母親から父が癌になったとメールがきたとき、なんの根拠もなく、おそらく病状は深刻ではなく、切除すれば完治するだろうと思っていた。
今日、母親から、転移がひどく、完治の見込みはないとのメールがきた。
心配をかけてごめんと泣いている。
謝る必要などないのに、いたたまれなかった。
みんなで頑張ろうと、気休めにもならないことを言って、電話を切った。
父親の思い出はあまりない。
仕事が忙しく、出張の多い人で、あまり遊んでもらった記憶が無い。
家にほとんどいなかった。
家にいても本を読むか、寝ているか、テレビを見ているかで、あまり会話もしなかった。
万引きで補導されたときはひどく怒られたけど、それ以外怒られた記憶もない。
父からいわれたことで印象に残っているのも「文学部は就職で不利だから法学部にいけ」ってことくらいしかない。
(結局文学部に入って父親の言うことは正しかったことを数年後に知るのだが)
書きながら思い出したけど、巨人-大洋戦を見に行ったな。子供の頃。
家族旅行は年に1回くらいはいってたけど、やっぱ旅行での父親の記憶はあまりない。よく母親と喧嘩していた。
そう、高校生くらいまでの父の記憶って、しょっちゅう母親と喧嘩してたことくらいしかない。
普通の家がどんなもんかよくわからないけど、父親とのつながりは希薄なんじゃないかなと思う。
父親の年齢も知らないくらいだし。
その父がもうすぐ死ぬ。
想像以上にこたえている。
食欲わかないし、眠れない。
父はもっと辛いはずだが、母親によると明るく振舞っているらしい。
とりあえず週末にお見舞いに行こう。
こういう時どんな顔すればいいのかわからない。
笑えばいいのかな。