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中国でデジカメ“欠陥”報道 炎上を許したニコンの失策

ダイヤモンド・オンライン 2014/4/2 08:30 週刊ダイヤモンド編集部

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“欠陥”報道を受け、中国全土でニコンのD600は販売停止にPhoto:Imaginechina/アフロ

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 色鮮やかな夕焼けや青空を台なしにするかのごとく、写真に映り込んだ複数の黒い点。重苦しい音楽とともに、次々と不満を訴えるデジタルカメラの購入者たち。

 3月15日の「世界消費者権利デー」に合わせて中国国営中央テレビ(CCTV)が放送した特別番組で、“欠陥商品”として俎上に載せられたのはニコンのデジタル一眼レフカメラ「D600」だった。放送翌日の16日、早速、上海市工商局がD600の中国全土での販売停止を命令。ニコンは現地の家電量販店などからの在庫回収に追われた。

 やり玉に挙げられたD600は2012年9月に発売開始。「フルサイズ」と呼ばれる35ミリ銀塩フィルムと同サイズの大型イメージセンサーを搭載しながらも、20万円台と中級機並みの価格を実現し、カメラ愛好家の間で「手が届くフルサイズ機」と人気を集めた。

 JPモルガン証券の推定では、13年度のD600の予想売上高は約160億円。ニコンのレンズ交換式カメラ売上高の11.7%を占め、営業利益は推定で20億~30億円に上るという。中国では4万8000台が出荷された。

 しかし、D600は13年末までに生産を終了している。ニコンは後継機のD610が13年10月に登場したためと説明するが、業界関係者の間では画像に黒点が映り込む「ダストセンサー」問題対応のためというのが一致した見方である。今回CCTVでクローズアップされたトラブルは、カメラ愛好家の間ではD600の発売直後から指摘されていたのだ。

● 海外メーカーを狙い撃ち

 一眼レフカメラでレンズ交換する際に、内部にごみが入り込み、センサーに付着することは珍しいことではない。ただ、D600はその頻度が突出していた。

 海外のニコンユーザーの間では、シャッターの機構に問題があるのではないかと早くから批判されている。カナダのカメラマンは新品のD600で白い壁を1000枚連続で撮影し、レンズ交換なしでも撮影画像に黒点の数が増えていく動画を12年11月に投稿。「すべてのごみはカメラ内部で発生した」と結論づけていた。

 ニコンが重い腰を上げて「画像に黒点が映り込む現象が指摘されている」と認めたのは発売から約半年後の13年2月。しかし「カメラの機構上避けられず、完全になくすことは困難」として、専用装置を使って清掃することを解決策として提示し、ユーザーの不評を買う。さらに、発売からわずか1年後の、ほぼ同型の後継機の登場は、ダストセンサー問題の幕引きを強引に図ったと捉えたユーザーの怒りの火に油を注いだ。

 こうしたニコンの対応もあって、米国ではD600にもともと欠陥があったとして、損害賠償を求める集団訴訟まで2月に起きている。

 CCTVの特別番組は“外国企業たたき”の場として知られ、昨年は米アップルが標的になった。プロパガンダの色彩が強く、中国でも人気のニコンが狙い撃ちされたことは否めない。

 しかし、米国の集団訴訟など、ダストセンサー問題が世界で非難の的になったことが、CCTVにつけ入る隙を与えたともいえる。ユーザーの声を真摯に受け止め、早期に製品回収などの手を打っていれば、中国での“炎上”は防げたはずだ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

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