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小学校教科書に「日本固有の領土」の記述
4月4日 11時49分

小学校教科書に「日本固有の領土」の記述
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来年4月から小学校で使われる教科書の検定が終わり、東日本大震災に関する記述が大幅に増えたほか、尖閣諸島や竹島について小学校の教科書としては初めて「日本固有の領土」という記述が盛り込まれました。

今回の検定は来年4月から使われる小学校のすべての教科と高校の一部の教科書を対象に行われました。
4日開かれた文部科学省の審議会で、小学校の教科書は申請のあった139冊すべてが検定意見に基づく修正を経て合格し、高校の教科書は不合格と申請取り下げが1冊ずつあり、47冊が合格しました。
このうち小学校の教科書は、現在、使われているものよりページ数が平均で9%増え、東京電力福島第一原子力発電所の事故や放射線について初めて記述されるなど、東日本大震災に関する記述が多く盛り込まれました。
前回の検定は4年前で、震災後に記述を追加した教科書は10冊、率にしておよそ7%ありましたが、今回は25%に当たる35の教科書で触れられています。
例えば、「社会」で原発事故の被害や除染作業の写真が掲載されているほか、「音楽」には復興を支援する歌「花は咲く」が紹介されています。
また、尖閣諸島と竹島について記述した「社会」の教科書と地図帳が大幅に増えました。
現在、使われている17冊のうち本文の中で触れているのは1冊ですが、今回は14冊のうち7冊が本文中に記述していて、小学校の教科書としては初めて「日本固有の領土」と書いているものもあります。
このほか地図の中の表記も含めると、およそ8割に当たる11冊が尖閣諸島と竹島について記述しています。
新しい教科書はことし6月から公開され、地域ごとにどの教科書を使うかを決める「採択」が8月末までに行われます。

「尖閣諸島・竹島」4社すべてが記述


尖閣諸島や竹島について記述されているのは、小学校3、4年生以上の社会の教科書と地図帳です。
社会の教科書を作成した4つの会社すべてが本文中に記述したり、地図に表記したりしています。
5、6年生では小学校の教科書としては初めて「日本固有の領土」と書いたものもあり、尖閣諸島は3冊、竹島は4冊に見られます。
ある教科書は尖閣諸島について「中国が領有を主張しており、政府はその解決に向けて努力を続けています」と記述しましたが、誤解のおそれがある表現だとして検定意見が付き、「中国が領有を主張しています」と修正されました。
文部科学省は「日本は、尖閣諸島を巡る領土問題は存在しないという立場をとっていて、子どもたちに誤解を生むおそれがあるため」としています。
尖閣諸島と竹島を巡っては、文部科学省がことし1月、教科書を作成する際などの指針となる中学校と高校の「学習指導要領の解説書」を改訂し、「我が国固有の領土」と明記することなどを盛り込みました。
小学校では、社会の学習指導要領で「日本の領土の範囲について学ぶ」とされ、尖閣諸島や竹島のことは必ず学習しなければならない項目にはなっていません。
今回、記述のある教科書が増えたことに対し、文部科学省は「領土についての関心が高まっているため、各教科書会社が小学生にも教えた方がよいと考えたのではないか」と話しています。

「震災・防災」記述は9教科すべてに


東日本大震災や防災に関する記述は小学校の9教科すべてに見られます。
このうち「体育」の教科で使われる「保健」の教科書には5冊に記述があり、被災者の心のケアを行う組織を国が設け、健康相談が行われていることなどが紹介されています。
「図画工作」では宮城県東松島市の宮戸島の子どもたちが、10年後の街をテーマに大きな壁に描いた絵を紹介した教科書がありました。
また、「算数」にも盛り込まれており、震災で停電したときにどのように情報を入手したかなどを尋ねたアンケート結果を基に、グラフを読み解いたり割合を計算したりする問題が掲載されています。
一方、地震に関する記述については、より正確な表現にするよう検定意見がつきました。
ある理科の教科書にあった「火山のふん火や地震を予知する研究」という記述に対して、「現在の学術動向では“予知”と“予測”を使い分けている」として検定意見がつき、地震については「予知」という言葉を使わない内容に修正されました。
さらに「断層」については、これまで「地しんなどによってできた土地のずれを断層といいます」などと記述されていましたが、「必ずしも地震が原因で断層ができるわけではない」として、「土地のずれを断層といい、地しんのときには断層ができます」といった表現に改められました。

高校の外国語1冊が不合格に


今回の検定では高校の外国語の「コミュニケーション英語3」で1冊が、「教科書としての基本的な構成に重大な欠陥がある」として不合格となりました。
文部科学省によりますと、平成21年に告示された高校の学習指導要領では外国語の狙いを「『聞く』、『話す』、『読む』、『書く』の4つの技能を総合的に育成し、コミュニケーション能力を伸ばすこと」としていますが、不合格となった教科書は「読む」ことだけに特化した内容だったということです。
このため「教科書としての基本的な構成に重大な欠陥がある」として不合格となりました。
この理由で不合格となったのは、現在の審査基準になった平成15年度の検定以降、初めてだということです。

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