米国家安全保障会議(NSC)のエバン・メデイロス・アジア上級部長は、ワシントンのホワイトハウスで朝日新聞のインタビューに応じ、米政府が中国の国際観艦式に米海軍艦船を派遣しないと決めた理由について「原理原則の問題であり、同盟国との連帯のためだ」と説明した。

 「日本が招待されていないと分かった時点で、米政府は米海軍艦船を派遣すべきではないと決めた」、「中国が、日本の自衛隊と直接関わる機会を自ら放棄したことに失望した」などと語った。

 さらに「日本の孤立化を狙い、政治指導者を批判する手法は現状を悪化させるだけだ。長期的には両国民の相互認識にも悪影響を与える」とも述べ、最近の中国の対日外交攻勢を批判した。

 メデイロス氏は、ロシアのクリミア半島併合を巡る中国政府の対応についても問題点を指摘した。

 「中国はいつも領土の保全と主権は最重要だと主張している。今回、ロシアはウクライナでそれを侵害しているのに、中国はあいまいな立場をとり、ロシアを事実上支持している。具体的には国連安保理や総会で、(併合は無効だとする決議案の投票を)棄権したことだ」と語った。そのうえで「中国の意図に世界中が疑念を抱いている」と厳しい見方を示した。

 昨年11月、中国が突如、東シナ海上空に独自の防空識別圏(ADIZ)を設定したことに関しても中国を改めて批判した。「中国がその権利を持っているかどうかにかかわらず、設定のしかたは一方的で関係諸国との事前協議がないなど、危険でかつ地域を非常に不安定化させるものだ」と指摘。さらに「尖閣諸島上空が自らの施政下にあると主張することが目的なのだろうが、米国はADIZ(の設定)が領有権の主張を展開するための適切で有効な方法だとは考えていない」とも述べた。