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パーキンソン病やアルツハイマー病を防ぐカフェインの効果

嗜好品や飲み物として世界中で定着しているコーヒーですが、最近では、さまざまな健康効果も報告されています。
まず、注目されているのが糖尿病と肝臓ガンの予防効果です。これはコーヒーを飲む習慣のある人とない人の比較によって結論づけられたものです。
全体を合わせると約20万人を対象として、約10年間にわたって行われた非常に大規模かつ長期的な調査です。その結果、コーヒーを1日4杯以上飲んでいる人は、1日にコーヒーを2杯以下しか飲まない人に比べて、糖尿病、肝臓ガンの予防効果が高いという結論が出たのです。

コーヒーが及ぼす作用といえば、なんといっても覚醒効果です。
この覚醒効果は、コーヒーに含まれるカフェインによるものであることが判明していますが、カフェインの脳に対する効果に関してはさまざまな報告がなされています。


カフェインには、間違いを見つけるといった脳の注意力や認知力を高める作用があります。
これは帯状回の活性化が関与していると報告されていますが、帯状回をはじめ、注意力や認知力にかかわる脳の領域をカフェインが活性化するのです。
また、カフェインによる脳の活性化には、神経伝達物質ドーパミンの働きが関わっているようです。
ドーパミンは快感、やる気、意欲といった情報を伝える神経伝達物質です。
頭がすっきりする、眠気が覚めるといったコーヒーを飲んだ時に感じる作用は、ドーパミンが関係しているといわれています。

パーキンソン病は、脳内で運動を調節している神経回路が異常をきたし、手足が震えたり体が思うように動かなくなったりする進行性の病気です。
2010年に発見された論文では、コーヒーを普段から飲む人と飲まない人の大規模な比較試験により、コーヒーを飲むことがパーキンソン病の予防につながると結論づけられています。
具体的には、約100万人を約10年間追跡したところ、1日に4杯以上コーヒーを飲む人が、コーヒーを全く飲まない人に比べて、パーキンソン病になりにくいという結果が出ました。
パーキンソン病は、脳内のドーパミンが減少することが発症のきっかけとなります。
カフェインのパーキンソン病の予防作用は、このドーパミンの働きをよくしたり、量の低下を防いだりすることに大きくかかわっていると考えられています。
ラットを使った実験では、カフェインがパーキンソン病の発症と関係している脳の部位のドーパミンが減るのを防ぐと報告されており、カフェインがパーキンソン病を予防するメカニズムがわかってきています。
また、PETで人の脳におけるドーパミン受容体の結合を調べた検査でも、カフェインがパーキンソン病に関係する脳の部位のドーパミンの結合をよくする、つまりドーパミンの働きをよくする可能性があると発表されています。
パーキンソン病が脳内でのドーパミンの減少や枯渇からはじまるのを考えるとコーヒーに予防作用があるのは頷ける話です。

また、アルツハイマーに関する論文も2010年に発表されています。コーヒーを飲む人飲まない人を比較した大規模実験により、コーヒーを飲むことがアルツハイマー病を含む認知症の予防につながるのではないかという結果が報告されています。
動物を使った基礎実験でも、ラットの遺伝子を操作してアルツハイマー病を発症させ、一方にカフェインを与え、もう一方にはカフェインを与えなかったところ、カフェインを摂った方のラットの認知力が改善し、アミロイドβが減るという結果が出ています。
アミロイドβとは、アルツハイマー病の発症とかかわりがあるタンパク質で、脳内でアミロイドβが過剰に生産されて蓄積されることでアルツハイマー病が起こります。
このアミロイドβが減るということは、アルツハイマー病の予防や改善に非常に大きな影響を及ぼします。