先月(3月)、アフリカ南部のナミビアで、指導者の巨大な銅像の除幕式が行われました。
実は、この銅像、北朝鮮の芸術家集団がつくりました。
除幕式には、キム・イルソン主席のバッジをつけた北朝鮮の当局者も出席していました。
今、北朝鮮はアフリカ各地で多くの銅像をつくり、外貨を稼いでいます。
それを担っているのが、ピョンヤンにある芸術家集団「マンスデ創作舎」です。
北朝鮮国内のキム・イルソン主席らの銅像をつくってきました
北朝鮮の外貨稼ぎは、ヨーロッパでも展開されています。
佐々記者
「ヨーロッパ経済の中心都市フランクフルト。
町の真ん中にあるこちらの噴水。
実は北朝鮮が復元作業に関わりました。」
100年以上前につくられた銅の装飾は、ヨーロッパに修理できる技術者が少なく、北朝鮮に修理を依頼したと言います。
支払ったのは20万ユーロ。
今のレートでおよそ2,800万円が北朝鮮に渡ったとみられています。
復元プロジェクト責任者
「ヨーロッパの会社に依頼していたら、5割以上も高くなったでしょう。
北朝鮮の職人の腕は、とてもすばらしかったです。」
さらに、今、北朝鮮は、大量の建設労働者を外国に派遣しています。
モンゴルの首都、ウランバートル。
極寒の中で働く50人以上の北朝鮮労働者の姿をカメラが捉えました。
「どこから来たのですか?」
男性
「北朝鮮です。」
雇っているモンゴルの建設会社の社長によりますと、労働者たちの技術力は高く、毎月の給与は1人あたり7万円ほどですが、一括して北朝鮮の会社に支払う約束です。
モンゴルの建設会社社長
「彼らはたばこやあめを買う程度の金はもらっているようですが、それ以上の金はもらっていないでしょう。」
かつて3年間、北朝鮮に駐在した駐日モンゴル大使は、最近、北朝鮮からの労働者が増えていると言います。
モンゴル ソドブジャムツ・フレルバータル駐日大使
「北朝鮮から労働者を受け入れ始めたのは、5年ほど前からです。
現在1,700人ぐらいいます。
ほとんどが建設分野で働いています。」
こうして獲得した外貨は、北朝鮮の専門部署に集められ、キム・ジョンウン第1書記が自由に使えます。
この外貨で高級な品々を調達し、幹部にプレゼント。
忠誠心をつなぎとめる独特のシステムなのです。
“宮廷経済”に詳しい脱北者 キム・グァンジンさん
「幹部の忠誠を得るための資金です。
(最高指導者が)自ら管理して、独自の経済を作り上げているのです。」