(夜明日出夫)
タクシーの営業にはこの業界独特の取り決めがある
例えばテリトリーの問題
はいありがとうございました。
わあ…。
お客さん…。
あの…江ノ島!すいません。
これ都内のタクシーで今から回送で都内に戻らなきゃいけないんですよ。
江ノ島!いやですから回送で都内に戻らなきゃいけないんですよ。
あら!?神奈川の人間が都内のタクシーに乗っちゃいけないっていう法律でもあるの?そういうわけじゃないですけども。
だったら江ノ島に行ってちょうだい。
これも運命なんだから。
いや私ねタクシーに乗りたいなぁって思ったらおたくの車がグーッと私の目の前に止まったのよ。
目の前よ目の前!これを運命と言わずして何と言いますか!世の中の偶然はねすべて必然なのよ。
必ず何らかの理由がそこにあるの。
乗り換えるの面倒くさいし。
あのねこのタクシーが回送なのも運命かもしれませんよ。
神様がおっしゃってるんですよ。
これに乗ったら事故に遭う。
これに乗ったら大渋滞に巻き込まれるって…。
はっ…。
運命だわ!電車で帰る!はい。
気をつけてね。
はいはい。
はいじゃあね。
聞き分けのいいお客さん。
都内のタクシーは近県に客を運ぶことはできてもその県内でお客を乗せることは許されない
それでも時々こういう客が現れる
いらっしゃいませー。
(西村あゆみ)すいません。
私もこれと同じもの。
お前仕事は?この間まで入ってた派遣が終わったとこ。
以後は未定。
お前さ定職に就いたほうがよくない?ちゃんと職探ししてるの?してるよ〜!ねえそんなことよりお母さん再婚するみたいよ。
嘘!?嘘言ってどうするのよ。
相手はお母さんより13歳も年下なんだって。
13下!?もう舞い上がっちゃって大変よ。
やるなぁあいつ。
ちょっと!感心してる場合じゃないでしょ。
お母さんが再婚するっていうことはお父さんに復縁の見込みがなくなるってことなんだから。
いいの?それでも。
あいつが誰と再婚しようが俺が四の五の言う権利なんかないもの。
じゃあずっと男やもめじゃない。
それじゃ困る。
何が?だってさこの先お父さんが寝たきりとかになったら私しか面倒見る人いないでしょ?はい!?言っときますけど私だっていずれお嫁にいくんだから。
お前そんな心配してるの?お母さんはいいわよ。
ほらまだ若い恋人作る元気あるし。
問題はお父さんよね…。
未だに恋人の1人もいないしさ。
大きなお世話!何か将来暗そう。
あのな俺は寝たきりになんかならないから。
まあそうしたらしょうがないから私がお父さんのオムツとか替えてあげるよ。
でね…その代わりにイヤリング欲しいんだけど。
今日の目的それ?いいでしょ!将来面倒見てあげるんだから。
妙なものだと思う
離婚して8年。
復縁の望みは持たなかったが別れた女房の再婚話にはやはり気持ちがざわついた
だが同時に肩の荷が下りたような安堵感もわく
少なくともあいつは離婚を乗り越えた
そう感じたからだ
はいありがとうございます。
《13歳年下の男か…》
(ノック)はい。
(八木沢遼子)立川までお願いします。
ああどうぞ。
娘の明るさに救われながらふと思う
この先俺にも新たな出会いが訪れるのだろうかと
きれいねぇ。
はい?新緑。
ああ…今一年で一番いい季節かもしれないですね。
立川仕事ですか?原稿取りなの。
イラストレーターの自宅まで。
雑誌の編集か何か?ええ。
もうすぐ廃刊になるんですけど。
あっ…ちょっとそこのコンビニで止めてください。
ああはい。
(遼子)すいません。
立川か…結構距離かせげるな。
ラッキーラッキーだね。
はい。
すいません。
随分買い込みましたね。
イラストレーターへの手土産代わり。
仕事しながら飲む人だから。
女性なんだけど。
ああ仕事しながら飲むんですか。
うん。
あっ急いでくださる?約束の時間があるんで。
はい。
お釣りはいいわ。
ありがとうございます。
はい。
すいません。
よいしょ。
(チャイム)
(チャイム)お留守なんじゃないですか?おかしいわね…。
そんなはずないんだけど…。
朱音さん?朱音さん?
(遼子の悲鳴)
(遼子)朱音さん!朱音さん!警察…!警察に連絡!
(ノック)触っちゃダメ!ダメ!部屋のもの何か触った?じゃああとは俺がやるから。
この人の名前は?えっ?この人の名前!あっ松原朱音さんです。
所番地。
6丁目3の14…。
あなたは?あなたの名前。
あっ…八木沢遼子。
(東山秀作)ちょっとすいません。
(国代義明)すいません。
ご苦労さまです。
早く来なさい。
(国代)はい。
先輩…。
んっ?あそこ…あれ夜明さんじゃ…。
ええ〜!?ホントだ。
まただよあの人。
遅い本庁!こんなのんびりしてていいの?夜明先輩がどうしてここにいらっしゃるんですか?俺が警察に通報したんだもん発見者として。
えっ!?じゃあ夜明さんが発見しちゃったんですか?しちゃったんだよ。
何の因果か知らないけど。
(ため息)やっぱり何だかこう呼び込むんですね。
事件を。
さすが元刑事の業ですね。
なあ?バカなこと言ってないで早くホトケさんを拝んでこいよ。
はい。
待っててください。
わかりました。
あの…後でじっくり事情聴取させていただきます。
わかりました。
帰らないでくださいよ。
わかりました。
元刑事さんだったんですねぇ。
ええまあ。
どうりで場慣れしてらっしゃると思った。
いや随分昔のことです。
何だかおかしな因縁ね。
元刑事さんの車で殺人現場にやって来るなんて。
ふふ…。
変な因縁ですね。
ごめんなさい。
私のせいでご迷惑おかけして。
いえ別にあなたのせいじゃありません。
これから何が待ってるのかしら?所轄の刑事の事情聴取が終わったら今度本庁の刑事の事情聴取が始まります。
まあ何回も大変ですけどこれは捜査の第一歩です。
(カメラのシャッター音)
(神谷警部)夜明!?また夜明さんが死体の発見者なのか?はい。
客を運んできてそういうことになったらしいのですが…。
ふーん。
でまだそっちにいるのか?「いえ。
今しがた帰っていただきました」それより警部大至急ですねそちらで調べていただきたいことがあるんですけど。
「何だ?」はい。
被害者の夫のことです。
殺されたのは松原朱音。
売れっ子のイラストレーターです。
旦那はワインの輸入業者で池袋に事務所を構えているらしいんです。
なんですがそこに何度電話を入れても誰も出ないんですよね。
携帯は?「電源が切られてるみたいでまったくつながりません」亭主に疑わしい点でもあるのか?いえ。
現場を一見したところ物盗りの犯行にも見えるんですがただ使われた凶器がですね室内にあったゴルフクラブというところが気になります。
賊だったら普通自分の凶器を用意すると思うんですが…。
先輩!最近夫婦の間で何かもめごとがあったようです。
隣の主婦が何日か前車庫で言い争っている2人を見たって。
もしもし?というわけですから警部場合も場合ですし万が一ということもありますから大至急池袋のほう確認していただけますか?わかった。
池袋のどこだ?ええ…西池袋2丁目藤和ビル松原商会です。
うんわかった。
夜明さんが死体の発見者か…。
ふふ…何でまたそういう場面に行き当たるかねあの男は。
どうして辞められたの?刑事さんを。
ある捜査に協力してもらった女性のことを誤解されて週刊誌に書かれてそれでまあ離婚しちゃったりして。
そう…。
殺された方とは長い付き合いだったんですか?3年くらいかしら。
だったらご主人にも何回かお会いしてますか?さっき刑事さんにしつこく訊かれたわ。
ご主人はどんな人で夫婦関係はどうだったのかって。
何かご主人が疑われるようなことがあるのかしら?単に手順踏んでるんですよ。
家族関係は必ず訊くんです。
いや朱音さんとは仕事以外のお付き合いがなかったの。
だからご夫婦のことまではわからないわ。
ああそうなんですか。
うん…。
でもあんな姿を見るとちょっと考えるわね。
男のように精力的に仕事をこなしてたけど女としての彼女はホントはどうだったのかなって。
私が死んでも同じような考えを持たれると思うけど。
あなたも男性並みに精力的に仕事をこなしてこられたんですか?エンピツですって。
社内での私のあだ名。
エンピツ?ガリガリ身を削っていつもとんがってるって。
ふふふ…。
ねえ板橋のほうを回ってくださる?板橋?母がお世話になってるケアホームがあるの。
お母さんが…。
アルツハイマー。
だんだんひどくなる母を見るのがつらくてしばらく足が遠のいてたんだけど何だか無性に会いたくなっちゃった。
失礼ですけどご家族は?母だけよ。
生まれた時からずっと。
今日はありがとう。
いえこちらこそありがとうございます。
またタクシーご用命の時はぜひ。
ああお母さん。
元気だった?事務所の縮小…。
では松原の事業はうまくいってなかったということですか?以前は社員を何人も使っていたらしいが今は携帯を頼りに1人でやっているらしい。
事業上の借金もだいぶあるらしいぞ。
じゃあ事務所にいくら電話をかけても誰も出ないわけですね。
そっちじゃ行方がまだつかめんのか?はい。
今殺された朱音の叔母という女性が千葉から来てますので話を聞いてみます。
捜査本部の設置までにはできるだけ情報を集めといてくれよ。
わかりました。
どうもお待たせしました。
先輩…今ちょっとお話を伺ってたんですけど松原には女がいたようです。
朱音が生前打ち明けてたらしいです。
相手はわからないけど間違いないって。
(木村昌江)こんなこと身内の恥ですからホントは言いたくないんですけどいつかはこうなるんじゃないかって私心配してたんですよ。
朱音は気が強いっていうか自分が売れっ子なのを鼻にかけるところがありましたし。
あの松原さんの事業ですねここのところあまりうまくいってなかったという話なんですが。
そのこともですね随分もめたみたいですよ。
松原さんは朱音に資金援助を頼んだみたいなんですけどね。
朱音のほうは女のことがはっきりするまでは一切協力しないって言ってましたし。
(松原朱音)自分でやりなさいよ!そのくらい。
昔は2人そろって千葉の私の家まで遊びに来たことだってあったんですよ。
それがどうしてこんなことになっちゃったのか…。
(電話)はい。
はいわかりました。
松原が現れたそうです。
(松原史朗)朱音…。
何でこんなことになったんだ。
朱音…!朱音…。
目を開けてくれ朱音。
朱音…。
(嗚咽)朱音…。
叔母さん…。
今までどこにいたの?今までどこにいたの!仕事ですよ。
郡山で。
郡山?向こうでニュースで知ってとんぼ返りしてきたんです。
私が留守の間にこんなことが起きてるなんて知らなくて…。
何度も携帯にお電話したんですけどね。
電源切ってましたから。
新幹線の中じゃそうするのが常識でしょう?ホントなの?あんたこの事件に関係ないの?ねえホントに関係ないの!?妙な言い方やめてくださいよ。
私がどうしてこんな事件に…。
正直に言ってちょうだい!そりゃ朱音も朱音でしたよ。
あの子が妻として落第だってことは私だってよーく知ってますよ。
でもねあの子は私のたった1人の姪なのよ。
早くに亡くなった兄夫婦の忘れ形見なの。
それを…あんなむごい姿に…。
あんなむごい…。
これから先は我々の仕事ですから。
今日のところは…。
恨みますよ。
松原さんあなたが朱音殺したんなら私一生恨みますよ!誤解ですよ朱音の。
昔から嫉妬深くてよくそういう思い違いをするんです。
では奥さんが疑ってたようなことは一切ないと。
当たり前です。
私は妻を愛しています。
事業を縮小したのもなるべく妻に負担をかけまいとしての決断です。
その事業ですが今の困った状況を立て直すためにはかなりの資金が必要なんじゃないですか?確か奥様には5千万の保険が…。
保険が何ですか!私が妻の保険金を狙って殺したとでもおっしゃりたいんですか!いえ…。
決してそう言ってるわけじゃありません。
ただあなたには事業上の困った問題がいろいろおありになるということだけです。
はっきり申し上げておきますが妻と事業とどちらを取るかと聞かれれば私は迷わず妻を取ります。
事業のことで妻を失うような真似は間違ってもしません。
妻が叔母に何を言ったか知りませんが愚痴ですよただの。
あるでしょう?身内に愚痴をこぼすぐらい。
それでも夫婦として何とかやっていくのが普通なんじゃないですか?違いますか!?それで?捜査本部の見解は?大方は亭主灰色説です。
まあ確かに自分もあの亭主はうさんくさいと思います。
けど…。
けど何?八木沢遼子の証言がある限り亭主は圏外とするしかないんです。
八木沢遼子の証言がキーポイントになってるの?はい。
そこで夜明さんにお訊きしたいんですけれどもあの日神保町から立川まで彼女を乗せた時何か変わったことはなかったですか?変わったこと…。
はい。
あの…例えば彼女に妙な電話がかかってきたとかまあバカに落ち着きがなかったとか…。
何でもいいんです。
何もなかったな。
(ため息)ああそうですか。
彼女の何がポイントになってるの?いやまあそれは…。
メザシ1本やるからさ。
えっ?はい。
よろしいんですか?ってあの…猫じゃないんですから!まあ好きですけど。
でもあの…。
一応職業上の守秘義務があります。
何杓子定規なこと言ってんだよ。
何がポイントになってんの?何が?
(ため息)ここだけの話にしていただけますか?もちろん。
まず死亡推定時間なんですが…。
検視官の見立てたところ発見時間の2時間から3時間前…。
つまり11時半から12時半の間ということだったんです。
ところが朱音は12時40分自分の携帯から遼子のデスクに電話をかけています。
原稿ができたので取りに来てくれと。
わかりました。
案外早くでき上がったんですね。
遼子はその電話を受けて社を出たんです。
じゃあいってくるね。
(山本)はいいってらっしゃい。
朱音の携帯にその時の発信記録が残ってます。
ということは朱音は12時40分以後に殺されたということになります。
ではその時間亭主の松原はどこにいたかといいますと東京駅に向かう電車の中です。
東京駅?松原は13時8分発の新幹線で郡山に向かっています。
それは向こうの業者さんがホームで出迎えてますから確かなんですがその新幹線に乗るためには少なくとも12時20分までに自宅を出なければ間に合いません。
微妙なところでアリバイが成立してるわけだ。
はいそうなんですよ。
ですから本部でもいろんな意見が出ましてその中でも一番多かったのが遼子にかかってきた電話…。
あれは偽装ではないかという意見なんです。
ということはあの電話松原がよこしたのか…。
ありえないよ。
松原が朱音さんの携帯を使って偽装の電話をかけたとすると立川から東京駅に移動の間だよ?その携帯どうやって現場に戻すよ。
死体のそばに携帯転がってたんだから。
現に俺もこの目で見てるんだから。
はい…。
そうなんですよね。
では遼子の自作自演…。
というのは松原の浮気相手実はあの八木沢遼子ではないかということなんです。
じゃあ1つ訊くけどさ八木沢遼子は朱音さんの携帯を受けるまでどこで何をやってたの?もちろん会社で仕事です。
朝9時に出社してその後はずっとデスクにいたようです。
じゃあ遼子さんが朱音さんの携帯を使って自分のデスクに電話するためには9時に会社に来た時点で朱音さんの携帯手に入れてなきゃいけないってことになるよ。
(ため息)そうなんですよね…。
大体さ八木沢遼子の自作自演なんて発想初めに松原への疑いありきの推理だろう?答えを出す場合あらかじめ答えがあって周囲の状況をそれに無理に当てはめようとすると必ず失敗するんだよ。
答えを出す場合答えがあって捜査があるんじゃない。
捜査事実の後に答えがある。
これ間違えんなよ。
はい。
いやいやホント間違えんなよ。
はい。
お前聞いてる?はい。
ああそっか…。
まさかな…。
だからこれじゃ入稿できないじゃない!素人でしょこんなの。
いやだって急げって言うから…。
急げっていうのは手を抜けってことじゃないわよ。
もうすぐ私はいなくなるのよ。
これからはあなたがこの第一編集部を背負って立つんじゃない。
もっと自覚を持ちなさい。
すいません。
あと1時間あげるから直しなさい。
はい!あっ先輩。
どう?何か出た?いや例の朱音の携帯ですけど八木沢遼子の自作自演っていうのは100パーセントありえないですよ。
えっ?どうして?朱音から電話がかかってきた時の状況を社員に詳しく聞いてみたんです。
そしたらたまたまあの若い男がそのデスクのところにいたそうです。
ああじゃああれだ。
相手の声聞いたんだ?いえそれは聞こえなかったそうです。
でその電話がかかってきた時遼子の手がどこにあったか訊いてみたんです。
例えば机の下とかポケットの中で朱音の携帯を操作していなかったかなと思って。
ほう…そしたら?コーヒー飲んでたって。
(電話)
(国代)両手でカップを持ってコーヒーを飲んでる時に電話がかかってきたって。
両手か…。
はい。
じゃあ遼子の自作自演というのはないな。
ええ。
彼女の証言に嘘がないとすると松原はシロってことになりますね。
(ため息)あら?聞き込みですか?はい。
どうも。
大変ですねぇ刑事さんも。
どうぞごゆっくり。
ごめんなさい…。
友紀ちゃん!
(泉友紀)ああ遼子さん。
どうしたの?仕事?はい。
『こばとクラブ』のイラスト描かせてもらうことになりました。
へえすごいじゃない!よかったわねぇ。
遼子さんお仕事辞めるって聞いたんですけど。
辞めないわよ。
子会社に出向。
しばらくは堅い専門誌やるの。
何だよかった。
私遼子さんいなくなっちゃったらどうしようって思ってました。
やめようよ俺やだよ。
いいじゃない!見るだけなんだから。
あっあそこあそこ!宝石屋?うん。
あそこで働いているんだってお母さんの彼氏。
すいません。
すいませんちょっとよろしいですか?ええ…。
いらっしゃいませ。
お嬢様へのプレゼントですか?いやあのそういうわけじゃないんですよ。
結婚のお祝いなんです。
父が買ってくれるっていうんで。
まあいいお父様ですね。
どういったものがよろしいでしょうか?うーん…やっぱり指輪がいいかな。
あっこれ!これステキ!最近とても人気のあるデザインでございますよ。
お値段もお手頃です。
わあ〜23万6千円か…。
これってもう少しお安くなったりします?ちょっと…。
ちょっとちょっと…。
違うだろう目的が。
お前の指輪買いに来たわけじゃないぞ。
だって男の店員さんいないんだもん。
お店間違えたかなぁ?すいません。
はい。
あの男性の店員の方っていらっしゃいます?男性ですか?いいえ。
帰る。
もうちょっと見たいんだけど。
いいえ。
あっ…。
何か機嫌悪いみたいで…。
すいません。
先生とご主人の間ですか?ええ。
2年間アシスタントされてたらご夫婦についてもよくご存じかなと思ったんですが。
そうね…。
別に問題なかったと思いますけど。
じゃあ今度のことで何か思い当たることありませんか?例えば誰かに恨まれてたとかトラブル抱えてたとか。
私に聞いたって言わないでもらえます?もちろんです。
私ね今度のことで一番最初に思ったのは朱音先生の弟さんのことなんですよね。
弟!?弟いたか?いいえ。
腹違いの弟さんがいるんです。
亡くなったお父様がよその女の人に産ませた子だって。
先生はおっしゃってました。
ああ…それで?その弟さんっていう人が昔からすごく素行が悪くてギャンブルとかでしょっちゅう借金作ってるみたいで。
お金がなくなると先生頼ってくるんです。
私がアシスタントしていた時も何度か見たんですけど何かヤクザみたいな人で先生ホント困ってました。
結局いつも根負けして先生お金を渡すんです。
だから私言ったことがあるんですよね。
渡すから当てにされるんじゃないかって。
そしたら渡さないと何するかわかんない子だからって。
ああ…。
弟さんの名前わかります?確か井上レイジだったかな。
住所までは知りません。
千葉の叔母がわかるんじゃないですか?ああ…。
いろいろどうもありがとうございました。
お役に立てましたか?大いに。
あっまた何か思い出したら連絡してください。
はい。
(昌江)レイジが!?そりゃああの子ホントにどうしようもない子ですけどでも腹違いとはいえ朱音の弟ですよ。
住まいですか?ええ大久保の駅の裏手にあるええと…みどり荘っていう古いアパートです。
でもねあの子が姉を殺すなんてありえませんよ。
松原さんのほうはどうなったんですか?
(電話の不通音)もしもし!?どうなってんのよ一体…。
井上?ええ。
この時間ならたぶんここだろうってアパートの人から聞いたもんですから。
あああそこですよほら。
タバコ吸ってる人。
ああ金髪の?そうです。
あれ?んっ?いやあの顔見覚えあるんですよ。
どこで見たかな〜。
思い出した。
あいつ事件現場にいましたよ。
えっ?僕達が臨場した時やじ馬の中にいたんですよ。
ちょっとよろしいですか?おい井上!逃げるとまずいぞおい!こら待て!
(国代)待てって言ってんだろう!
(井上レイジ)すいませんすいません!勘弁してください!金は必ず返しますから!金って何だ!?えっ…?警察だ。
とぼけるんじゃねぇぞ。
警察?何だよ…借金取りと思ったじゃねぇかよ。
借金取り?走って損したわ!ねえ井上さん。
いい加減なことおっしゃると困るんですよ。
我々を警察とみてそれで逃げたんでしょ?何で俺が警察から逃げなきゃなんねぇんだよ!それはこっちが聞きたいね。
ああ?あんた松原朱音さんが殺された時現場にいたね。
あそこで何してた?何って…。
姉ちゃんに会いに行ったらあの騒ぎだろ?だから俺驚いてさ…。
おかしいだろ!お姉さんが殺されて警察が入ってるのに何もせずに引き返すなんて!何かやましいことでもあったのか?何だと!?てめぇ!大体立川まで何しに行った?また金の無心か!?てめぇぶっ殺すぞ!弟が姉の顔見に行っただけじゃねぇか!何だその態度は!公務執行妨害だ!!うるせぇ!何だと?やめなさい!ほら!ブレイク!それで?その後はもう話になりません。
警察ははなっから俺を疑ってるんだろってその…。
被害妄想の塊で…。
いやあれは被害妄想なんかじゃないですよ。
やましいことがあるからこそわざと切れてみせてるんです。
アリバイはどうなんだ?ああ…はっきりしません。
午前中は家にいて午後になってからお姉さんに会うために立川のほうに行ったとは言ってるんですけれども…。
一度徹底してあいつを調べるべきだと思います。
僕は絶対あいつが怪しいと思います。
まあまあそう決めつけるなって。
いやでも…。
現場の状況から見て井上ならピッタリとハマるじゃないですか。
財布から金は抜き取られてるしどうせまた金の無心に行って断られて殺ったんです!気持ちはわかるけどな…。
いいか?先に答えがあって捜査があるわけじゃないんだ。
捜査事実があってその後に答えがあるんだ。
んっ?そのセリフ昔よく夜明さんが言ってたな。
まあ…同じタイプだな。
(橋本係長)「1646応答願います」1646どうぞ。
神保町の巴書房指名です。
巴書房?了解。
ああやっぱりあなたでしたか。
引っ越しなの手伝ってくださる?あっはい。
引っ越し?関連会社に出向。
デスク周りのものまとめてたらこんなになっちゃったの。
あっ出向ですか。
ああ大丈夫です。
もう体のいい左遷ね。
売れない雑誌の責任取らされたみたい。
ひと月も前に決まってたことなの。
気持ちの整理はついてるわ。
ああそうなんですか…。
雑誌は私が強引に立ち上げて強引に進めてきたの。
その強引さが上から嫌われたのね〜。
でも女が職場で認められるためには多少強引なところがないとねぇ。
そうかもしれませんね。
ただちょっと頑張りすぎちゃったみたい。
これからはおとなしくやるつもり。
ふふふ…。
そういえば事件は進展したのかしら?気になります?そりゃあねぇ…。
まだ容疑者が挙がったって聞かないし…。
どうなってるのかしら…。
どうなんでしょう。
ねえ元刑事さんでもそういう情報入らないの?私今ただの民間人ですから。
そう…。
でどちらまで?虎ノ門まで。
わかりました。
お母さんお元気ですか?ええ。
今のところは。
でもこの頃しきりに故郷を恋しがるの。
もう長くないのかもしれないわ。
お故郷はどこですか?山形。
足腰が立つうちに一度連れていってあげたいと思うんだけど…。
電車じゃ難しいのよ。
時々妄想の世界に入るから。
ああそうですか…。
宮城県側のお釜の近くに昔母がよくお参りに行ってた刈田嶺神社っていうのがあるの。
そこも見せてあげたいんだけど…。
あっねえ夜明さん。
私と母を向こうまで運んでもらえるかしら?ええご用命いただければいつでも。
じゃあお願いしちゃおっかな!今度の週末。
毎度ありがとうございます。
(ラジオ)お母さん晴れてよかったですね。
体調のほうは大丈夫ですか?もう少しでトイレ休憩取りますから。
(八木沢充子)この運転手おかしいよ。
わざと遠回りしてるよ。
そんなことないわよ。
大丈夫よ。
あんた止めてちょうだい!えっ?降りるの。
止めてちょうだいよ!お母さんこんなところで降りてどうするのよ。
タクシー換えるんだよ。
あんたねわざわざ遠回りして料金つり上げようったってそうはいかないんだからね!お母さん!女だと思ってバカにするんじゃないよ!あっいえいえいえ…。
ああ…うるさいねこのラジオ。
わけのわかんない音楽やるんじゃないよ!今消します。
いつまで走ってるんだい?あんた私をどこへ連れていく気なんだい!?危ないですよ危ないですよ。
お母さん!やめてお母さん!だって…。
大丈夫だから。
止めてよ。
大丈夫大丈夫…。
お母さん!おトイレ向こう。
ねっあっち行こう。
レストランで待ってて。
はい。
(遼子)お待たせしました。
お母さんじゃあそこ座ろっか。
失礼します。
こちらどちらさん?こちらは夜明さんっておっしゃるの。
私の親しい運転手さんよ。
この方が山形まで送ってくださるの。
わかった?初めまして夜明と申します。
この人とはいつからなんだい?お母さん違うわよ。
私は許さないよ。
どうしてこんなつまらない男と…。
大体この男のどこがいいんだよ?申し訳ありませんけれどうちの娘は大学も出ておりますしご覧のとおりの器量よしでございます。
あなた様とはちょっと…。
あのお母さん…。
私ただの運転手です。
お嬢さんの仕事の送り迎えに使っていただいてます。
お抱え運転手?この子そんなに偉いの?はい。
立派におなりでうらやましい限りです。
お飲み物をお持ちします。
コーヒーでよろしいですか?
(店員)お待たせしました。
ごめんなさいね。
いえいえ。
こんなにわけがわからなくなってるとは思わなかったわ。
そのうち私の顔もわからなくなるのかしら?あれ?えっ?嫌だ…どこ行っちゃったのかしら。
お母さん!お母さん!あっ…!ああもうお母さん!!勝手に動き回らないでよ。
びっくりするじゃない。
またトイレ行ってたの?またって…初めてだよ。
(ため息)ねえここどこなの?まずいよ…。
こんな時に君がここに来ちゃ…。
どうして?元アシスタントが先生の位牌にお線香あげに来たんだからちっともまずくないじゃない。
何ビクビクしてるの?嫌いよ。
そんな松原さん。
(ため息)若いな君は。
若いからってそんなに待てないわよ。
わかってるよ。
時期がきたら一緒になろう。
…とか言っちゃってもう結婚はコリゴリなんて後で言い出すんじゃないの?バカだなぁ。
僕が懲りたのは結婚ではなくて朱音に懲りたんだよ。
君は…第2の朱音になってほしくないなぁ。
たとえ売れっ子になっても。
なったらどうする?私を殺す?わあ…。
蔵王だ…蔵王だよ。
変わらないわねあれだけは。
あれを見ながら私はお前を育てたんだ。
ちっちゃい家借りてひとりぼっちで…。
私達の家はどこだべ?なぐなったんだ。
ずーっと昔に。
だなぁ。
もうなぐなったかぁ。
んだ。
なぐなったんだ母ちゃん。
あそこにあったお地蔵さんは?それももうねえ。
何でもかんでもなぐなるなぁ。
なぐなるなぁ。
あはは…。
あそこさ駄菓子屋あったべ。
うん。
遼子アイス買ってうれしぐて店ん前で転んで服さベタベタにしてなぁ。
あはは…。
だけんど泣がねかった。
遼子は強い子。
あはは…。
鎮守様さ行くべ!母ちゃん?母ちゃんダメだ!そんなに走ったら今度は母ちゃんが転ぶべ!
(遼子)ふふふ…速いなぁ。
(充子)うふふ…。
私が小さい頃隣町にはまだ母の親戚が大勢いたの。
今は子供の世代になって散り散りになってるけど。
女手ひとつで私を育ててきた母は随分お金には苦労したみたい。
でも親戚は誰も助けてくれなかったって。
父親のいない子供を産んだ。
それだけで鼻つまみ者だったのよ昔は。
お母さん大変だったでしょうね。
娘って不思議よね。
母親の思いを引き継ぐみたい。
負けるもんかバカにされてたまるもんかって…。
がむしゃらに働いて私を大学まで行かせてくれた母の思いを。
(ため息)だからエンピツなんて呼ばれるようになっちゃったのかな。
ガリガリ身を削っていつもとんがってるエンピツ。
あなたはエンピツなんかじゃない。
やさしい女性です。
今日一日見ててそう思いました。
私があなたの立場ならあなたのように辛抱強く接することはできないかもしれない。
あなたはエンピツなんかじゃない。
強くてやさしい女性です。
帰りもまたひと騒動あるのかしら。
…かもしれませんね。
よろしくお願いしますね。
承知しました。
お話しされたこととかは…。
いやぁもう怖くて声なんかかけられないわよねぇ。
そうよ。
もう…。
あの…ここに訪ねてくるような人物っていましたか?見たことある?全然ないわ。
ありがとうございました。
(携帯電話)はいもしもし。
東山か?松原の浮気相手が見つかったぞ。
えっ?誰ですか?泉友紀だ。
泉友紀…。
あの若いイラストレーターの?松原の交友関係を洗ってた所轄がつかんできたんだ。
松原の大学時代の友人が街で偶然2人を見かけたらしい。
えっ?それだけですか?見かけた場所が問題なんだよ。
横浜のラブホテルの前だ。
その友人も女を連れていたので声はかけなかったらしいがね。
はい。
わかりました。
すぐ当たってみます。
はい。
泉友紀と松原がラブホの前で目撃されてる。
ホントですか?だまされたよなぁあの若い女…。
かわいい顔してたのになぁ。
なあ。
だって…自分から不倫打ち明ける人なんていないんじゃないですか?じゃあ認めるんだね。
松原との関係。
ノーコメント。
ノーコメントって君ねぇ。
警察だからって人のプライバシーに立ち入る権利ないと思いますけど。
わかってるの?これ殺人事件の捜査なんだよ。
事件なんて関係ないわよ。
先生殺したの弟さんでしょ?松原朱音に不倫を気づかれてそれで殺したのか?バッカみたい。
今時不倫なんて言葉死語よ!人を愛することがどうして悪いんですか?あのね…ただの不倫じゃないでしょ?君のイラストレーターとしての将来もかかってたんでしょう?朱音ににらまれたらその世界でやっていけないんじゃないの?事件の日どこにいたの?答える義務はないと思います。
どこにいた!横暴!それで?いえもう…ですからどうしていいのかさっぱりわかりません。
随分弱ってるねぇ。
弱ってます。
そりゃもう…松原の浮気相手やっと見つかったと思ったのに。
肝心の事件のほうは何も進展しないんですから。
不倫に関しては何とか認めました。
松原のほうはずっと否定してましたけど彼女のほうが認めちゃったんだから仕方ないですよねぇ。
若いイラストレーターが朱音のアシスタントを辞めたのそれが原因?ええたぶん。
朱音が疑りだしてやばいと思ったんじゃないですか?下手に朱音を怒らせたら若いイラストレーターの将来もつぶされかねません。
だから動機は十分です。
ところがまたもアリバイの壁です。
またもあの八木沢遼子の証言です。
(ため息)若いイラストレーターは午前中いっぱい家にいて午後になってから行きつけの画材屋へ出かけたと言っています。
(国代)店に入ったのは13時。
これは画材屋の店員が証言してます。
犯行現場と画材屋の距離は?どう急いでも30分はかかります。
ですから朱音を殺害し13時までに画材屋へ入るためには犯行時刻が12時30分まででなきゃ成立しません。
ところが12時40分…。
朱音から八木沢遼子に入ったあの電話です。
あれがある限り松原も若いイラストレーターもシロということになります。
朱音の弟のほうもこれという決め手はないし…。
捜査は完全に暗礁に乗り上げちゃいました。
(ため息)どうしたらいいんでしょうか。
先輩こういう時は…。
あっ神谷も苛立って妙なこと言い始めますし…。
何だって?八木沢遼子に入った電話あれは若いイラストレーターが朱音の声色を使ったんじゃないかって。
バカバカしい…。
自分もそう思ったんですが神谷がうるさく言うもんですから一応八木沢遼子から確認を取ってきました。
彼女何だって?笑ってました。
ええっ?あははは…。
そんなにおかしいですか?刑事さんというのはとっぴなこと考えるのね。
友紀ちゃんが朱音さんの声色を使ったなんて…。
そもそも友紀ちゃんが松原さんと関係してたって話自体が信じられないわよ。
だってあの子はまだ子供よ?子供でも当人が認めてるんですよ。
お2人は半年前から関係があったそうです。
で松原さんもいずれは離婚して彼女と一緒になるつもりだったようです。
そう。
もう一度よく思い出していただきたいんですが12時40分の電話あれは確かに松原朱音本人の声でしたか?ええ。
あれは間違いなく朱音さんだったわ。
ただ彼女もだいぶ驚いてました。
松原と若いイラストレーターのことで。
まあ随分かわいがってたみたいですからね。
あの若いイラストレーターを。
お前さぁ若いイラストレーター若いイラストレーターってさぁ何で名前言わないの?あっ…。
いやそれは一応職業上の守秘義務があります。
お前相談に来て守秘義務ってことはないだろう。
あっそうだ!それはそうと夜明先輩の別れた奥様再婚されるらしいですね。
あゆみに聞いたの?はい。
あゆみちゃん先輩のこと本当に心配されてました。
これで一生お父さん男やもめ。
お気の毒ですねぇ夜明さんも。
お前達なぁあゆみとつまんない世間話してないで仕事ちゃんとしろよ。
神谷が泣くぞ。
そりゃあ…たまには息抜きしないとやってられません。
ホントですよ。
(2人のため息)ふう〜。
どうして避けるの?あなたらしくないじゃない。
怒られると思って。
聞いたんでしょう?私と松原さんとのこと。
ホントだったの?でも私事件とか関係ないですから。
松原さんとのことも遊びじゃありません。
朱音先生には悪かったけど私達真剣なんです。
軽蔑されちゃったかな…。
軽蔑なんかしないわ。
あなたが本気なら。
でも世間の風当たりは強くなるわよ。
覚悟して仕事しなさい。
やっぱり遼子さんにはわかってもらえないと思います。
仕事が恋人ですもんね。
(井上)「もしもし?聞いてるのか!?」ああ。
独り占めしようったってそうはいかねぇんだからな。
ともかくまた連絡するから。
(電話の不通音)もしもし?おい!
(雷鳴)おっとっとっと…。
うわぁっ!おおーっと!ああ…。
あっという間に濡れちゃって…。
ありゃりゃ…滝くぐり抜けてきたみたいですね。
ほらほら…。
ありがとう。
あれ?あれ?まさかもう上がりじゃないでしょうね。
上がっちゃうよ。
こんな雨の中走ってられないもん。
張子の虎ですか。
夜明さんは…。
(雷鳴)うわぁっ!
(雷鳴)
(アナウンサー)「昨夜遅く東京都立川市の住宅で松原史朗さん38歳が殺害されました」「警察の発表によると松原さんは胸を刺されて死亡していたということです」「なお2週間前に松原さんの妻でありイラストレーターであった松原朱音さんがやはり自宅で殺害されており警察はこの事件との関連を調べています」何だよ!何すんだよてめぇらよ!俺が警察に届けてやったんじゃねぇか!犯人扱いするなよ!いいからおとなしくしろ!朱音の死後松原はなぜかあの男と頻繁に会ってます。
松原の手帳にその記録が残ってるんですがこれ理由何だと思われますか?金のことだろ。
あの男には朱音の遺産の4分の1が渡る。
しかしあの男が朱音から借りた金も相当な額になるはずだ。
事業で金の必要な松原がそこを見逃すはずはない。
…ですよね。
こんな場所まで連れてきやがってどうするつもりだ!?帰るぞ!すぐに済むから!申し訳ないですね。
お手間を取らせて。
これが我々の仕事なんです。
ご理解ください。
何か妙に下手に出るじゃねぇか。
松原さんの遺体を発見した経緯についてここでもう一度詳しく教えていただけませんか?だからよ昨夜あいつと会う約束してたんだよ。
新宿の飲み屋で。
何でお前が松原と会う気になった?いろいろ話し合わなきゃなんねぇだろ!姉ちゃんの遺産のこととか。
俺にも取り分があんだからよ。
けど約束の8時間際になって今夜は都合が悪いって電話がきたんだ。
俺頭きてさ…。
あの野郎俺が姉ちゃんから借りた金と遺産相殺するつもりなんだよ!冗談じゃねぇよ。
それで行ったんだよ立川まで。
何時頃?だから8時ちょい前だよ。
新宿出たのが。
雨はどんどんひどくなるしよ。
何か嫌な予感してたんだよな。
そしたら案の定…。
まったくよう!何でこうなんのかな俺の人生…。
死体見て俺いったん逃げたんだよ。
けどここで逃げたらまた疑われると思って…。
だから警察届けたんじゃねぇか。
それにしても松原の奴誰に殺されたのかな?やっぱ姉ちゃん殺した奴と同じ奴かな?あんたじゃないのか?松原と金のことでもめてそれで殺ったんだろう。
朱音の時と同じように。
ぶっ殺すぞこの野郎!!ほらほら!落ち着きなさい!ほら!腹違いといってもな俺にとっちゃ姉は姉だよ!身内殺すほど俺も悪党じゃねぇよ。
女じゃねぇのか?泉友紀ってアシスタントいたろ?あいつと松原はできてたんだろ?あいつだ…。
泉友紀だ…。
あそこですれ違った時はわからなかったけど…。
すれ違ったんだよ!松原ん家の近くで!女と!立川の駅からはタクシーで行ったんだけどよちょうど松原ん家に着く直前赤い傘の女とすれ違ったんだ。
あれ絶対泉友紀だよ!あいつだよ!間違いねぇよ!いろいろお尋ねしたいことがありますから署までお願いできますか?
(橋本)「1646応答願います」1646どうぞ。
八木沢さんという方から連絡が入ってます。
指名ですか?うん?いや知らない。
何か緊急の用件みたいでしたよ。
了解。
(遼子)あっ夜明さん?母が…母がいなくなったの!ねえどうしたらいい?すぐに警察に連絡したほうがいい!?いついなくなったんですか?さっきケアホームから連絡があったばかりなの!まだ何がなんだかわからないのよ…。
すぐそっち行きます。
待っててください。
すいません八木沢です!
(寛子)八木沢さんすいません!ホントにうちの手落ちで…。
どういうことなんですか?ねえ一体どういうことなんですか!?昼間A棟のお年寄りをお散歩へお連れしてたんです。
でも途中でお年寄り同士のケンカが始まってしまって…。
それで介護師がそっちに手を取られてる間に八木沢さんいなくなってしまったそうで…。
一応ご自宅のほうにも1人行かせまして確認取ったんですけれども…。
今のところまだお戻りになってらっしゃらないご様子で…。
戻れるわけないじゃないですか!自分が今どこにいるかもわからない母なんですよ!?申し訳ありません!警察にはさっきこちらから連絡しまして協力をお願いしたんですが…。
あの…。
お母さん今日どういう服装でした?えっ?みんな聞いてくれ。
人を捜してる。
70歳のおばあちゃん。
認知症が進んで危ないんだ。
服装は白地に花柄。
あっ襟のところに「八木沢充子」って名前が入ってる。
見つけたら大至急教えて。
ええっ!?ちょっとあの…。
あっ…何やってるんだろうかなぁ夜明さんは。
ええっ?
(野村)お大事にね。
ありがとうございます。
俺さ環八で客を降ろしてたんだよ。
そうしたらタクシーから強引に放り出されてるあのおばあさんがいたんだよ。
どうして乗せてくれないのよ。
バカにして。
訴えてやるから!どうしたの?どうやら金もねぇのにタクシーに乗ったらしいんだなぁ。
それなのに今度は俺のタクシーに乗ってきてさ。
山形へ行けなんて言うんだよ。
山形?たぶんそうやって何台も捕まえちゃそのたんびに放り出されてたんじゃないの?あっここまでのタクシー代俺払う。
まあいいよ。
それは後で。
それよかさどういう関係なの?あのばあさんと。
うんちょっと…。
ふーん…ちょっとちょっとね。
じゃあ俺稼ぎに戻るから。
じゃあ。
ありがと。
ほいほい。
(寛子)大丈夫ですか?どうしました?母の様子がおかしいの。
口も聞けないみたいなのよ。
病院へ運びましょう!ええっ?岡田さん!救急車呼んでちょうだい!
(寛子)早く!お母さん…。
(救急車のサイレン)ありがとう…。
お母さんの中にこの間私のタクシーで山形に行った記憶があったんですね。
タクシー乗ったら山形に行けるって…。
いい思い出なんてなかったのに。
ホントはあそこには…。
男に捨てられて1人で私を産んで…。
みんなにバカにされて…。
だから母は必要以上に私に厳しかった。
お前は偉くおなり。
勉強して一流大学に行ってよその誰よりも偉くならなかったら承知しないよって…。
少しでも勉強サボると引っぱたかれたわ。
友達と映画に行くこともボーイフレンドを作ることも許さなかった。
貧しくて寂しくて…夢は娘の成功だけ。
そんな母を…私は大っ嫌いだった。
結婚しなかったんですか?若い頃そういう相手がいたの。
母に言わせると三流大出の三流商社マン。
そんな男に嫁がせるためにお前を育てたわけじゃないって。
母にそう言われたわ。
捨てられなかった…。
それでも母を…1人で私を育てた母を私はこの歳まで捨てられなかった。
それなのに…。
今さら私を1人にしないでほしい…。
今さら私を1人にしていかないでほしい…。
胸苦しい思いが付きまとっていた
孤独な女の涙を見たせいだろうか?
3日後彼女の母親が死んだ
だが彼女は二度は泣かなかった
崩れることも泣き叫ぶことも彼女の意志は許さなかったんだろう
おおどうした?世間話をしに来ました。
聞こうじゃない世間話。
一杯やるか?勤務中ですよ。
男の世間話にアルコールはつきものだろう。
ああ事件のことだけど何か若いイラストレーターが容疑者として挙がったんだって?東山ですか。
相変わらず筒抜けだな。
世間話です世間話。
まあ松原殺しに関してはそのイラストレーターの友紀ということになりますかね。
井上っていう朱音の弟の話とその井上を乗せた立川のタクシー運転手の証言をもとに容疑者としました。
うーん…。
動機は?まだこれからです。
でもアリバイもありませんし本部としては自信を持ってますね。
まあ本人は今のところ犯行を否定してますがね。
井上さんが私を見たなんて…そんなの嘘よ!自分の罪を逃れるためのでっち上げに決まってるでしょ!?私は松原さんを愛してたわ…。
本当に愛してたのよ…。
井上や立川のタクシー運転手さんどう言ってるの?泉友紀見たって言ってるの?夜…しかも大雨の中ですからね。
ただ立川の運転手のほうは赤い傘の女が松原家の門から出たのをはっきり見たと証言しています。
じゃあさあの朱音殺しはどうなるのよ?あれは松原も泉友紀もシロと決まったわけだろ?そうなんです。
実はそれで私も困ってるんですよ。
どうぞこちらで。
朱音殺しは八木沢遼子の証言がある限り松原も友紀もシロです。
では2つの事件はまったく別ものなのか?そこがどうも納得いかなくて…。
朱音を殺したのが井上で松原を殺したのが友紀だと…。
まあそういう見方もあるんですが私は賛成しかねます。
八木沢遼子の証言。
あれがどうにも大きな壁ですねぇ…。
いやいや…八木沢遼子におかしな点何もなかったよ。
あの人事件と無関係だよ。
無関係じゃないでしょう。
死体の発見者であり容疑者のアリバイを保証した重要な証言者ですよ?おいちょっと待てよ。
その証言にさどんな作為があるんだよ。
作為言ってみろよ!ええ?いやないとは言い切れないでしょう。
妙に肩入れしますねぇ夜明さん。
何かあるんですか?彼女と。
何かって何だよ。
別れた奥さんも再婚するという話だし。
バカ言ってるんじゃないよ。
何するんですか!熱いなぁもう!もう帰れ帰れ帰れ。
ええっ!?帰れ帰れ。
不愉快だよ。
まったく女が絡むとすぐこれなんだから!ああもうビチョビチョだ。
帰りますよもう!ああごちそうさまでした!!
(ドアの開閉音)クリーニング代請求しなきゃな。
これですね。
警察でお預かりしてたものは。
はい…。
あの…この家何か白い粉だらけなんですけど…。
これって指紋採った跡なんですよね?はい。
こういうのは警察のほうは掃除してくれないんですか?それはそちらのほうで…。
案外不親切なんですね。
警察ってところも。
はいありがとうございました。
昭島…。
ついでだから寄ってくか。
先輩!昭島まで来たからさ。
あっちょうどよかったです。
これから千葉の市川まで送っていただけますか?誰?殺された松原朱音の叔母にあたる方です。
どうぞ。
どうも。
ありがとうございました。
また何かあったらご連絡します。
よろしくお願いします。
じゃあよろしくお願いします。
国代!はい。
警察と契約してるお車なんですか?これ。
いえ…。
そういうわけじゃありません。
ただよく知ってるもんですから…。
姪御さん…お気の毒でした。
びっくりなさったでしょ?ええもうねえ天地がひっくり返ったみたいな気分ですよ。
何でこんなことになっちゃったんだか。
でもまあ事件のほうカタがつきそうですけどね。
ご存じでしょ?あの若いイラストレーターが捕まったってこと。
ああはい…。
もうびっくりしちゃいましたよ!あんな若い子と松原さんがねぇ…。
私はてっきり山形に女がいるんじゃないかと思ってたんですけど。
山形?ええ。
姪がねそう言ったんですよ。
一度郡山へ仕事へ行ったはずの松原さんが山形へ行ったって。
(昌江)何でも背広のポケットに蔵王のロープウエーの半券があったのを姪が見つけて言い争いになったらしいんですけどね。
その時松原さんは郡山での仕事がうまくいかなくて気分転換に山形まで足を延ばしただけだってそう言ったらしいんですけど…。
姪はずーっと疑ってましたね。
何で山形なんだって。
でも関係なかったみたいですよ。
山形は。
その若い愛人と松原さんがそういう関係になったのは去年の暮れくらいからでその山形の話はそれより半年ぐらいは前でしたからねぇ。
そのずーっと前から姪は松原さんの浮気のことは疑ってたんですよ。
(橋本)うん。
いやだから青梅。
いやだから青梅…。
いやだから青梅街道でしょ?だから真っすぐ行けば荻窪の駅に出るからね。
はい頑張って。
はいはい。
はい大同交通でございます。
ありがとう…左様で…。
左様でございますか。
ありがとうございます。
はい。
あっ左様で…。
左様でございますか。
はい失礼いたします。
八木沢遼子の証言がある限り亭主は圏外とするしかないんです。
はい。
それで夜明さんにお訊きしたいんですけれどもあの日神保町から立川まで彼女を乗せた時何か変わったことはなかったですか?八木沢遼子の証言。
あれがどうにも大きな壁ですねぇ…。
その若い愛人と松原さんがそういう関係になったのは去年の暮れくらいからで山形の話はそれより半年も前でしたからねぇ。
だけどねぇそれよりずーっと前から姪は松原さんの浮気のことは疑ってたんですよ。
八木沢遼子を神保町で乗せてこの道を新宿へ…。
新宿から甲州街道でずーっと真っすぐ立川まで。
途中変わったことも変なこともなかったな。
あっ!御茶ノ水のコンビニに寄った。
(野村)危ねぇ危ねぇ!事故りそうになっちゃったよ。
ええ〜!どうしたんですか?客があんまり急かせるからさ。
いやね男が大事な書類を女の部屋に忘れていったんだと。
仕事サボって女の部屋で何やってたか知らねぇけどさ。
女が書類を届けに行ったんですか?大事な書類を女の部屋に忘れたなんて上に知られたら困るだろ?そいで会社の近くで男と待ち合わせしたらしいんだけど会議に遅れたらえらいことになるってまあ急かせる急かせる。
まあ!ああ。
(野村)お陰でバイクと接触しそうになっちゃったよ。
(橋本)ああそりゃまた際どい待ち合わせでしたね〜。
納骨ですか?少し早くないですか?母に山形の土地を見せたくて。
土地?向こうに小さな土地を買ってあるの。
いつか自分の家が欲しかったから。
ここは賃貸なのよ。
引っ越すんですか?ううん。
別荘のつもり。
今年の秋に家を建てて母を驚かすつもりだったけど間に合わなかった。
何か急用かしら?どうしてここへ?事件の結末をお伝えしようと思って…。
あなたも気になってるでしょうから。
聞きたくないですか?警察から発表があったの?事件について。
いえそれはまだですが…。
警察は松原さん殺しについては朱音さんの元のアシスタントの若いイラストレーターの仕業だとそう思ってます。
そう…友紀ちゃんを。
しかし私それ冤罪になるんじゃないかって心配してます。
冤罪は犯罪と同じです。
人ひとりの人生をつぶしてしまいます。
人殺しと一緒なんです。
あなたは冤罪についてどう思いますか?私の意見を聞きたいということかしら?はい。
聞かせてください。
私もそう思うわ。
本当の犯人が冤罪で苦しむ人がいるのを承知で逃げおおすとしたらそれは第2の殺人と同じことになるわね。
夜明さんは真犯人は誰だと思ってるの?誰か心当たりがあるのかしら?朱音さん殺しについてはやっぱり松原の犯行じゃないかと。
松原殺しについてはその松原の犯行を手助けした人物の仕業と思ってます。
松原には泉友紀さん以外にもう1人愛人がいたと思うんです。
その人は泉友紀が松原の愛人だということを知らなかった。
松原に利用され裏切られたことを事件後初めて知ったんですその人。
だから松原を殺害した。
私そう思うんです。
その人はどんな手を使って松原さんを助けたのかしら?松原のアリバイを立証したんです。
朱音さんの携帯を使って。
12時40分の朱音さんからの電話は実際は松原がかけたものだと思います。
(松原)「今新宿を過ぎた」わかりました。
案外早くでき上がったんですね。
じゃあこれからすぐに原稿取りに伺います。
はい。
電話を受けたその人はタクシーを使って立川へ向かったが途中御茶ノ水のコンビニに立ち寄った。
そこが松原との待ち合わせの場所です。
朱音さんの携帯を受け取るための。
その人はその携帯を隠し持って立川へ行き死体のそばに置いた。
朱音さん!!その頃松原は新幹線の中だ。
最初検視官が出した死亡推定時刻は早くて11時半遅くて12時半の間だったんです。
ところが死体のそばに落ちてた朱音さんの携帯の発信記録12時40分とその時間朱音さんからの電話を受けたというあなたの証言で死亡時間を12時40分以降と確定せざるをえなかった。
そうやって松原は罪を逃れた。
(朱音)いい加減に…!恐らく突発的な犯行でしょう。
だから朱音さんの携帯という無理なトリックに頼らざるをえなかった。
しかし途中のコンビニには私もだまされました。
ふふっ。
さすがは元刑事さん。
推理がお好きなようねぇ。
でもその推理を現実のものとするためには大事な1点が必要になるわ。
あなたがおっしゃる女性が松原の愛人だったという証拠。
どこかにそんな痕跡があるのかしら?たぶんその女性は痕跡は残さなかったと思うわ。
若い女性じゃないんでしょう?2人はきっと山形で逢瀬を重ねた…。
警察が山形調べたら…。
無駄でしょう!大勢の観光客の中からその2人を特定して覚えてる人がいるとは思えないわ。
いやコンビニに監視カメラというものもあるし…。
百も承知でしょう。
カメラには死角というのがあるのも。
推理はあくまでも推理。
実証されなければ意味がないわ。
もう行くわ。
日のあるうちに向こうに着きたいから。
遼子さん。
あなたさっき冤罪で苦しむ人がいるのを承知で逃げおおすとしたらそれは第2の殺人だっておっしゃった。
あなた第2の殺人を犯すつもりですか?あなたにそんなことができるんですか?泉友紀さんあなたと同じなんです。
松原に自分以外の愛人がいるとは知らなかった。
彼女に罪はない。
松原さんとのことも遊びじゃありません。
私達真剣なんです。
どうしてなの?どうしてあなたは警察に行かずにここに来たの!?あなたの推理は警察を喜ばせたはずよ。
私はお母さんの前であなたが逮捕されるのを見せたくなかった。
私も見たくなかった。
あなた自ら警察に行くべきです。
そうあるべき人です。
山形へ行ってくださる?もう一度。
母にどうしてもあの土地を見せたいの。
ねえ夜明さん。
私が山形に土地を買ったわけがわかる?家庭を築きたかった。
夢だったの。
母が持てなかった幸せな家庭を持つことが。
もうすぐ持てると思った。
もうすぐ松原と…。
朱音さんとは離婚するって言ってた。
その言葉を信じたの。
いつかあの人と結婚して山形に家を建てて週末ごとにそこに行って庭に花を植えたりバーベキューしたり…。
そんな夢を見てた。
ううん。
そんな夢を見させてくれる人だった。
あっこれ私が作ったんですけど今朱音さんにも召し上がっていただいて…。
よろしかったら松原さんもどうぞ。
いやぁすごいなぁ。
朱音にはこういう料理できませんよ。
朱音さんはお忙しいですから。
(朱音)遼子さーん!はーい!もう限界これで勘弁して。
疲れちゃった〜。
ああ〜仕方ありませんねぇ。
じゃあこの続きは明日ということで。
はい。
はい。
お前また酒飲みながらやってるのか?酒飲んだほうがピッチが上がんのよ!こんな遅くまで編集者を待たせて結局でき上がらなかったんだろ?あんたに何だかんだ言われる筋合いはないわよ!あっ遼子さん悪いけどこれ片付けといてくれる?私もう寝るわ。
あっわかりました!おやすみなさーい!おやすみなさ〜い。
ああそのままにしておいてください。
後で僕が片付けますから。
ああ私がやりますから。
ちょっと売れっ子だからって図に乗りすぎなんですよあいつは。
もう遅い時間ですから僕が自宅まで送ります。
あっ大丈夫です。
いえ送らせてください。
女性をこんな時間に1人で帰らせるわけにはいきませんから。
わあ〜。
さすがに夜は冷えますねぇ。
どうぞ。
ああ。
それから時々2人で夜のドライブをするようになったの。
あの人を山形に初めて連れてきたのは去年の秋。
真っ先にここに来たのよ。
あの人この景色を見て驚いてた。
ちょっと怖いって。
あはは!気持ちいいね。
夜明さんはあのトリックを考えたのは誰だと思ってるの?松原?はい。
私よ。
松原は自分がやってしまったことにオロオロして私に助けを求めてきたの。
僕は君のために殺してしまったんだ…。
君のためにって…。
だから私必死で考えたの!彼を助けなきゃって。
ああ…間抜けな話でしょう?松原にはちゃんと本命がいたのに…。
うっ…!お母さん見て!ここにね私の家が建つはずだったのよ。
すごいでしょう?うん。
このあたりが玄関かなぁ。
それからねぇこのへんがね台所!でここが居間。
ここにね大きなテーブル置くの!夜明さん。
ちょっとここへ立ってくださる?ここここ…。
一家の主はこの席。
はい。
それでお母さんはここね〜!ふふっ。
で私はお台所でトントン…とお料理しながらねえあなたちょっと手伝ってって呼びかけるの。
そうするとねお母さんがお前は幸せだね〜って笑ってくれるの。
お前はやっと幸せになれたんだねぇって。
(泣き声)お母さん…。
(泣き声)お母さん…。
(泣き声)
(泣き声)でね何か様子が変だなと思ってお母さんに訊いてみたの。
そしたら別れたんだって。
若い恋人と。
何で?知らないそんなの。
まあやっぱりいざ再婚ってなると不安になったんじゃない?おお別れたか。
若い恋人と。
安心した?別に。
ちょっとは安心しなさいよ〜。
えっ?ということはお前さんにかかるお金また俺が面倒見るわけ?お前さ結婚してほしいとは思わないけども結婚話の1つや2つないの?すねかじってばっかりいないで。
すねかじられなくなったら寂しいよ?お父さん。
あっ…あっ!これこれこれ!うん?ねえこれ見たい!これを見るだけ?入ろ入ろ入ろ!いや見るだけだって。
見るだけ。
ねえ〜こういうの娘に買ってあげたいって思わない?思わない。
これもいいなぁ〜。
私絶対これ似合うと思う。
意外と安〜い。
ねえお父…。
お父さん!あゆみは好きだけど宝石は嫌いだ。
えっ?あゆみは好きだけど宝石は嫌いだ。
特にダイヤは大嫌いだ!2014/04/02(水) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
タクシードライバーの推理日誌[再][字]
東京〜蔵王、死体と待ち合わせた女!死者の電話と赤い傘が作った完全犯罪!?
詳細情報
◇番組内容
東京〜蔵王、死体と待ち合わせた女!死者の電話と赤い傘が作った完全犯罪!?人気シリーズ第23弾!!今回は東京〜山形蔵王が舞台。ゲストに田中美奈子、淡路恵子を迎え母娘の切ない思いを描く!
◇出演者
渡瀬恒彦、平田満、風見しんご、小林健、林美穂、田中美奈子、淡路恵子、小木茂光、ヒロシ、若林志穂
◇スタッフ
脚本:坂上かつえ
監督:吉田啓一郎
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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