レズビアンは男嫌いというわけじゃないから、勘違いしないでよね
という線引をされているのをよく見かけるが、
小さい頃、男子と蹴り合いの喧嘩をして、力では敵わないと自覚してから
話すのも、視界に入れるのも嫌になった。
怖さはそのうち嫌悪感に変わっていった。
けれども性欲は正直で、有り余っていて困った。
「男嫌いだがセックスをしたい」という矛盾した思いを抱えていた。
男が大嫌いなのに男とセックスしたい自分に嫌悪感を覚えた私は、
当時仲の良かった女友達と「もし彼女とセックスできたら」という妄想で遊ぶようになった。
嫌悪感はない。女友達とふたりきりで、一人えろい妄想にふけるのは背徳的で楽しかった。
やがて自分が、男とセックスするのは嫌だが、女となら抵抗はない人間であることに気づいた。
そして当時、運良く私と恋人関係になってもいいと言う女性がいたので、私はそこで欲求不満状態を解消することができた。
何人目かに付き合った女性はバイだった。どちらかと言うとノンケ寄りだ。
結構本気で、大切にしようと思って交際をすすめたつもりだったが
ここでより男が嫌いになった。
「男は私の大切な人を奪う、忌むべきもの」という考え方に嵌ってしまった。
いい大人なのだから、性別という大雑把な括りで人を判断してはいけない。という理性はあった。
けれども私は「男なんて嫌いだ」という思いを長く抱えすぎたせいか、
「男を嫌いじゃない(愛する)私」を受け入れられなくなっていた。
男を愛する私なんてとても気持ちが悪い、としか思えなくなってしまった。
「男なんてろくでもない生き物だ」と吐き捨てると胸がすっとする。
男を嫌うことが、まるで一種の精神安定剤のような役割を果たしている。
何かを嫌うことで精神の安寧を得る。
そんな自分の精神状態を情けなく思うが、今更どうしようもないことだ。