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香港中文大学、STAP細胞作製の再現に成功か【4/3 更新】

 
 
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TEXT BY LIAT CLARK
PHOTO BY SHUTTERSTOCK
TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED NEWS (UK)

Image: Kenneth Lee

李氏が公開した3日目のグラフ。なお、ほかの研究者から「エイプリルフールだろう」というコメントがあったが、李氏は本物だと述べている。Image:Kenneth Lee

李氏は実験開始後ほどなくして、実験で使われた肺繊維芽細胞のなかに、過剰なストレスによって急死するものがあることを発見した。

李氏は3月28日付けで次のように書いている。「われわれは、細胞の数が50%減少したと推定した。『Nature』に発表された元の論文では、このような細胞数の減少は2日目に報告されており、われわれの現在の実験と一致する。3日目は非常に重要だ。この日にSTAP細胞のOct4-GFPの発現が報告されているからだ」(Oct4-GFPの出現は、幹細胞が作製されつつあることを示すとされる。Oct4は未分化胚性幹細胞の自己複製に密接に関与しているヒトのタンパク質のひとつで、緑色蛍光タンパク質GFPを利用して、未分化細胞のマーカーとして頻用される)。

「われわれの培養物のなかで、細胞数がさらに大きく減少したことがわかれば、その一部を採取して、直接定量PCR分析(幹細胞のスクリーニング手法)にかけるつもりだ」と李氏は述べている。

4月1日、「衝撃的」な定量PCRの結果が、グラフとともに公開された。「3日目の対照培養物と、STAP培養物の定量PCRの結果は衝撃的で驚いた」と李氏は述べている。「言葉が出ないほどの驚きだ!」

李氏はこの結果から、STAP細胞の作製に重要であったのは、酸に浸すことではなく、研和(微細なガラス管に細胞と溶液の混合物を通すことで、細胞の塊のサイズを小さくする工程)による極度のストレスである可能性があると推論している。

もちろん、李氏の研究は、ひとつの研究チームによる1回の取り組みに過ぎない。また、理研自身による結果の発表を待つ必要があることも間違いない。

更新(2014/04/03 14:15):原記事を掲載したWIRED UKは、李教授が新たに公表したコメントをもとに、同記事に修正を行った。タイトルも、「’Fabricated’ stem cell paper may have just been proven valid (”粉飾された”幹細胞論文の正当性が証明された可能性)」から、「’Fabricated’ stem cell paper technique may yet be proven valid(”粉飾された”幹細胞論文:手法の正当性の証明はこれから)」に変更されている(修正後の記事全文の翻訳)。

更新(2014/04/03 10:40):李氏はその後、以下のコメントを発表している。「(今回の実験結果は、)これらの細胞が幹細胞であるという非常に稀な可能性、もしくは、これらが、死につつあるストレスを受けた細胞が生み出した、調整されていない遺伝子表現の副産物である可能性があることを示している。今後、より多くの実験が必要であることは明白だ」

「わたしはSTAP細胞が存在していると主張しているわけではない。わたしがResearchGateで掲載した実験結果は非常に初期のものだからだ。わたしはヴァカンティ教授の手法を応用した。それは、小保方氏の手法とは非常に異なるものだ」

李氏は、自分がメディアでSTAP細胞の擁護者として扱われたことについて、自分はそのような主張を行っていないと強調した。李氏は、別の研究所が追試を行うことを期待している。「わたしが提供した情報は、酸に浸す処理というよりは物理的な研和処理が幹細胞を誘発するかどうかについて、ほかの研究所が追試するときに助けになると確信している」。

 
 
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