ノバルティス白血病試験:副作用、国に報告せず

毎日新聞 2014年04月02日 21時35分(最終更新 04月03日 00時19分)

ノバルティスファーマの白血病治療薬の臨床研究に関する疑惑について記者会見する社外調査委員会の原田國男委員長=東京都港区で2014年4月2日午後4時58分、喜屋武真之介撮影
ノバルティスファーマの白血病治療薬の臨床研究に関する疑惑について記者会見する社外調査委員会の原田國男委員長=東京都港区で2014年4月2日午後4時58分、喜屋武真之介撮影

 一連の行為は、降圧剤バルサルタンの臨床試験疑惑発覚に伴い「社員を臨床試験に関与させない」との再発防止策を公表した後も続いていた。報告書は「防止のための社内ルールがなく、今も明文化されていない」と変わらぬ企業体質を批判した。原田委員長は「(バルサルタン問題に)適切に対応していれば今回の事態に至らなかった可能性がある。反省が生かされなかった」と語った。

 ◇白血病治療薬の臨床試験問題◇

 22医療機関の医師が参加した白血病治療薬の副作用を調べる臨床試験が2012年5月に始まった。この試験に、ノバルティスファーマの営業社員らが、降圧剤バルサルタンの臨床試験疑惑の反省から会社が定めた再発防止策を破って関わっていたことが今年に入って発覚。学会発表のデータ解析をするなど試験に全面的に関与し、ノ社は新薬ニロチニブ(商品名タシグナ)の宣伝に利用していた。研究チーム事務局がある東京大病院は3月、医師が集めた患者アンケート255人分のコピーがノ社側に漏えいしたことを公表し、個人情報保護法に反する行為として謝罪した。

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