強制連行:中国河北省の149人提訴 韓国側とも連携

毎日新聞 2014年04月02日 13時03分(最終更新 04月02日 13時21分)

 【石家荘(中国河北省)工藤哲】日中戦争時に強制連行され日本で過酷な労働を強いられたとして、中国河北省に住む中国人被害者や遺族ら149人が2日、三菱マテリアルを相手取り謝罪や賠償を求める訴訟を河北省高級人民法院(高裁)に起こした。中国では2月以降、日本企業を相手取った強制連行訴訟の提訴が相次いでいるが、今回の原告数は最大規模。韓国で同様の訴訟を起こした関係者も支援のために現地入りしており、訴訟を通じて中韓の関係者が連携を強化する見通しだ。

 訴えでは、同社に対しメディアでの謝罪広告の掲載や被害者1人当たり150万〜200万元(約2500万〜約3350万円)、総額2億2700万元(約38億円)の賠償金の支払い、日本での強制連行に関する記念碑の建設などを求めている。

 1日夜には石家荘市内で原告側の集会があり、韓国側の関係者3人も出席。勝訴に向けて原告や韓国人、在日中国人らが協力し、情報交換を進めることで一致した。

 中国では2月26日、被害者や遺族の計37人が同社や日本コークス工業(旧三井鉱山)を相手取り損害賠償と謝罪を求めて北京市第1中級人民法院(地裁)に提訴し、同地裁は3月18日に受理。中国で初めての強制連行訴訟が開かれることになった。河北省ではその後、唐山市や滄州市、衡水市でも被害者らが日本企業などを訴えたが、地元の法院が受理したとの情報はない。

 中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は3月末、ベルリンでの演説で「歴史を忘れない」と発言し、日本による戦争被害を改めて強調した。中国国内では3月以降、国家文物局が日中戦争に関連した中国国内の史跡や記念館の開放を一層進める方針を打ち出すとともに、戦時中の画像や記録をインターネット上で公開する「中国人民抗日戦争ネット記念館」の開設を新華社通信が伝えるなど、歴史問題で日本をけん制する動きが目立っている。相次ぐ提訴もこうした動きの一環とみられる。

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