(最終回)銀の匙 Silver spoon 2014.04.02

(八軒)《早く着き過ぎたかな…》《御影の参考書でも見てくか》うん?あれ八軒じゃねえ?
(同級生)どれ?
(同級生)あそこの眼鏡。
(同級生)あいつもっとひょろっとしてなかった?声掛けてみる?
(同級生)え〜どうしよう。
あいつ卒業するころ何か暗くて話し掛けづらかったんだよね。
お前行けよ。
(同級生)顔見えんしな。
(3人)あっ。
やっぱ八軒だ。
(同級生)久しぶり。
(八軒)ああ…。
久しぶり。
農高行ったんだっけ?
(同級生)どんな感じ?
(八軒)うーん…まあぼちぼち。
牛育ててんの?
(同級生)ふん臭い?どんな勉強すんの?
(同級生)つかお前でかくなってねえ?
(同級生)肉食べ放題?
(同級生)野菜は?ああ取れたてはうまいよ。
豚育てて自分でベーコンにしたり。
ピザ焼いてみんなで食ったり。
(3人)おおっ!畑耕すの学生は人力?
(同級生)まさか機械だろ?でも免許なきゃ乗れないじゃん。
トラクター乗れるよ。
(3人)おおっ!だよなぁ。
牧歌的なの想像してた。
馬もないか。
(同級生)ないない。
農機具も近代化だもん馬乗るやついねえよ。
馬も乗れるよ。
(3人)お〜っ!
(同級生)食い物作れて機械も乗れて動物も操れる。
(同級生)何だそのスペック。
(同級生)うらやましい。
いや…農高のやつらには勉強でいい点取る方がうらやましいって言われる。
お互い無い物ねだりなんじゃね?八軒今の連絡先教えて?
(同級生)ああ俺も。
(同級生)俺も。
ああいいよ。
そういや参考書見てたけど大学決めたんか?いや俺じゃなくて友達が行くから勉強教えることになっちゃって。
農高の泥くさそうな野郎と勉強かよ。
むさ苦しい。
いやいやいや…。
女子ですよ。
食らえヒトゲノム塩基配列。
(同級生)円周率10万桁。
(同級生)英語エロワードスラング辞典。
すげえけど使えねえ!またな。
《あ〜ビビった》《こんなとこで中学のやつらに会うとは…》《でもよかった。
普通に話せた》
(同級生)八軒あいつ変わったな。
(同級生)だな。
ただいま…。

(ドアの閉まる音)《誰もいない…》あった!これか〜。
兄貴字汚えな。
読めね〜ぞ。
まあいい。
これは帰ってからゆっくり解読しよう。
《置き手紙だけしてくか》あっ…。

(八軒の母の鼻歌)
(八軒の母)お待たせ。
最近ずっと2人分しか作ってなかったから分量忘れちゃってたわ。
いただきます。
うまい。
えっ!?えっ?
(八軒の母)勇吾がうちのご飯食べておいしいって言ったのすごく久しぶりな気がする。
《あっ!つい…》
(八軒の母)お父さんも味の感想言ってくれないからつまんないのよね。
(八軒の父)問題ない。
そういうのじゃなくて…。
(八軒の父)ノークレームだ。
(八軒の母)あのね。
(御影の祖父)《君らの親がちゃんとしたもの食べさせてくれてたんだべ》《ちゃんとした…》あ…あのさ…。
うちって借金あったりする?何急に物騒な話。
いや…友達んとこがさ借金で家業畳んで高校も辞めることになっちゃって。
あらまぁ。
(八軒の父)貯蓄はある。
金の心配はするな。
もし俺が大学行くって言ったら?どこに行くか決めたのか?いや…そういうわけじゃ…。
大学の学費分もためてある。
お前は余計なことを考えてる暇があるのか?勉学に集中しろ。
《落ち着け…落ち着け…》《分かろうとする努力だ》父さんの言うことにも一理ある。
ていうか最近分かってきた。
友達がさ将来の夢が変更になって行く予定がなかったのに大学行くことになったんだ。
ばんえいの厩務員が第1希望なんだけどあの世界は運営が厳しいらしくて…。
他の馬の仕事に就くにしてもJRAとかは大学出てないと採用されないところもあるだろ?夢だけはあってもそれって何つーか…。
片輪しかない車みたいなものでさもう片輪ないと前進できないんだよ。
夢と対になるその片輪が適性かあるいは金か。
色々あるだろうけど取りあえずその友達に今必要なのは学歴で…。
慎吾のノートを取りに来たのはその友達のためか?うん…今のままじゃちょっと難しいレベルの大学に行きたいって言っててその対策。
今そいつの勉強手伝ってて。
俺に教えられることがあればって…。
勉強で脱落した人間が人に勉強を教えるというのか?失敗した人間は…。
一度失敗した人間は何もしちゃいけないのか?一度の駄目で全部が駄目になるのか?まるで経済動物と一緒じゃないか。
一度の病気一度のケガ生産性が下がれば処分場行き。
そんなの経済動物と一緒だ!いや経済動物だってちょっとやそっとじゃ処分しない飼い主もいる!障害馬術の馬だってジャンプに失敗しても二度目を跳ぶチャンスをもらえるんだよ!俺は経済動物以下か?帰る。
あ…。
ごちそうさまでした。
(八軒の母)律義に食器下げてったわあの子。
(八軒の母)《まあ…これ女の子よね?》《こっちは男子かしら?》《そういえば私…勇吾が学校で何やってるのか何も知らないわ》《土産全部置き忘れてきちゃった》《御影のフレッシュチーズ食いたかった…》うーん…伸びないなぁ。
(御影)ごめんなさい。
いや御影のせいじゃないよ。
俺の教え方が悪いんだきっと…。
そんなことないよ!八軒君?ああ悪い。
どうしたらいいか考えてた。
うん。
俺が何とかするから心配すんな。
御影はいつもどおり勉強続けててくれ。
《きったねえ字で書きやがって…》《解読できんのかこれ?》《ヤベえな…このままじゃ御影を希望大学に入れらんねえぞ》くそっ…見てろよ。
(常盤)卵1個割るごとに1日停学。
あれは先生の冗談だろ!
(ニワトリ先生)だが言ったはずだ!お前らは家畜の奴隷だと!何だろうね…この「お前は経済動物より下だ」ってはっきり言われた方がムカつかない感じは…。
(常盤)へえ〜んなこと親に言われたんか。
(相川)八軒君のお父さんおっかないね。
なあひでえよな!1回失敗したやつにはもう挑戦する資格すらないって言われたみたいでさ。
(常盤)確かにな。
(多摩子)まあお父さんの言うことも分かるわよね。
えっ?多摩子も失敗は許さない派!?
(多摩子)失敗はしょうがないわよ。
ただ今回の場合最初のチャレンジ…。
進学失敗は八軒自身のことでしょ?二度目のチャレンジをアキにさせるんだもの。
分かってると思うけど自分のへこんだプライドを埋めるためにアキに余計なものをおっかぶせるんじゃないわよ。
八軒のプライドと完全に切り離してアキの勉強見てやってよね。
(常盤)多摩子厳しいな。
(多摩子)そう?私だって人の夢が破れるのは見たくないし気持ち良くかなえてほしいのよ。
《忘れてた》《俺が跳ぶんじゃなくて御影に跳んでもらうんじゃんか》《バカヤロー!》《あんなに体張って理解したはずだったのに…》多摩子!俺をなぐ…。
(多摩子)いいわよ。
どわっ!お前もうちょっと葛藤つーかドラマっつーかさ…。
男子の青春ドラマに付き合う気はないわ。
御影!
(御影)ああ八軒君お母さん…。
御影!俺をなぐ…。
どわっ!八軒君!?俺御影に謝らないと…。
(八軒の母)勇吾大丈夫?はあっ!?何で母さんがいるんだ!?あなたの高校のこと何も知らないからどんな生活してるのかなと思って。
慣れない環境だろうに頑張ってるのね。
お友達もいっぱいいて安心したわ。
置いてってくれたお土産もお友達が作ってくれたのよね?うん…まあうん。
そうそうペットボトルに入ってたヨーグルト。
あれもおいしかったわ。
あれ売ってないのかしら?ごめん。
えっ?いやホントごめん…。
よし…次はこっちの足。
(八軒の母)馬ってよく言うこと聞くんですね。
(中島)いや八軒君が真面目に面倒を見てるからでしょう。
(依田)よーし!上がるぞ!
(西川)おうハチ。
あれ?まだ実習やってんの?
(稲田)雪になりそうだから片付け多くてな。
母です。
(八軒の母)お世話になっております。
(西川)ハチの母ちゃんか。
(校長)初めまして校長です。
(八軒の母)えっ?あっ…お世話になってます。
校長先生250円ね。
毎度。
(八軒の母)うん?何これ…安い!?嘘でしょ。
こんな新鮮なのがこの量でこの値段…。
もう片付けるからさらにお安くしときますよ。
あ〜!でもこれから札幌に帰らなきゃだし荷物になるし悔しい〜!
(校長)ならば…。
(3人)ここで召し上がっていってはいかがですか?ああもしもし別府?今暇?《始まった…》
(先生)簡単なのしかできませんがどうぞ。
あっすご〜い!シイタケは返さないでひだ部分に水分がぷつぷつ浮かんでくるまで待って塩振ってどうぞ。
(別府)えっ?レモン汁と醤油だろ!
(円山)はあ?七味だべ!しょうが醤油!
(校長)マヨ醤油とうがらしでビールもいいですよ。
(富士)ビールと聞いて!無添加ベーコン持ってきたぞ。
(末広)何?何?このおいしそうな匂い!
(一同)うん?
(ニワトリ先生)炊きたてご飯!
(吉野)ジャガイモにはチーズでラクレット〜!ハハハ〜!
(中島)あーっ!?おいしい!全部おいしい!あっ私さっきから「おいしい」しか言ってないわ。
うるさくてごめんなさい。
ハハハ!もっと言ってください。
このホウレンソウも何でこんなに甘いのかしら。
ホウレンソウは霜に強い作物でねわざと寒さに当てるんですわ。
(常盤)何で霜に当たっても組織が壊れないんだ?
(先生)こいつらは葉に糖分をため込むからね。
ああ凝固点降下か。
何?
(常盤)必殺技?水は零度で凍るけど砂糖水はその温度じゃ凍らないんだよ。
(常盤)何で?
(西川)水が凍るときは水分子同士がくっついて氷になるだろ。
けど砂糖水の場合とけている砂糖の粒が邪魔してくっつきにくくなるんだよ。
(常盤)ほ〜。
そうだ。
あのたくあんと納豆を作った西川と別府。
あらあらごちそうさまでした。
(常盤)あっ俺男風呂…。
とってもおいしくてびっくりしました。
そうっすか。
やっぱうまいって言ってもらえるとモチベーション上がるわ。
そうそう!家のご飯もね感想もらえると頑張っちゃうのよね。
(御影)そういえば八軒君私に謝らなきゃって言ってなかったっけ?ああ…俺さ多摩子に言われて気付いたんだけど御影を大学に入れようって気持ちの中に父親への対抗心もあったかもって…。
ホントごめん!そんなこと?そんなことって…。
俺自分のプライドと御影の受験をごっちゃにするところだったんだぜ?そりゃしょうがないよ。
八軒君にはそれだけのことがあったんだもん。
許してもらえるのかな?許すも何も私実害受けてないんですけど。
毎日ちゃんと勉強見てくれてるし。
よかった。
あ〜私もよかった…。
えっ?何が?あのね…私と勉強してるとき深刻そうだったから頭悪過ぎて嫌われたかと…。
嫌わない嫌わない!絶対嫌わない!何があっても俺…俺…!
(円山・木野)ニヒヒヒ。
(円山)どうだ八軒!やめろ…!
(円山)青春特製スパイスは!水!水!
(木野)思い知れリア充!大川先輩就職は決まったんですか!
(八軒の母)見に来てよかったです。
私何も知らなかった。
いえ知ろうとしなかったのかもしれない。
うまそ!かっ…!バ〜カ。
私も今日お母さんと話すことができてよかったです。
どの生徒もそうですけど親御さんのお顔を見ると安心します。
まああれですな。
農作物のパッケージに生産者の写真が載ってると安心するみたいな。
地続きを感じるというか。
(ニワトリ先生)ですな。
(先生たち)ハハハハハ!連絡なしで急に来るなよ。
(八軒の母)連絡なしってあなた人のこと言えないでしょ?びっくりしたのよ。
勇吾がお父さんに言い返したこと。
あなた家じゃおとなしかったから。
そうだよ。
俺チキンだし父さん理詰めで痛いとこ突いてくるし…。
兄貴みたいに勉強でちゃんと結果出して逃げられるほど頭良くないし…。
言い返せたのは俺だけじゃなく友達もけなされた気がしたからだ!俺が変われたのはみんなのおかげなんだ。
そいつらの真剣にやってどうにもならなかったことも駄目のひとくくりにしないでくれよ!勇吾メールごめんね。
メール?何の?お父さんが勇吾の作ったベーコンおいしいって言ってたって嘘ついちゃって…。
あああれか。
もういいよ別に…。
真剣にやってるからこそ嘘つかれるのは嫌よね。
母さんが嘘ついた気持ちも少し分かったよ。
自分の作ったものうまいって言ってもらえるのうれしいもんな。
感想欲しいもんな。
自分がそうしてほしいからその気持ちがあのメールになっちゃったんだろ。
お電話いただいた八軒さん。
(八軒の母)はい。
駅までお願いします。

(ドアの閉まる音)でもさもう嘘つかないでくれ。
どんなことでも受け止められるから。
前の俺と違うから。
分かった。
あっみか…。

(生徒たち)あ〜!食ったな。
もう食えねえや。
片付け終わったんだ。
(御影)うん。
寒いね〜。
あれ?何か人減った?寮じゃない人は先帰ったよ。
(常盤)なあ!相川は2年になったら寮出んの?うん。
下宿して塾通いする予定。
そっか。
俺どうしよう。
(太田西)俺絶対下宿!1人の部屋が欲しい。
(登和里)俺も。
(御影)私は寮に残るかな。
馬の世話あるし。
(末広)私は下宿かな。
《そっか。
酪農科は一年間は強制的に寮だけど続けて入るやつってあまりいないんだな》《朝から晩までこいつらと一緒に生活するのってあと少しか…》
(常盤)しっかし下宿してまで塾通いって変態だよな。
アキも勉強頑張ってるよね。
うん。
ひいばあちゃんに言われたんだ。
好きなことやりたいなら本気でやれって。
そっか…。
本気でチーズのことを学ぶとなると…。
(中島)本場はフランスですね。
(生徒たち)おお〜。
フランス…フランスかぁ。
ヤバいちょっと心が傾いてきた。
行くとしたら相当覚悟がいるよね。
フランス語できないしね。
(多摩子)通信講座もあるわよ。
やっといて損はないか。
こうやって考えると世界って広がってるんだなぁ。
(御影)ねえ。
《八軒君の夢はここから際限なく広がってるんじゃないのかな》あ…。
雪。
(男性)お疲れさんこれ今日の日当な。
(駒場)ありがとうございます。
(男性)これから積もるっていうから気付けて帰れよ。
(駒場)はい。
ありゃ…。
(依田)今のはちょっと無理な角度で入り過ぎだ!焦らないで大きく回りなさい。
はい!あの!今のところもう一度跳んでいいですか?お〜いいぞ。
跳べ跳べ!
(中島)どんどん跳びなさい。
先にいいぞ〜!
(木野)いいよ!
(栄)OK!お先にどうぞ。
うしっ!入りま〜す!2014/04/02(水) 02:18〜02:48
関西テレビ1
[終]銀の匙 Silver spoon[字]

御影のため、自らのために実家に帰宅し父親と対面する八軒。ついに父との対決の時を迎える。そしてエゾノー生たちもそれぞれ進むべき道を考え始め、歩き出す。

詳細情報
番組内容
「寮があるから。」という志望動機で、大蝦夷農業高等学校(エゾノー)に入学した八軒勇吾。札幌の進学校での厳しい学力競争に敗れ、ある意味、逃げるようにエゾノーに入学した彼は、広大な自然と動物に囲まれたここで、全く別の厳しさに直面することに。一般家庭で育った八軒にとって、エゾノーで行われる実習や部活は、初めて経験することばかりで、悪戦苦闘の毎日。また、自分とは違い、将来の夢や目的を明確に持つ他の同級生
番組内容2
たちは、彼に進学校にいた頃とは違った焦りを感じさせる。それでも、課題を一つ一つこなし、同級生たちとの絆を深め、少しずつ精神的にも肉体的にも成長していく八軒。汗と涙と土にまみれた青春が、今日も続いていく。
出演者
八軒勇吾: 木村良平 
御影アキ: 三宅麻理恵 
駒場一郎: 櫻井トオル 
稲田多摩子: 高垣彩陽 
相川進之介: 島