大正ロマンを代表する画家で詩人の竹久夢二(1884~1934)が米ハワイ滞在中に描いた日本画「宵待草(よいまちぐさ)」が見つかったと竹久夢二美術館(東京都文京区)が3日、発表した。ハワイで制作した作品が確認されたのは初めてという。4日から公開する。

 夢二は1931年5月に日本を出発し、ハワイに約2週間滞在。その後、米西海岸や欧州などを外遊した。この間に描いた作品は37点見つかっているが、ハワイでの作品はなかった。

 今回の作品はハワイ島日本人移民資料館から作品を引き継いだハワイ・ジャパニーズ・センターが昨年10月、夢二美術館に鑑定を依頼、夢二の作と判断された。作品は縦127センチ、横36・5センチ。紙に岩絵の具で、テーブルにひじをつく和服姿の女性が描かれている。大正時代の流行歌にもなった夢二の詩「宵待草」がつづられていた。詩の脇には「キラウイアに宵待草を見出で今は遠き日を偲(しの)びて/千九百三十一年五月/於布哇(ハワイ)」とある。石川桂子学芸員は「異国の地で宵待草を見つけ、郷愁を感じながら描いたと推測できる」と話している。展示は6月29日まで。(山田優)