聖母・聖美物語 #05【出演:東風万智子 原田龍二】 2014.04.04

(繁郎)こんなことまでして子供なんか欲しくない!
(聖美)ひどい。
ここまできてそんなこと言うなんて。
(聖美)繁郎さん。

(ドアをたたく音)
(聖美)繁郎さん!・
(ドアをたたく音)
(聖美)繁郎さん…。

(聖美)仕方ないわよね。
こんな体に生まれた私が悪いんだから。
(繁郎)聖美。
好きな人の子供を産んでその子を立派に育てる。
それが女の夢って言ったけど私にはそれを望む資格さえなかった。
その責めは自分自身で負うしか。
何もそこまで。
夢を見ていたのかもしれない。
あなたと出会ってから今日までずっと。
事務所のお使いで患者さんのお見舞いに来て初めてあなたに会った。
それから不思議な偶然が重なって。
運命だって思ったよ。
だからプロポーズしたんだ。
運命なんかじゃなかった。
私じゃなかったのよ繁郎さんには。
あなたには他にきっといる。
あなたによく似た優秀な子を産んでくれる人が。
ありがとう。
今まで夢を見させてくれて。
・失礼します。
お母さま。
(波津子)ああ。
機嫌は直った?男って面倒よねこういうことになると変にナイーブで。
こないだの離婚届まだお持ちでしょうか?
(波津子)離婚届?そこにあるけど。

(駆ける足音)
(波津子)どうしたの?血相変えて。
(波津子)あっ。
ああっ。
繁郎。
何すんの?ちょっと。
ねえ聖美さん。
早く止めて。
ねえ。
ちょっ…。
何てことすんのあんたは。
(せき)僕を捨てないで。
聖美のいいようにするから。
僕を捨てないで!
(弘明)採卵前の麻酔をします。
採卵自体はすぐ済みますから。
お願いします。
(弘明)いい表情だ。
奇麗ですよ。
姉さん。
きっといい卵子が採れる。
(敏江)注意事項をよく読んでくださいね院長。
はい。
じゃあこれ。
終わりましたらお知らせください。
すぐに伺います。
じゃあこちらにお掛けいただいて…。
ああ。
もういいいいいい。

(ドアの開く音)
(弘明)終わりました。
中へどうぞ。
(弘明)無事受精卵を子宮に戻しました。
判定は2週間後です。
2週間後。
(波津子)大丈夫なのね?間違いなく妊娠できるのね?
(弘明)まっ。
楽しみに待っていてください。

(波津子)遠慮せずにおつかまりなさい。
・あっ。
いえ。
ホントに大丈夫です。
気分もいいし。
体だって何ともないんですから。
(波津子)弘明が言ってたでしょ?今日一日は安静にしろって。
ああ。
(波津子)戻ったらすぐに横になるのよ。

(波津子)お待ち!宅に何のご用?
(愛美)あっ。
あのうお姉さんは?
(愛美)私愛美です。
聖美姉さんの妹の…。
(波津子)分かってますよ。
そこまでもうろくしてません。
留守ですよ聖美さんは。
(愛美)でもさっき2人で病院の方から。
仲よさそうでびっくり…。
(波津子)無礼者。
(愛美)やっぱ気が合うもんなのかな?同じ人の母親とお嫁さんって。
どっか具合でも悪いんですか?あの人。
(波津子)心配するほどのことじゃございません。
(愛美)そんな言い方しなくたって。
こっちだってまともに親戚付き合いしてもらえるなんて思っちゃいないんだから。
ただしばらく連絡ないからどうしたのかなって。
連絡?
(愛美)こないだうちに来て帰り際また来るって。
必ず来るって言ってたのに。
たぶんもうあなたに会うつもりはないでしょう。
どうして?
(波津子)聖美さん言ってましたよ。
とても妹とは思えないって。
子供がいるのに男にこびを売ってお金を稼ぐなんて汚らわしいって。
そんな人を柳沢家に出入りさせるわけにはいかないって。
それホントにあの人が言ったんですか?もちろんです。
でもこの前会ったときは私のこと優しく抱き締めて…。
そうでもしなけりゃその場が収まらなかったからでしょう。
あなたって話をして通じるような人じゃなさそうですもんね。
何か?伝言でもあれば伝えますよ。
バカヤロー。
(波津子)はっ?バカヤロー。
そう言っといてくださいあの人に。
(愛美)これ返す。
(波津子)何ですか?
(愛美)ついでだからもう1つ言っといて。
あんたの言う汚らわしい仕事私はとっくに辞めたって。
おせっかいのお姉さまが余計な電話をするからこぶ付きだってことがバレたんだよね。
この疫病神が。
(波津子)あっ!さっさと出てけ!もう!妹が?こんなもの渡しに行くなんてあなたもなかなかの策士ね。
このお金。
あの人への手切れ金でしょ?言えば私が出してあげたのに。
繁郎は何も言わないから。
繁郎さんに頼んだわけじゃ…。
まさかあなたがこんな大金ぽんと?あっ。
いえ。
あのう。
そういうわけじゃ…。
何かあんのね?正直におっしゃい。
ごめんね晩ご飯。
具合が悪いわけじゃなかったんだけど。
出てこなくて正解だよ。
おなかの中がじーんとあったかい。
あなたと私のDNAが体の外で出合って結び付いて今このおなかの中に。
すごく幸せな気分。
ありがとう繁郎さん。
僕の方こそありがとう。
フゥー。
(愛美)嘘つき。
嘘つき嘘つき。
こんなもの。
お母さんに会いたい。
お母さんに会いたいよ。
(峻)ママ。
《はっ》《あっ。
あっ。
うっ。
うっ。
苦しい》《うっ。
うっ。
苦しい。
お母さんやめて》どうした?聖美?どうした?大丈夫?赤ちゃん駄目だった。
生理が。
夢で見たとおり真っ白いスズランが真っ赤に染まるように赤い血がいっぱい…。
聖美。
焦ることないですよ。
姉さんは若いんだしまだ始まったばかりじゃないですか。
でも医療費だって。
確かに高額医療ですけどね姉さんはやりたい放題成功するまで何度でも受ければいいんです。
いや。
そういうわけには。
金は他の患者からそれなりにもらっている。
気にすることはありません。
一度休みますか?それともまたすぐに再チャレンジを?やります。
よろしくお願いします。
来てくださったんですか。
(波津子)一厘でも一毫でも可能性は残ってないのかと思ってね。
申し訳ありません。
(波津子)しかたがないわよ。
弘明さんのやることじゃ。
大した腕でもないのに口ばっかり。
今度手抜かりがあったら事務長に頼んでよそから優秀な産科医を引き抜かせる。
瑞穂さん。
あの人にそう言っといてちょうだい。
(瑞穂)かしこまりました。
(瑞穂)若奥さま。
不妊の原因は女だけにあるわけじゃありませんからね。
(瑞穂)大奥さまの前では口が裂けても言えませんが。
愛美。
(愛美)どうしたの?むきになって花なんか植えちゃって。
何だか殺風景だから。
ふーん。
あっ。
この間はごめん。
せっかく来てくれたのにちょっと体調が悪くて。
待っても待っても誰も来てくれないんだよね私のところへは。
子供のころからずっとそう。
なのに信じちゃった。
また来るって言ったあんたの言葉。
いや。
私も…。
色々あって。
別にいいよ。
慣れっこだし。
そんなことにいちいち傷ついてたら今ごろこの世に生きてなんかいないよね。
お店辞めたんだって?私のせいって聞いてびっくりしたけどかえってよかったんじゃない?峻君のためにもちゃんと昼間の勤めを探した方が。
キャバ嬢辞めてソープ嬢にでもなろっかな?どうせ汚らわしいって言われるなら同じこと。
母親が子供のために体を張ってどこが悪いのよ。
汚らわしいっていったい何のこと?お墓参り行ってきた。
峻連れて。
お骨にしてすぐにお墓に入れたんだってねお母さん。
四十九日も待たないで。
住職さんがそれでいいって。
早くお父さんと一緒になった方がお母さんも落ち着くと思って。
ホントに邪魔だったんだねお母さんが。
せっかく死んでくれてほっとしてたのに今度は私っていう新しい厄介者が現れた。
手なずけるつもりで優しいこと言ったんだろうけど嘘はすぐバレるよ。
ホントにまた会いに行くつもりだったわ。
ただ自分でも思いがけないことが起きてしまって。
私何でも知ってるよ。
あんたがどうやって今の旦那を射止めたのか。
そのためにどんなに残酷に前の男を振り捨てたのか。
いい面の皮だよねあの弁護士先生も。
若い女に散々振り回されて。
あなた星川先生のことを?知ってるよ。
娘があんたにすごく懐いてたってことも。
お母さんね。
でたらめよ。
あの人が言うことは全部でたらめ。
あの人は自分の都合のいいことしか言わない人よ。
自分の身を守るためだったら平気で嘘をつく人なのよ。
いつだって人ばかり頼りにして自分では何一つしようとしない。
うまくいかなければ全部人のせいにする。
そういう人なのよ。
人任せにするしかないじゃん。
病気だったんだから。
あの人の病気は心の病気よ。
心臓のせいにして甘えてただけなのよ。
何でも言えるよね。
お母さんは死んじゃって冷たいお墓の中にいるんだもんね。
あの人に私がどれだけ振り回されてきたか分かりっこないわ。
何も知らないあなたには。

(波津子)聖美さん。
お客さまなの?帰って。
お母さんと会ったらまた面倒なことになる。

(波津子)聖美さん。
どこ?お願い。
分かったよ。
また来るよ。
嘘はなしで。
(波津子)ああ。
どなたかいらしてたんじゃ?あっ。
ちょっと道を聞かれて。
あら。
あなたどうしたの?そんな泥だらけになって。
あっ。
ちょっと庭の花を。
花なんか庭師に任せればいいんです。
駄目じゃない。
そんな体を冷やすようなことしちゃ。
そういうところから不妊が起こることだってあるんだから。
はい。
次の体外受精に失敗したら今度は弘明の責任にはできませんよ。
体外受精。
(弘明)《確かに高額医療ですけどね姉さんはやりたい放題成功するまで何度でも受ければいいんです》《金は他の患者からそれなりにもらっている》《気にすることはありません》・
(峻)伯母ちゃん。
峻君。
(愛美)ここに来れば会えると思って。
どうして?不妊治療受けてるんでしょう?毎日注射したり検査したり大変らしいね。
そういう事情じゃ私のことなんて気にしていられない。
すいませんでした。
先日は何も知らずひどいこと言って。
ちょっと。
ここじゃ人目があるから。
ああ。
いいのいいの。
私すぐ帰るから。
姉さんに言われたとおり見つけたのよ昼間の仕事。
それでね終わるまで峻のこと預かってほしいんだけど。
えっ?
(愛美)一人で平気なのよこの子は。
だけどこないだ児童相談所の人が来ちゃって。
幼稚園も行かせてない。
昼も夜もしょっちゅう一人にさせてるって。
虐待じゃないかって。
余計なお世話のオバタリアンが通報したらしくてさ。
ひどい話でしょう?それでねつい言っちゃったんだよね。
この子のことは姉が面倒見てくれてますって。
取りあえず今日一日でいいから。
先のことはまた考える。
ああ。
峻。
ほら。
あんたのことなんだからちゃんと自分で頼みな。
遠慮しないで食べていいのよ。
子供向けの本探したんだけどこんな古いのしかなくて。
ねえ峻君。
幼稚園行ってみたいと思わない?はい。
よし。
聖母だ。
まさしく聖母の降臨だ。
2014/04/04(金) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #05[字][デ]【出演:東風万智子 原田龍二】

玉の輿の結婚。しかし結婚式に舞い込んだ母の訃報、早急に後継ぎの妊娠を迫る姑、生き別れた妹の出現など、聖美(東風万智子)の運命を暗示するかのような出来事が次々と…

詳細情報
番組内容
 不妊治療に嫌気のさした繁郎(原田龍二)が子供などいらない、と言い出す。そのままワインセラーに閉じこもった繁郎に聖美(東風万智子)は、離婚をほのめかす発言をする。その途端、繁郎が聖美に「捨てないで!」とすがるのを見て、あ然となる波津子(丘 みつ子)だった。
 愛美(三輪ひとみ)が聖美を訪ねるが、聖美が気づく前に波津子が愛美を見つける。
番組内容2
荒んだ生活を送る、愛美を嫌う波津子は、聖美が愛美と縁を切りたがっていると告げ、けんもほろろに愛美を追い返す。聖美に裏切られたと思った愛美は再び姉への憎しみを募らせる。
 意欲的に不妊治療に取り組む聖美だが、1回目は失敗に終わる。落ち込む聖美の前に愛美が現れ、罵声を浴びせるが、偶然聖美が不妊治療をしていることを知って…。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲
演出:西本淳一(東海テレビ)
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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