法医学教室の事件ファイル 2014.04.01

(北崎由香)嘘でしょ。
うちの人が自殺なんて。
何かの間違いよ!
(北崎静)ごめん。
鑑定の結果そうなの。
あなたを傷つけたくないそう思ったんだけど。
でも…。
お母さんまさか…そんなこと…。
(由香)お母さんが殺したなんて…。
何言ってるの?言っていいことと悪いことが…。
信じない!お母さんの言うことも警察の言うことも…。
自分で調べるから!由香…!
(二宮早紀)愛介!ねえ北海道からクール便でカニが届くからお願いね。
すぐ冷蔵庫入れといて。
(二宮愛介)うん。
今日バーゲンでポイント3倍デーだからお父さんのパンツまとめ買いしないとね。
大変だね休みなのに。
うんそうなのよ。
じゃあね。
いってらっしゃい。
あら!?あららら…。
まあやだ…。
ああプチ整形したい…。
いってらっしゃい。
(前田芽衣子)アイチュケ〜!へえ〜愛介んちっていいじゃない。
オシャレで。
でも何で急に?断ったでしょ。
僕は誰とも付き合う気ないって。
もう嫌!そういうこと言っちゃ。
わっ!私のこと好きにしていいから…アイチュケの。
いや…そのあの…。
ちょっと…!
(チャイム)あっ!誰か来た!
(渡辺秋男)宅配便でーす。
放っとこう。
ダメだよ。
北海道からカニ届くからってお母さんに言われてるんだから。
こんなに?
(渡辺)ここにハンコお願いします。
(愛介)はい。
はい。
どうも。
何このサイズ…。
すごいじゃない!私カニに目がないんだ。
開けよう開けよう。
ダメだよ。
お母さん帰ってきてから。
…ってでも冷蔵庫に移さなきゃまずいもんな。
こんなにあるんだもん。
1つぐらい食べたっていいよね。
ダメだよ。
うわっ!キャー!ポイントカード忘れちゃった。
ああ忘れ物忘れ物…。
愛介!ちょっ…何してるのあんた達!ほら!何してるの!しっ…死体!したい…。
まあそんないやらしい!もう…したくても我慢しなさい。
高校生なんだから!違う。
死体…死体!死体?キャッ!こっこれ…。
(カメラのシャッター音)
(大石貴一)送り主の住所欄はデタラメです。
(二宮一馬)えっ?まさか自分の家で検視するなんて…。
いい?始めても。
うん頼む。
(未奈)先生これ…!やっぱりね。
さっき見た時そう思ったの。
この遺体すでに解剖されてるわ。
何!?じゃあ先生のところへ送ってきたのは再解剖してほしいから…。
かもしれないわ。
でもできないわよ。
各県警に電話して盗まれた遺体がないかどうか調べて。
それと裁判所の許可も。
わかった。
すぐ調べる。
(電話)はいそうですか。
わかりました。
先生各県警に問い合わせたところ盗まれた死体はなかったそうです。
裁判所の許可も下りたと。
わかった。
始めましょう。
(桑田)はい。
瞳孔が混濁している。
結膜下に溢血点。
手のひらに漂母皮。
死因は恐らく溺死でしょうね。
背中を見るわよ。
これ…!
(桑田)溺死だとするとスクリュー創ですねそれ。
何年法医学勉強してるの?傷口よく見て。
はい…。
血管の周りが皮下出血。
傷が一筋だけというのも…。
そういうこと。
遺体元に戻して。
黙祷。
始めます。
血性の漏出液が貯留している。
死後3日以上経ってるけど正確な日にちはわからないわね。
陸に上げられ解剖されドライアイスで冷やされてたんだから…。
470。
それで解剖したのは…?法医学をきちんと学んだ人間ね。
縫合もとてもきれいだったわ。
でもわからないわ。
解剖すれば他殺死体だとわかるのに…。
それをどうして私に送ってきたのか…。
他殺…!?他殺死体なんですか?この遺体。
他殺!?間違いないのか?ええ。
背中にあったこの傷生活反応もあったし鋭利な刃物で斬りつけられたんじゃなくてナタかオノのような刃の厚いもので斬りつけられたんだと思うの。
その後海に突き落とされ溺死した…。
(有田光志)いや実はですねたった今北九州栄署から連絡があってその死体は3日前に若松の海で発見された溺死体じゃないかって言うんです。
(小池勇樹)西山孝史32歳。
北九州の警察医の北崎静という人が解剖し自殺だと判断された遺体なんです。
ちょっと待ってよ!何でこれが自殺なの?この背中の傷は?送られてきた検案書にはスクリュー創だとその警察医は言ってます。
この傷をスクリュー創だと断定する警察医がどうかしてるわ。
話すわ。
この警察医と。
待て。
気持ちはわかるがな事態はもう少し複雑なんだ。
複雑…?お前に遺体を送り付けてきたのはその警察医の娘らしい。
娘?その娘の北崎由香って人はこの西山孝史と内縁関係にあったらしいんです。
でそのことで母親の北崎静とうまくいってなかった。
だから母親がした解剖に難癖をつけて先生のところへ送ったんじゃないかというのが北九州栄署の見解で。
できたらその遺体をすぐ送り返してほしいと。
冗談じゃないわ!親子関係がどうであろうとあの遺体は他殺よ。
自殺だと断定するほうがどうかしてる!でもまあたとえ他殺だとしてもそれは北九州栄署の管轄の事件ですし…。
あきれた。
だから放っとくの?あの遺体は私に自分は殺されたんだって声を聞かせてくれたのよ。
それを管轄がどうの…自分達の事件じゃないのってそんな理由で黙って遺体を送り返すの!?黙っちゃいないよ!もちろんお前の見解は向こうに伝える。
伝えるだけ!?この警察医は明らかに死因を隠蔽してたとしか思えないのよ。
だとしたら犯罪の可能性だってあるじゃない!だとしてもだ。
ここは横浜だ。
(電話)
(岩本刑事)はい刑事課。
何!?どうした?保土ヶ谷の雑木林に女性の死体です。
(パトカーのサイレン)きれいですね。
何だか眠っているようだ。
こちらです。
(ため息)頼む。
うん。
エンゼルメーク…。
何ですか?エンゼルメークって。
死に化粧のことよ。
やっぱり…。
どうした?この遺体死に化粧だけじゃなくホルマリンが注入されてエンバーミングが施されてるわ。
エンバーミング?外国でよく行われる死体の保存方法…。
主任!遺体の身元がわかりました。
バッグがそばに置かれていたのをホームレスが眠ってるんだと思って持っていったらしく…。
免許証によると北九州市小倉区在住北崎由香。
北崎由香?じゃあさっき問題になってた警察医の娘…?始めます。
(大石)ちょっと待ってください!北崎さん!由香!由香…。
誰が…?誰がこんなこと…。
北九州の警察医北崎先生です。
ちょうど横浜にお見えになっていて…。
お嬢さんの解剖を担当させていただく二宮です。
私に解剖させてください。
私には資格があります。
存じてます。
でもここは横浜です。
福岡の資格では解剖はできません。
それでは立ち会わせてください!お願いします。
警察医のあなたならおわかりいただけると思います。
これは司法解剖です。
ご遺族でも立ち会いはできません。
先生こちらへ。
あなたが西山孝史の遺体を再解剖なんかするから娘がこんなことになったのよ!あなたは遺体発見現場の海の状況なんか何もわかってないくせに!先生!
(桑田)先生…。
始めましょう。
左わき腹に刺創口。
かなり深いわね。
恐らくここからの失血が死因ね。
でもなぜエンバーミングを?わからないわ。
通常エンバーミングには半日はかかるの。
角膜が微濁していたから恐らく死亡推定時刻は昨夜の11時から午前1時の間。
遺体をどこかから公園に運んだことを考えると…。
時間が足りませんね。
でも時間を短縮する方法はあるの。
恐らく犯人はコンプレッサーか何かを使って圧力をかけながらホルマリンを注入しエアブラシを使ってファンデーションを塗り口紅を差した…。
でも普通の人間にできるんですか?エンバーミングなんて。
今は葬儀社でもやってるところもあるわ。
それに横浜のように港を抱えていて外国人の遺体を多く扱う法医学者にもできないことはないわ。
ということはやっぱりあれですかね?遺体をきれいに保存しておきたかった。
でも解剖されるんですよ?そんなことしたって…。
でも愛していたらするんじゃないかな?少しでもきれいに…。
愛していた…。
うん…可能性としてはあるわね。
エンバーミングを施したのは彼女と近い関係の人間かもしれない。
恋人とか親子とか…。
親…!?終わりました。
で死因は?たとえご遺族でもまだお話しすることはできません。
ですよね。
私も警察に報告する前に死因は何だってよく遺族に詰め寄られて…。
ただ…。
何?ただ。
ご遺体にはエンバーミングが施されていました。
エンバーミング?エンバーミング…。
エンゼルメーク…。
まさか…いいえ…。
そうよあの子しかいない!あるんですか?エンバーミングで何か心当たりが。
渡辺秋男といって私がお世話になった駐在所のおまわりさんの息子です。
由香とも幼なじみで…。
あの子以前確か葬儀社に勤めていてエンバーミングを何回か経験したことがあると…。
渡辺秋男…。
でも法医学を学んだ人間でもできますよね。
エンバーミング。
疑ってるの?私を。
ええ。
確かにできるわ私にも。
でも私が娘を殺すわけが…!いいえそうは言ってません。
ただあなたは西山孝史さんの死を自殺と断定した。
そのことでお嬢さんとの間に感情のもつれがあったとか。
それがお嬢さんが私のところへ遺体を送ってきた理由ですよね?はっきり言わせてもらいます。
西山孝史さんの死は自殺ではありません。
他殺です。
横浜のような大きな港の監察医はそう判断するのね。
あれはスクリュー創じゃないと。
だから現地の海の状況を何もわかってないって私は言ったのよ。
あれはスクリュー創よ。
それも10トン以下の小さな…。
たぶん漁船でしょう。
でもあの傷には生活反応がありました。
海に飛び込んで仮死状態だった時にスクリューに巻き込まれたの。
傷に生活反応が出たのはそのためよ。
だったら漁船だって気づくはずでしょ。
衝撃だってあるでしょうし。
それで船を止める!?漁は時間との勝負なの。
あなた全然わかってないわ。
海で暮らしを立てている人達の生活が。
でもあの傷はどう見ても…!もうやめて!これ以上議論しても始まらないわ。
見解の相違ね。
渡辺秋男はこの横浜に本社があり北九州に営業所のある倉沢水産でトラックの運転手をしています。
彼のこと調べてくれますね?署に帰ったら早速。
遺体を引き取らせていただきます。
車の手配を。
あれは絶対スクリュー創じゃない!
(大石)これが渡辺秋男です。
どうだ愛介。
ここにハンコお願いします。
この人だよ!もう1人はこの女の人。
この2人で間違いない!待て!渡辺!おいおい俺のトラック…!幌つきトラックだ!すぐ手配しろ!行くぞ!昨日の夜確かに渡辺秋男はここで仮眠をとったんですね?はい。
ちょっと中を…。
どうぞ。
これは…。
(小池)これエンバーミングに使った道具じゃないですか?ここに血も…。
(三井友治)確かに昨日一日渡辺の奴は妙に暗い顔をしていましたからね。
まあ大体ねおかしいんですよ。
あいつがなぜ横浜にいてうちの仮眠所に泊まったりしたかね…。
ローテーションだとあいつは北九州で明日の朝の積荷に備えてるはずですがね。
で彼がその葬儀社に勤めていたというのは?うちの社長がねどこかの葬儀で見かけてその仕事ぶりがいいとか言ってね引き抜いてきたんですよ。
まあ今はね現場を覚えさせるためにトラックの運転手をさせてますがね。
まあゆくゆくは経営のほうをやらせたいとか何とか言ってました。
(倉沢元司)そんな…。
秋男が人殺しだなんて何かの間違いですよ。
そりゃ北崎先生のお嬢さんと仲がよかったのは知ってますしでもあの由香って子には一緒に住んでる男がいるんです。
その内縁の夫の西山孝史さんも数日前に不審な死を遂げられました。
死んだ?この男死んだんですか?何かご存じなんですか?ええ…。
先週ここへやって来たんです。
(倉沢)うちの社員が?
(西山孝史)ええ。
渡辺秋男っていう男ですよ。
困るんですよねぇ。
幼なじみだか何だか知らないけどうちの女房に言い寄って。
金を脅された?ええ。
でもふざけるなって追い返してやりましたよ。
ああ…。
先生できました。
では始めます。
ここに貼ったのは豚肉です。
豚の皮と肉が人間のそれに一番近いんで。
まずこの背中に…桑田君。
はい。
それではいきます。
エイッ!見てこの切り口。
この傷…西山孝史の背中の傷跡と似てるでしょ?通常のスクリュー創の場合はこうなの。
スクリュー創の場合ブレードつまり羽根の数が1枚じゃないから当然周りにこういくつか傷跡がないとおかしいの。
(有田)なるほど。
全然違いますね。
だからつまり西山孝史のこの傷はスクリュー創じゃないということなの。
(安東篤)何ですかそれ。
黙って見てれば。
北九州で発見された遺体の話ですか。
大事なことでしょう?北崎由香さんが殺されたのは西山孝史の事件と関係があるんだから!
(村中葉子)学者のプライドね。
はっ!?何ですか?それ。
二宮さんはっきり言うわよ。
あなたは北九州の警察医への対抗意識でこだわってるかもしれないけど私達にとって西山孝史が自殺だろうが他殺だろうが今の段階ではどちらでもいいの。
そんな無責任な…!検察も警察も自分の管轄以外の仕事はどうでもいいっていうの!?それじゃ殺された人があまりにもかわいそうだわ。
人は好き好んで場所を選んで殺されるわけじゃないの。
私は北九州の警察医に対してこれっぽっちも対抗意識なんか持っていません!再解剖で西山孝史の最後の声を聞いたから。
だから…!もういい!やめろ。
俺達は今北崎由香殺しで動いている。
そして今渡辺秋男という男が容疑者として浮上した。
渡辺秋男が港南医大の廊下で北崎由香と言い争っている姿を目撃されている。
うちの大学で?それだけじゃないんだ。
渡辺秋男のロッカーにあったエンバーミングの道具には北崎由香の血痕が付着していた。
今事件はそちらに絞られている。
貴重な時間を割いてお前の説に付き合ってる暇はないんだ。
でも…!捜査に戻ってくれ。
何としてでも渡辺秋男を押さえるんだ。
いいな?
(一同)はい!待って!ねえ…。
あの西山という人の遺体は真実の声を聞いてほしくて私に送られてきたのよ。
どうしてそれを無視するの!?事件の根はそこにあるんでしょうが!いいから。
あなた…!あなたのお説は一応拝聴しておくわ。
今後何か役立つことがあるかもしれないから。
先生ももう少し空気読まなくちゃ。
(ため息)何で?何でみんな真実から目をそらすの?
(ため息)まいったなぁ…。
どうすれば説得できるんだろうあの石頭。
愛介!
(前田雄太)おい!聞いてんのかよ!愛介…。
いいか!?二度となうちの妹に暴力振るったらな承知しねぇからな!覚えとけよ!行くぞ芽衣子。
もうこんな奴相手にするな。
うん。
いーだっ!愛介…。
ホントなの?あの子に暴力振るったって。
ちょっと突き飛ばしただけさ。
別に大したことじゃ…。
そんな言い方ないでしょう!相手は女の子なのよ。
大丈夫だって。
もう放っといてよ!愛介!ちょっと…。
愛介が女の子に暴力を?そうなのよ。
私が訊いても詳しいこと話してくれないし。
あなたから訊いてもらえないかしら?
(七海)そうよ一馬。
こういう時はね父親の出番よ。
うん。
あいつは?今塾行ってる。
もうすぐ帰ってくると思うけど。
よし…。
九州から帰ったら話する。
えっ?飛行機の時間がないんだよ。
北九州行ってくるから。
北九州って渡辺秋男が…?お前に言いたくない。
お前が邪魔するから!じゃっ…邪魔するってそういう言い方って…!もっと言いなさい。
そしてガンガンもめて!叔母さま…。
叔母さまが私達の夫婦ゲンカをたきつけるっていうことはまたお嫁さんともめたんですね?あら…わかっちゃった?もう…わかっちゃったわよホントに!この大きなバッグ見つけた時からもう怪しいなって思ってたんだから!ああ…2〜3日…。
どうぞどうぞ。
ここ避難所として使ってください。
でもね!へへへへ…。
叔母さまにちょっとお願いがあるの。
お願いって何かしら?えっ?愛介の学校に様子見に行く?いやいや…叔母さまあのねそこまでしてくださらなくて結構ですから。
食事のこととさり気なく愛介の様子見ていていただければ。
はい。
はいお願いします。
まずは北九州栄署ね。
西山孝史の遺体発見現場を詳しく聞かないと。
はい。
すいません。
北九州栄署までお願いします。
はい…。
(村先刑事)…なあ?
(警察官)班長。
ああ。
早紀…お前!お前どうしてここへ。
あなたに言いたくない。
邪魔されると困るから。
あのなぁ…!ちょっと…。
いいから!
(村先)あんたですか。
うちの警察医の北崎先生の鑑定にいちゃもんば付けとる監察医というのは。
いちゃもんだなんて。
私はただ真実が知りたいだけです。
おいちょっと来い。
大体おかしいじゃないですか。
ちょっとやめてよ!おかしいじゃないですか!ちょっと来い!痛いってばもう…!痛いって痛い!離してよもう!もう…。
ああ…。
いいか!?俺達はな渡辺秋男がこの北九州に戻ったという情報でここに来ている。
奴を捕まえるためには地元の警察の協力がどうしても必要なんだ!引っかき回すことはやめろ!違うでしょ?大切なのは真実でしょ?言ってくれたの?ちゃんと。
西山孝史は自殺なんかじゃなく殺されたんだって。
一応な…。
だがあの態度だ。
わかるだろう。
北崎静は医者としても警察医としてもここでは絶大な信頼を得ている。
ああじゃあ私から話すわ。
それが間違いだって教えてくる!やめろったらもう!どうしてよ?もう…。
あの警察医は嘘をついてるのよ。
かばうの?あなたまで。
かばっちゃいないだろう!かばってるでしょう!先生!未奈ちゃんに西山孝史の遺体が発見された場所の地図渡しておきましたから。
この先の遠見ヶ鼻という岬でタクシーで20分ぐらいだそうです。
見損なったわ!プライドはないの!?真実を見つけるのが警察の仕事だっていつも言ってるじゃない!真実を見る目が濁ってるわよ!
(車のクラクション)もう危ないなぁ…。
どこ見てんのよ!お前が悪いんだろう。
気をつけろ。
トラックが壊れる。
ちょうどあの灯台の下あたりで見つかったのね?はい。
船から突き落としたんですかね?この一帯の潮の流れを調べないとね。
九州北部の海流は陸地に沿ってこう西から東に流れていて遠見ヶ鼻に流れ着いたということは福岡の玄海島か志賀島この相島気象条件によっては宗像の大島ということも考えられますね。
ありがとうございました。
一番近い大島から当たってみましょう。
はい。
あっいろんな形のスクリュー。
お願いね。
はい!
(カメラのシャッター音)水死体?そげな物に出くわしたって話はここんところ聞いたことなかばい。
なあ?俺達漁師は昔からどざえもんのことは「恵比寿さん」言うて縁起のよかもんと思うとりますけんな。
恵比寿さんば見つけた日は大漁になると昔から言われとるけん船に引き揚げることはあろうがそげな当て逃げすることはなかばい。
そうですか。
恵比寿さんね…。
やっぱりスクリュー創じゃなかった。
これであの北崎って警察医が嘘をついてたことがはっきりしてきたわね。
先生あの人…。
うん。
恨みます。
「渡邉家」…。
どういうこと!?渡辺秋男といって私がお世話になった駐在所のおまわりさんの息子です。
あっ…。
しのんでらっしゃるんですか?西山孝史さんを。
うまくいってなかったんですってね。
あなたと西山さん。
あなた私を疑って北九州まで来たんでしょう?好きなだけ調べればいいわ。
でも私鑑定を変えない。
ここから突き落とせば若松の遠見ヶ鼻に流れ着くそうですよ。
あなた地元の医科大学で法医学の講師をしているそうですね。
法医学の一翼を担うあなたがなぜあんなデタラメな鑑定をしたのか。
あの鑑定がデタラメなことは自分が一番よくわかっているはずでしょう。
だから見解の相違…。
あなた法医学に携わってることに誇りを持ってるのね?ええ。
だから法医学を悪用する人間が許せないの。
強いわねぇ。
私にはその強さがまぶしすぎるわ。
私にもあったわ誇りが。
間違いなくあった。
ロサンゼルスに渡って勉強し直し監察医として生きていくんだって心に決めてた。
東京のね大塚の監察医務員の試験も受けたことあるのよ。
合格したけど勤められなかった。
由香がお腹にいることがわかったから。
それにエンバーミングを広めようとした夫の事業もうまくいってなかった。
エンバーミング…。
ご主人はエンバーミングを?でも犯人じゃないわよ。
身勝手な男でね20年前ここで自殺した。
自殺?
(北崎信一)ああーっ!!
(渡辺保)いかんいかん!奥さんまで早まっちゃいかん!あんたには娘がおるとよ。
あげなかわいか由香ちゃんば1人残してどげんするとね!
(2人)あははは!じゃあその時の男の子が渡辺秋男。
あの男は…渡辺秋男は20年前のことを持ち出せばすべて自分の思いどおりになると思ってた。
どういう意味ですか?それ。
あなたには関係のない話よ。
でもね渡辺秋男がエンバーミングの仕事を始めたのは由香に近づきたい一心からだったの。
由香の亡くなった父親と自分をダブらせてくれれば…。
そう考えたのね。
卑劣な男…。
そして西山を殺しそれでも思いどおりいかなくて由香を…。
やっぱりあなた西山孝史が他殺だとわかってたのね。
だけどお世話になった駐在さんに恩を返すため駐在さんの息子の渡辺秋男を守ろうとして自殺だと偽った鑑定を書いた。
悪いけどあなたとここでこんな話してる暇ないの。
北崎さん!
(ため息)すべて渡辺秋男の犯行…。
まだそう決まったわけじゃないわ。
エンバーミングなら彼女だってできる。
声を出すんじゃない。
先生!先生…。
ああっ!渡辺秋男ね?写真で見たわ。
俺もあんたを知ってる。
あんたが出かけたのを見て宅配便を届けた。
子供だけならうまくいくと思ってね。
そこまで協力して私に再解剖させたのに…。
なぜ北崎由香さんを!?俺じゃない!俺は殺しちゃいない!俺は由香を…愛してた。
俺が殺すわけねぇだろ!!由香とはあんたの大学の解剖室の前まで一緒に行った。
(未奈)他殺…!?他殺死体なんですか?この遺体。
その後あいつとケンカになったんだ。
もうよせよ!他殺だとわかったんだ!あとは警察が動いてくれる!でも私は犯人を突き止める!秋男君には悪いけどこれ以上付き合ってくれなくていい。
心当たりあんのか!?犯人に。
ごめん。
言えない。
でも本当にありがとう。
ダメだ行くな!行かせない。
離して。
離して。
私の気持ちはまだあの人にあるから。
ごめんね。
(渡辺の声)あいつは西山の敵を討ちに行ったんだ。
そして殺された。
それが本当なら警察に出頭したほうがいいわ。
私も付き合う。
一緒に警察へ…。
嫌だ!!俺が犯人にされる!他に誰かいないのか!?エンバーミングのできる奴が。
いるわ。
ごく身近に1人。
誰だ!?それをあんたに訊こうと思ってたんだ。
俺の他に誰かいるのか。
警察が疑ってる奴が。
そいつが俺のロッカーにエンバーミングの道具を持ち込んで俺を犯人に…!北崎静。
北崎先生…。
彼女ならエンバーミングもできるし西山孝史を殺す動機もある。
そのことを由香さんに気づかれもめているうちに過って殺してしまったということも…。
彼女はあなたが犯人だと言ってたわ。
でも本当にあなたが殺していないんだったら警察に行きましょう。
私も一緒に行くから!ねっ?由香を殺した犯人が北崎先生なら俺は先生を…!バカなこと言わないの!警察行きましょ?ねっ?うるさい!!先生ー!?先生!あの人…。
「渡辺秋男」…。
あっすいません。
(携帯電話の振動音)もしもし?ああ未奈ちゃんか。
どうした?何?渡辺秋男が宗像の大島に?ええ。
それで先生の姿も見えないんです!どこかに消えてしまって…。
「ひょっとしたら先生渡辺秋男に…」わかった。
すぐ手配する。
ああ早紀は大丈夫だ。
よし!至急宗像北署に連絡して手配しろ!
(一同)はい!行くぞ!主任…。
行くぞ。
(パトカーのサイレン)申し訳なかとです!一足違いで間に合わんで…。
まだこの付近にいるかもしれんな。
主任自分達が捜します!主任は大島へ行く船で…。
いやいい。
それですたい。
いくら奥さんが心配ちゅうてもそげなあまかことが。
向こうは向こうで駐在が捜しとるんだし。
おい行くべ!主任!ダメです。
もうこの一帯には…。
それより主任大島へ。
あんな栄署の連中の言うことは気にしないでください。
二宮さん!早紀は?まだ…。
島の人達にも捜してもらってるんですがどこにも…。
(警察官)おい!おーい!見つかったばーい!おったぞー!大丈夫かね?ケガはなかかね?すいません。
ありがとうございます。
よかったなぁ奥さん見つかって。
ありがとうございます。
見つかってよかったー!ああよかったよかった!えらい目におうたね。
先生!!大丈夫ですか?うん大丈夫よ。
ごめんね。
よかった…。
(泣き声)
(未奈の泣き声)お前の身勝手な行動を支えてるものは一体何だ?プライドか?いい加減な鑑定をした警察医に負けたくないっていう…。
違うわ!そんな気持ちこれっぽっちも…。
俺が北崎静の鑑定に疑問を抱いていないとそう思ってるのか?だって渡辺秋男を追うことばかり夢中になってて…。
いい加減にしろ!!
(ため息)すべての情報の中から出した結論が渡辺秋男をまず確保することだったんだ。
そういうプロセスを…考え方をいちいちお前に説明しなきゃいけないのか?そうしなきゃお前は納得しないのか?
(ため息)情けなかったよ…。
お前が見つかった網小屋へ走っていく途中みんなから「奥さん見つかってよかったですね」「ああ無事でよかった」「よかった!」…。
俺はありがとうございますありがとうございますって頭下げっぱなしだよ。
ごめんなさい!でも渡辺秋男は由香さんを愛してた!殺してないって…!自分で犯人だと名乗る奴がどこにいる。
(ため息)とにかく帰ってくれ。
何も言わずに横浜に帰ってくれ。
このとおりだ。
あなた…!これが俺のプライドだ。
事件を解決するためなら何でもする!俺はそうやって生きてきたしこれからも生きていく。
あなた…。
わかった。
帰ります。
邪魔してごめんなさい。
チェックアウトお願いします。
かしこまりました。
(一馬の声)とにかく帰ってくれ。
何も言わずに横浜に帰ってくれ。
(ため息)あの男は…渡辺秋男は20年前のことを持ち出せばすべて自分の思いどおりになると思ってた。
どういう意味なんだろうあれ…。
先生チェックアウト終わりました。
お釣りです。
未奈ちゃんごめん!先に横浜帰って!私ね1つだけどうしても気になることがあるの。
あっお釣り…。
それでみんなに新鮮なお魚でもお土産買ってあげて!先生!じゃあね!運転手さん急いでください。
はい。
渋滞してるのね…。
いやね若松で今バーゲンばやっとった店で大火事になったとですよ。
火事?大勢ケガ人ば出て…。
そやけん渋滞ばしとるとですよ。
あの…火事でケガをされた人達ですか?ええ。
外科病院だけでは収容しきれなくなりウチでも応急手当を。
藤本さん!2階に消毒液と点滴追加して!はい!あの…。
あああなた医者でしょ?手伝って!ええっ!?はい…。
大丈夫ですよ。
熱傷2度ぐらいね。
傷口洗いますからね。
洗拭お願い!大丈夫。
今消毒しますからね。
染みますか?アクリノール湿布しますからね。
先生!戸畑の外科病院に手配がついたそうです!わかった。
搬送お願いします。
はい!
(ため息)あの…北崎先生は?お出かけになりましたよ。
ええっ?こちらです。
あっどうも。
(静)どこなんです!?渡辺秋男はどこにいるんです?あなたがかくまってるんでしょ!そりゃあひどいですよ先生。
でも北九州に戻ってるのは確かだって警察は言ってるんですよ!だから私もこうして横浜から戻ってきて秋男を捜してるんです。
(子供達)先生こんにちはー!ああ来たね!先生稽古を始めてください。
お願いします。
今はそんな気分じゃ…。
始めましょ。
(太鼓)あっもっと腕上げて!ほら。
はいいいよ〜!あっちょっと替わって。
やってみるね。
(太鼓)見学ですか?ええまあ…。
すごいでしょ。
あの人女医さんなんですけどね。
女であれだけ小倉祇園太鼓ができる人はいないんですよ。
私もこうして「ふるさと伝統の会」を立ち上げた甲斐があったというものですよ。

(子供達)ありがとうございましたー!
(ため息)小倉祇園太鼓。
無法松で有名ですよね。
まだいたの?あなたも相当暇ね。
その言い方はないでしょう。
人を散々コキ使っておいて。
それもそうね。
ごめんなさい。
ありがとう。
さっきは助かったわ。
ううん。
1つ…訊きたいことがあるの。
あなた渡辺秋男は20年前のことを持ち出せばすべて思いどおりになると思っていたって…。
昨日そう言ったわよね?ねえあれどういう意味?北崎さん。
駐在さんだったあの男のお父さんには本当にお世話になったから…。
それで恩を着せられるっていう意味。
恩を着せられて西山孝史を自殺と鑑定した?またその話?もうやめましょその話。
ちょっと待って!おや?まだおらっしゃったとですか?あっ先生。
こちらの横浜の警部殿が先生に一度話ば伺いたいと。
よろしいですか?ええ。
お願いします。
あっああ…まいったなぁ…。
じゃあ大島で渡辺秋男に会っていないんですね。
会ってません。
会ってたら殺します。
始末は自分でつけます。
あなた方昨日だって取り逃がしたそうじゃないですか。
信頼できません。
ではもう1つお訊きします。
あなたはお嬢さんが殺害された日横浜にいらした。
死亡推定時刻の午後11時から翌日1時までどこで何をしていましたか?
(ため息)疑ってるの?私を。
あなたも奥さんと同じね。
私は由香が西山の遺体を送った二宮先生を頼るに違いないと思って横浜であの子のこと捜してました。
アリバイはありません。
警部!もういいでしょう。
北崎先生はご遺族なんですよ。
被疑者扱いは…。
いや念のためです。
(携帯電話の振動音)失礼。
(携帯電話の振動音)俺だ。
倉沢社長の様子がおかしいんです。
何かソワソワして落ち着かず…。
ひょっとしたら渡辺と接触するのかもしれません。
わかった。
すぐ行く。
倉沢水産のほうに。
あっ私はいいですか?ちょっと先生に話が…。
まったく…俺達は小間使いじゃなかたい!あっ…先生。
これ見てもらいたいんですが。
(静)何これ。
DNAの親子鑑定表じゃない。
こんなものどうしたの?先生のお嬢さんと西山孝史が一緒に住んどった部屋にあったとです。
先生なら専門家だし何かわかるかと思って。
あの2人の部屋…。
(大石)倉沢さん。
来ませんか?渡辺秋男は。
いつ連絡が取れたんです?刑事さん…。
秋男は人殺しなんかできる奴じゃないんです。
だから昼前に電話があった時に俺がかくまってやる…お前を信じてるから来いって…。
だが現れない。
バカな奴だ!何で…何で…!由香…どういうことなの?どうしてDNAの鑑定なんか…。
これは…。

(内線電話)はい二宮です。
何ですって?渡辺秋男が!?ご苦労さまです。
こちらです。
渡辺秋男…。
今九州から帰ってきた。
ポケットにこれが。
自殺とは思えない…。
俺じゃない!俺は殺しちゃいない!まさかあの人が…!?卑劣な男…。
早紀。
先入観を持たずにやってくれ。
瞳孔の混濁が顕著ね…。
軽度の腐敗からみて…死後3日。
じゃあ私と先生が九州から帰ってきた日に…。
うん…この人も横浜に戻っていたことになるわね。
これ…。
何かしら?
(桑田)何かトゲみたいですね。
うん…。
写真を撮って。
はい。
(カメラのシャッター音)
(葉子)どういうことなの!?一度ならず二度も…。
それも北九州まで行って取り逃がす?揚げ句の果てに容疑者に死なれた!?一体あなた達何やってるの!申し訳ありません。
しかし検事。
私はこれで事件が終わったとは思えません。
渡辺秋男の死には不審な点もありますしこの一連の事件には何か深い裏があるとしか…。
裏?じゃあその根拠は?まさか勘だけで言ってるんじゃないでしょうね?二宮警部困るんですよ。
こっちが切り返すとだんまりじゃ。
勘なんでしょ?結局は。
今のところは。
(安東)ほれみなさい。
まいったなぁ。
とにかくこれ以上失態を繰り返すようならそれなりの覚悟はしておくのね。
私の話は以上。
何してんだ!捜査を続けろ。
(一同)はい!
(ため息)死体検案書持ってきたわ。
ああ…。
他殺の証拠は?かなりの量のアルコールが検出されたから泥酔していたことは間違いないけど他殺とは…。
そうか…。
だが俺には自殺とは思えない。
私も同じ意見よ。
だから法医学者としてあらゆる手を尽くして渡辺秋男の最後の声を聞いてみる。
頼む!秋男が自殺?考えられませんねそんなバカなこと。
誰かに殺されたんですよきっと。
死亡したのはあなたが九州で彼を待っていたあの日になります。
あの時彼はすでに横浜に戻っていた。
もらった電話で何か言ってませんでしたか?別に…。
ただ口が重く…。
でもあいつは犯人じゃない。
誰かに殺されたんだ…。
そうに決まってますよ!うーん…。
私が!?冗談じゃない!何で私が渡辺秋男を殺さなくちゃいけないんですか?そうは言っていません。
ただあなたは3日前の夜この先のふ頭で誰かを待っていた。
誰を…誰を待っていたんですか?それは…。
それにあなたは…。
渡辺秋男1人が社長にかわいがられていたのでおもしろくなかった。
そういう噂も耳に入っていますが。
そんなことはありませんよ。
それにね…待ってたのは女ですよ。
それだけのことですよ。
桑田君!あのトゲ何のトゲかわかった?魚のトゲでした。
魚?何の種類?今調べてもらってます。
夕方には。
そう…。
あっ永岡君。
(永岡)はい。
肺胞の中のプランクトンを分析して。
肺の一部切り取ってあったでしょ?はい。
それで壊機法の準備して。
(永岡)この中に切り取った肺の一部を入れて…。
こうやって酸をかけると…。
肺は分解される。
けど珪藻類の細胞壁は残るんだ。
その細胞壁を鏡検してみると…。
どう?
(永岡)これといって特色のあるプランクトンは見えませんね。
そう…。
でもこういうことしても自殺他殺の判別は…。
もちろんわからないわ。
でも何でもいい。
何か…何か手掛かりが欲しいの。
そうか…。
他殺の証拠は出ないか?ごめんなさい。
いろいろやってみたんだけど…。
いやいいんだよ。
ありがとう。
(ため息)早紀。
うん?自分の都合のいい時だけお前に頼って身勝手な男だ。
俺は。
すまない。
身勝手はお互いさまじゃない。
それにあなたに怒鳴られてないと私やる気出ないし。
バカ。
ただいまー。
(愛介達の騒ぎ声)ちょっと。
(愛介達の騒ぎ声)叔母さま!あらっ早紀さん!ボンジュ〜ル!イエーイ!大丈夫よ。
飲んでるのね私だけ。
あとみんな未成年だから。
ねえ〜!そうじゃなくてこれは一体どういうことなんですか?いけない。
早紀さんに説明しなくちゃ。
説明とかそういうことじゃなくて…。
ストップストップ!怒るのストップ〜!ちょっと叔母さま。
もうどういう訳があるんですか?きちんとわかるように説明してください!いやだから…あなた愛介が女の子を突き飛ばしたらしいって言ってたでしょう?それには訳があったのよ。
この家に死体が送られてきてあなたが警察に電話しに行ってる時…。
それで…それで愛介…。
そうなのよ。
いい子じゃないの。
命というものに対してちゃんと尊厳の気持ちがある。
死体は物じゃないというあなたの仕事に対する理解もある。
ねっ?私その話聞いて涙が出てきちゃったわよ。
まああの子ったら…。
そうならそうと言ってくれればいいのに。
そこが男の子なのよ。
余計なことはひと言も言わない。
…ですね。
本当そう…。
…ってそれと下の騒ぎは別でしょうが!あははは。
まあね。
でもさうれしい時はパーッとやりたくなってちょうど遊びに来てたあの子達に話持ちかけたのよ。
パーッとやりましょ!パーッと!って。
私は今考えることがいっぱいあってそれどころじゃないんです!撤収してください!撤収!!はい。
愛介今日ごめんね。
今度また日を改めてちゃんとごちそうするからってお友達に謝っといて。
いいよ。
僕達もちょっと調子に乗りすぎてたんだ。
ああ…ダメか。
うん?どうした?いやさっきさおでん作る時にうずらの卵を串に刺してたらトゲが刺さっちゃってさ。
トゲ?だから気をつけなさいって言ったでしょう?もうこうやってうずらの卵をいくつも握ってもう一気に刺そうとするから。
握って刺す…?そうよトゲよ!握ったのよ!ああ?
(携帯電話の操作音)桑田君?私。
ねえ魚の種類何だった?オコゼ?明日オコゼ用意するわ。
あっ君は大きめの水槽を用意して。
永岡君は海パンと水中メガネ!先生準備できました。
さあ…。
足ひれまではちょっとオーバーだけどまあいいか。
桑田君オコゼ出して。
はい。
えっ?ちょっ…待ってくださいよ!何ですか?このオコゼをこの中に入れて僕がこの中に入るんですか?そう。
それでこのオコゼをギューッとつかんでほしいの。
ちょっと何言ってるんですか!オコゼって毒を持ってるんですよ。
トゲに刺されたら僕死んじゃうじゃないですか。
死なないわよ〜。
ちょっとしびれて半日ぐらい腕が使いものにならなくなるだけよ。
大丈夫だよ。
そのためにほらゴム手袋を二重にしてるんだから。
さあさあ…。
ダメですよ!ダメですよ!絶対ダメですよ!親からもらった大事な体なんですからねこんなことで傷つけるわけにはいきません!じゃあ臨場感はちょっとなくなるけど…。
未奈ちゃん死んだほうのオコゼ出してあげて。
ほーらこれならいいでしょう?死んだら毒はなくなるそうですよ。
ホントに?四の五の言わないでやるの!親からもらったその体たまには科学のお役に立てなさい。
たまにじゃないでしょ。
しょっちゅうでしょ!はいほらほら。
そうそうそう。
そこ。
そこでこのオコゼをギュッと握って。
うわ〜!!毒!?ちょっと臨場感をね。
もうバカ!手のひら見せなさい!比べて。
(未奈)ほぼ同じです。
渡辺秋男さんの手のひらに刺さったトゲの状態と。
でもどういうことなんでしょう?先生。
オコゼは普通水深30メートルから200メートルの間に生息してると言ってました。
ということはそこまで死体が潜っていき刺された…?渡辺秋男さんのトゲが刺さった傷には生活反応があったわ。
彼は生きているうちにオコゼを握って刺されたのよ。
いやそれは無理ですよ。
生きてるうちにったってオコゼだって生きてるんですからね。
それを深く潜って今みたいに握ったりは…。
だから握ったオコゼはやっぱり死んでたのよ。
渡辺秋男さんは瀕死の状態でそれでも最後のメッセージを残そうと必死で死んだオコゼをつかんだ。
(桑田)でも深海魚は死んでも浮いてこない場合が多いそうですよ。
だから…どこか手の届く海底は?手の届く海底ですか?そう!ああっ…!活魚運搬車よ!活魚運搬車!ほら生きたまま魚を運ぶあのトラックよ!あのトラックならオコゼもいるし手が届く海底よ!聞いたことがあります。
トラックで輸送される魚は全部が全部生きているわけではなく何匹かは輸送中のストレスで死ぬって。
渡辺秋男さんは水産会社の社員…。
彼はその活魚運搬車の中で殺されたのよ。
活魚運搬車?そう!活魚運搬車を使えば何も渡辺秋男さんを横浜で溺死させる必要はないのよ。
どこでも!例えば北九州でも。
活魚運搬車の水槽に沈めて溺死させておけば横浜に運んで海に捨てることができる!その逆もある。
もし西山孝史が他殺だとしたら横浜で活魚運搬車の水槽で溺死させ北九州の海へ捨てる。
アリバイは関係ない。
そういうこと!わかった。
倉沢水産の活魚運搬車のこの4日間のスケジュールを把握し犯人を割り出すんだ!
(一同)はい!お待たせしました。
聞きました。
北九州栄署から。
あなたが手掛かりを見つけてくださったんですってね。
ありがとう。
いえ。
会えるかしら。
秋男君に。
会わせて。
ごめんなさい。
あなたのこと疑って。
本当にごめんなさい。
愛を感じました。
渡辺秋男さんは死ぬ間際に必死でオコゼをつかんだ。
それは由香さんへの愛情だったと思うんです。
何としても由香さんを殺した犯人を捕まえてほしい。
そうね。
あなたの言うとおりね。
ありがとう。
秋男君。
それであなたにお願いがあるの。
このタバコの吸い殻に付いた唾液からDNAを検出してほしいの。
えっ?お願い。
これがあの吸い殻の唾液から検出したDNAのバーコードです。
じゃあこのバーコードとそれが一致するかどうか調べて。
これ…!この鑑定書の「A」のDNAのバーコードです。
でもこの親子鑑定は一体…?続けて。
このバーコードにさっきの吸い殻の唾液から検出したDNAのバーコードを重ねると…。
やっぱり。
どういうことなんですか?20年前1人の女が事業に失敗し借金をいっぱい抱えた夫から無理心中を迫られた。
その夫婦には子供がいたわ。
5歳になる女の子。
夫は女を殺してその後子供を抱いて海に飛び込もうとしていたの。
でも…。
(静)ああっ…!これしか方法がないんだよ!これしか…。
ダメ!落ち着いて!冷静になって!死ねー!!うわっ!
(信一)ああーっ!!
(静の声)女は自首するか自分も死を選ぼうとした。
それしかないと…。
でも…お世話になっていた駐在さんが止めてくれたの。
そして駐在さんは何も言わずに自殺で処理をしてくれた。
無理心中しようとした夫のほうが悪いんだと言って。
ところが…。
はい。
北崎です。
(ボイスチェンジャーの声)「明日遠見ヶ鼻に浮かぶ水死体を自殺で処理しろ」何言ってるの?あなた一体誰?
(ボイスチェンジャーの声)「それを断れば20年前お前の犯した殺人が明るみに出る」「それに娘の命もないと思え」「いいな?自殺だぞ」
(電話の切れる音)それであんな鑑定を…。
法医学者失格よ。
でもそうするしかなかった。
自分の過去が暴かれるのも怖かったけれどでもそれ以上に娘に危害の及ぶことが…。
じゃあ由香さんを殺した犯人は20年前のそのことを知っている人間…?だから秋男君が駐在さん…つまり亡くなった彼の父親から話を聞いて電話をかけてきたと思った。
でもそうじゃなかった。
だったら誰がそんな20年前のことを!いるわ。
1人だけ。
誰よりも一番詳しく知ってる人間が。
まさか…!そのまさかよ。
生きてたの。
夫は。
あのDNAがその証し。
由香と同棲していた西山孝史は由香の周りで奇妙な動きをしているその男に気づきDNA鑑定をしてその男が父親だと突き止め恐らく彼を脅したのよ。
その男がかつて犯した犯罪も突き止めてね。
そして殺された。
じゃあこの記事の男が父親…。
あなたには心当たりがあるのね?だからあの吸い殻を手に入れることができた。
ごめんなさい。
私しなくちゃならないことがあるから九州に戻るわ。
何なの!?しなくちゃならないことって。
まさか…!違うわよ。
子供達に教えてる小倉祇園太鼓の仕上げをしなくちゃ。
飛行機の時間があるから。
誰?誰なの!?あの吸い殻の主は!ここから先は警察の仕事よ。
犯人を知っていて誰にも話そうとしない…。
倉沢水産の誰かよ!でも社長の倉沢さんじゃないわね。
あの人なら静さんもよく知ってるし。
主任!どうにもなりませんね。
活魚運搬車の運行管理表が破棄されていて車の特定に手間取ってます。
運行管理表が破棄された?
(舌打ち)とにかく続けてくれ。
何としても車を割り出すんだ。
はい!
(電話)もしもし?
(静の声)「お電話ありがとうございます」「北崎医院です」「都合により当分の間診察を休ませていただきます」何?北九州へ行く?気になって電話したら当分休診するって…。
何か胸騒ぎがするのよ。
だから…。
「だからって…」何もお前が…。
(大石)主任!活魚運搬車の特定ができました。
よしその車の運転手を確保しろ。
(大石)はい!いいか?早紀。
(携帯電話の不通音)バカ!若松の北崎医院までお願いします。
(太鼓)もしかしたらあそこじゃ…。

(ため息)まさかあなただったとはね…。
この場所でこうして会うのは20年ぶりね。

(静)何か言ったらどう?整形で顔を変え声も手術で変えたのね。
だからわからなかった。
由香を死なせてしまったのは謝る。
俺の不覚だった。
あの子は西山を殺したのは俺だと見抜いたんだ。
あなたは嘘をついている!言いなさいよホントのことを!あなたなんでしょ?うちの人を殺したのは…!由香…。
やむなくあの子には俺が父親だと名乗った。
だがそれが逆効果だった。
父親…?ふざけないでよ!そんな話信じない。
じゃあ娘の愛する人だと知っていて西山を殺したことになるじゃないのよ。
許せない…そんなの許せない!由香…やめろ!離して!やめろ…よせ!うっ!由香…!由香…由香ー!!せめてもの償いに由香の最期を飾ってやろうとエンバーミングを…。

(倉沢)それが父親としてあの子にしてやれる最後のことだった…。
嘘よ!だまされないで!北崎さん。
あなたはたまたま渡辺秋男さんがエンバーミングの技術を持っていることを知っていた。
だから彼に罪を着せようと由香さんにエンバーミングを施しその道具を彼のロッカーに入れた!そして渡辺秋男をおびき出し泥酔させ重しを付けて活魚運搬車の水槽に沈めそして自分のアリバイを完璧に作った。
バカな奴だ!何で…何で…!
(早紀の声)その後遺体を横浜へ運び海に捨てた。
あなた人間じゃないわ!そう。
この男がどれほどの悪魔かわかってる。
これもあなたがやったんでしょ?山口で起きた事件だからわからなかった。
でもこの似顔絵整形前のあなたに似てる。
生まれ変わったんだよ俺は。
一度はお前に殺され生まれ変わったんだ。
だから何でもできる。
俺には怖いものは何もない。
あの老夫婦からいただいた金で顔を変え声帯手術で声も変え戸籍も買った。
それを西山の奴が嗅ぎつけ…。
ところで倉沢さん。
(倉沢の声)DNAの鑑定書と新聞記事で俺を脅してきた。
俺は人を殺す度に強く生まれ変わるんだ。
ふざけないで!あなただけは…あなただけは許せない!ダメよ!ああっ…ああー!北崎さん!さあ海へ飛び込め。
逃げ場はないぞ。
俺のように海に落ちて生まれ変わったらどうだ!こんなことしても無駄よ!警察はすでにあなたを手配している。
だろうなぁ。
だが俺はこれまで貯めた金でまた生まれ変わる。
捕まらんさ俺は。
一生逃げ延びてやる…。
死ねー!逃げて!さあ早く!待て!
(倉沢)待てー!ああっ…!北崎さんしっかり!北崎さん!やめて!やめて…!ううっ…!早紀!考えてみたら一度でもあなたを疑うなんて私がどうかしてたわ。
あなたは人を殺せるような人じゃないもの。
お嬢さんの分まで生きてね。
私には生きる資格が…。
西山孝史の鑑定を偽らずに報告しておけばこんなことには…。
由香や秋男君だって…。
確かにあなたは法医学者失格。
でもあなたには治療を待ってる患者さんや小倉祇園太鼓を習う子供達がいるわ。
生きる資格はないですって?でも死ぬ資格はもっとないはずよ。
患者さんや子供達を置き去りにして…。

(嗚咽)そうか。
北崎静は医者として頑張ってるか。
うん。
地元に根付いた医者として前よりももっともっと頑張ってるみたいよ。
うんよかった。
いいことだ。
なあ早紀ちょっと訊きたいんだけども…。
もしもだよ?まあ今回の件とちょっと事情が違うけどももし法医学の鑑定で嘘をつけじゃないと俺の命を取るぞって言われたらお前どうする?もうそりゃあもちろん…。
まあまあ…訊くだけ野暮だな。
もちろん俺の命のほうが大事だよな?反対よ!反対?法医学の鑑定を大事にするわ。
だってさ法医学は私が命を懸けた仕事ですものね。
あっでもこれ愛介だったら別よ。
愛介だったら愛介を取るわ。
(女の子)ねえ付き合ってよ。
愛介?ねえいいでしょ?離せ…。
ねえ1日ぐらい…。
あっやばいおふくろ…。
あっち行こうあっち。
あら〜あいつまた女に言い寄られてるな。
愛介こうボリュームのあるのが好きだな。
俺と似てるよ。
ああ…。
おいどうしたんだ?ちょっと私今めまいしちゃった。
あの子今私のことを「おふくろ」って言ったわよね?ああ言った。
私いきなり70歳のおふくろさんになった気分…。
バカ男の子だもん。
おふくろぐらい言うよ。
なあ?あれ?えっ?えっ?お前シワできたな。
(咳払い)あらっこっちにはお迎えジミってやつだな。
ちょっとやめてよ!そういうこと言うんだったらねいい化粧品買ってプレゼントして。
ああ…プチ整形したーい!お金出してー!そんなの無駄無駄。
ねえねえエステに行く!エステに行くからお金出してー!エステー!きれいになるー!!2014/04/01(火) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
法医学教室の事件ファイル[再][字]

北九州〜横浜 配達された解剖遺体…女医二人が鑑定対決!魚のトゲに疑惑が!?

詳細情報
◇出演者
名取裕子、宅麻伸、かとうかず子、斎藤洋介 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0×0818)
EventID:56441(0xDC79)