米議会、TPP交渉に悲観的見方―日本抜きの合意も

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  • WILLIAM MAULDIN

[image] AFP/Getty Images

甘利明経産相とフロマン米通商代表部代表(2月22日、シンガポール)

 米下院歳入委員会は3日、フロマン米通商代表部(USTA)代表を招いて通商政策に関する公聴会を開催した。席上、歳入委メンバーらは、環太平洋連携協定(TPP)交渉について、停滞している新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)と同じ道をたどるのではないかと悲観的な見方を示した。

 米政府当局者はTPP交渉について、昨年中の合意を目指していたが、今では2014年中の合意を目標としていると話すようになっている。だが、2月に閣僚会合が開催されて以降、各国高官による会合は開かれていない。

 自由貿易協定推進派の民主党議員団を率いるロン・カインド議員(ウィスコンシン州)は「TPPはもう1つのドーハ・ラウンドになる恐れがある」と懸念を表明する一方、TPPの崩壊は「是が非でも」避けなければならないと訴えた。ドーハ・ラウンドは、12年前から交渉が続いている。

 サンダー・レビン歳入委民主党筆頭理事(ミシガン州)も、「TPPは極めて重要な段階にある」、「残っている重要問題のリストは暗唱できないほど長い」と述べた。ホワイトハウスは、4月下旬に東京で行われる日米首脳会談までに、TPPの対日交渉で一定の進展を示すよう圧力を受けている。

 米国が対日交渉で、自動車と農業分野のさらなる市場開放で日本から譲歩を引き出せるかどうかが、難航しているTPP交渉を活性化させ、TPPへの政治的支持を勝ち取るカギとなっている。

 通商交渉をめぐる米国内の政治状況が交渉を難しくしている面もある。上下両院の民主党指導部は、合意への障害を取り除く法案の年内採決に反対の立場を表明している。加えて、下院歳入委の通商協定支持派でさえ、米政府は交渉をまとめられないのではないかと危惧するようになっている。

 デービッド・キャンプ歳入委員長(共和、ミシガン州)は、米政府が年内にTPP交渉を妥結させることはできるかもしれないが、その場合日本を除外せざるをえなくなろうとの見方を明らかにした。

 同委員長は公聴会後記者団に対し、「日本が合意するつもりがないのならば、日本抜きで交渉を進める時が来ているのかもしれない」と語った。日米両政府は来週東京でTPPに関する実務者協議を開催する。日本のメディアによれば、フロマン代表はオバマ大統領の訪日前に、TPP交渉の打開を図るために訪日する可能性がある。これについて、USTRの報道官はコメントを避けた。

 フロマン代表は公聴会で、「今度は日本側がマウンドに立つ番だ」と述べ、ボールは日本側にあるとの認識を示した。

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