落語と仏教のコラボレーションでブッダのありがた〜い教えをご案内!落語はもともとお坊さんの「お説教」がルーツともいわれる伝統芸能。
実はブッダの教えのエッセンスがちりばめられている。
そこでお寺の本堂に東西の噺家がそろい踏み。
仏教にまつわる古典落語を披露します。
今回の噺家さんは落語界の「キョンキョン」こと…わ〜すごいね考えてみると!オンパレードですね。
何だオンパレードって。
バカ。
開演です。
落語を披露する会場は…「落語でブッダ」にようこそ!番組講師の…落語を通じて仏教的に深読みをしていくという随分けったいな番組です。
第5回目は落語の中の禅仏教です。
演目は…「問答」とは禅問答の事です。
「蒟蒻」とはもちろんあの蒟蒻これです。
丸いですよね。
丸くないと駄目なんです。
「蒟蒻問答」の舞台は蒟蒻の名産地現在の群馬県・安中。
ここに住職のいない古びたお寺がありました。
登場人物は土地の顔役で面倒見がいい蒟蒻屋の六兵衛と江戸から流れてきた八五郎。
八五郎は小遣い稼ぎのため荒れ寺の住職に成り済まし寺男の権助とのんきに暮らしています。
そんなある日永平寺の雲水托善が現れ住職に問答対決を挑みます。
では柳家喬太郎師匠「蒟蒻問答」をどうぞ。
(拍手)蒟蒻屋の六兵衛親分が八五郎に「寺の住職をやってみないか」とむちゃな誘いをする場面から…。
村はずれに寺が一軒あるだろう。
あそこの寺は荒れちまってなもう長い間住職がいねえんだ。
どうだおめえやってみるかい?そりゃもう親分がいいってんならやらねえ事はありませんけどあっしはお経なんて読めませんよ。
そんなものは読めなくたっていいよ。
みんな知りゃしねえんだから分からん。
あんまり妙な事は言わねえ方がいいですよ。
普通のお坊さんもそうなのかなと思われたりなんかすると…。
でえじょうぶだよこういうところはカットになるんだから。
おめえ何か「いろはにほへと」は言えるか?まあ書けませんけどね言うのは言えます。
そうかい。
じゃあそれでいいや。
「それでいい」っていうと?だからお前こう…。
い〜〜〜いぃ〜〜〜〜いぃぃ〜。
ガ〜ン…。
ろ〜〜〜〜〜おぉ〜〜〜はに〜〜〜〜〜ほへ〜〜〜と〜。
てな具合でいい加減なお経を教えてもらって八五郎は禅寺のにせ住職に納まります。
毎晩寺男の権助と茶碗酒を食らってのんきに暮らしていたある日の事旅の雲水が寺を訪れます。
頼もう〜!頼もう〜!おっ権助誰か来たぜ。
弔いじゃねえか?そうかもしんねえだねこれ。
久しぶりだ。
誰がおっ死んだかね。
ちょっくら行ってきますね。
ハッハッハッハ!久しぶりにがっぽり駄賃もらえるかな。
え…それはねえだ。
坊様でねえけ。
寺に坊様来ても駄目だ共食いだ。
何の用だね?手前は越前の国永平寺沙弥托善と申します。
諸国行脚雲水の僧にござります。
ただいまご門前を通行せし折戒壇石に葷酒山門に入るを許さずこれすなわち禅家の御寺と心得大和尚ご在院なればひと問答願いたく推参つかまつった。
何だって!おめえさん問答の坊様かね!ちょっくら待っておくんなせえ!…和尚様!おうっどうした権助。
弔いはでけえかい?そうではねえだい。
坊様来ただい。
何しに?「何しに」って問答の坊様だよ。
問答の坊様?何だい問答の坊様っていうのは。
あの〜問答っちゅうのがあるだんべ。
「何とかいかに〜」ちゅうたら「何とかのごとし〜」ちゅう。
お〜お〜…分からねえよそれじゃあ。
何を?坊さん同士が向かい合って一人が何かものを尋ねる。
それを答える。
…あ〜はいはいはい!禅問答みてえな事をぬかしやがるって事を言うもんな。
あれか?そうだ。
それでその問答の坊様が来たでおめえ様と問答してえって言うだよ。
よせよ。
俺はそんな事できやしねえよ。
追い返しちまえよ。
それが追い返す事ができねえんだ。
門の所にでけえ大きい石があるだんべ。
あれな「葷酒山門に入るを許さず」ちゅうて誰でもいつでも問答を受けますちゅう看板みたいなもんでな。
托善を何とか追い返そうとしますが「和尚のお帰りを命のあらんかぎり持ち続ける」と托善は諦めない様子。
禅問答で勝てるはずないと八五郎が寺から逃げ出そうとしたところに蒟蒻屋の六兵衛親分がやって来ました。
何だねこの騒ぎは。
どうしたんだい?実は親分ね…。
えっ!来たかい?そうだ忘れてた!そういうのがたまさか来るんだよ。
しばらく和尚がいなかったからすっかり忘れてたけど…。
弱っちゃったなこりゃ。
でどうしたんだい?明日も来るって言うんですよ。
和尚はいねえって言ったんだよ。
俺自分の事言ってねえんだよ。
そしたらね命のあらんかぎり来るってそう言ってましたよ。
命のあらんかぎり来る?殺しちまうわけにもいかねえしな。
弱っちゃったなこれは。
それで何か?え?アッハッハッハ。
先に出ちまおうって腹か?負けるのは分かってるってまあそうかもしれねえやな。
こうなっちまったらしかたねえ。
俺が代わりにやってやろうか?いろんな芸があるんだね。
問答できるんですか?問答を引き受けた蒟蒻屋の六兵衛。
さすが土地の顔役貫禄ある大和尚に変身。
いよいよ雲水托善が意気込んで寺にやって来ました。
どうだい和尚らしく見えるか?権助ご覧よ。
それなりに見えるってえところがありがてぇじゃねえかな。
よよっ蒟蒻屋!何を言ってやがる。
つまらない事言うなよ。
じゃあな坊主が来たらこっちへ通せ。
頼もう〜!頼もう〜!来ましたよ。
こっち呼ぶんでね。
どうも昨日はすいませんね。
お前さんが帰ったあと入れ違いでもってうちの和尚が帰ってきて伝えたら喜んでねしばらく問答してねえから腕がビュンビュンうなってるっていうような顔してましたよ。
本堂におりますんでねお願いします。
それではお願い申し上げます。
さあ案内に連れまして旅僧が本堂にやって参ります。
寺は古いが煌々としたもので格天井の一匹龍は鼠小便のため胡粉地と相成り欄間の天人は蜘蛛の巣に閉じられ幡天蓋は翩翻と翻り一段高く法壇を設けて一人の老僧眼半眼に打ち開き座禅観法寂寞として控えしは当山の大和尚というのは真っ赤な偽り。
何にも知らねえ蒟蒻屋の六兵衛さんが高慢な面をして座っております。
手前は越前の国永平寺沙弥托善と申します。
諸国行脚雲水の僧にござります。
大和尚今一不審もてまいる。
法界に魚あり尾も無く頭もなく中の支骨を保つ。
この義はいかに。
お答え…お答え!何を言ってやがる。
こっちは何にも知らねえんだ。
だから黙ってるからな。
そこでほざいてろば〜か。
何を問いかけても答えはございません。
大和尚無言なれば我また無言にて問い申さんってんで今度は手まねでもって問答が始まった。
うん!うん!ははあっ!んっ!うん!ははあっ!うん!ははあっ!恐れ入りましてございます!おう待ちない待ちない!当山の和尚は博学多識。
とても拙僧のかなうところにはございません。
何があったんだよ。
始め2〜3お問い申しましたが何もお答えがない。
これは禅機荒行のうち無言の胸中と心得無言にてお問いかけを申しました。
まず始めに「大和尚ご胸中は?」と伺ったところが「大海のごとし」というお答え。
誠に大きなお答えで恐れ入りましてございます。
さすれば「十方世界は?」しからば「五戒で保つ」。
何というご名僧。
「三尊の弥陀は?」と伺ったところが「目の下にあり」と。
かような大和尚にはお会いした事がございません。
ごめん!さいなら!何だかちっとも分からねえけどとにかく勝ったんだね。
ありがてえ話じゃねえかね。
親分ありがとうございました。
おうっどうした今の坊主は?あの野郎帰りましたよ。
あの野郎帰った?何だって?越前の国永平寺?冗談じゃねえや。
この辺流しで歩いてる願人坊主に違いねえや。
そうは見えなかったがね。
何か始めゴニョゴニョ言ってやがったんだよ。
俺黙ってほっといたんだよ。
そしたらな人の顔をじっと見やがってこの野郎蒟蒻屋のおやじだって事が分かりやがったんだね。
今度は人んちの商売物をよケチつけ始めたんだい。
おめえんちの蒟蒻はこんな小せえってやるんだ。
しゃくに触ったからなふざけるなうちの蒟蒻はこんなにでけえそう言ってやったんだよ。
そしたら値を聞いてきやがった。
十丁でいくらだって言うんだ。
まあ高けえかなと思ったが五百だって言ってやったんだよ。
しみったれた坊主じゃねえか。
三百に負けろって言うんだよ。
悔しいからこっちはおめえあかんべ〜。
(拍手)いや〜珍妙な禅問答でしたねえ。
内容も仏教話満載でした。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
随分趣のあるすばらしい「蒟蒻問答」で。
入り込むとしたらどの辺りになるんでしょうか?僕演じててひょっとして一番気持ちが入るのは蒟蒻屋の六兵衛さんに気が入ってるような気がします。
いや魅力のある六兵衛さんだと思って聞かせて頂きました。
問答というのはどういうものなんですか?問答というのはこのお話にも出てくるように仏教教義に関する議論なんですよね。
有名な「禅問答」を紹介しましょう。
両手で拍手をするとパチパチ音がする。
では…犬にも仏性はあるか?つまり…さあ皆さんはどう答えますか?師匠から弟子に出す問題なんですがこれがね頭で解けないような問題なんですよ。
それを弟子が必死になって真剣に解くんですよね。
何度も何度もダメ出しされて繰り返し繰り返しまあ「参禅」と言うんですが何度も何度も師匠にトライしてある時頭で考えても解けない問題を必死になってやってると言葉じゃなくて直接分かる時があるというんですよ。
つまり禅はある種言葉に対する懐疑といいますか言葉を信用してないところがありまして言葉で本当の事は伝わらないっていうんですよね。
師匠の心と弟子の心が直結されてビビビと本当の事が伝わる。
これ「以心伝心」と言うんですね。
さっきおっしゃった「犬は悟りをひらけるのか」とかって師匠が問題を出す段階で師匠の中に正解はあるの?師匠の中にある程度このレベルまでは来いというのはあるみたいですがどうもそれぞれ個別みたいです。
だから一つの正解があるわけじゃないみたい。
そこが禅問答の面白いところですね。
よく世間でも「禅問答みたいな事を言うな」みたいな事を時々…。
やっぱりそういう言葉が残ってるって事は何の事だか分かんないけど難しい事しゃべってて意味不明という。
庶民から見ると。
このお噺は明らかにそれをからかったようなところがあると思いますね。
庶民から見たら禅問答がかなりナンセンスに見えるのを題材にして。
一方は全然別の事を考えてる。
一方は真剣に仏法を聞こうとしてるというこのちぐはぐさ。
ここがきっとこのお噺の…。
面白いところですよね。
では「蒟蒻問答」に出てくる問答の内容を詳しく見てみましょう。
手振り・身振りのしぐさを中心とした落語を「仕方噺」と言います。
今回「蒟蒻問答」の一番山場のしぐさの部分について少し考えてみたいと思うんですよ。
托善は十本の指を突き出します。
この意味は?十方世界。
十方世界というのはよく仏教で言う言い方でして四方八方の八方ですよね。
それに上下を合わせて十です。
上下なんですか!それで十方。
つまりこの全世界はという事ですよね。
四方八方の「方」なんですね。
そうです。
法律の「法」といいますか…。
仏法の「法」だと…。
仏法の「法」だと思って今までやってました。
何となくそれらしく勝手にイメージしちゃうじゃないですか。
で間違ったまま…。
つまり「お前はどう生きるんだ」という問いだと思うんですよ。
托善は十方世界を示し全世界をどう捉えるのか?つまり「この世界をどう生きるべきか?」と問いかけたのです。
それに対して六兵衛親分は片手で五本の指を出しました。
托善さんはこれを「五戒で保つ」と受け取るわけですよね。
五戒というのはある種仏教徒の生活規範みたいなものです。
この世界を俺はどう生きるんだというと仏教の教えの生活規範を守って生きていくんだといって「五戒で保つ」というふうに。
ちなみに何があるんですか?生き物を殺さない「不殺生戒」ですね。
「不偸盗戒」。
盗みをしない。
「不妄語戒」うそとか不確かな事を言わない。
「不邪淫戒」。
邪淫というのはパートナー以外との性行為。
不倫とか。
これが「不邪淫戒」。
最後が「不飲酒戒」と言いましてお酒を飲んで酔っ払わない。
完璧に生きております。
完璧に柳家喬太郎生きております。
すみません。
二日酔いなんですが…。
次に托善三本の指を出します。
「三尊の弥陀」とは。
三尊の弥陀というのは真ん中に如来仏様がおられて両脇に菩薩様を添えるというこういう形態ですね。
「三尊の弥陀」とは?真ん中に阿弥陀如来を安置し両脇に勢至菩薩と観音菩薩が置かれます。
これを「三尊形式」といい中心の如来は「悟り」を表し左右の菩薩は「智慧」と「慈悲」を表します。
Thisisthe仏教です。
これこそが仏教。
つまりですね托善さんは「三尊の弥陀は?」と問うのは仏教とは何だ仏道とは何だどこにあるんだというふうに問う。
非常に大きな問いなんですね。
もうまさに全身全霊で投げかけた問いだったと思います。
六兵衛さんは…。
あかんべ〜。
これを托善さんは「目の下にあり」。
お前どこを見てるんだ。
仏道は足元にあるじゃないかとそういう答えで「恐れ入りました」と。
そんな深い話だったんですね。
はいはい。
パロディーにもなってるという私やはりこれ名作だと思うんです。
かなりよくできた話ですよね。
よくできた話だと思います。
逆にちょっとそれを伺ってこれからできなくなってしまう。
もったいなくて。
お待ちかね「釈の深読み」コーナー!この「蒟蒻問答」のお噺の中で…雲水の托善さんだと思うんですよね。
はぁ〜そうですか。
はい。
托善さんは見事に仏道へと読み替えたわけですよね。
あ〜そうか!そうですね。
はい。
確かに六兵衛さんはそのつもりで何もやってないけど勝手に読み違えて。
深読みをしてしまって。
でも仏道の深いところを。
この人ですね初めはちょっと自信満々で来たものの勘違いをして出直してまいりますという状態ですよね。
きっとこの人このあといいお坊さんになったと思います。
立派な。
そうですね。
「阿弥陀経」というお経があるんですが「仏説阿弥陀経」には……というそんな場面がありましてだからその求める心があれば耳を澄ます気持ちがあればあらゆるものが教えを説いてる。
そういう意味では今回托善さん大変な学びを得たという。
おっしゃるとおりですね。
うちの師匠がですね柳家さん喬と申しますが私が入門した時に「いくら師匠が弟子に水をおろしてやったって吸おうとしなければ何でもないんだ」って言ってくれたんですよね。
そのかわり吸う気になれば何でも吸えると言ってくれて。
まさにそれこそ「蒟蒻問答」の裏の意味のような気がいたします。
はぁ〜…師匠今まで本当にすいませんでした。
これからもっと頑張ります喬太郎。
頑張るそうです。
ありがとうございます。
今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
いや〜目からウロコだわ。
古典落語「蒟蒻問答」から読み解いた「学び」の肝は受け取る側にあるという事。
あなたの2014/04/02(水) 01:49〜02:13
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 落語でブッダ 第5回「柳家喬太郎“蒟蒻(こんにゃく)問答”」[解][字]
落語と仏教のコラボで送る「落語でブッダ」。第5回は柳家喬太郎が再登場!仏教落語の傑作「蒟蒻(こんにゃく)問答」を釈徹宗がどのように読み解くか?
詳細情報
番組内容
落語と仏教のコラボで贈る「落語でブッダ」。第5回は、柳家喬太郎が仏教落語の傑作「こんにゃく問答」を披露する。ある禅寺に修行僧が問答対決にやってくる。受けて立つのは、なぜかニセ住職となってしまったこんにゃく屋の大将・六兵衛。しかし…対決は六兵衛の圧勝に終わる。いったい何が起きたのか? 宗教学者・釈徹宗が深読みする今回のテーマは「人が学ぶことの意味」。さてさて、釈講師の手腕やいかに?
出演者
【出演】真打ち(落語家)…柳家喬太郎,【講師】如来寺住職・相愛教授…釈徹宗,【語り】三宅民夫
ジャンル :
趣味/教育 – 生涯教育・資格
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
劇場/公演 – 落語・演芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:10389(0×2895)