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被災者救済全力で 国際公共政策研究センター 「原発事故関連死」防止を国に提言

 国際公共政策研究センター(CIPPS)は、東京電力福島第一原発事故の被災者の生活再建に向けた提言を発表した。被災者の選択を尊重した自立支援をはじめ、震災(原発事故)関連死の死者数が地震・津波による直接死者数を上回っている現状を踏まえ、被災者の救済・生活環境の改善にあらゆる手だてを講じるよう国に訴えている。
 提言は、政府が昨年末にまとめ、帰還と移住の両面を支援するとした新たな復興指針を評価。その上で、「被災者の選択による自立を支援する」「科学的なアプローチを確立する」「原子力災害対策制度を見直す」の3つの柱を示した。
 「被災者の選択による自立」では、避難指示解除準備・居住制限区域であっても今後数年での帰還が難しく、移住や長期避難が合理的な被災者が多数存在すると指摘。避難区域の区別に関係なく、帰還・長期避難・移住などの各選択肢を選べるよう保証すべきと主張している。
 「科学的なアプローチ」では、過酷な原発事故の科学的知見の蓄積に乏しいことから、1つの見解を被災者に押し付けず、放射線量や除染の効果、健康影響の有無について、科学的なデータを提供し続けることが求められるとした。また、県民健康調査を30年間継続して実施することを「子ども・被災者支援法」の基本方針で明確化するよう求めている。
 「原子力災害対策制度」では、長期にわたる被災者の救護・支援、除染・放射線防護、健康管理などについて、国が原子力事業者との責任を区分し、自ら責任をもって対処することを明確にすべきなどとしている。
 提言の詳細は、CIPPSホームページに掲載している。
 昨年度に福島、郡山、いわき各市の3会場で開催した「福島復興連続シンポジウム」の成果などをまとめた。シンポジウムは同センターと福島民報社、毎日新聞社、福島大うつくしまふくしま未来支援センター、福島政経懇話会が主催した。

【福島第一原発事故の被災者の生活再建に向けた提言の要旨】
(1)被災者の選択による自立を支援する
 被災者が自立して生活再建を果たすためには、選択に値する複数の選択肢が用意され、被災者が自ら選択することが欠かせない。帰宅困難区域外でも移住などが合理的と認められる場合の適用を広げて、住宅確保に関わる賠償を進める。国は避難区域の復旧・復興、帰還の見通しを示し、市町村が作成する長期計画を実現するための施策と予算を措置する。避難区域により帰還か移住かを特定するのではなく、被災者の選択を尊重して支援する。
(2)科学的なアプローチを確立する
 放射線防護や健康管理においては主流の見解を押し付けるのでなく、個人の被ばく線量や健康調査のデータを長期間積み重ねて、個人の判断に資することが大切。番号制度などを活用して調査対象者の管理を全国で一元化し、受診率の向上を図る。除染は無理の少ないレベルで実施する。事故収束・廃炉について国が責任を負うことを明確にし、法定の科学調査委員会を再設置して事故原因の究明を行う。
(3)原子力災害対策制度を見直す
原子力災害対策特別措置法で、長期にわたる被災者の救護・支援、除染・放射線防護や健康管理などを定める必要がある。国が原子力事業者との責任を区分した上、自ら責任をもって対処することも明確にされねばならない。政府内の所管を整理するとともに、原子力災害対策本部の副本部長に復興相を加え、福島への対応を明確にする。県や市町村に対し、防災計画作成や実施に必要な技術支援を行う。

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