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【日韓の細道】慰安婦への無知と想像力 「名」と「実」の間の欺瞞 首都大学東京特任教授・鄭大均
2014.4.5 13:00
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それからさらに10年が過ぎ、私は定年を迎えたが、過去史への隣国からの攻撃はさらに激化し、国際社会への発信も強化されている。今、日本叩きの最大のテーマとなっているのは慰安婦の問題であり、「日本軍は韓国女性20万人を性奴隷として強制連行し、その多くを虐殺した」などという物語が世界を駆けめぐり、ロスでもパリでもそれを訳知り顔に語るものがいる。ここにも「名」と「実」の間の欺瞞があるのは周知のとおりである。
日本の尊厳を傷つけるこうした新しい動きに日本人が怒るのは当然だが、一方では、なぜそのような物語が東京やソウルのみならず、パリやロスでも流布するのかを考えてみる必要があるだろう。答えは明瞭である。植民地主義とジェンダー(社会的性差)の組みあわせからなる物語には人びとの心のなかに過去をよみがえらせる力があるからであり、現実の日韓関係から遠ざけられている欧米人には、それを偏見や想像力で補う自由があるということである。これはいわば現代の迷信というべきものであり、したがってその捏造(ねつぞう)性を指摘したからといって消えてなくなるものでもないだろう。
というと、反日を批判したって仕方がないということになるが、だからこそやりがいがあるともいえる。私自身はというと、韓国の反日には早くから関心を寄せていたというのに、いまだにきちんとした作品が書けないでいることを情けなく思う。どうも韓国人の反日には現実と想像の世界の不思議な融合があって、気がついてみると、自分自身が思い込みの虜(とりこ)になっていることを発見する。
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