生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
10時5分を回りました。
きょうは調査捕鯨国際司法裁判所判決の意味は、というテーマです。
先ほどのニュースでもお伝えしましたが、日本が南極海で行っている調査捕鯨について国際司法裁判所は現在のやり方では認められないとする判決を言い渡しました。
判決の意味についてその影響について合瀬宏毅解説委員がお伝えします。
国際司法裁判所での判決どういうことだったんでしょうか。
合瀬⇒日本が主張してきた科学のための目的調査が否定されたということなんです。
今回、国際司法裁判所が判決を下したのは南極海で日本が行っている調査捕鯨です。
日本は南緯60度以南の南極海でおよそ30年にわたって鯨の生態を調べるための調査捕鯨を行っていました。
対象はミンククジラやナガスクジラなど3種のクジラです。
捕鯨反対国に対する配慮や環境保護団体シーシェパードの妨害などで実際に捕っている数は100頭余りです。
毎年1000頭以上の捕獲を目標としてやっています。
調査捕鯨をオーストラリアが訴えたわけですね。
そもそも現在は国際捕鯨取締条約によって商業捕鯨は禁止されているんです。
一方で科学的な調査を目的とした調査捕鯨については例外として認めているんです。
ですから日本はこれに基づいて調査捕鯨を行っているんですが、ただオーストラリアは4年前に日本が南極海で行っている調査捕鯨について、実態は商業的な目的とする捕鯨であり国際捕鯨取締条約に違反しているとして国際司法裁判所に訴えたんです。
オーストラリア側、日本側それぞれの主張はどういうものですか?パネルを見ていただきたいんですがオーストラリア側は現在行っている調査捕鯨について捕獲される鯨の頭数が毎年数百頭に及んでいること。
鯨の肉が市場で売られていることなどを理由に、実態は商業捕鯨にほかならないというふうに主張しています。
一方日本側は捕獲する頭数は調査のために必要なもので鯨肉の販売は条約で認められているとして反論して科学的な調査が目的で、成果を挙げていると主張してきました。
お互いの主張が真正面からぶつかり合う展開で裁判の行方が注目されてきました。
日本側の主張は認められなかったんですよね。
国際司法裁判所はきのう大きな枠組みで見れば日本の調査捕鯨というのは、科学的な調査だと言えるものの目的を達成するのに妥当なものではないというふうに述べまして日本はこれまで南極海で行っていた調査捕鯨は、条約で認められている科学的な調査には該当しないという判断を示しました。
そのうえでこのままの形で捕鯨の許可を与えることは認められないという判決が出ました。
それはどういうことですか?ひと言で言うと目的はいいんですがやり方がよくないということです。
これを見てください。
日本が調査捕鯨の根拠としている国際捕鯨取締条約8条。
要点は科学的研究のため鯨を捕獲し、殺して、及び処理することができると書いてあります。
さらに捕獲した鯨はむしろ加工して販売して処分しなければならないと書いてあります。
ですから日本が言ってきた主張とむしろ合致しているんです。
なのに、なぜ日本の調査捕鯨が科学的なものではないと言われているんですか?数と調査の方法が問題とされています。
日本では2005年以降南極海でそれまでの2倍に当たる1000頭を超える捕獲量を調査捕鯨として計画をして目指してきました。
その目的はミンククジラが増えすぎているため数の増加を調べるとともに種の間で餌の競合が起こっていないかなど生態系の解明や管理方法を調べるというふうにしていました。
それが問題だったんですか?それで分かったこともあるんです。
鯨というのは巨大な体を支えるために大変な餌を必要とします。
調査の結果胃の中が空っぽの鯨が見つかるなど明らかに数が多すぎて餌不足が起こっていることが分かりました。
ただ裁判所は数が多い理由が不透明なこと。
鯨を殺さない調査方法が求められていたのに日本は検討してこなかった。
生態系全体を解明するには鯨の種類ごとに調査しなければならないのにあまりナガスクジラとかは捕っていなくて、ミンククジラばかり捕っていてその行為は正当化できないとして国際取締条約8条1項を逸脱していると判断したんです。
この負けというのは政府は予想していたんですか?これはかなりショックだったと思います。
そもそも日本の調査捕鯨については、もともとIWC国際捕鯨委員会でやられてきた議論です。
IWC捕鯨国と反捕鯨国が対立していまして、何も決められない状態が続いていました。
オーストラリアに訴えられた裁判であるとはいえ日本としては法にのっとってやっているので、日本の正当性をきちんと国際社会に訴えるチャンスだと思っていたんですね。
しかし結果としてこういう形で判決が下りました。
南極海で調査捕鯨はできなくなりました。
このことで日本にはどんな影響があるんでしょうか?さまざまなことに影響があると思います。
日本では南極海のほかに三陸沖などで調査捕鯨も行っています。
例えば太地町和歌山県の太地町では国際捕鯨委員会が管理していない小型の鯨やイルカの漁を行っています。
鯨の竜田揚げやベーコンユッケなど地元の伝統料理や地元の味として親しまれてきました。
こうしたものもなくなってしまうということも考えられるんですか。
もちろん今回の判決は南極海での調査捕鯨を対象にした判決で三陸沖での調査捕鯨や小型の沿岸捕鯨は問われていません。
南極からの調査捕鯨で供給される鯨肉は全体の20%とそれほど多くないんです。
ただ三陸沖での調査捕鯨についても、南極海でこういう結果になりましたから三陸沖でも訴えられる可能性もありますし沿岸で行われているイルカ漁は国際的に批判がずっとありました。
ますますそれが強まるかもしれません。
そうなると地元の方は困りますね。
ほかの魚種への影響も考えられます。
実は鯨は食べられている地域もかなり限定されているものですから、日本政府の中にも鯨のために国際社会と争いをしていいのかという慎重論が根強くありました。
政府が抗議にこだわったのは資源は有効利用すべきという原則論を曲げると海の資源に囲まれる日本にとって死活問題になるという危機問題があったからです。
クロマグロなど鯨だけでなくほかの魚も守るべきだという主張が環境団体から出ています。
次々と規制されていたら日本は困ってしまいますね。
日本は世界の流れに資源に余裕があるなら科学的な根拠をもってその資源を利用すべきと主張してきました。
科学的な方法が法律に合致していないというふうに批判されました。
日本は戦力の練り直しが急がれると思います。
合瀬宏毅解説委員でした。
次回は飯野奈津子解説委員と共にお伝えします。
2014/04/01(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「捕鯨 国際司法裁判所判決の意味は?」[字]
NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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