「好き」を誇りに変えてサービスを強くする:trippieceのココロオドル取り組み

梅内望未
2014.04.02 22:00

株式会社trippieceインタビュー


こんにちは、Wantedlyの梅内です。この連載では、楽しく働くための環境作りに取り組んでいる企業を訪ね、「より良い働き方(=ココロオドル働き方)」につながるヒントをお届けしています。



第3回は、みんなで行きたい旅をつくる「ソーシャル旅行サービス」を提供する株式会社trippieceを訪問しました!


旅の楽しみ方が大きく変わってきている


2014年2月10日にJTB総合研究所より出された調査結果「マーケットを読む・旅行者行動」によると、インターネットの浸透にともない、旅行者の情報収集の方法が大きく変わっているそうです。

旅先の情報を通勤や通学時などの「スキマ時間」にアプリで見る、旅行中にSNSで写真をシェアするなど、旅にまつわる情報を、時間や場所を問わず簡単に受信したり発信したりすることが可能になったということです。「いいね!」や「シェア」することに親しんでいる私たちは、個人が楽しむ旅ではなく、みんなで楽しむ旅に価値を見出しているのではないかと私は思います。

前述の調査結果に「昨今は利用者が考えた旅行企画を投稿し、賛同者が集まればツアーとして成立するなど新しい事業モデルが広がっており、今後SNSの役割が高まると思われる」という一文があります。今回訪問するtrippiece(トリッピース)は、まさにこの「新しい事業モデル」を手がける企業です。


トリッピースは「みんなで理想の旅を楽しむサービス」


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トリッピースが提供するソーシャル旅行サービスとは、あるユーザーが幹事となって企画した「行ってみたい旅」を下敷きに、その旅に興味を持った参加者たちで具体的なプランをつくります。出来上がったプランをトリッピースがツアーとして提供することで、参加者たちは実際に旅を楽しめるというものです。

これまでにも「ラオスで象使いになってみたい」「アメリカのグランドサークルをキャンピングカーで旅したい」といった海外旅行から、「カートで東京の街を爆走したい!」などの国内企画まで、さまざまな体験がトリッピースを通じて形になっています。

サービスを運営する株式会社trippieceには、旅をテーマにした社内制度がいくつもありました。代表取締役CEO石田言行さんにお話を伺います。


トリッピースの社員旅行は4カ月に1回ある


── いちばんはじめに取材のご依頼をメールでお送りしたら、「海外出張中」という自動返信がきましたね。trippieceの社員も頻繁に海外へ行かれるんですか?


石田さん(以下敬称略):この間の出張で行ったのは、シンガポールとタイでした。現在はシンガポールに支社があり、社員が2名いるんです。ただ、私だけでなく、社員も仕事やプライベートで海外には行きますよ。

私たちは2011年8月から9月にかけて、サンフランシスコで創業メンバーとtrippieceのコンセプトを固め、2011年3月に起業しました。その後、メンバーが増える中で、旅先で何かを決めたり、共有できたりする機会がなくなってきたので、今では「4カ月に1回は社員旅行を開催しよう」とすることにしたんです。


── 4カ月に1回とは多いですね! 最近はどちらに?


石田:この間、1泊2日と短いですが、山中湖へワカサギ釣りに行ってきました。朝7時ぐらいに集合してワカサギ釣りに行って、そのあと富士急ハイランドで遊んでから飲み会をやって、次の日にケービングをしに行きました。


── ハードですね...(笑)。社員旅行はどなたが企画するんですか?


石田:独断ではなく、みんなで話して決めます。もちろん幹事もいますが担当制です。


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株式会社trippiece 代表取締役社長CEO 石田言行(いしだ いあん)さん


── 旅行って思い出を共有するから、社員旅行を通じてチームの結束が強まりそうです。


石田:いつもは真面目に仕事をしているけれど、ワカサギ釣りでテンションが高くなっちゃった子とかを見ると、仕事中に見えない社員の「顔」がわかっていいですね! あと、私たちの社員旅行は基本的に平日なんです。緊急の対応はもちろんしますが、出勤時間中で行きます。

次は5月ごろに国内旅行をするつもりです。全員で参加することに意義がありますし、家族がいる社員のことも考えて、今回も平日に1泊2日で開催したいな。年次のKPIを達成したら、ゆくゆくは海外にも行きたいと思っています。


自分たちの取り組みに誇りをもつことで、サービスにも反映される


── 社員旅行以外で、他社に比べて「珍しいな」と感じる取り組みはありますか?


石田:毎日の朝会で「旅ネタ」を発表していることかな。ペルーにある砂漠のど真ん中に「ワカチナ」ってオアシスがあるとか、チュニジアのリゾート地として知られる「シディ・ブ・サイド」はホワイトとチュニジアンブルーのコントラストが美しい町だとか。

「trippieceの社員なら旅に詳しくなければいけない」ので、情報をみんなで共有しています。発表したネタは、Facebookグループに投稿しておき、アーカイブとして残します。あと、trippieceの社員にはいろんな旅を経験してほしいので、有給を取ることに反対したことがないんです。そのおかげかオフィスはいつもお土産であふれています(笑)。


── 旅ネタの共有は仕事にもつながる実用的な情報ですね!


石田:私は社員に「トリッピースに誇りをもつことがサービスに反映される」という気持ちを胸に仕事をしてほしいんです。はたらきがいも出てきますし。それを一番体感できるのが、社員自らトリッピースで企画をして、ユーザーさんと旅に行くことなんです。社員が企画した旅が実現したら、旅費の補助もしています。今までに何人も、そうして旅行をしていますよ。

トリッピースは「旅づくり」をするウェブサービスなので、雑念を盛り込まず、制度すべてに「旅」を関連付けています。あんまりブレている概念をつくりたくないんです


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アーカイブした「旅ネタ」は聞いているだけでもワクワクしてくるものばかり


── トリッピースを実際に使った旅で、思い出深いものを教えてください。


石田:どこも思い出深いのですが、2年前に2週間行ったボリビアのウユニ塩湖ですかね。私自身が企画して、参加者が10人いたのですが、そのうち1人しか知り合いがいなくて。飛行機がディレイされるなんていうトラブルもありました。旅の企画って1つのプロジェクトなので、それが達成されれば、トラブルも良い思い出になります。トリッピースは「同じ興味を持った、知らない人たち」と一緒の体験をするんですが、それはまるで中学校の入学式で味わうようなドキドキ感ですよ。


── 制度やこだわりで、強いて「旅」以外のことを挙げると何かありますか?


石田:オフィスの椅子にこだわりをもっていることでしょうか。一脚20万近いものを使っています。毎日座るものなので、業務にも直結しますから。あと、出社時間は一般企業より遅めの11時なことかな。満員電車はストレス溜まりますし、私自身、朝が弱いというのもあります(笑)。就業時間は11時から20時なので、早めに出社したらその分は早く帰ってもよく、フレキシブルにしています。


同じ価値観をもった仲間でつくり上げる重要性


私もこれまで様々な国や地域を訪れたことがあるくらいに旅が好きです。今回、取材先を探している時に、友達から「それならtrippieceが面白いんじゃない?」と勧められたのがきっかけで訪問することになりました。しかし私以上に、trippieceには「旅が好きだ!」という人もパワーも集まっていました。

同じ趣味や興味を持った人たちだけが集まって作る企業はなかなか無いでしょう。これこそがtrippieceの強みであり、trippieceを加速させる燃料になっているんだと感じました。まさに「好きこそ物の上手なれ」。trippieceの社員たちがココロオドっている理由は、サービスのコンセプトからブレない取り組みをしているからだと思うのです。

会社で制度や取り組みを考えるとき、自社のコンセプトとは無縁のことをするのではなく、「うちのコンセプトって何だっけ? コンセプトと既存の取り組みって関連性がちゃんとある?」という視点から見直してみる。それが、ココロオドル会社になる近道なのかもしれません。


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みんなで旅をつくるソーシャル旅行サービス - トリッピース

(梅内望未/Wantedly

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