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平成26年3月20日安倍内閣総理大臣記者会見

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【安倍総理冒頭発言】
 本日、おかげさまで来年度予算が成立いたしました。自民党、公明党、連立与党の、固い結束の賜物であり、関係者の皆様に御礼申し上げたいと思います。また、与党だけでなく、効率的で密度の濃い国会審議に御協力をいただいた野党の皆様にも感謝申し上げたいと思います。審議を通じて建設的な意見もたくさんいただきました。これらも踏まえながら、来年度予算が十分な効果を発揮するよう、その執行に万全を期してまいります。
 戦後3番目に早いスピードでの成立。景気の回復軌道を確かなものとする上で大きな弾みになると確信しております。私は、かねてから、強い日本をつくるのは、他の誰でもない、私たち自身であると申し上げてまいりました。15年以上続いたデフレからの脱却は、国家的な事業。与党も野党もありません。その意味で、今回の予算の早期成立は、国権の最高機関である国会としてのデフレ脱却に向けた強い意志を内外に示していただいたものと考えております。
 国会だけではありません。経済界もデフレ脱却に向けて大きな一歩を踏み出していただきました。ここ数年、ベースアップという単語は、その存在すら忘れられていたと言ってもいいと思います。しかし、今年の春闘では、自動車や電機、鉄鋼、流通など、幅広い業種で近年まれに見る水準の給料アップが実現しつつあります。連合によりますと、先週時点の集計では、平均で6,500円近く月給が増える。まさに、賃上げの風が吹き始めたと言えると思います。三本の矢による景気の回復を昨年よりも多くの皆さんに実感していただける。この春、景気の好循環が明らかに生まれ始めたと考えています。
 国民の皆様には、4月1日から8%の消費税を御負担いただくこととなります。消費税率の引上げは17年ぶりです。その間に65歳以上の高齢者は1,300万人増加し、社会保障給付は40兆円増えました。他方で、現役世代の人口は1,000万人近く減り、1人の高齢者を支える現役世代は4.4人から2.4人へと、ほぼ半減しています。長引くデフレに苦しみ、歴代政権が手をこまねいているうちに17年もの時間が過ぎ、少子高齢化は待ったなしの状態となりました。
 消費税率の引上げ分を年金財政の安定のために使います。お年寄りが住み慣れた地域で生活できるよう、医療・介護を充実します。子供たちを始め、難病で苦しむ人たちへの対策を強化します。待機児童をなくし、安心して子育てできる日本をつくってまいります。私たちの社会保障を充実し、そして安定する。そして世界に冠たる国民皆保険、皆年金をしっかり次世代に引き渡していく。これは、他の誰かがやってくれるものではなく、私たち自身でやるしかありません。転嫁対策にもしっかり取り組んでまいります。改めて国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
 ようやく手に入れたデフレ脱却のこの大きなチャンスを手放すわけにはいかない。強い経済なくして社会保障の充実も財政の再建もありません。幸い、17年前と比べて企業の財務状況は良くなっています。
 不良債権も減って、金融システムも安定をしています。5.5兆円規模の経済対策と1兆円規模の税制措置を講じることで持続的な経済成長を確保してまいります。
 さらに、補正予算の大宗について、9月までに実施済みとなるよう、できる限り前倒しで事業を実施します。来年度予算についても、明確な目標を定めて、早期の執行を確保してまいります。
 今後とも、経済状況を注視し、機動的な財政運営を行ってまいります。
 とにかく、消費税アップによる悪影響を、経済への悪影響を最小限に抑え、できるだけ速やかに景気が回復軌道に戻るよう、万全を期してまいります。
 成長戦略も本格的に動き出します。今月中に国家戦略特区が具体的な地域を示し、動き始めます。 外国人材の活用など、これまで岩盤となっていた規制を、特区制度も駆使して、打ち抜いてまいります。
 TPP交渉も最終局面にあります。あとは、政治の意志の問題です。TPPこそ国家百年の計だと、私は繰り返し申し上げてきました。国益を最大化する形で、早期の妥結を目指す決意であります。
 エネルギー基本計画を策定し、国民生活と経済活動を支える責任あるエネルギー政策を構築します。
 さらに、6月には成長戦略を一段と強化します。女性の活躍を阻むあらゆる壁を突き破らねばなりません。女性の就労を後押ししてまいります。
 企業が国際競争に勝ち抜いていくための税制改革の検討を進めます。女性や高齢者など、多様な人材が自分のライフスタイルに合わせて仕事ができるワーク・ライフ・バランスに考慮した労働制度の見直しも大きな課題です。
 そして、地方の活性化こそ、次なる成長戦略の大きな柱です。地方経済の核は、農業、いわゆる減反政策の見直しに続いて、若者に魅力のある農業とするため、あらゆる改革を進めてまいります。
 独自の特産品や観光資源など、それぞれのオンリーワンを生かそうとする努力、その努力する地方の中小・小規模事業者や市町村を大胆に支援したいと考えています。
 この春生まれ始めた、この賃上げの風をもっと広く、全国津々浦々にまで届けていく。これはアベノミクスの使命であります。今後も、強い経済を取り戻すことが安倍内閣の最重要政策であると考えています。
 さて、明日は春分の日。古来、人々はこの日に春の訪れを喜び、秋には豊作となるよう祈ってきました。本日、成立した来年度予算が日本経済にとって豊かな実りをもたらすものとなるよう、私も全力を尽くしていく覚悟です。強い日本を取り戻すため、これからも国民の皆様とともに、歩みを進めてまいりたいと思っています。
 私からは以上であります。

【質疑応答】
(内閣広報官)
 それでは、質疑に移ります。質問を希望される方は挙手をお願いいたします。私から指名をいたしますので、所属とお名前を明らかにした上で質問をお願いいたします。多くの方に御質問をいただきたいと思っておりますので、質問は簡潔にお願いいたします。
 それでは、質問のある方。どうぞ。

(記者)
 幹事社のテレビ朝日足立と申します。よろしくお願いします。
 今日の予算の成立を受けまして、後半国会の焦点が、集団的自衛権の行使容認に向けた議論の方に移っていきます。野党だけでなくて、自民党や公明党からも十分な議論を求める声が相次いでいますが、憲法解釈変更の閣議決定は今国会中に行うのでしょうか。それとも国会が閉会した後になるのでしょうか。
 もし、その閣議決定が閉会後の場合、総理が国会で約束した審議は十分な時間をかけて行われるのでしょうか。お願いします。

(安倍総理)
 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会におきまして、集団的自衛権等と憲法との関係について、様々な具体的な事例を念頭に、詰めの議論がまさに今行われているところでございまして、いつまでに、との期限ありきではなくて、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えています。
 その上で申し上げるとすれば、政府としては懇談会から報告書が提出をされた後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、そして与党と相談の上対応を検討した後、閣議決定を行い、国会で御議論をいただきたいと、こう考えています。
 さらに、仮に憲法解釈の変更が行われても、集団的自衛権を実際に行使するためには、関連する一連の法律を改正する必要があるわけでありまして、国会で御議論をいただくことになります。
 いずれにいたしましても、集団的自衛権等の問題については、現在も国会において種々御議論をいただいており、政府としても丁寧に答弁をしているところでありまして、もし国会の御要請があれば、当然我々は国会に出て行って答弁をする、これは当然のことであると、このように思っております。

(内閣広報官)
 それでは、次の質問をどうぞ。

(記者)
 同じく幹事社をやっております、朝日新聞の円満と申します。
 ウクライナ情勢についてお伺いいたします。クリミア併合をめぐるアメリカとロシアの対立は激しさを増しています。G7と連携しつつも、プーチン大統領と関係を築いてこられた安倍総理としては、平和的な解決に向けてどのような役割を果たすお考えでしょうか。
 先日、国会で総理は更なる措置という言葉をお使いになりましたが、日本の追加制裁について言及されましたけれども、具体的にはどのような内容をお考えでしょうか。
 また、今回のことが北方領土交渉にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。お答えください。

(安倍総理)
 ロシアがクリミア自治共和国の独立を承認し、クリミアをロシアに編入する条約への署名がなされたことは、ウクライナの統一性、主権及び領土の一体性を侵害するものであり、我が国は力を背景とする現状変更の試みを決して看過することはできません。
 我が国は、まず査証の簡素化に関する協議を停止し、そして新投資協定、宇宙協定及び危険な軍事活動の防止に関する協定の3件の新たな国際約束の締結交渉の開始を凍結することといたしました。引き続きG7を含む各国と連携しながら、ロシアに対し更なる措置を検討していく考えであります。
 米国政府は、今般G7各国首脳が集まるハーグにおける核セキュリティ・サミットの際、G7非公式首脳会合を開催することを提案しました。私もこの会合に出席をいたしまして、G7各国と連携をしながら適切に対処していきたいと考えています。
 ロシアに対しては、先般、谷内国家安全保障局長を派遣をいたしまして、ラブロフ外務大臣そしてパトルシェフ安全保障会議書記に対し事態の平和的収拾を働きかけたところでありますが、引き続きロシア側にしっかりと働きかけをしていきたいと思っています。
 今後とも、引き続き各国とよく連携をしながら、事態の平和的解決を求めていく考えであります。

(内閣広報官)
 これからは、外国のプレスの方も含めて、幹事社以外からお願いします。
 それでは、レイノルズさんどうぞ。

(記者)
 ブルームバーグニュースのレイノルズです。
 法人税の実効税率の引下げについてお聞きしたいのですけれども、2015年度から始めたいという考えでしょうか。それで、レベルについてなんですけれども、25%まで引き下げるべきだという提案がありますけれども、この点についてのお考えをお願いします。

(安倍総理)
 法人税の実効税率の引下げについては、いろいろな御意見があります。法人税については、本年4月からは法人税率を2.4%引き下げ、設備投資減税や研究開発減税も大幅に拡充をいたしましたが、本年1月のダボス会議で申し上げたように、今般、更なる法人税改革に着手することとし、政府税制調査会における議論も開始をいたしました。
 結論ありきではありませんが、他方、雇用を守り、成長を続けていくためにも、企業の国際競争力の観点も重要であります。先般の経済財政諮問会議においても我が国経済の活力といった観点から、活発な議論が行われました。今後、産業構造も含めた大きな議論を行い、グローバル経済の中での競争なども考えながら、例えば、法人実効税率の在り方、課税ベースの在り方、そして政策効果の検証、他の税目との関係といったことを含めて議論を深め、検討を進めていきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、次の質問をいただきたいと思います。
 では、川上さん。

(記者)
 読売新聞の川上と申します。
 日朝のことについて伺います。近く、日朝の政府間協議が再開される運びとなりましたけれども、その受け止めと、併せて日本政府としてどのような方針で臨むべきとお考えか、お聞かせ願えますでしょうか。

(安倍総理)
 今回の日朝赤十字会談の機会に、日朝政府間協議を再開する方向で調整していくとの認識で一致したことは、私は重要な一歩であると考えています。来たるべき日朝政府間協議は、2012年11月以来の開催となるわけでありまして、しばらくこれは行われていなかったのでありますが、速やかに具体的な調整を進め、できるだけ早い時期に協議を再開をしたいと考えています。それは多くの方々が望んでいることなんだろうと思います。
 こうした機会を活用いたしまして、日朝間には解決をしなければならない諸懸案があります。その諸懸案の解決を図るため、米国、韓国を含む国際社会とも連携をしていきながら全力を尽くしていく決意であります。

(内閣広報官)
 予定をしていた時間がまいりました。これをもちまして安倍総理大臣の記者会見を終わりにさせていただきたいと思います。皆様御協力どうもありがとうございました。

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