理化学研究所は1日、小保方晴子研究ユニットリーダーらが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文に疑問が相次いだ問題に関する最終報告を発表した。論文に使った画像の使い回しや切り貼りで小保方氏に不正行為があったと認定。小保方氏は理研が論文に不正行為があったと認めたことに対し、「承服できない」とのコメントを発表した。
理研の調査委員会(石井俊輔委員長)が1日午前に最終報告を発表。それを受けて理研の野依良治理事長は同日午後に記者会見し、所定の手続きを経て「論文の取り下げを(著者らに)勧告する」と言及。「理研の研究者の論文が科学社会の信頼性を損なう事態を引き起こし、改めておわびする」と謝罪した。小保方氏ら論文著者への処分については「懲戒委員会の議を経て厳正に行う」と話した。
最終報告では英科学誌ネイチャーの論文で使った画像が小保方氏が2011年に書いた博士論文の画像と酷似する点など2つの疑問について、不正があったと認定。論文の画像はSTAP細胞が様々な細胞に育つ万能性がある根拠として使ったが、STAP細胞ではない細胞を載せた小保方氏の博士論文の画像と似ていた。最終報告では画像流用を「捏造(ねつぞう)」と断定した。
STAP細胞が体細胞から育ったことを示すために使った遺伝子分析の実験画像が切り貼りされていた問題は、改ざんの事実があったと認めた。
最終報告では論文の共著者である理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長と山梨大学の若山照彦教授については「研究不正は認められなかった」としたが、「その責任は重大である」と指摘。理研の丹羽仁史プロジェクトリーダーは論文作成の途中から研究に参加したとして「研究不正行為は認められなかった」との見解を示した。
理研は3月14日、論文に関する6つの疑問点を調べ、このうち2つで結論を得たとする中間報告を公表。論文の作成過程に「重大な過誤があった」としたが、研究に不正があったかどうかの判断は示さなかった。その後、残り4つはデータの改ざんや盗用など疑わしい部分が残るとして調査を継続しており、今回、調査結果を発表した。
STAP細胞の論文は1月にネイチャーに掲載され、簡単に万能性を持つ細胞を作れるとして注目を集めた。小保方氏は既に論文取り下げに同意しており、論文撤回の公算が大きい。
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