安倍晋三首相と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は先週、米国の仲介によりオランダのハーグで3者会談に臨んだ。これが驚きをもたらしたこと自体が衝撃だ。共に就任から1年以上たった日本の首相と隣国韓国の大統領が、なぜ一度も会談したことがなかったのか。歴史認識や未解決の領土問題で北東アジアの雰囲気が険悪になっているため、同地域での米国の最重要同盟国である日本と韓国の首脳はほとんど話もしない。
会談の様子は多くを物語っていた。オバマ米大統領はいがみ合うのを抑え込むように両者の間に身を置いた。懸案については議論されず、3カ国の首脳は結束しやすい北朝鮮の核問題に関する協議に終始した。これで会談は象徴的な意味だけでなく、多少は中身を伴うものになった。
なぜこうした事態に陥ったのか。アジアの最も重要な経済大国である日韓の関係がこれほど悪化したのは、残念としか言いようがない。自由な報道機関と独立した機関によるチェック・アンド・バランスが働いているはずの民主主義国同士でさえ反目し合うのなら、共産党がナショナリズムと反日感情の炎が燃え続けることを望む中国と日本の関係に何を期待できるだろうか。
日韓については、双方に幼稚な点がある。韓国政府から時代錯誤な軍国主義の象徴だと非難された安倍氏の靖国神社参拝の決断は、愚かなほど挑発的だった。第2次大戦中に何千人もの女性に性的奴隷を強いたことを認めた河野談話を再検討する可能性を示したことも同じだ。
韓国政府の行動も思慮に欠けている。朴大統領が日本の伊藤博文初代首相を暗殺した人物の記念像設置を中国政府に要請したのは余計だった。旧日本軍出身で、戦後も日本寄りだった父親から距離を置こうとしていることが、朴氏の判断を鈍らせている。
一方、日本は挑発にたやすく乗ってしまう。多くが塗炭の苦しみを味わった韓国の従軍慰安婦の記念碑が米国で建設されるたび、日本は自らの歴史解釈を周知するために代表団を送り込んでいる。日本政府がこの問題で共感を得ることはなく、歴史が操作されていると感じる時でも黙って耐えることを学ぶべきだ。
中国は例外なのか。それとも大半の国々と同様に、借金を積み重ねた日々は悲しい幕切れを迎えるのか――。世界は今、この問題を熱心に議論している。…続き (4/3)
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