写真・図版4月4日、諮問会議と産業競争力会議は、民間議員から外国人材の活用の範囲を家事支援や介護支援に広げるべきとの提言があった。写真は安倍首相。都内で3月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

 [東京 4日 ロイター] -政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議は4日の合同会議で、持続的成長のためのグローバル化の課題として、外国人材の受け入れについて議論、民間議員からは女性の就労を支援するために外国人材の活用の範囲を家事支援や介護支援に広げるべきとの提言があった。

 またこうした外国人家事支援人材の受け入れについて安倍晋三首相は「国家戦略特区の活用も含めて検討する」考えを明らかにした。

 <農林水産業や製造業の短期就労にも外国人材活用>

 産業競争力会議の長谷川閑史・雇用・人材分科会主査が、外国人材活用のあり方について提言。2030年以降の労働生産性や労働人口を試算し、外国人材受け入れ、活用のニーズを示すべきだとし、高度外国人材の受け入れ拡大・促進や、外国人技能実習制度の抜本的見直しなどを検討すべきとした。 高度外国人材の受け入れでは明確な数値目標を掲げ、就労環境や生活環境の整備など総合的な推進方策の検討が重要だと指摘。外国人技能実習制度では従来の3年の実習期間経過後に2年の再入国による実習を可能とする仕組みを検討すべきだとしたほか、介護などの分野へ対象を拡大すべきだとした。 政府は4日、建設業への外国人労働者活用の緊急措置として外国人技能実習制度の延長を決定したが、これを農林水産業や製造業における短期就労にも拡大、家事支援にも活用し、女性の就労を支援すべきとした。また、こうした外国人家事支援人材の受け入れについては、国家戦略特区で先行的に実施することを検討すべきだとした。女性の就労支援については経済財政諮問会議の民間議員からも同様の提言があった。

 安倍首相は合同会議で2020年の東京五輪開催に向け、外国人技能者の活用は必要だと指摘。移民政策と誤解されないよう配慮しつつ、十分な管理体制のもとで外国人を活用する仕組みを考えたいと述べた。

 <PB改善へ、15年度予算で取り組み強化>

 一方、経済財政諮問会議の民間議員は4日、財政健全化に関して、2015年度に一般会計ベースの基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字額を15兆円とする目標から、さらに赤字を減らし、15兆円を大きく下回るよう取り組みを強化すべきと提言した。

 民間議員は、2015年度までのPB赤字幅半減目標(PBの対GDP比赤字を2015年度に2010年度比で半減)を達成することが必須とした上で、速やかにPB黒字化、債務残高GDP比の安定的引き下げに向けた具体的な道筋の検討に着手することが望まれるとした。

 その上で、中期財政計画に沿って一般会計ベースのPB赤字を15年度予算で15兆円を大きく下回るよう取り組みを強化すべきだとした。さらに、経済財政諮問会議でのチェック機能を強化することが必要だと提言した。

 (石田仁志、山口貴也)