタイミングを待ってたらしい。
ケガはどうなんだ?大した事ありません。
ひょっとして…。
何だ?いや…。
(小泉)この脇坂マリエ北見に似てませんか?ああそういえば似てない事はないな。
じゃあ彼女は私と間違えられて…。
考えられない線じゃないな。
北見行動は慎重にな。
とにかく病院へ行って休め。
はい。

(橋本洋介)これで大丈夫だと思います。
(一条)いつもありがとう!橋本さんが機械に詳しいからホント助かります。
いや大した事なかったですから。
すいません。
じゃあまた何かあったら管理人室へ連絡ください。
ありがとうございました。
ご苦労さまです。
あっ…。
北見と申しますが京南学園大学の井上先生はお出ででしょうか?あっはい。
井上先生!・
(晴香)は〜い。
あら…。
あっどうぞ。
失礼します。
どうぞ。
私交代します。
ああお願い。
どうぞ。
じゃあごゆっくり。
大学に行ったらこちらだって伺って。
ああ…。
先生電話相談もなさってたんですね。
ボランティアでね。
彼女が代表者。
大学の後輩なの。
実は…大野木の事なんですが。
(晴香)まだ捕まらないの?昨夜私のマンションに現れて…。
そのケガは…。
残念ながら逮捕できなくて…。
大野木は犯罪を誘発させそうな女性を抹殺する事で警察に代わって正義を貫こうとしたんだけど…。
まあそんな自分が逮捕されてしまって警察への不信が募っておとりになったあなたに向かってしまったのね。
あなた個人ではなくて警察全体への不信の結果ね。
確かに私彼の暴力の裏に冷静さを感じました。
自分の行為を的確に把握して判断してる。
それで私追いかけるのを躊躇してしまったんです。
怖かったのね。
えっ?大野木に恐怖を感じた。
だから逃げてくれてホッとした。
避けようとしないで認めたほうがいいわ。
怖かったんです。
それでいいの。
人間である以上恐怖心が皆無なんてありえない。
例え訓練を積んだ刑事であっても。
あなたのせいじゃない。
自分の弱さを恥じる事はないのよ。
はい。
大野木があなたを狙うのを諦めるとは思えない。
十分に気をつけて。
ええ。
お忙しいのにありがとうございました。
それと北見さん。
あなたが刑事だっていう事をここのメンバーに知られないようにしてくれる。
えっ?犯罪絡みの相談もあったりするから。
ああ…わかりました。
お帰りよ。
あらもうお帰りですか?どうもお邪魔しました。

(ドアの開く音)こんにちは!武志。
あっ…。
驚いたなぁ。
こんなところでまた会うなんて。
えっ?知り合い?うん。
市民講座で隣の席だったんだ。
ああ…。
それよりこんな時間にどうしたの?形式上の面接です。
面接ってどういう事?僕も相談員やってみようと思うんだ。
えっ?少しでも誰かの役に立てればいいだろ姉さんのように。
あなた学校の仕事があるじゃない。
大丈夫だよ。
授業に差し障りのないようにやるから。
私は反対よ!どうしたの晴香さん?すいません晴香さん。
ご指名なんですけど…。
あっはい…。
とにかく私は認めないから。
早く帰りなさい。
どうしたのかしら?僕今日のところは帰ったほうがよさそうですね。
そうね。
そうしてください。
それじゃ私も。
失礼します。
すいません。
僕神屋武志といいます。
北見です。
もしよかったら送りますよ。
今日は乗ってください。
じゃあ駅まで。
ええ。
閉めます。
お仕事は何をなさってるんですか?えっと福祉関係です。
ああそうですか…。
それで姉とはどういう?先生には心理学の事教えてもらっているんです。
ああ実は僕もあの講座姉に勧められて行ったんですよ。
神屋さんは学校の先生なんですか?ええ。
高校で英語を教えてます。
実はうちの父も教師だったんです。
そうですか…。
結構熱血で若い頃は教室に竹刀なんか持ち込んでたみたい。
ああ…。
今だったら問題ですよね。
あはは…。
その気持ちよくわかるなぁ。
(佳代)あら志穂ちゃん。
よっどうだった病院?ええ。
大丈夫です。
いいの休んでなくて?何これぐらい平気平気。
だってまだ犯人捕まってないんでしょう?あっそうだ袴田ちゃん。
今晩志穂ちゃん泊めてあげたら?だってまた家に来るかもしれないじゃないの。
何で俺がそこまでお守りしなきゃなんないんだよ。
なーに言ってんのよ。
心配で心配でたまんないくせに。
そうかしら?私井上先生に会ってきました。
あの美人先生か。
へえどんな人なのその井上先生って?素敵な人。
ボランティアで電話相談もやってるんです。
電話相談か…。
ふうーん俺もやってみるかな定年になったら電話相談。
冗談でしょう。
のぞき見趣味でやれる事じゃありません。
電話はのぞき見できません。
(山之内ミカ)何すんのよ。
何すんのよ!いやいやー!やめて!いやー!
(パトカーのサイレン)脇坂マリエと同じ手口だな。
やっぱり大野木の犯行ですかね?被害者は山之内ミカ19歳。
デザイン専門学校の学生だ。
死因は頭部硬膜下出血。
死亡推定時刻は午後10時前後。
殺害現場は不明だ。
凶器は脇坂マリエを撲殺したものと同じようなおそらく鉄パイプだろう。
この2つの事件は同一犯の犯行と見てほぼ間違いない。
次に森山医師のアリバイ証言が取れた。
松井。
はい。
脇坂マリエの犯行当日20時頃八ヶ岳山頂付近にあるキャンプ場でたき火をしている森山を中年夫婦が目撃してます。
森山による犯行は不可能です。
もし大野木の犯行だとしたらまた北見と間違えた可能性もありますよね?北見。
お前被害者の山之内ミカとの接点心当たりないのか?いいえ。
まあどっちにしろあの時捕まえてればな…。
確かに間違いだというのはありえるが犯行が無差別になってきたという可能性も否定できない。
引き続き大野木を重点的に追う。
以上だ。
(一同)はい。
袴田さん。
北見を頼みます。
ここの生徒か山之内ミカ…。
山之内ミカさん。
自宅もうちから離れてるし全然心当たりないわ。
あなたがミカさんと一番親しかったって聞いたけど。
(田中幸枝)彼女の機嫌がよかった時だけね。
すごい気分屋さんだったから急によそよそしくなったりして…。
死んじゃった人の悪口は言いたくないけど派手好きの勘違いお嬢さんってとこだった。
お父さんは有名デザイナーね?そう。
それを鼻にかけて。
マリエもミカもわがままお嬢様か…。
どうした?大野木は鉄パイプを持ってうちのマンションに来たわ。
私をあの場で殺すつもりだったのよ。
でもマリエさんとミカさんは別の場所で殺された後に運ばれてる。
おかしいと思わない?そういわれてみりゃ今までの大野木は被害者をその場所に残してた。
タイプの違いは明らかだわ。
何!?犯人は他にいる?はい。
(小泉)お前自分が大野木取り逃がした責任逃れで言ってんじゃねぇだろうな。
見てください。
夜間は無人ですが朝になれば必ず人目に付く場所です。
犯人はそれを計算したうえで死体を遺棄したんだと思います。
(小泉)動機は何なんだよ動機は!被害者2人に接点はないんだぞ。
なくはない。
どういう事ですか?2人共お嬢様だった。
そんな事ですか…。
主任。
何か見落としてる点があるはずです。
物を言うのは証拠だ。
そんなもん穴の開くほど見たって何にも出ねんじゃねぇのか。
でも何かあるはずだわ。
変質者の犯行っていう線もあるけど犯人の体液が残されていなかった事も気にかかるのよね。
女の犯行って事もある訳だ。
ええ。
可能性でいえば…。

(安達)北見さん。
(安達)1番にお電話です。
はい。
はい北見です。
あああの…。
えっ?会わせたい人?こちらがお電話の?
(幸枝)小野妙子さん。
同級生の。
山之内ミカにいじめられてたの?
(小野妙子)私…嫌われてたんです。
どうして?
(幸枝)ストレス解消よ。
この娘大人しくて逆らえないから。
だからって殺したりなんか…。
(幸枝)誰もそんな事言ってないでしょ。
ほらあの事も言わないと。
うん?何?あの電話相談室に…。
相談の電話…。
あっコーヒー2つ。
(ウエイトレス)はい。
かけたの?心理学の先生が勧める電話相談の雑誌の記事を読んで。
何ていう先生?京南学園大学の井上晴香先生…。
ああ…。
面白い偶然だな。
さてと城西リースのほうも行ってみるか。
案外マリエお嬢様も誰かをいじめてたりしてな。
いやいや…そうおっしゃられましても。
大病院のお嬢様だ。
他の社員とそりが合わないって事もあったでしょう?結構人の好き嫌いがはっきりしてたって聞いたんですけどね。
さあ…どうなんでしょうね。
脇坂総合病院の事は気になさらないでいいんですよ。
課長さんがしゃべったなんて言いませんから。
いやいや私はそんな。
(尾形由美子)申し訳ありませんでした。
私疑われるのが怖くて言えなかったんです。
じゃあマリエにいじめられてた?はい。
私の事特別気に入らなかったみたいで。
その事を誰かに相談した事はないの?したのね?電話で。
な〜んだ。
私に相談してくれればよかったじゃないか。
いろいろ聞いてもらってました。
マリエさんに嫌がらせされてる事も。
脇坂マリエの名前を出した?私がもう死にたいって言ったら親身になって励ましてくれて。
そのお陰で私救われました。
相談員の名前は?ハルさんです。
ハルさんです。
つながったな。
お待たせしました。
おう。
失礼します。
ありがとうございます。
どうした?ようやく接点が見つかったっていうのに。
先生が事件に関係してるなんて…。
相手が誰であろうと疑わしい人間は調べる。
でも…。
それが刑事の仕事だ。

(ノック)どうぞ。
北見さん。
先生にちょっと伺いたい事があって。
どうぞ。
何かしら?先生は電話相談で「ハル」って名乗ってますか?ええ。
名前が晴香だから。
脇坂マリエ。
山之内ミカ。
この2人をご存知ですよね?大野木に殺害された被害者でしょ。
事件の前からあなた名前を知ってたはずだ。
どういう意味ですか?彼女達はいじめの加害者だった。
先生は電話相談を受けてその事を知ってた。
申し訳ないんですがね任意で来てもらえませんか?相談の内容については一切しゃべる気はありません。
守秘義務がありますから。
(小泉)立場はわかりますがそれでは不利になりますよ。
構いません。
じゃあ質問を変えましょう。
脇坂マリエ山之内ミカ。
2人が殺害された時刻どこにいました?
(小泉)それなら答えていただけますよね?この雑誌は若い女性に人気があります。
尾形由美子も小野妙子もこれを見て電話したと証言しています。
しかし井上先生を事件と関連付けるのはどうかと思うんです。
被害者の2人きっと他に何か接点があるはずです。
いずれにせよ任意でこれ以上拘束はできんな。
はい。
ご協力ありがとうございました。
いえ。
お役に立てなくてごめんなさい。
あっそこで。
どうもありがとうございます。
アリバイ?姉のアリバイですか?ええ。
守秘義務とかで何にも話してもらえないもんでね。
そう言われても一緒に暮らしてる訳じゃないんで。
いや実はご主人に伺おうと思ったんですが…。
姉は今一人暮らしです。
別居してるんですよ。
ああ〜なるほど。
はい。
とにかく仕事上の守秘義務を守っている姉を僕は立派だと思います。
自分の立場が不利になってもですか?ええ。
ああすいません。
はい?電話相談の事務所は何階ですか?8階です。
ああこりゃどうもご親切に。
あのどんなご用件で?いやあの相談員に応募でもしてみようかなと思っちゃったりして。
ははは!
(エレベーターの到着音)その日は晴香さんはここの当番じゃなかったですね。
アリバイなしか…。
刑事さん。
私は晴香さんの事をよ〜く知ってます。
彼女を疑うなんてどうかしてますよ!一条さんはいつ頃から井上先生とお知り合いなんですか?大学のゼミの先輩なんです。
ああ…。
(一条)ゼミ仲間と一緒に撮ったものです。

(村松)晴香さんとはもう3年は会ってないですね。
お父様が亡くなられてほらそこの家を売却した時以来ですから。
晴香さんの事子供の頃からご存知なんですか?ええ!神屋さんとこは古いんですよ。
ずっと印刷工場をされててね〜。
今でも?いいえ。
そっちも3年前に閉めましたよ。
息子さん学校の先生でしょ。
継ぐ人いないからね〜。
仲のいい姉弟ですよね。
そう。
お母さんを早く亡くされたのに明るくてね。
でも晴香さんが中学生の時の事ですよ。
同級生からそりゃひどいいじめを受けてましてね。
自殺を図ったんです。
首を吊って。
自殺未遂?それから間もなくいじめてた同級生のほうが川で溺れて死んじゃったんです。

(加藤刑事)はいはい。
お待たせしました。
どうもお忙しいところすいません。
どうぞどうぞ。
私が担当していたんでよく覚えてますよ。
その女子中学生は隅田川で溺死体で発見されました。
それは神屋晴香の自殺未遂のすぐ後ですよね?ええ…その事を苦にしての投身自殺という事で一応は…。
何か疑わしい点でも?はい…。
実は遺体にいくつか打撲傷がありましてね。
他殺の疑いもあった。
ええ。
でも結局は橋の欄干などにぶつかったものとされて自殺という事になりましたが。
打撲傷ね…。
袴田さん何バカな事言ってるんですか!?ある訳ないじゃないですかそんな事!どうしてそう言い切れる。
井上晴香が殺ったんだとすれば今回の事件も見えて来るんだよ。
自分の使命感に固執する性格激情に走った過去!大野木と同じだ。
晴香自身に当てはまるじゃねぇか。
だからいじめの加害者に制裁を加えた犯人は井上先生だそう言いたい訳?疑って何が悪い。
大野木の事をあれだけよくわかるっていうのも似たもの同士だからじゃねぇのか?先生は専門家よ。
だからわかって当然でしょ。
2人共やめてちょうだい。
相棒でしょ?でもこればっかりは…。
井上先生は私が落ち込んでた時親身になって心配してくれた人なんです。
それだって捜査状況を探るためかもしれない。
疑いたければ勝手に疑えばいいわ。
私お先に失礼します。
こんな時間に1人で帰していいの?例の男まだ捕まってないんでしょ。
ねえ袴田ちゃん!もうお守りはたくさんだ。
(ため息)・
(走り寄る足音)よし。
ご苦労さん。
「これだけ言ってんのにまだわからないんですか!!」「間違ってるのはあんた達警察だ!!」大野木は私をはっきりと認識しています。
誰かと間違えるとは思えません。

(ドアの開く音)大野木の供述裏が取れました。
脇坂マリエの死亡推定時刻大野木が新宿中央公園にいるのをホームレスが見てます。
これで捜査はふりだしです。
そうでもねぇだろ。
被害者には接点がある。
確かにまだ電話相談の件がありましたね。
殺された2人には共通点がある。
いじめの加害者でしかも女だという事だ。
(小泉)電話相談員に怪しい男はいないんですかね?そんな人いませんよ。
誰でも相談員になれるって訳じゃないんだから。
のぞき見…?電話が盗聴されてたって事考えられませんか?盗聴か。
可能性あるな。

(ノイズ音)
(ノイズ音)「アイって申します」入りました。
「あの最近夫の暴力がひどくてえっとそれについて相談したいなと思って…」電話相談の通話だな。
(相談員)「はいわかりました」「あのご主人の暴力…」電話に盗聴器が仕掛けられてます。
(橋本)あの…。
どちらに行かれるんですか?ええ8階に用があって。
ああ。

(探知機の音)盗聴器を発見しました。
電波を受信できるのは200〜300メートルです。

(松井)該当地域には終日営業のディスカウントストアとパチンコ店があります。
車の出入りが激しいですし盗聴してる人物を見つけるのは無理ではないでしょうか。
(井原)盗聴者が犯人の可能性は極めて高い。
何としても見つけるしかない。
捜査が長引けば次の犠牲者が出てしまうかもしれません。
私おとりになります。
この雑誌なんですけど…。
京南学園大学の井上晴香さん。
ボランティアで電話相談室の相談員をしているのね。
そこであなたが職場でいじめを受けている悩みをこの井上晴香さん宛てに電話を入れてほしいの。
それで電話口では誰にも相談する人がいなくて…。
お待たせしました。
いらっしゃい。
1人?1人で悪かったな。
あら機嫌悪いのね。

(電話の呼び出し音)もしもし?
(晴香)「電話相談室です」あの…雑誌見て電話したんですけど…。
私福寿苑っていう老人ホームでヘルパーしてるんだけど…。
いじめられてるの。
同僚に。
「いじめられてる?」彼女北村志乃っていって理事長の姪なの。
(安達)「だから見て見ない振りして誰も助けてくれないの」「私もう死にたい…」
(晴香)「あっ待って」「どういう事なのかもっと詳しく話してくれない?」じゃあ最初の位置に戻りましょうか。
はい。
もう一度ですね。
はい。
ゆっくりでいいですよ。
大丈夫ですか?はい大丈夫です。
不審な男が来ました。
小泉です。
男は北村志乃の居場所を訊いたそうです。
よしそのまま監視を続けろ。
目を離すな。
おい!待て!あのビルの管理人です!連行しろ!
(一同)はい。
ご苦労。
お前さんも引き揚げろ。
はい。
(パトカーのサイレン)
(井原)何だと!?もう一度言ってみろ。
あの…忠告しようと思ったんです。
忠告!?何を?だから…殺されるかもしれないって。
いじめっ子が2人も殺されてるから。
どうしてお前がそんな事を知ってるんだ?盗聴だな!?盗聴で知ったんだろ!すいません。
ごめんなさい!盗聴器仕掛けたのはお前か!?いいえ違います。
たまたま受信機に電波が入ってきたんです。
だから聞いてただけで…。
どうもいろいろとありがとうございました。
どういたしまして。
お陰さまで無事に終わる事ができました。
本当にお世話になりました。
こちらで失礼いたします。
ありがとうございました。
(ため息)北見北見!北見は?連絡取れません!主任…!連絡取り続けろ!いません!捜せ!
(一同)はい!向こう頼む。
すいません。
袴田さん?あっイヤッ…!北見はどこだ?北見さん?えっ!?なぜ福寿苑に行った?あそこで事件が起こると思ったからじゃないのか?北村志乃は北見のおとりだ。
あんた知ってるはずだ。
北見はどこだ!あっ…。
神屋さん…。
あなたは許せない人だな。
そんなにやさしそうな顔して裏で陰湿ないじめをやってるなんて。
電話口で泣いてましたよ同僚の人。
もう死にたいって。
僕の姉が何とか思いとどまらせましたけどね。
そんな事何であなたが知ってるの?相談の電話盗聴でもしたの?どうして…。
いじめで苦しんでいる人を救いたいからですよ。
救いたい?ええ…。
だっておかしいでしょ?いじめの被害者のほうが自殺しなきゃならないなんて。
死ぬべきなのはどう考えたって加害者のほうだ。
だから私を殺すっていうの?いじめをなくそうとしてもいじめはなくならない。
他に方法はないんです。
あなた今までもこんな事を?ええ。
苦しんでる人を救うために…。
(パトカーのサイレン)
(電話の不通音)ああ…。
(電話の不通音)ああ通じない…!あんた気がついてたのか?弟がやってるんじゃないかって。
あいつは過去にあんたの報復だってやった。
知っててなぜ止めなかったんだ!?まさか…まさか武志がと思って…。
確かめたかったんです。
昔姉を自殺にまで追い込んだ卑劣な奴がいたんだ。
だから叩きのめして川に捨ててやった。
教師になっていじめのない世の中を作りたかった。
しかし現実は…。
脇坂マリエ…。
あいつは高校の時からいじめの常習犯だった。
教え子…?いくら言い聞かせてもまたやる。
それも姑息な手口で!社会人になっても少しも変わってなかった。
それを知ったのは偶然だった…。
まだいじめをやめてくれないの?脇坂マリエさんは…。
あっダメよ。
自殺なんて考えちゃ。
そう…もう一度話し合って…。
(晴香)〔まだいじめをやめてくれないの?〕〔脇坂マリエさんは…〕〔脇坂マリエさんは…〕
(ため息)あっ武志。
来てたの?差し入れ。
おお甘いもの食べたかったんだ。
さっき脇坂マリエって言ってたよね?えっ?あいつまだやってたんだ…。
いじめの相談だったんだろ?それは…教えられないわ。
守秘義務があるから。
だから盗聴器を仕掛けて確かめたんだ。
あいつのいじめで死ぬほど苦しんでる人がいる。
放っておけない…。
それでここにマリエを連れてきて…。
(神屋)何度言ったらわかるんだ!?もう誰かをいじめるのはやめなさい。
そんなの私の勝手じゃない!いつまでうるさく付きまとうのよ!いじめをやめるまでだ。
偉そうに先生ぶって。
あんたのそういうとこ大っ嫌い。
昔っから。
どうしてわからないんだ!?どうしてやめない?私のせいじゃないわ!いじめられるほうが悪いのよ!うっ痛っ!何すんのよ!ちょっと…。
いや!いじめられるほうはもっと痛いんだよ。
なぜ相手の痛みが感じてあげられない。
なぜだ!なぜだ!なぜだ…!その死体を人目に付くように捨てたのはマリエがいなくなった事をちゃんとわかるように教えてあげたかった。
苦しんでる人に。
もういじめられないから大丈夫だよってね。
それからもう後戻りできないと思った…。
何すんのよ!?何すんのよ…!おいで。
いや…いやー!
(神屋)ミカって女も言ったよ。
いじめられるほうが悪いって。
いじめっ子の決まり文句だ。
ああいう連中がいる限り誰かが苦しみ続ける。
終わらせなきゃいけないんだ。
だからって殺さなくても…。
僕がどれだけいじめ問題に取り組んできたか知ってるか?いろんな方法を試した。
何度も説得した。
でもダメだった!姉さんをいじめた奴もそうだった。
僕がどんなにお願いしても決していじめをやめようとしなかった。
だから殺すしかなかった…。
あなたもそうさ!何だこれは…。
あんた誰だ?そういえば確かあんた前は北見って言ってたよな?警察か…。
あんた警察のおとりなのか?神屋さん冷静になって。
あなたは自分を見失ってるだけなのよ!見失ってるだと!?そうよ。
お願い自首して。
お姉さんのためにも。
これ以上お姉さんを苦しめないで!姉さんにはすまないと思ってる。
でもわかってくれるはずだよ姉さんは。
僕達は少しでもいじめをなくそうと努力してきた。
警察は何もできやしない。
反対に僕たちの邪魔をしようとさえしている。
あんた達は僕を捕まえちゃいけない!あんたには死んでもらわなきゃならないんだ!
(パトカーのサイレン)もう少し早く助けてやろうと思ったんだけどさ…。
気が利かなくて悪かったね。
武志…。
姉さん…。
心配かけてごめん。
でも仕方なかったんだ…。
僕にはこれしかできなかった。
ごめんお姉さん…。

(嗚咽)歪んだ正義感か…。

(パトカーのサイレン)マリエさんの事件の後もしやとは思いました。
彼女は武志を手こずらせた教え子でしたし…。
あんたが取り調べであんなに頑なだったのは守秘義務のためだけじゃない。
神屋をかばおうとしたからだ。
申し訳ありません。
でも確信はなかったんです。
武志でない事を祈る気持ちでしたから。
あんた弟の犯行だって認めたくなかったんだろ?30年前の事も。
30年前…。
私本心はうれしかった。
あの子がいなくなってくれて…。
もう二度といじめられる事がないんだって。
うれしかった。
そんな本音をきっと子供心に武志はわかったんでしょうね。
だから自分の行為は正しかったんだと思い込んで…。
歪んだ正義感を持ってしまった…。
あんな…。
あんな恐ろしい事させてしまったのは私だわ。
私が…。
私が心理学を志したのは感情を理論的にとらえる事で自分の弱さをコントロールしたかったからなの。
なのに…。
私は何をしてきたんだろう?今まで…。
たくさんやってきたじゃないですか。
電話相談で先生に救われた人たくさんいるじゃないですか。
この私だって。
北見さん…。
先生が教えてくれたんですよ。
自分の弱さを恥じる事はないって。
井上晴香電話相談は続けるそうだ。
それが自分にできる唯一の償いだからって。
そう。
よかった…。
それにしても考えもんだよな。
えっ?いや…頑張りすぎるってのもさ。
そうよね…。
お前さんの事言ってるんだよ。
私の事?その傷!痕になっても知らないぞ。
少しは自分の身を心配したらどうだ。
お前さんだってもう若くないんだから。
一言余計ですよ。
2014/04/04(金) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
おとり捜査官・北見志穂[再][字]

美人令嬢連続殺人!逮捕した通り魔が復讐殺人鬼に!?狙われた女刑事

詳細情報
◇番組内容
美人令嬢連続殺人!逮捕した通り魔が復讐殺人鬼に!?狙われた女刑事!おとり捜査で捕まえた犯人が逃亡!復讐のターゲットに選んだのは…お待ちかねのシリーズ第9弾!!
◇出演者
松下由樹、蟹江敬三、秋野暢子、尾美としのり、小木茂光、赤座美代子、モト冬樹、渡辺哲、榊英雄、西岡竜一朗
◇原作・脚本
(原作)山田正紀
(脚本)外村朋子
◇監督
長谷部安春

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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