国土交通省は、機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン(指針)を初めてまとめた。2007年度以降、子どもを含む利用者が死傷する重大な事故が、全国で26件も発生。製造者、設置者、管理者、利用者のそれぞれが取り組むポイントを定め、「業界任せ」からの脱却を進める。

 機械式の駐車装置は1962年の日本橋高島屋(東京都中央区)が国内第1号。都市部の駐車場不足から商業施設で増え、80年代後半からは土地を有効利用したいマンションなどで急速に広まった。累計約54万基、自動車約287万台分が製造・出荷されているが、都道府県などへ設置の届け出義務があるのは、500平方メートル以上の設備などだけで、約1400基にとどまる。

 指針には、再発防止へ早急に取り組むべきことが明記された。製造者には、専門知識がない一般の利用者を念頭に、子どもらが簡単に入れない構造▽安全確認・緊急停止のボタンの設置▽人が入っている状態では動かなくなる機能――を呼びかけた。設置者には安全柵や子どもの待機場所、荷物の積みおろし場所の設置を、管理者には1~3カ月が目安の定期点検、一般利用者にも、酒を飲んでの操作禁止などを求めた。