キュイーン、キュイーンというような音だった。
私は車の何処かを調整しているのかな?と思ったりもしたが、どうしても壁に細い穴を開けているような音に聞こえた。
私は次第にそのキュイーン、キュイーンという音が鳴るたびに勝手に私の自宅の壁に何だか知らないが穴を開けてもらっては困ると気になり出した。
そして今日も鳴ったのである。
キュイーン、キュイーンという音が。
私は即、隣に面した自分の部屋の窓をガラッと思いきり開けたが私の部屋は2階にあるので、すぐ下にある隣の家のガレージの様子は見えなかった。
一体何をやっているのだ?と思いながら窓を閉めた。
しかしまだキュイーン、キュイーンという音は鳴っていた。
私はしばらく椅子に座り、何処で鳴っているのだろう?と考えていた。
すると買ったはいいがほとんど使っていない携帯電話が目に付いた。
そして何とはなしに携帯電話に顔を近づけると、まさにキュイーン、キュイーンと鳴っていた。
音は隣の家のガレージではなく私の携帯電話から発していたのである。
私が適当にボタンを押して色々試しているうちに着信音がバイブレーターになっていたのだ。
私は携帯電話を手に取り着信履歴を見たところ、未知の電話番号が表示された。
しかしもしかしたらと思って司法書士の先生の名刺を出して見てみたら、まさに司法書士の先生からの電話であった。
私はすぐにかけ直し失礼をお詫びした。
司法書士の先生は私が頼んでおいた会社設立の登記申請の値段を連絡してきたのだった。
司法書士の先生が提示してきた料金は私が希望していた会社設立にかかる全額から私の報酬を差し引いても十分治まる金額だったので、即決して、「じゃあ会社設立の費用はこの金額で請け負う旨、早速ホームページに載せることにします」と答えた。
もっとも「まあ何度も言いますが、忘れた頃にお電話することになると思います」の一言も付け加えたが。
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