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ヤマカワプログラム全国の畑に響き渡る!

ソウカ病激発圃場でキレイなジャガイモがとれた(199ページから)。左からJA幕別町の西村孝志さん、十勝農業改良普及センターの船戸知樹さん、山川良一さん、幕別町の村田辰徳さん(佐々木郁夫撮影)
ソウカ病激発圃場でキレイなジャガイモがとれた(199ページから)。左からJA幕別町の西村孝志さん、十勝農業改良普及センターの船戸知樹さん、山川良一さん、幕別町の村田辰徳さん(佐々木郁夫撮影)

光合成細菌と酵母エキス、そして耕盤層の土を煮た「土のスープ」の3点セットの散布で耕盤が抜ける(耕盤はあるが、根や水を通すようになる)というヤマカワプログラム(2012年10月・12月号)。微生物の力で耕盤を抜くという発想は農家魂に火をつけ、その輪は瞬く間に広がっている。

広がるヤマカワプログラム

ヤマカワプログラムには、全国から問い合わせが多数あった。

実際にやってみた畑の変化に驚く農家の声も続々と届いている。

自然栽培の畑 7割の耕盤が抜けた

北海道ニセコ町・服部吉弘

 無肥料・無農薬・不耕起の自然栽培で約30種類の野菜をつくっています。6反の畑でフルーツトマトをメインに、カボチャ、ニンジン、メロン、マメ類など、少量多品目です。

服部吉弘さんと、無肥料のダイズ
服部吉弘さんと、無肥料のダイズ

 土壌は粘土まじりの火山灰土です。帯広市の薮田さんに紹介され、昨年からヤマカワプログラムに取り組みました。今年が2年目になります。

 畑の地下20〜30cmのところにある耕盤層の土400gを、2リットルの水で30分煮た土のスープ。それと、光合成細菌と酵母菌の3点セットを、春2回、夏1回、秋1回散布しました。3点セットを3000倍に薄めて反当100リットル、雨の前日にスプレーヤーで、ハウスではかん水チューブで流しました。雨の前日にやるのがポイントです。

 棒が刺さるなど、耕盤層が抜けたところが7割くらいです。その結果、今年はほとんどの作物の生育が、驚くほどよくなりました。写真の通り、特にダイズは莢つきも太りもいいです。私は自然栽培なので、肥料などの影響ではありません。抜けなかった部分も今度、その耕盤で土のスープを作れば抜けると思います。

 耕盤層が消え、土壌微生物が増えれば、肥料や農薬を使わなくても収穫量はもっと増えると思います。そして、石油や肥料などの有限資源の使用量をもっと減らしていけると思います。

ぬかるみ重粘土で極上タマネギがとれた

愛媛県松山市・石丸好弘

 私はサトイモやタマネギ、白ネギなどの露地野菜をつくっています。

石丸好弘さんのタマネギ。圧巻の700g
石丸好弘さんのタマネギ。圧巻の700g

 畑は重粘土で、周りが水田のためか、いつも水が抜けずウネ間に水がないことはほとんどありませんでした。なにをつくっても湿害にあい、作業時も土がぬかるんでいて歩きにくく、本当に使いにくい土地でした。

 ところが、その畑がヤマカワプログラムですっかり変わりました。耕盤の土を煮た上澄み液と、山川さんに頼み込んで送ってもらった光合成細菌、酵母エキスを3000倍に薄めて、1カ月に1回のペースで反当100リットルほど散布しました。

 最初に散布して1カ月くらいで、排水性はすごくよくなりました。土の表面は団粒構造になり、土の色はやや黒っぽくなり、土はドブ臭かったのが、なにも臭わなくなりました。

驚きの成分分析結果が

 その畑でとれたタマネギは、節間が詰まり、大玉になりました。大きいもので1.2kgもあり、平均500gほど。いままでを考えると、とても信じられません。

 食べた人からは「汗が出るようになる」「便秘が治った」などといわれました。勧められて成分を調べてみると、抗酸化成分のヒドロキシルラジカル消去活性が、平均値の2.6倍もあるとのこと。信じられない結果でした。

 ヤマカワプログラムは、困って困って、どうにかしたい気持ちが伝わって、大きな効果が出たんだと思います。

ハウスのキュウリ40年で一番長くとれた

愛媛県伊予市・武智繁明

武智繁明さんのハウスキュウリは、耕盤は抜けなかったが、例年よりひと月長くとれた(7月5日、赤松富仁撮影)
武智繁明さんのハウスキュウリは、耕盤は抜けなかったが、例年よりひと月長くとれた(7月5日、赤松富仁撮影)

 ハウス(200坪)でキュウリを40年間つくっています。粘土質ですが暗渠を入れてあるので排水性は悪くありません。しかし、長年の作付けでネコブセンチュウが出て、 5月、地温が上がると葉はぐったり、実は太りすぎて果形も悪くなり、困っていました。『現代農業』を見て石灰防除、塩散布、いろいろやりましたがダメでした。

 ヤマカワプログラムの記事を見て興味を持ちましたが、光合成細菌や酵母エキスが手に入らず、代わりにえひめAIで試すことにしました。

 自分で作った土のスープ200ccにえひめAIを2リットル、それから発酵菌「小町」を500g混ぜ、200リットルタンクで薄めて動噴で定植の12〜13日前と3日前と2回散布しました。

耕盤は抜けず根コブもあるが…

 しかし、耕盤はそのまま残っているようです。排水性もとくに変わりません、根のコブもあいかわらずです。

 しかし、今年の収穫量は多く、200坪で3500箱と、昨年より600箱多くなりました。例年6月初めで収穫を終えますが、今年は7月10日まで収穫が続きました。ひと月も長くとれたのです。40年間で初めてです。

 えひめAIは土にまいただけでなく、毎週のように徹底的に葉面散布しました。だからこの効果は、自作のヤマカワプログラムだけでなく、えひめAIもあるかもしれません。

 いずれにしても、キュウリはよくできました。昨年まではキュウリが太くなりすぎて、箱に入れるとフタがしまらないということがよくありました。それが今年は、果形がスマートに、キュウリの本来の姿になったのか、きちんとフタがしまるようになりました。

 土のスープとえひめAIは来年もつくって、再度、試験するつもりです。

やっぱり土のスープだけでも抜けた

茨城県土浦市・井坂和史

 ナバナやエシャレット、ショウガ、食用ギクなどに取り組んでいます。面積は五反くらいで、土質は赤土(関東ローム層)に粘土が混じったものです。

 土が硬いのが悩みでした。去年の記事を読んで畑を15〜20cm掘ると、確かに硬くしまった層がありました。昨年10月号の中の「土のスープだけでも効いた」を読んで、これならすぐにできると思って試すことにしました。

 結果は写真の通り。土のスープを600倍に薄めて散布し、太さ5mmほどの棒を毎日刺すと、それまで15〜20cmくらいしか刺さらなかった場所でも、1週間で見事、70〜80cmも刺さるようになりました。雨の後の水溜まりもなくなりました。驚きです。

井坂和史さんと土のスープ。右手前は愛用の重曹 90cmの棒がいつでも根元まで刺さるようになった
井坂和史さんと土のスープ。右手前は愛用の重曹 90cmの棒がいつでも根元まで刺さるようになった

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2013年10月号
この記事の掲載号
現代農業 2013年10月号

特集:頑丈肥料 ケイ酸 vs カルシウム
炭素は肥料だ/サトウキビでぜいたく堆肥/全国の畑に響き渡るヤマカワプログラム/混ぜてもっと効かせる光合成細菌/借りた畑、私はここから手をつけた/トロ箱栽培 最新事情緑肥、肥料で土壌病害・センチュウを防ぐ/「元肥一発施肥で増収」のワザ ほか。 [本を詳しく見る]

現代農業 2012年10月号 現代農業 2012年10月号』農文協 編

特集:畑の耕盤攻める守る 土肥特集2012 [本を詳しく見る]

現代農業 2012年12月号

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