マーティー・バロン氏は14年間にわたって米国の大手新聞の編集主幹を務めている。マイアミ・ヘラルド紙、ボストン・グローブ紙を経て現在はワシントン・ポスト紙に籍を置くが、どの新聞でも予算と人員の削減を強いられてきた。
「それが私の編集主幹としての人生だった」。ワシントン・ポストの本社ビル5階にあるオフィスでバロン氏はこう語る。机の上は何種類もの新聞で覆われ、オフィスの隅にあるテーブルにはロイヤル社製の黒いタイプライターが鎮座している。
ただ、今年は違う。ワシントン・ポスト紙が新たな投資の時代に突入したからだ。同紙では80年間にわたってグラハム家がオーナーとして君臨していたが、アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏が昨年、この由緒ある報道機関を2億5000万ドルで買い取って非公開化した。これにより、四半期利益の計上というプレッシャーがなくなったのだ。
■新しい取り組みにベゾス氏の影響
買収が成立してまだ半年ほどしか経たないにもかかわらず、すでに進められているいくつかの計画からは、そのベゾス氏の影響力と、持続可能なデジタルジャーナリズムビジネスを将来に向けて構築するポスト紙の取り組みが垣間見える。
提携先の新聞・サービスの購読者や利用者にポスト紙の有料デジタルコンテンツを無料提供することで、読者層を米国内外で拡大するという新しいプログラムもその1つだ。このサービスは今年5月、他の数紙と提携した上で開始されるが、アマゾンの「プライム」配送サービスのような会費制サービスを提供する企業とも手を組む可能性がある。
ポスト紙のニュース編集室は約600人のスタッフを擁する。バロン氏はこれを40人近く増員するという。公共政策が現実の世界に及ぼす影響の解説に的を絞った新しい企画のためにデータジャーナリズムに携わる記者や編集者を新たに雇ったり、さまざまな編集プロジェクトのプロトタイプを制作するモバイルデザイナーを採用したりすることになる。
「慣れるにはある程度時間がかかるが、非常に速いペースで慣れてきた」とバロン氏は言う。「今の我々は、将来のことをとても広い視野で考えている。手持ちの資源の制約内でどうやりくりするかという発想ではなくなっている」
マーティー・バロン氏は14年間にわたって米国の大手新聞の編集主幹を務めている。現在はワシントン・ポスト紙に籍を置くが、どの新聞でも予算と人員の削減を強いられてきた。…続き (4/2)
国際通貨基金(IMF)は3月31日、世界の大手銀行に対する暗黙の公的支援が、なお計5900億ドルにのぼると明らかにした。…続き (4/1)
各種サービスの説明をご覧ください。