「業界最安」とする発表が相次ぐネット生保4社で本当に安いのはどこか?条件別に比較してみた。

公開日: : 調査

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今年に入ってから生命保険各社がつぎつぎと値下げを発表していましたが、ついに、これまで値下げはしないと株主総会等でも発言していたネット生保の雄ライフネット生命もが2014年4月1日に値下げを発表しました。

保険の分析をする当サイトとしては、同日付けで同社の社長の岩瀬大輔氏がブログに掲載した「入社2日目の明日から試して欲しいこと」に対する反響によって、この値下げのリリースが霞んでしまっていてとても残念です。

インターネット通販専業で生命保険を売る「ネット生保」は、2008年にSBIアクサ生命(ネクスティア生命を経て、現アクサダイレクト生命)とライフネット生命が参入し、低廉な保険料を武器に「保険は合理的に選ぶべきだ」というメッセージを流布をさせるなかで順調に契約を伸ばしてきました。しかし、2013年ごろからネット生保が「脱ネット」 契約伸び悩みで窓口活用もネット生保、成長軌道に「壁」 ライフネットなど新規契約減 再浮上の糸口はと報道されている通り、契約が伸び悩んでいました。

個人的な印象では各種の保険雑誌でもネット生保がお薦めされる機会は減ってきており「ネット生保=安い」という神話が崩れ、価格比較になれたネットユーザーの支持をとりもどすためには、そろそろ値下げせざるをえないのではないかと思っていたので、やはりという感じです。

これまでのネット生保「業界最安」の推移

2008年に参入した上記の二社の他に、2013年には楽天が無認可共済から脱皮したアイリオ生命を買収して衣替えさせた「楽天生命」に、ネット通販専用商品を充実させている「オリックス生命」を加えた4社を「ネット生保4社」として扱っています。

説明に手間をかけることができないためシンプルな設計になりやすいネット生保は、差別化もしづらく各社同列で比較されやすいためか、単にPR戦略上の都合か、新商品を発表する際やニュースリリースを出す際には「業界最安水準」をうたうことが非常に多いようです。これまでの「業界最安」に関する動向を見てみましょう。

2012年6月:オリックスが「比較広告」でアピール

オリックス生命が「保険比較サイト」と称して同社を含むネット生保の保険料の比較表を発表し、ネクスティア生命(現アクサダイレクト生命)とライフネット生命を実質的に名指しして、業界最安値であることをアピールしました。
参考:“保険比較サイト”を開設します – オリックス生命保険株式会社

しかし、ネクスティア生命とライフネット生命は特に料金の引き下げを発表せず、単純な価格競争には踏み込まずネット生保全体のパイの拡大に力を入れていたようです。

2013年4月1日:楽天生命が参入で四つ巴に

ネクスティア、ライフネット、オリックスの三つ巴の状況に変化があったのが、昨年4月に参入した楽天生命。もともと無認可共済であったアイリオ生命を買収し4月に会社名を変更すると同時に「最安の保険料」を掲げて新商品を投入してきました。
参考:楽天グループの生命保険「楽天生命」本日スタート

2013年は、楽天生命の参入によって、ライフネット等の古参のネット生保は「むしろ高い」と評価されるようになり、各種の保険に関するランキングでもオリックス生命や楽天生命が上位に踊りでました。

しかし、今年に入ってからいよいよ「古参の」ネット生保による反撃が始まります。

2014年3月6日:最古参「アクサダイレクト」が値下げ

アクサダイレクト生命が「~10年満期は全年齢・保険金額で保険料を業界最低レベルに引き下げ~」として、保険商品の改定と保険料の引き下げを発表します。この保険商品は「健康なまま更新時を迎えれば更に安くなるが、病気になって更新時を迎えると高い保険料を払わなければいけない」というアメとムチがセットになった設計になっていますが、少なくとも新規契約の保険料は安くなりました。
参考:定期保険「カチッと定期」改定のお知らせ

2014年4月1日:代表格「ライフネット」もついに値下げ

長らく価格引き下げ競争を静観していたライフネット生命も、ついに保険料の改定を発表し、「開業後初の保険料引き下げで業界最安水準の保険料へ」と題して保険料の引き下げを発表しました。
参考:ライフネット生命保険 主力2商品見直し 開業後初の保険料引き下げで業界最安水準の保険料へ 女性向け終身医療保険も新たに発売 | ライフネット生命保険

ネット生保最大の弱点「非喫煙割引」「健康優良体割引」

ここで、知っている人は知っている注意点があります。
ネット生保は、ネットで申し込みが完結し営業マンが不要なために保険料も安いと思われがちですが、必ずしもそうではありません。それは、対面型保険に特徴的な割引として、たばこを吸っていないことが条件で保険料が安くなる「非喫煙体保険料率」や、適正体重や血圧が適正水準であることが条件の「健康優良体保険料率」があるためです。こうしたリスク細分型保険は、非喫煙状況のチェックなどを、保険の営業マンが検査キットを使って面前で行うために対面型保険ならではの商品となっています。

「たばこを吸っている人こそ、ネット生保を積極的に利用すべき」であり、(1)たばこを吸っていない&太りすぎていたり痩せすぎていない (2)営業マンと会う時間がある人にとっては、通販型保険も含めて網羅的に検討したほうが得になることが多いです。

ちなみに、「非喫煙割引」「健康優良体割引」は、各社によって対象となる禁煙期間(1年〜2年)や適正体重の水準、血圧の範囲が異なるために、ボーダーライン上の人は各社をよく検討する必要がありますが、定期死亡保険であれば、チューリッヒ生命の「定期保険プレミアム」が概ね最安となるようです。(他に、メットライフアリコ「スーパー割引定期保険」など)

結局、どこの保険会社が最も安いのか?

前置きが長くなりました。さて、各社が最安、最安とアピールしている【10年定期死亡保険】について、現時点でどこが最安になったのかを比較してみました。“業界最安水準”であって“全条件で最安”とは書かれていないので、ここは条件ごとに比較してみる必要があります。

ここでは、アクサダイレクト生命「カチッと定期2」ライフネット生命「かぞくの保険」、オリックス生命「Bridge」、楽天生命「ラブ」を比較しています。なお、チューリッヒの「定期保険プレミアム」から非喫煙優良体型(過去1年間喫煙しておらず、血圧が120/80未満であること)の保険料も掲載しています。

男性の場合

保険金額1000万円、10年定期の場合で試算
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(全条件で最安をグリーン、非喫煙健康体でない場合の最安をオレンジで塗りつぶし)

男性の場合は、チューリッヒの非喫煙優良体割引を除くと、やはり後出しジャンケンのライフネット生命「かぞくへの保険」がおおむね全ての年齢(20歳、30歳、40歳)で最安となりました。とはいえ、先日保険の改定を行ったアクサダイレクト生命とくらべてもわずか3〜10円程度の差しかないので、ほぼ同水準というべきでしょう。
たばこを吸うような人であれば、2014年4月時点で最も安い定期死亡保険はライフネット生命ということになります。
ただし、「ライフネットが最強」なのはネット生保に限定した場合であり、非喫煙者で血圧も正常値の人であれば、ネット生保ではなくチューリッヒを選ぶべきという結論になります。

女性の場合

保険金額1000万円、10年定期の場合で試算
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(全条件で最安をグリーン、非喫煙健康体でない場合の最安をオレンジで塗りつぶし)

女性の場合についても見てみると、30歳と40歳の場合はライフネット生命が最安である一方、20歳はアクサダイレクト生命が、50歳なら楽天生命が最安という結論になりました。
男性と違って面白いのは、チューリッヒの非喫煙優良体にあてはまったとしても同社の保険料が必ずしも最安であるとはいえないことです。にもあるとおり、男性の喫煙率3割に対して女性の喫煙率は1割(参考:最新たばこ情報|統計情報|成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査))であり、非喫煙による区分をわざわざ設けずとも、ほとんどが非喫煙者であるためでしょう。むしろ対面型であるために、コストアップしてしまったと考えられます。

ライフネットは細かい条件で他社よりも不利

後出しジャンケンの効果もあって「業界最安水準」の名にふさわしい値下げを敢行したライフネット生命ですが、今回比較にあげた他社の商品にあって同社の商品にない特徴があります。それは、余命宣告を受けた場合に前もって死亡保険金を受け取れる「リビング・ニーズ特約」がついていないことと、不慮の事故で特定の障害状態(片目失明、両耳失聴など)になった場合に以降の保険金の支払いを免除される「払込免除特約」がついていないことです。
これらは起きる確率が非常に低いとして無視しているのかもしれませんが、ぜひ今後の改訂の中でこれらの特約に対応して欲しいところです。

今後オリックスの「後出しジャンケン」に注目だが、保険料の差はもはや誤差レベル

ここ1年間の各社の相次ぐ値下げ攻勢により、保険料の改定を行っていないオリックス生命が、今となっては「割高」水準になってしまい、いつの間にか、各社を名指しして比較していた「比較サイト」も閉鎖してしまっています。ただ、同社のことですから、どこかのタイミングで再び「最安の保険」の座を奪還するために値下げを行うことが予想されます。ただし、もはや「定期死亡保険」については値下げ余地はほとんどなく月数円〜数十円レベルの差で争うことになるのではないかと予想されます。

“合理的な”収入保障保険など他の保険商品に期待

これまで、シンプルでわかりやすい「定期死亡保険」を中心に価格競争が進んできましたが、最近の「保険の見直し術」の主流は、「ムダがない三角形の保険」と紹介されることの多くなった収入保障保険(定額の保険金ではなく、年金のように保険金を毎月受け取るタイプの保険で、死亡時期によって受け取り総額が異なる保険)へと移ってきているように思います。

この収入保障保険をとりあつかっているネット生保は、いまのところアクサダイレクト生命しかありません。一般消費者にとってはわかりにくいのかもしれませんが、保険は合理的に選ぶべきであると常々主張しているライフネット生命から登場することを強く願っています。

医療保険編については、各社の新商品が出揃う5月に再度比較してみたいと思います。

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