南極海での日本の調査捕鯨について、厳しい決定が出た。国際司法裁判所(ICJ)が中止を命じた判決である。

 捕獲数が多く、肉を販売しており、実質的に商業捕鯨にあたる――。反捕鯨国オーストラリアの訴えに、日本は国際条約に沿った科学的研究だと反論したが、ICJは「現状は科学目的とはいえない」と断じた。

 ICJの判決には拘束力があり、控訴できない。日本は世界に「法の支配」の大切さを訴えてもいる。政府が南極海での現行の調査捕鯨を中止すると決めたのは当然だろう。

 今後は頭数などを見直して再開を目指すか、完全に中止するか、検討するという。北西太平洋での調査捕鯨は裁判の対象ではなく、継続する構えだ。

 ただ、今回の判決は世界でただ一国、調査捕鯨を続ける日本に対し、国際社会の視線が極めて厳しいことを改めて突きつけた。北西太平洋での捕鯨も、ICJへの提訴が予想される。

 ここは、政策を転換すべきではないか。

 調査捕鯨は、事業としても行き詰まっている。

 捕獲事業を担うのは、一般財団法人「日本鯨類研究所」で、調査捕鯨で捕った鯨の肉の売り上げを活動資金に充ててきた。しかし、鯨肉の消費が低迷しているうえ、近年は反捕鯨団体シー・シェパードの妨害行為の影響もあって、運営が一気に悪化した。

 東日本大震災の被災地支援を名目に、復興予算約22億円が財団などに拠出され、厳しい批判を浴びたことは記憶に新しい。現在は、漁業への補助金を特例的に出してしのいでいるが、毎年数十億円の予算を使い続けるのは妥当だろうか。

 ICJは調査捕鯨自体は認めており、鯨が増えすぎると生態系を崩す恐れもある。国際的な共同事業として調査捕鯨に取り組むよう、政府は粘り強く呼びかけていくべきだ。

 一方、和歌山県太地町など全国数カ所で行われている「沿岸小型捕鯨」は、国際捕鯨委員会(IWC)が規制していない鯨種を捕っている。地域の文化や経済と深く結びついており、今回の判決と混同されないよう、国際社会に説明していく必要がある。

 IWCは米国やロシアなどの先住民を対象に「先住民生存捕鯨」の枠を認めている。日本は「沿岸小型捕鯨も同様に位置づけてほしい」と訴えているが、なかなか認められない。調査捕鯨を見直しつつ、働きかけを強めたい。