2014年3月31日、ボーイング社は、米国防高等研究計画局(DARPA)の提唱する航空機からの超小型衛星低コスト打ち上げシステム『Airborne Launch Assist Space Access(ALASA)』の開発契約が決定したと発表した。
ALASAは2011年にDARPAが提案した航空機からの超小型衛星打ち上げシステム。増大する国防関連衛星打ち上げの費用を削減し、ロケット打ち上げ射場の条件にとらわれない柔軟な運用を目指すとしていた。100ポンド(約45キログラム)までの超小型衛星を、1回100万ドルの費用で打ち上げるのが目標。従来の打ち上げ費用から66パーセントの削減になるという。
ALASAのコンセプトデザインにはボーイングのほか、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、ヴァージン・ギャラクティックなどが参加していた。ボーイングによれば、同社の研究開発部門ファントムワークスの設計によるシステムが採用されたという。
ALASAシステムは、3060万ドルの開発費を元に11カ月間で開発する。システム全長は7.3mで、F-15E下部に取り付ける。航空機は4万フィート(約1万2000メートル)まで上昇し、ALASAを発射。4つのメインエンジンに点火し、地球低軌道に1機または複数機の超小型衛星を打ち上げ可能だとしている。
ALASAは開発期間が11カ月と短期間で、2015年には実証打ち上げが行われる可能性がある。民間の商用衛星と防衛衛星は、費用の算出基準が異なるため一概には比較できないが、一例では国際宇宙ステーションからの超小型衛星打ち上げ機会提供などを行う米スペースフライト社が、50キログラム級の超小型衛星を地球低軌道に打ち上げる場合の費用を175万ドルとしている。ALASAの100万ドルが実現すれば大幅なコスト削減になる。
これまで、航空機を使った空中発射による人工衛星打ち上げシステムのコンセプト発表は少なくない。2011年にNASAが発表した報告書では、今回と同じボーイングが2006年に検討したF-15 グローバル ストライク イーグルの上部に空中発射システムを取りつけるシステムや、仏ダッソー社による、ミラージュIVの下部に空中発射システムを取りつけて最大70キログラムの衛星を打ち上げる「MLA」システムなど、119もの構想があるとしている。ALASAが実現すれば、長年検討されてきた低コスト打ち上げシステムが登場することになる。
《秋山 文野》
ボーイング F-15E戦闘機からの超小型衛星打ち上げシステム開発決定
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