にんじんがしっとり甘く仕上がりました。
(テーマ音楽)古代インドで生まれた仏教。
そのうねりはガンダーラを超えシルクロード中国を経てアジア全体に仏像世界を花開かせました。
日本にたどりついたほとけたちはどのようにして生まれ育まれ心と形を築き上げてきたのでしょうか?仏像のなぞを解きほぐす「ほとけの履歴書」。
開講です。
京都・東山。
ここに平安時代後期に創建された国宝「三十三間堂」があります。
後白河法皇の命により平清盛が完成させました。
お堂前の回廊で待ち合わせたのは番組の講師…彫刻家の籔内さんは東京藝術大学大学院の文化財保存学の教授でもあります。
学ぶのはおなじみ篠原ともえさん。
お久しぶりで〜す。
2人は過去2回にわたって「仏像拝観手引」の番組で日本各地のお寺を回り仏像を拝観してきました。
また先生と一緒にほとけさまを拝観できるのがうれしいです。
今回は今までの「拝観手引」とはちょっとひと味違う一つ一つのほとけさまの背後にあるほとけさまの歴史履歴をひもといていこうかと思います。
わ〜!よりほとけさまにググッと迫っていくのですね。
今回はこの「三十三間堂」から番組を始めるんですけどその前にともえちゃんに見てほしい絵があるんです。
何ですか?この絵。
これはゴーギャンですね!よく知ってるね。
後期印象派の…すごいタイトルですね。
哲学的ですよね。
そうそう。
へぇ〜。
これが今回の仏像の旅と何か関係があるんですか?これ実はゴーギャンさんがキリスト教の学校へ行った時に与えられた命題なんだそうです。
「我々はどこから来たのか我々は何者か我々はどこへ行くのか」。
ゴーギャンがこの絵の題名に残したテーマはあらゆる宗教が取り組んできたものです。
およそ2,500年前に釈が開いた仏教もテーマは同じ。
その教えはさまざまな仏像の中に託されています。
仏像に秘められた履歴をひもとけば釈の教えが見えてくるはず。
今回は籔内さんが独自に編んだ「ほとけの履歴書」を基にはるかなるほとけの教えを読み解きます。
じゃ早速三十三間堂のほとけさまを拝観に行きましょう。
(鐘の音)うわ〜!快晴だ。
見る者を圧倒する1,000体の仏像…多いね〜。
うわ〜!すごい迫力ですね。
いや〜三十三間堂はいつ来てもすごいね。
中央には金色の光を放つ…鎌倉時代の大仏師湛慶が完成させました。
中尊の周りに並ぶ立像は当時最高峰の仏師たちが集まり国家的規模で造り上げました。
一体ごと全て顔が違うと言われます。
神々しいですね。
すばらしい千手観音様…。
そして前にず〜っとね「二十八部衆」。
ほとけさまがいらっしゃるよね。
私たちを魅了し続ける千手観音。
しかし今回籔内さんが注目するのはこちらの仏像たち。
その造形や表情は個性にあふれおどろおどろしい異形のほとけもいます。
二十八部衆は千手観音を護るためおよそ100mにわたって前面に配置されています。
多彩な二十八部衆。
ヒントは二十八部衆が元は仏教のほとけではなく他の宗教の神々だったという事。
という事は先生二十八部衆は必ずしもお釈様の教えではないという事なんですか?「教えではない」というよりはお釈様が直接説かれた言葉にはないんです。
え〜なんかちょっと難しい気もしますね。
そんな焦らんと。
これからねいろいろと解き明かしていきます。
今日はこういうものを持ってきた…。
えっこれは…。
「ほとけの履歴書」。
番組のタイトルだよ。
ですね。
これ見て。
あっ!こちらにまさに履歴書が。
そう。
先生がイラストをお描きになって…これは分かりやすいですね。
「ほとけの履歴書」には仏像の特徴を捉えた籔内さん直筆のイラストが添えられています。
そして出身地や所属するところ役割など仏像の経歴が記されています。
「帝釈天」ですね。
そうそう思い出しません?東寺で参拝させて頂きました。
そうそう。
京都のね教王護国寺で拝観しましたよね。
2人がかつて拝観した京都・教王護国寺。
空海が開いた東寺です。
帝釈天?そう。
うわっ美形。
すごい見応えがある。
白い象の上に乗ってほとけを護る帝釈天。
キリッとした表情の仏像です。
手には煩悩を断ち切る武器…実はこの二十八部衆の中にも帝釈天さんがいらっしゃる。
あっこの中に?ほら後ろに。
この仏像が帝釈天様なんですね。
でも象の上には乗られてませんね。
いろんな形式があるんですけど東寺様のは白い象に乗ってらっしゃるけどこちらのはこう立ってる。
三十三間堂の帝釈天は静かに立つほぼ等身大の仏像。
鎌倉時代の作です。
天衣の下に鎧を着け戦いの神だった事をしのばせます。
それでは帝釈天の履歴書を見てみましょう。
インドラは当時インドで信仰されていたバラモン教の神でした。
象に乗って戦う勇ましい戦いの神だったのです。
バラモン教は輪廻思想とカースト制度の原形である厳しい階級制度を特色とする古代宗教です。
このバラモン教に対し仏教は平等思想を説いて勢力を伸ばしていきます。
そして仏教はバラモン教のインドラを取り込み「帝釈天」としてほとけを護る役目を与えます。
全ての仏像には所属先が決められています。
帝釈天は天界に住む事になります。
天界というのは…六道輪廻界というのを覚えてるかな?六道輪廻界…「輪廻」は生まれ変わる。
輪廻する…6つの境涯があるわけです。
その中の一番上「天界」。
「六道輪廻」。
人は亡くなったあと生前の行いによって6つの境涯のいずれかに生まれ変わると考える仏教特有の世界観です。
天界は六道輪廻界の最も高い所に位置します。
帝釈天は天界に所属しながらほとけたちを護っているのです。
じゃもともと自分の位もすごくあったのにまた更に違う世界に入ってまた役割を変えていったという事なんでしょうか?二十八部衆の特徴としては仏法を護るあるいはほとけの世界を護るという意味で「護法善神」ここにあるでしょ。
「法を護る善き神」。
だからバラモン教の神様とかいろんな他の宗教の神様が以前は仏教に敵対していた場合もあるんだけど仏教に調伏をされてそして「仏法を護りますよ」という善い神様護法善神になって今ここに並んでおられるわけ。
へぇ〜!三十三間堂の二十八部衆は千手観音を護る護法善神の役割を担っているのです。
二十八部衆の履歴を考える時にさっきは帝釈天…「天」がついたでしょ。
こちらのお像を見てほしいんです。
うわ〜!頭に蛇が…。
そう。
左手に蛇右手に剣頭上に5匹の蛇を乗せた仏像…これちょっと見てもらいます。
わっ履歴書ですね。
旧名がナーガっていいます。
竜神を祭っていた部族がいてそういう人たちを象徴するような神様になったわけですね。
インドでは古来蛇を祭る信仰が各地にあります。
蛇の霊力が神格化されて竜となり水の王と考えられてきました。
天部っていうのは先ほどお話ししたみたいにバラモン教由来の神様なんですよ。
実はバラモン教の時代にもバラモン教の神々に敵対をしていたあるいは悪さをするような神様がいた。
沙羯羅さんっていうのはバラモン教の神ではなくてその下のどっちかって言うと悪い神様。
だけど天部衆バラモン教の神々あるいは仏教と出会う事によって悔い改めてっていうかなそれで仏法を護る護法善神になった神様。
沙羯羅は六道輪廻の「修羅界」に属しています。
修羅界は争いの絶えない世界。
異常な嫉妬心や競争心に満ちた苦しみの世界です。
しかし修羅界の住人である沙羯羅は釈の教えに救われて護法善神となりました。
二十八部衆に加えられ千手観音を護っているのです。
一つの…仏教の中にもいろんな物語があってというのはすごくびっくりしました。
これがインド…仏教が発祥したインドですけど…。
仏教は紀元前5世紀ごろインドで誕生しました。
しかし釈の死後弟子たちは解釈の違いから大きく2つの派閥に分裂します。
一つは厳しい修行を経た出家者のみが救われると説く上座部仏教。
インド南部からスリランカや東南アジアに伝播しました。
もう一つが日本にたどりついた仏教「大乗仏教」です。
誰もが参加できる柔軟な仏教で伝わった地域のさまざまな信仰や文化を取り込んで大きく発展しました。
二十八部衆はこの大乗仏教に乗ってシルクロード諸国や中国朝鮮の文化を取り込みながら日本にやって来たのです。
ともえさん二十八部衆が手にするものが気になるようです。
あっこちらは笛を吹いていますね。
え〜!毒蛇を食べる獰猛な鳥を神格化した鳥の頭と翼を持つ仏像です。
あっ!「摩羅王像」。
こちら琵琶弾いてますね。
結構ダイナミックに琵琶を奏でてますよね。
弦を押さえる指のしぐさから琵琶の音が聞こえてきそうです。
摩羅王は巨大なニシキヘビを神格化した神ですが音楽の神でもあります。
インドのヒンドゥー教を信仰する巡礼者ははるか昔から楽器を奏でて神にささげる風習を守り伝えてきました。
楽器を持つ仏像は他にもいます。
神母天王は「鬼子母神」としても知られる子づくりや豊穣の神です。
鼓をたたいているのは緊那羅王。
元はインドの土着信仰の音楽神でした。
先生楽器を持っている仏像が多い気がするんですが。
もちろん音楽とかっていうのは世界中であるけれど非常に音楽が盛んだったのはやっぱインドとかメソポタミアとかあっちの方なんですよね。
それが中国へ流れてこういう形式が成立するわけですね。
音楽を運んできてくれた…。
我々は音楽はエンターテインメント…楽しみで聴きますけれど昔の人たちっていうのは神に近い行為だったんだと思いますよ。
釈が入滅してからアジア全域に広がった大乗仏教。
文字どおり大きな乗り物としてさまざまな宗教を取り込みシルクロードから中国へと広まりました。
そして土地の習俗や芸能文化も引き連れながら日本へ伝えられたのです。
「ほとけの履歴書」第1回三十三間堂のたくさんのほとけさま拝観しました。
いかがでしたか?仏教は実はさまざまな文化が入ってつながっていたというお話を聞いてきっとその中に人の思いやたくさんの人が関わっていたんだなという物語を知れてほとけさまがまたいつもと違った表情に見えました。
大乗仏教っていうのはユーラシア全体を包み込むようなほんとにグローバルなものなんですよ。
「仏教はグローバル」なんですね。
新しい観点を頂いたような気がします。
彫刻家籔内佐斗司が想像力を羽ばたかせて独自に編んだ「ほとけの履歴書」。
第2回は「仏界と六道輪廻」。
天部の神々を詳しく見ていきます。
第3回は修羅道の盟主阿修羅。
籔内さんが独自の切り口を披露します。
第4回「鬼を考える」。
仏像のあちこちに登場する鬼に迫ります。
第5回は法隆寺に密着。
仏教が伝来した飛鳥時代に思いをはせます。
第6回は古代密教ゆかりの多面多臂の仏像。
その由来をひもときます。
第7回は「世界最高峰」と言われる日本仏師の木の仏像その技術に迫ります。
第8回はほとけの世界を神々しく飾る「荘厳」。
光背や彩色を取り上げます。
最終回。
籔内教授オリジナルの仏像検定を行い全体を締めくくります。
多彩な仏像の履歴から仏像ワールドを余すところなくひもとく「ほとけの履歴書」。
ご期待下さい。
今回の内容はこちらのテキストに詳しく紹介されています。
どうぞご参考になさって下さい。
今後の放送予定も掲載されています。
(テーマ音楽)2014/04/01(火) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 籔内佐斗司流ほとけの履歴書〜仏像のなぞを解きほぐす[新]<全9回>1[解][字]
仏像ファン必見の新シリーズスタート!今回のシリーズでは、彫刻家で東京藝大教授の籔内佐斗司氏が作成した「ほとけの履歴書」をひも解きながら、仏像のなぞに迫る!
詳細情報
番組内容
仏像ファン必見の新シリーズスタート! なぜ阿修羅像には3つの顔と6本の手があるのか? なぜ不動明王は火を背負っているのか? 彫刻家で東京藝大教授の籔内佐斗司氏が作成した「ほとけの履歴書」をひもときながら、仏像の謎に迫る。第1回は毘沙門天や帝釈天、阿修羅像など、仏の周囲を護(まも)る守護神たちに注目する。京都・三十三間堂には1000体の千手観音立像が居並ぶ。その前にずらりと並んだ異形の仏像たち。
出演者
【出演】篠原ともえ,【講師】彫刻家・東京藝術大学教授…籔内佐斗司,【語り】徳田章
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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