2014/04/03(木)更新
内外問わず訃報が続きヘコみ気味です。80年代後半~90年代前半を中心に、"The Godfather of House Music"の追悼特集。
2014年3月31日、ハウス・ミュージックを世界に広めたDJ/プロデューサーであるフランキー・ナックルズが糖尿病の合併症により他界した。亡くなる2日前にロンドンのミニストリー・オブ・サウンドでDJプレイを行ったばかりだった。享年59歳という早すぎる死に、世界中のクラブ・ミュージック・ファンが悲しんだ。
ハウス・ミュージックは、70年代末から80年代前半に流行したテクノ・ポップをディスコ・ミュージックに応用したジャンルで、それ以降のエレクトロニック・ダンス・ミュージックの基礎となった。
フランキーは出身地であるNYで70年代初頭にDJのキャリアをスタートし、同世代の盟友であるラリー・レヴァンと共に卓越した才能を開花させた後、1977年にシカゴのクラブ「ウェアハウス」に招かれる。
ウェアハウスでは、NYで確立したディレイやイコライザーなどを多用するミックス手法でシカゴのクラブ・シーンに大きな影響を与えたが、次第に既成のレコード音源を自らのミックス手法に合わせてテープ編集したり、過去のディスコ・ヒットを手頃な価格の電子楽器によってカバーするなど独自の音源制作を始めた。これらの音源が「ウェアハウス・ミュージック」と呼ばれた事がハウス・ミュージックの語源であると言われているが、フランキーがスタジオ制作を始めた頃に自分の音源を"It's very House Music."と表現した事が語源であるという説もある。
参考:当時の選曲リスト
http://www.gridface.com/features/frankie_knuckles_playlists.html
シカゴでの活動を終えた1986年後半の数か月間をロンドンで過ごし、この期間にイギリスのメディアで「シカゴ・ハウス」を代表するアーティストとして注目を浴びた。
参考文献:当時の記事
i-D (1986)
The Face (1986)
1987年にNYへ戻りメジャーレーベルでの音楽制作を活発に行い、90年代にはマイケル・ジャクソンやチャカ・カーン等のリミックスによりグラミー賞を受賞する。
「Let No Man Put Asunder (Frankie Knuckles Remix」(1984)
フランキーのリミックスとしては初めてオフィシャル・リリースされた、女性コーラスグループ、ファースト・チョイスのナンバー。1986年にリリースされ翌年にUKでNo.1を記録したスティーブ・シルク・ハーレイの「Jack Your Body」も、この曲のベースラインを使っている。
「Baby Wants To Ride」(1987)
筆者が1987年に訪れたNYのパラダイス・ガラージで、ラリー・レヴァンがこの曲をプレイした時の衝撃は忘れられない。日本でハウスの威力を実感できるクラブは1989年の芝浦・GOLDオープンを待つことになる。
「Only The Strong Survive」(1987)
オリジナルはジェリー・バトラーのヒット曲だが、フランキーはビリー・ポールのヴァージョンをベースに大胆なアレンジを加えており、シカゴ時代の集大成と言える秀作。現在配信は行われていないが、2014年3月下旬にドイツ盤12"が再発された。
「Tears」(1989)
1987年に初来日したフランキーに才能を見出され、渡米した年にメジャー・デビューを果たした日本が誇るハウス・クリエイター、富家哲。フランキー作品として取り上げられる事の多い曲だが、作曲およびトラックは富家自身によるもの。
「Ain't Nobody」 (LP Remix Version By Frankie Knuckles) (1989)
メジャー・レーベルでの活動を始めて間もない時期に、いきなりチャカ・カーンのリミックス・プロジェクトという大型企画への参加で話題となった。オリジナル・バージョンもロフト、ガラージ、ハウスに共通する大クラシック・ナンバーとして愛されている。
「Where Love Lives (Classic Mix)」(1990)
UKの女性シンガー、アリソン・リメリックのデビュー・シングルで、フランキーとデヴィッド・モラレスによるリミックス。イントロの華麗なピアノ・リフは以降のリミックス・スタイルを決定づけた。
「The Whistle Song」(1991)
世界中でビッグ・ヒットを記録し、未だに根強い人気を誇るフランキーの代表曲。浮遊するフルートの音色が印象的なインスト・ナンバー。キーボードを担当したDEF MIX Productionsのエリック・カッパーも大いに注目を集めた。
「Rain Falls」(1991)
富家哲が師匠フランキーに贈った珠玉の名作でヴォーカルは女優のリサ・マイケリス。富家哲のソング・ライターとしての地位を確立した曲でもある。フランキー、デヴィッド・モラレス、富家哲を擁するDEF MIX Productionsの快進撃が始まる。
「Rock With You (Frankie's Favorite Club Mix)」(1995)
1992年から始まった怒涛のリリース・ラッシュを経て円熟を迎えた時期のリミックス。“キング・オブ・ポップ“、マイケルへの愛情を感じる繊細でゴージャスな音色。
「This Time (The Bomb Mix)」(1995)
柔らかなピアノとシャンテ・ムーアの爽快なヴォーカルは、パーティの締めくくりとして大人気となった。多数手がけてきたR&Bソングのリミックスの中でも代表作と言える名盤。
「Blind (Frankie Knuckles Vocal)」(2007)
療養生活から復活し久々のリミックスはNYの個性派レーベルDFAからリリース。80年代のNYクラブ・シーンから蘇った様なサウンドで話題となったヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアのデビュー曲。新しさを感じる硬質なサウンドに今後の活躍が期待された。