「法治主義ではなく情治主義」「愛国無罪」「反日無罪」…。韓国の「おかしな司法」については、日本でもだいぶ知られるようになった。しかし、韓国司法の「おかしさ」は、右に列記したことだけではない。
いや、むしろ比率として、はるかに多いのは「有銭無罪・無銭有罪」の方だ。
韓国には、最高裁(韓国名では大法院)とは別に憲法裁判所がある。違憲立法審査権の総本山だから、「別格の権威」だ。
朴槿恵(パク・クネ)氏が大統領就任の直前、最初の首相として憲法裁判所長の経験者を指名したことは、「別格の権威」の政治利用を企図したとも言えよう。
ところが、その人物は首相就任前に、不正蓄財や不正不動産取引、息子の兵役逃れ…いろいろ疑惑が浮上し、自ら首相就任を辞退した。韓国の裁判官とは、李王朝時代の両班(ヤンバン=貴族)と同様、きれい事を言いつつ、実は、不正・腐敗の泥沼にドップリ漬かっていることを象徴するような辞退劇だった。
裁判官だけではなく、警察官も検察官も不正・腐敗の坩堝(るつぼ)の中にいたら、求刑も判決も「有銭無罪・無銭有罪」になるのは当然だ。
最近、典型的というべき「有銭無罪・無銭有罪」があった。
それは、大洲(テージュ)という地方財閥のオーナーに対する判決だ。脱税に加えて、100億ウォン(約9億6300万円)の横領で起訴されたのだが、なんと検察側が「脱税分を納付し、横領金も弁済供託したから」として、裁判所に罰金宣告猶予を要請した。
最終的に「罰金254億ウォン(約24億4800万円)」と決まったのだが、それを払えないと言うので、紙袋の糊付け労役に。その時、裁判所が下した労役日当は驚くなかれ5億ウォン(約4800万円)。土日の労役休日にも日当が支払われるというのだから、有給休暇付きだ。