経済協力開発機構(OECD)は1日、世界の15歳を対象に2012年に実施した学習到達度調査(PISA)のうち、コンピューターを使って課題を解決する「問題解決能力」の結果を発表した。参加した44カ国・地域の中で、日本はシンガポール、韓国に次ぐ3位。公表済みの「読解力」(4位)や「科学的応用力」(同)と同様に高い水準を示した。
OECDは問題解決能力を「解決方法がすぐに分からない問題を理解し、解決を図ろうとする能力や意志」と定義。コンピューターを使って調査したのは初めてで、日本は181校の高校1年生約6300人が参加した。単純比較できないが、筆記で実施した03年の同分野の調査(4位)から順位を1つ上げた。
OECDは加盟国平均が500点になるよう問題を作成した。日本は552点で、得点分布では618点以上を獲得した上位層の割合が22%で参加国・地域中3番目に多く、423点未満の下位層は7%で2番目に少なかった。男女別は男子561点に対し、女子は542点だった。
公開された問題例をみると、道路地図を基に目的地までの移動時間を計算したり、電車の券売機の画面を見て正しい切符を買えるかを試したりするなど、日常生活の課題を想定した問題が多い。日本は全42問中41問で、OECD平均より正答率高かった。
調査に併せて実施したコンピューターの利用経験を尋ねるアンケートでは、自宅でコンピューターを使う生徒の割合は81%で、回答した33カ国・地域中で2番目に低かった。また、学校で使っている割合もOECD平均より12ポイント低い60%にとどまった。
文部科学省は「課題に対する対応力の高さが示された一方、コンピューターを使う経験の少なさも浮かんだ。学校などでのIT機器の活用を増やしたい」としている。
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