伊藤智章
2014年4月3日15時33分
米国の水爆実験から60年のマーシャル諸島の現状について、名古屋市の中京大社会科学研究所特任研究員、中原聖乃(さとえ)さん(48)が調査を続けている。残留放射能の不安から故郷に戻れない元島民のルポを2012年に出版。常に連想するのは、東日本大震災で被災した福島の未来という。
中原さんは短大卒業後、旧大阪外大夜間部に入学。外交史を勉強する中で、核軍縮交渉に比べてマーシャル諸島の核被害の研究があまりに少ないことに気がついた。
神戸大の大学院を経て、2004年に中京大の非常勤講師となり、貯金を崩し、一時は塾教師もしながら現地に通った。
取材対象は、実験場のビキニ環礁の東方180キロ、ロンゲラップ環礁の元住民ら。水爆実験の2日後、米軍に退去させられた。
57年に帰島したが、体の異常を訴える住民が出て、85年に国際NGOの支援で150キロ離れた無人のメジャト島に避難している。
最初の被曝(ひばく)者86人の子孫や土地の権利者、配偶者ら関係者は約2千人いて、米本土、マーシャル諸島共和国の首都マジュロなどにも分散している。
進行中の帰還プロジェクトについて、元住民らは中原さんに「全然怖くない」と帰島を期待する人もいたが、「子どもを連れて帰るのは怖い」「米政府は危険を隠している」と不安を口にする人もいた。
除染は居住地などが優先され、因果関係は不明だが、現地には幹が曲がったココヤシも生えている。健康不安を抱えながらの帰還にならざるをえない、と中原さんは考えている。
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