吉野梅郷の梅1266本、4日から全部伐採 東京・青梅
朝日新聞デジタル 4月3日(木)20時3分配信
果樹の病気「プラムポックスウイルス(PPV)」の広がりを防ぐため、東京都青梅市は2日、「梅の公園」(梅郷4丁目)の梅の木の伐採作業を4日から始めると発表した。園内の1266本すべてが対象。一般の入園は3日までで、「日本一の梅の里」を掲げてきただけに、惜しむ声が上がる。
市農林課などによると、PPVは2009年4月、青梅市内で国内初の感染が確認された外来種のウイルス。アブラムシが媒介するほか、感染した木から接ぎ木しても伝染する。ウイルスにかかると、葉や果実の表面に斑点が出て商品価値が下がり、成熟前に実が落ちる。桃やスモモなどにも伝染するが、人体や動物に影響はない。
感染の広がりを受け、市では09〜12年度、農家や植木などの梅の木約2万6千本を伐採した。梅の公園でも10年に初めてPPVを確認し、123本を伐採した。
その後も毎年、調査で見つかった感染木を処理してきた。しかし、昨年、農林水産省が省令を改正し、PPVが見つかった場合、感染木だけでなく、周りの木を伐採するように定めた。
このため、公園では、13年度に約500本の処理が必要になった。伐採本数が多くなったことを受け、市は感染拡大を防ぐためにすべての木を伐採することを決めた。今後、梅の木を植えるには、伐採後の3年間、周辺で新たな感染がないことが条件になる。
梅の公園は、周辺の宅地化が進むなか梅の名所を残そうと1972年に開園し、春になると多くの人でにぎわってきた。
吉野梅郷観光協会の清水勇会長(74)は「市全体のシンボルなので、伐採は何とも言いようがなく残念。早くよみがえらせるために、一歩ずつ進んでいく」と話す。
公園のそばに住む武井シズエさん(85)は「自宅の2階から見渡すと壮観で、梅が咲くと心も華やいだ」となつかしむ。開園以来、満開の梅を楽しみ、見物客を相手に飲食店を開いていた。「お客さんと話すだけで元気をもらえた。長い年月をかけて育ったのに切られるのは切ない」(松崎敏朗)
朝日新聞社
最終更新:4月3日(木)20時3分
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