2014年4月2日(水)

プーチンとオバマ、日本はどっちにつくべきか

飯島 勲 「リーダーの掟」

PRESIDENT 2014年4月14日号

著者
飯島 勲 いいじま・いさお
内閣参与(特命担当)

飯島 勲1945年長野県辰野町生まれ。小泉純一郎元総理首席秘書官。現在、内閣参与(特命担当)、松本歯科大学特任教授、ウガンダ共和国政府顧問、シエラレオネ共和国名誉総領事、コソボ共和国名誉総領事。

執筆記事一覧

内閣参与(特命担当) 飯島 勲 撮影=奥谷 仁 写真=時事通信フォト
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錯綜する情報、プロパガンダの闇

ウクライナ情勢が緊迫している。ロシア、西側諸国によるプロパガンダ合戦が行われているので、日本に住む読者は混乱しているのではないか。ここで一度ウクライナと世界の情勢を整理する必要がある。

(時事通信フォト=写真)

まず、米国と欧州諸国がロシア包囲網をつくりつつあるというのは、正しい部分と間違っている部分がある。西側諸国が、ロシアの一連の軍事行動を面白く思っていないのは事実だろうが、欧州はロシアの天然ガスを当面必要としており、G7(アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・日本・カナダ)が本格的かつ実質的な対ロシア制裁を打ち出す兆候はない。

先日、日本政府がウクライナ情勢への対応のために国家安全保障局初代局長の谷内正太郎氏をロシアに派遣すると公表したが、わざわざ表沙汰にする必要はなかったというのが私の率直な意見だ。行くなら隠れて行くのがいい。

日本の国家安全保障局長にあたる役職者は、諸外国ではスケジュールがあまり公表されず、隠密行動をとるのが通常だ。公の活動は政治家に任せ、裏でインテリジェンス情報を集めるのが基本的な役割といえる。インテリジェンス機関としての舞台装置をつくるのに大変なのは理解するが、今後は水面下に潜って、通常では得難い情報を集めてほしい。

ロシアとやっと緊密な関係を築き上げた努力が水泡に帰してしまうのが惜しい気持ちはわかるが、日米同盟が当面の日本外交の基軸であることに疑問の余地はない。それはアメリカの世界への影響力の衰えが顕在化しつつある現在でもそうだ。国家安全保障局局長を公式に訪露させるような目立つ行動はその点からも控えたほうがいい。

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