原発「次の事故がどこで起きるか誰にも分からない」
4月4日(ブルームバーグ):35年間に3回の世界的な大事故を起こした原発は、事故防止よりも、事故が起きた場合の封じ込め策に焦点が移っている。
現在、世界で176基の原発建設が計画されているが、そのうち半分は1979年の米スリーマイル・アイランド、86年のウクライナ・チェルノブイリ事故が起きた時点では原発を保有していなかった国でのものだ。
2011年3月に起きた福島第一原発のメルトダウン(炉心溶融)事故の後でも、中国とインドでは原発建設計画を変更していない。科学者の間では原発事故を完全に防ぐことはできず、大事故を経験したことのない国で起きる可能性もあるとの指摘がある。
米カリフォルニア大学バークレー校のジョンホン・アーン教授(原子力工学)は「冷徹な事実として、どんなに技術を改善しても事故はどこかで起きるということだ」と述べた。大事故が起きれば放射性物質の放出、住民の避難といった事態が起きるため、電力会社だけではなく政府や市民も準備しておくべきだとの考えを示した。
福島第一原発事故後、ドイツは国内の全原発の廃炉を決めた一方でアジアでは石炭の代替エネルギーとして原発を推進する動きは弱まっていない。世界原子力協会(WNA)によると、中国は28基の原発を建設中で、ロシア、インド、韓国でも計21基が建設されている。
安全記録WNAは世界の原発の安全記録を擁護し、世界的な大事故は「原発が商業運転されている33カ国の累積運転年数1万4500年」で3件のみだと述べている。
問題なのは3大事故の原因が同じではなく、経済や環境、政治に重大な結果をもたらす事態になっても、すぐに封じ込めることができないことだ。福島第一の放射性物質放出に関連した死亡は公式にはないが、除染費は約20兆円に膨らむと試算されており、廃炉には40年以上かかる見込みだ。
米原子力規制委員会のヤツコ前委員長は東京でのインタビューで、原子力をエネルギー供給の一部として利用し続けるならば、原発敷地の外に放射性物質が放出されないよう封じ込め策を確実にしておく必要があると述べた。
原題:World Needs to Get Ready for Next Nuclear Power PlantAccident(抜粋)
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更新日時: 2014/04/04 08:16 JST