台湾で学生らによる立法院(国会)占拠が長期化する中、馬英九(マーインチウ)政権と与党国民党は学生側の求めを一部受け入れた形で対策を打ち始めた。低姿勢を見せ、学生や野党民進党のかたくなさを浮き彫りにする狙いと見られ、学生らとの宣伝戦の様相を呈している。

 行政院(内閣)は3日、中国との交渉を立法院などが監督することを定めた「中台協議監督条例」の草案を発表した。学生らが制定を求めていたもので、協議入り前や交渉段階などで立法院に説明し、意見を聞くといった内容だ。

 また、国民党は2、3両日、立法院で中国とのサービス貿易協定を委員会に差し戻そうとしたが、民進党が妨害した。国民党がこの協定を審議せずに強引に委員会から本会議に送付したことが占拠の引き金となったが、同党は一転して審議をやり直す姿勢を見せる。

 それでも学生側の要求との隔たりは大きい。学生らは公開度がより高い監督条例を求めているほか、条例制定後にサービス貿易協定を審議し直すべきだとの立場だ。これに対し、馬政権は「出来ることは努力している」と強調。国民党は「審議を妨害しているのは民進党」と批判を強める。

 一方、学生らは交流サイト「フェイスブック」を使って自らの立場を発信。中心的役割を担うグループ「黒色島国青年陣線」のページは約30万人が閲覧している。占拠する議場内にはボランティアの翻訳班も常駐し、英語や日本語など外国語での情報発信や外国人記者の通訳を行っている。(台北=鵜飼啓)