愛知・豊川工高を全国高校駅伝の強豪校に育てながら昨春に体罰問題で退職した渡辺正昭前監督(51)が、東京・日体荏原高の陸上部を指導することが1日、分かった。1日付で同校の保健体育教員に赴任した。これを受け、渡辺氏の私塾で指導を受けていた豊川工陸上部員8人が日体荏原に転校し、続けて指導を受けるという。

 渡辺氏は1993年に保健体育教員として豊川工に赴任し、陸上部監督に就任。駅伝で無名だった同校を男子は2011年まで全国大会14年連続出場、04年は準優勝に導いた。しかし昨年1月、生徒への体罰が発覚。08年度からの5年間で30人に対し、ほおを平手でたたいて鼓膜を傷つけるなど、33件が判明した。昨年3月に停職処分を受け、依願退職していた。

 今回の赴任は、日体荏原が渡辺氏の母校・日体大の系列校であることがきっかけで、学校側から指導を求めたという。学校側は「渡辺氏が陸上以外にも、教員として有能な人材であると総合的に判断した上でお願いした」としている。