トップページ政治ニュース一覧自民 集団的自衛権で論議を開始
ニュース詳細

自民 集団的自衛権で論議を開始
3月31日 20時06分

自民 集団的自衛権で論議を開始
K10033947511_1403311947_1403311953.mp4

自民党は、集団的自衛権の行使容認を巡って新たに設置された総裁直轄の組織で31日から党内論議を始め、講演した高村副総裁は、今の憲法の下でも必要最小限度の範囲に限定すれば集団的自衛権の行使は容認されるという認識を示しました。

集団的自衛権の行使容認を巡って、安倍総理大臣は、政府の有識者懇談会の報告書が提出されたあと、与党側と調整したうえで、憲法解釈の変更を閣議決定する方針を示していて、自民党はこの問題に対する党内の理解を深めようと、総裁直轄の「安全保障法制整備推進本部」を設置し、31日に初会合を開きました。
会合では高村副総裁が講演し、「最高裁判所は、個別的自衛権と集団的自衛権を区別せずに、自衛権について『平和と安全、国の存立を守るための措置は当然取りうる』と言っている。必要最小限度のものは認められるのに、『集団的自衛権は認められない』といった内閣法制局の論理には飛躍がある」と述べ、今の憲法の下でも必要最小限度の範囲に限定すれば、集団的自衛権の行使は容認されるという認識を示しました。
そのうえで、高村氏は「アメリカに行ってアメリカを守ること、イラクに行ってアメリカ軍と共に戦うことは、必要最小限度に含まれないだろう。具体的に何が必要最小限度に含まれるのか議論してほしい」と述べ、集団的自衛権を行使できるケースをどう限定するのか、推進本部で具体的に検討するよう求めました。
続いて、意見交換が行われ、出席者からは「『今の憲法の下では容認するのはここまでだ』という形で限定し、それ以上は憲法改正で対応するということにすべきだ」という意見が出る一方で、「必要最小限度という考え方は理解できるが、公海上や日本の領土・領海内に集団的自衛権の行使を限定すれば、必要な対応が取れなくなるおそれがある」という指摘も出されました。
自民党執行部は、今後、週1回程度のペースで推進本部を開き、集団的自衛権の行使容認に向けて、党内の意思統一を図りたいとしています。

赤池氏「解釈変更するのは当然」

自民党の赤池誠章参議院議員は記者団に対し、「内閣法制局が抑制的すぎるほど限定的に解釈して、集団的自衛権が行使できないことになっているが、時代に合わせて一日も早く解釈を変更するのは当然だ。国民にきちんと理解してもらえるよう現在の厳しい国際環境などを伝えていきたい」と述べました。

萩生田氏「議論に時間かけるべきでない」

自民党の萩生田総裁特別補佐は記者団に対し、「必要最小限度の集団的自衛権の行使は、友好国との信頼関係や日本の国益、国民の生命・財産を守るためには必要だ。すでに選挙公約として国民に約束したことなので、ずるずると議論に時間をかけるべきではなく、新人議員も含めて一定の理解が共有できたところが出口ではないか」と述べました。

逢沢氏「国民に通用するかが問題」

自民党の逢沢衆議院議院運営委員長は記者団に対し、「高村副総裁の議論の整理のしかたは、非常に分かりやすかったが、憲法9条に真正面から向き合うときに、この説明がどの程度、国民に通用するかが問題になってくる。国民に納得してもらえる説明をして、それと同時に、周辺国に対しても適切に説明していく必要がある。今後の議論は、拙速にゴールを決めないほうがいいが、ずるずると議論を重ねてもいけない」と述べました。

金子氏「政治の判断だけで収まる問題か」

自民党の金子一義元国土交通大臣は記者団に対し、「国家権力の行使には、極めて慎重さや謙虚さがいる。集団的自衛権は憲法9条の存立に関わるものでもあり、政治の判断だけで収まる問題なのかどうか、漠たる不安もある。高村副総裁が指摘した最高裁判所の判決は、今後の議論の有力な手がかりにはなるが、唯一無二のものかどうか時間をかけた議論が必要だ」と述べました。

脇氏「きちんと意見集約し結論を」

自民党の脇参議院幹事長は記者団に対し、「国家として非常に大事な問題について、党全体で意見集約すべきだと主張してきたので、こうして初会合が開かれたのはよかった。今の時点で結論が決まっているわけではないし、慎重派とか積極派などということでもなく、具体例を挙げながら、きちんと意見集約して結論を出していく」と述べました。

最高裁の判決とは

集団的自衛権の行使容認を巡って、自民党内で始まった論議で取り上げられたのは「砂川事件」の裁判です。
裁判では、憲法9条と自衛権の関係が審理の過程で焦点となりました。
昭和34年、最高裁判所は判決の中で、「戦力の保持を禁じた憲法9条の下でも、主権国として持つ固有の自衛権は否定されない」と指摘しました。
砂川事件は昭和32年、東京のアメリカ軍・旧立川基地の拡張計画に反対したデモ隊が基地に立ち入り、学生ら7人が起訴されたものです。
1審の東京地裁は「アメリカ軍の駐留を許した日米安全保障条約は、戦力の保持を禁じた憲法9条に違反している」として、全員を無罪としましたが、2年後の昭和34年、最高裁は「日米安保条約は、わが国の存立に関わる高度の政治性を有し、司法審査の対象外だ」としてこれを取り消し、その後、7人全員の有罪が確定しました。
この裁判の審理で焦点になったのが、憲法9条と日本の自衛権の関係で、この点について、最高裁は「戦力の保持を禁じた憲法9条の下でも、主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されない」としたうえで、「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置を取りうることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならない」と指摘しています。

専門家「法の支配の理念に反する」

砂川事件の最高裁判決を集団的自衛権の行使を容認する根拠とすることについて、憲法学が専門で学習院大学法科大学院の青井未帆教授は、「『砂川判決の言う自衛権は個別的自衛権だ』という前提でこれまで政府は解釈してきたはずなのに、きちんとした理由もないまま解釈を変えるのは法の支配の理念に反する」と指摘しています。
そのうえで「集団的自衛権の行使が必要最小限度の実力の行使の範囲に含まれるという見解は、これまでの考え方を根幹から変えるもので、制約が取り払われて自衛隊の活動範囲がどんどん広がるおそれがあり、認められない」と話しています。

[関連ニュース]
k10013394751000.html

[関連ニュース]

  自動検索

自民 具体的事例の検討で公明理解を (4月4日 4時37分)

集団的自衛権 自公協議始まる (4月3日 19時06分)

集団的自衛権 首相 報告書待たず公明と調整を (4月3日 4時40分)

集団的自衛権 限定的な行使容認を検討 (4月2日 4時44分)

首相 集団的自衛権で山口代表と会談 (4月1日 16時02分)

このページの先頭へ